刃牙道 第6話 予感
新展開ばかりではそわそわする反面でふわふわしている感じもする。
というわけで地に足の着いた話題、格闘家たちの話題が出てくる。
神心会の道場で克巳と渋川先生が見合っていた。
天才と達人。珍しい組み合わせだ。
そういえば、この2人が絡んだことはなかった。
克巳は左腕で渋川先生の襟を掴んでいる。
その状態でお互いに不動だ。
門下生はいないことから稽古の一環ではないのか。
当たり前のことだが克巳の右腕は失われたままだ。
刃牙道になったからといって都合良く復活するものでもないらしい。
宮本武蔵のクローンを作るついでに烈と克巳の四肢のクローンも用意してくれればいいのに。
克巳の視線はあらぬ方向を見ており、目の前の達人を捉えていない。
その状態から突然右ハイキックを繰り出す。
が、達人にとってはこの程度の不意打ちなど日常茶飯事なのか。
襟を掴んでいる手首に肩をぶつけるだけで克巳の姿勢を崩す。
最小の動きで最大の効果を実現する。
達人の技の冴えは健在だ。殺傷本能(キラーインスティンクト)を満たしておいた甲斐がありましたね。(範馬刃牙第208話)
以前の克巳ならこのまま倒れるばかりだったろう。
だが、ピクルとの戦いを経て大きく成長した克巳は違った。
崩されながらも空中で振り返り足刀を達人の顔面へ放つ。
これは合気によって崩された姿勢をあえて利用したのだろうか。
2人の立ち合いはこれだけで終わった。
これだけではあるが克巳の成長を伺えた。
偉大なる父を持つ息子という立場でJr.と被っていた克巳だったが、今なら例え片腕と言えどJr.を越えているのは間違いなさそうだ。
「総毛立ったわい…」「素ッ首スッ飛ばされるところじゃった
わ」
この一撃は直撃しなかったものの達人の頬をかすり冷や汗を流させる。
冷や汗は雄弁なダメージ表現である。
克巳の一撃は渋川先生にとっても脅威になる一撃だった。
「隻腕という」「個性(オリジナル)…」
「完成の域に達しつつあるわい」「のォ2代目」
「からかってらっしゃる」「一触れしか許さなかったくせに」
今の立ち合いにどこに隻腕ならではの個性があった
のかはよくわからない。
だが、克巳が目指した隻腕というオリジナルは達人からもお墨付きだった。
天才愚地克巳は空手家の命である腕を失いながらも、未だに成長を止めようとしない。
ピクル戦でもっとも強烈かつ苛烈な輝きを見せただけに、
その後が心配だったが自分なりの答えを見つけてそれに邁進しているのは幸いである。
結果、それは渋川先生に認められるレベルにまで成長した。
克巳はピクルと戦って右腕を失っただけではないのだ。
しかし、克巳さん、アンタはまたイメージが変わりましたな。
今の克巳は髪型がまとまっているから加納秀明(徳川邸の護衛)っぽい
な。
もうちょっと髪がはねている気がしたんだけど。
立ち合いを終えた2人はお茶を飲む。
けっこうな頻度で使われている館長室だろうか。
ここで克巳は刃牙と勇次郎の親子喧嘩が終わってから特訓を重ねていることを語る。
「胸騒ぎが収まりません」
「肉体(カラダ)を酷使していないと…………」「何か……」
親子喧嘩でやる気が出たというわけではないのだろう。
胸騒ぎが収まらないことの説明がつかない。
神心会の長なのだから常に特訓していることに間違いはないだろうが、その特訓がさらに加速しているようだ。
「…………」「アンタもか…」
「アンタも……」「とは…」
「皆そうなんじゃよ」
だが、それは克巳個人だけではなく皆がそうらしい。
懐かしのシンクロニシティだろうか。
感じ合い通じ合う格闘家の直感は絶対的なモノがある。
「第一 父親…独歩が「滝浴び」を始めたそうじゃないか いい歳して」
まずは独歩の特訓である。
それは滝浴び!
