範馬刃牙 第187話 親友(とも)を
今回は新展開の布石となる重要な1話だ。
梢江のことは、さっぱりと忘れましょう。
霜降り肉に背脂たっぷりのスープをかけたようなくどい料理だったが、さっぱりと忘れましょう。
梢江のことを覚えていても得はない。
ここ数年のように忘れ去っておくのが正解なのだ。
決してバキSAGAを思い出してはいけない。
いいな!絶対に思い出すなよ!
さて、舞台は米軍基地の道場のようだ。
屈強な軍人たちが胴着を着て集まっている。
中央に御座すのは最近本名が明らかになったストライダムだ。
武術訓練をやるつもりなのか?
この人って戦えるのか?
「ここに伝えるものは―――」
「人格形成を期待するものでもなく」
「不当な暴力から身を護るものでもない」
「正々堂々の暴力―― すなわち戦場で行使される技術だ」
「よってそこには反則がない」
「―――“反則があるなら即
使え”――――――だ」
ストライダムは軍人たちに戦場格闘技について説く。
当然、心構えだけを諭すだけではないだろう。
生身を用いて訓練も行う気だ。
いや、ストライダムさん。
アンタって戦える人間なのか?
ストライダムの過去を思い出すに、まったくもって解説役だ。
多少はまともな徳川光成程度のイメージしかないぞ。
ともあれ、訓練に移ることになった。
まず、指名されたのはマークという黒人だ。
どんな経歴を持っているのか、ストライダムが語り出す。
「ムエタイのキャリアが長い そしてMMAも…………」
ヤメテエエエエエエエエ!
ムエタイは板垣先生にもっとも愛されていない格闘技ですよ。
2003年、大擂台賽で金玉が砕けたムエタイ戦士は記憶に新しい。
6年前のことだというのにまるで昨日のことのように思い出せる。
ムエタイと聞いただけで敗北する姿しか思い浮かばない。
しかし、逆に考えると訓練の一番手としては最適の人材だ。
いきなり、指導者が負けてしまえば訓練の説得力が失われる。
だが、ムエタイなら負けることがない。
多くの試合を見てきたストライダムらしい、戦術眼である。いや、戦略レベルのアプローチか?
そんなわけで約束された勝利がストライダムに与えられた。
もはや揺るぐことのない勝利だ。
卵を投げつけたら割れるという感じだ。
いや、卵を投げつけたら地面に向かって落ちるとした方が確実か?
この敗北感は剣持武志以上だな(第104話)。
ともあれ、模擬戦は始まった。
マークは構える!
ムエタイ戦士らしい?軽快なステップを踏んでいるぞ。
これは期待出来る!
敗北にな。
より速く、より疾く、より迅く、より短時間(スピーディー)をモットーとするのがムエタイだ。
小細工などない。
マークは最速のハイキックを繰り出す。
まぁ、より速く、より疾く、より迅く、より短時間(スピーディー)に負けるのをモットーとするのもムエタイなんですよね。
マークの放った最速の蹴りだったが、大きく開いた股間にストライダムの金的が決まる。
無防備になった瞬間を狙い撃った無駄のない一撃だ。
当然、マークはやられたッ許してくれッの表情になる。
烈と花山が語った金的を食らった表情説は正しいな(第174話)。
そんなわけで6年ぶりのムエタイは金的一発で沈んだ。
また、金的かよ。
そんなに板垣先生はムエタイの双玉を砕くのが好きなのか?
チクショウ、ムエタイを馬鹿にすんな。
…あれ?私のことか?
さて、ムエタイという極上の贄をストライダムは得た。
実力者はムエタイを壊す。
勇次郎や郭海皇のように。
ストライダムの強さも気持ち3割アップですよ。
勢いに乗ったストライダムは次々に氏名を行う。
[柔道経験者ハワード 目潰し……]
柔道経験者ハワードは目潰しによって敗北した。
柔道の教科書にはない攻撃だ。
同じようにボクシング経験者リチャードは裏投げ。
レスリング経験者スミットは打突。
古流武術経験者タカハシは上着を用いた緊縛で敗北した。
どれも経験してきた格闘技にはない攻め手だ。
特に緊縛なんてどの格闘技にも存在しない。
相手が経験したことのないやり方で勝つ。
ストライダム自身の実力が合わさってこそ成り立つものだ。
しかし、こうした小細工で勝てるのも雑魚相手だけじゃないか?
とりあえず、ムエタイを屠ったことだし、ストライダムがそれなりに強いことがわかった。
てっきり非戦闘要因だと思っていたのに…連載から10年以上が経過した、初めてわかる事実だ。
「民間格闘技と戦場格闘技の違い…………
ボンクラのオマエらも多少は感じとったことだろう」
「ダーティープレイに徹しろ」
「それが戦場武術の正統派だ」
こうして実技と共に戦場格闘技の心構えを教えるのだった。
パンピーにはそれなりに説得力があるかもしれない。
ムエタイも倒したことだし。
そんなわけで訓練はお開きと相成った。
さて、夜。
ストライダムは自室で大量の薬品とにらめっこをしていた。
はかりも見えることから調合を行っているのだろうか。
ストライダムは調合したであろう薬品をナイフの上に乗せる。
薬品の上には半球体上のカプセルをかぶせる。
ハンマーで叩くと爆発し、そのナイフは真っ二つに折れた。
高い破壊力だ。これにはストライダムもご満悦である。
この爆薬をストライダムはグローブの中に入れる。
拳の部分に盛る形で、殴ると爆発する仕組みとなるのだろう。
破壊力はありそうだけど、使用者に返ってくる反動が怖いな。
それほどの覚悟でストライダムはこの武器を使うということか?