バキ世界にありそうでなかった特訓である。
だって筋肉つかんもんな。あれって精神的な鍛錬であって肉体的な鍛錬じゃないし。
独歩が滝浴びをするということは特別な意味があるのだろうか。
心から、初歩から鍛え直すということか?
独歩の周囲の木々にはつららができている。
作中時間は冬と見ていいのだろうか。
こんな時勢にやる滝浴びは辛かろう。
※追記
突っ込まれましたが滝浴びマニアの楊海王がいましたね。
加藤が独歩の拳をダイヤモンドより硬くダイヤモンドより高価って言ってましたし、独歩は拳だけじゃなく全身を金剛にする気満々?
あれ、加藤の独歩への尊敬が表れた地味にいい台詞だと思う。
克巳と独歩の空手親子は共に特訓に励んでいた。
さらに本部からはあの男の存在が触れられる。
独歩と一時期対を為すような扱いにされていたような気がするアイツだ。
「本部がな…………」
「本部以蔵さん…」
「山籠りじゃと」
へーい本部ェ! 特訓してもいいけど時間と場所をわきまえなよ!
そこでアンタかよ!?
アンタが来るのかよ!?
「範馬刃牙」で1度も出番がなくてこのままフェードアウトすると思ったら、新シリーズが始まっていきなりかよ。
これは刃牙道ではあの伝説の解説が蘇ることは間違いない。
いや、本部ですよ。MOTOBE。
バキファンの間ではもう伝説的な存在ですよ。
かつて独歩を「1分以内に殺せる」と豪語して底知れぬ実力者を演じたのはいいものの、あっという間に親しみやすい人になってしまった。
勇次郎も独歩では分が悪いと何を勘違いしたのかわからない発言をして瞬殺されるし、
刃牙と紅葉の試合の前の「このアホウッウォームアップもせんで」と武道家にあるまじ
きスポーツマンな発言をした。
闘士としてはもうこの時点で終わっているのだが、ならばと解説役に転向、観客に褒め称えられるほどの見事な手腕を見せる。
だが、その知識量を「力士の小指が強い」という基礎知識レベルの問題をクリアできず
に敗北してさらに駄目になった。
そして、決勝戦まで延々と解説。解説役としての地位を不動のものとする。
そうして普通に忘れ去られた頃に日本刀を持って柳に挑んでまさかの勝
利を果たした。
そんなネタエピソードに事欠かせない伝説が刃牙道でまさかの復活を果たした。
これは盛り上がらざるを得ないな。
そういえば、アイアン・マイケルが復活したのも第6話だった。
第6話ってあれか? 亡霊が蘇るのにうってつけなのか?
そんな本部だが武道家の端くれです。
皆が稽古しているなら稽古するよ。
てっきり腐ってばかりかと思っていたがそうではないらしい。
いや、腐る理由はないんですけど。強いて言えば日本刀折られたショックとか。
というか、もう本当に端くれになってしまったんだよな。
あの強そうだった本部はグラップラー刃牙第2巻で死んでしまった。
ギリギリ第4巻で刃牙に稽古を付けていた時が限界です。
そんな本部が山籠りですよ。
もう道場だろうがボクシングジムだろうがどこに篭もろうが何も変わりそうにないけど山籠りです。
そういえば、アンタって自分で技量では本部の遙か下だって認めていましたよね。
そんな雑魚虫が今更現役復帰とか止めておきなよ。グロ画像なんて見たくねえ。
さて、山籠りに励む本部さんです。
足袋を履くという微妙な文明人らしさに加えて、木の棒を持つという五体以外の何ものかに頼みを置く性根が光る。
やはり、本部は武器を持たねば戦えぬのか。
でも、武器を使えば柳を圧倒できるくらいには強いんだよな。素手ならどうなのかはわからないが。
この話を聞いた克巳は見事にノーリアクションである。
やっぱり、克巳としても本部の評価は低いのだろうか。
そんな本部さんですがグラップラー刃牙完全版第8巻の表紙を飾っております。
あ、ちょっと格好いいかも。
上手く勘違いできれば幸せかもしれない。
本部が変貌したのだから皆も何らかの変化が起きるものである。
ネズミが地震に気付いてライオンが気付かないというのも情けないだろう。
いや、ライオンだからこそ気付かないのかもしれないが。
「来る日も来る日もサンドバッグを切り裂いとるんじゃと」
本部の次は昂昇である。
自慢の斬撃拳でサンドバッグを切り裂いていた。
昂昇は昂昇ならではの戦い方を確立したが出番に恵まれなかっ
た。
ドイル戦での戦い方は格好良かったんですけどね。
ピクル戦線に参加した時はけっこう心が躍ったものですよ。
まぁ、ピクルが相手だと相性が悪すぎるから出番がなかったのかもしれないが。
烈海王に勝てると豪語したことがただのブラフではないことを証明して欲しいものである。
「……で兄 紅葉じゃ」
「本業そっちのけじゃと」
馬鹿な!? 紅葉まで特訓している!?
(医者の仕事を投げ捨てるのは普通なので無視)
よくよく考えたら紅葉は本部以上に戦っていない。
刃牙戦、昂昇戦のたった2回ですよ。
まぁ、本部は勇次郎戦、金竜山戦、柳戦の3回だけど。
1回しか違わんな、うむ。
紅葉の実力は非常に怪しい。
初登場時は勇次郎を圧倒する筋力を見せたが、今では多くの力自慢に敵いそうもない。
ドクターとしての地位は不動だし出番もあるが、格闘家としての地位は絶望的だ。
ある意味では本部以上に実績がない。
でも、まぁ、本部には勝てるべ。うん。
「ジャックの薬の量は増える一方」
刃牙と勇次郎の戦いを見て慟哭したジャックだったが、強さを求めることは諦めておらずさらなるドーピングを重ねていた。(範馬刃牙第307話)
凹むことが多いジャックだがなかなか屈さない。
不屈のファイターだ。
だからってやることが薬の量を増やす辺り、無理には無理を重ねる範馬一族らしい。
そろそろ大事なのは薬じゃないと気付いても良さそうなんだけど……
「烈海王は米国(アメリカ)じゃ
からワカらんが」
ここで烈の話題が出た!
烈のことは忘れられていないぞ!
インタビューの時は聞かれてやっと思い出していたけど、忘れられてい
ない! (バキ再開決定記念板垣恵介スペシャルインタビュー)
しかし、宮本武蔵のクローンなんてぶつけられたらもうボルトなんてどうでもよくなっちゃうな。
陸上からボクシングへ転向なんてもう常識人ですよ。
時代は本部の山籠りですよ。
「ミスターオリバは…」
「警視庁の門下生の情報じゃと」
「刑務所(ムショ)でイチバン重労働はオリバじゃと」
烈はワカランがオリバはわかる。
でも、警視庁の門下生がソースというのはどういうことだ?
何故、烈はわからなくてもオリバはわかる?
園田警視正が頑張って情報を集めたのか?
ともあれ、プレートを何枚も連ねたダンベルでトレーニングしている。
オリバにしては常識的な範囲のトレーニングだ。
ヘリを使って腹筋を鍛えていたのはどこへやら。
やっぱり、あれってあまり意味がないのか? ないよね。
オリバは宮本武蔵の技を食らった男である。
正確には宮本武蔵の領域に達した(胡散臭い看守談だが)刃牙の技を食らったというべきだが。
ならば、宮本武蔵との因縁あり!
ありですよね?
「ワシの知る限り……」「何も変わらんのは花山薫ぐらいなもの
か」
鍛錬しない男、花山だけがいつも通りであった。
ピクルの時も間接的な関与に留まったしイベントにあまり積極的じゃないですね。
だが、本部が狂った変わったのだ。
花山も何かを感じているに違いあるまい。
いや本部だけ変わってもそれはそれで違和感がないけど。
本部だし。
ともあれ、皆が皆、何かへ向けて特訓をしている。
常に特訓をするのが格闘家だ。
だが、その特訓が加速するのにはそれなりの理由があるに違いない。
本部だって特訓した。本部だってな。
「儂ら………」「何か予感しとるぞ」
「ですね」
渋川先生は武に長く関わると危機を察知する予知能力が身に付くと語り、この特訓も何かを予感しているからだと言う。
克巳も同感だった。
やはり、宮本武蔵か。
死刑囚とかピクルの時は別段凄い特訓をしたわけではなかった。
格闘家たちの予感は働かなかった。
宮本武蔵は特別ということだろうか。
ともあれ、現代の戦士たちは宮本武蔵との戦いに備えていた。
皆と宮本武蔵との戦いが繰り広げられるのか。
ピクルは宇宙人で格闘家とは別枠とも言えたが、宮本武蔵は伝説の武人であり(バキ世界では)最強の武道家だ。
ピクルとはまた違う強さを秘めているのかもしれない。
そして、過酷な特訓を行っているのは刃牙も同じだった。
退屈と言いながらも何かを予感していたようだ。
その特訓は刃牙ハウス地下一面が汁だらけになるほ
ど悪趣味なものだった。
これ、汗だけじゃなく尿とか混ざってるよね、多分。
これだけ汚せば掃除が大変だろうに。匂いも臭そう。
強くなるための特訓というよりも、汁を出すための特訓じゃないだろうな、これ。
特訓を終えた力尽き倒れていた。
これだけの汁を垂れ流したのだ。
水分が足りずにミイラになってもおかしくはない。
それくらいのレベルの特訓をした上で退屈なのか。
刃牙は何を目指し何を求めて戦いを続けているのか。
さて、刃牙は床に耳を当てて鼓動を聞いていた。
自分のものだろうか。
そうしていると大きな鼓動を耳にした。
これには刃牙もビックリである。
「少年の耳に響いた…」「自身の鼓動とは明らかに異なる」
「巨大なる鼓動(リズム)」
刃牙の耳に鼓動が聞こえていた。
宮本武蔵の復活は近いのか。
宮本武蔵は多くの格闘家を揺れ動かす最大級の震度
である。
本部だって無駄な抵抗……もとい備えをしているし。
多くの格闘家に何かを予感させる宮本武蔵とはどれほどの存在なのか。
次回へ続く。
本部復活!
まさかの本部ですよ。
もう現役復帰は無理かと思っていたがどうやらまだ戦う気らしい。
大丈夫か? 大丈夫なのか?
だが、宮本武蔵という侍に本部は適任である。
何せ剣術から発展したのが柔術だ。
先祖様が相手ですよ、先祖様。
ならば、本部は燃え上がらざるを得まい。悲惨な未来しか見えんが。
本部一族の祖先が宮本一族との繋がりがあるとかになれば!
……宮本武蔵が穢れるな。
宮本武蔵となると古代の技術が用いられることだろう。
それは現代の戦士たちにはなじみがないものかもしれない。
そこで本部ですよ。
本部なら見事に解説してくれるに違いない。
今、本部の解説が求められている。
さて、格闘家たちに出番が与えられそうだ。
独歩や渋川先生といった人気者からオリバやジャックの実力者、紅葉といった変化球まで取り揃えている。
加えて本部という大暴投付きだ。
彼らが宮本武蔵とどう戦うかは興味があるな。
本部がどうなるのか、私気になります。
ピクル戦線で出番のなかったキャラにもスポットライトが当たればいいんだけど。
寂海王やガイアも出張ってみてはいかがか。
しかし、これほどの面子が揃うと刃牙はしばらく退屈しそうである。
せっかくの新シリーズなのに戦うのは随分先のことになりそうだ。
「バキ」でも刃牙が戦ったのなんて大分後になってからだし、「範馬刃牙」でもいざ刑務所に出向いてもちっとも戦わなかった。
まぁ、勇次郎と1年以上も戦ったから少しは休んでいいのよ?
大丈夫だ。本部がいるからネタには困らん。
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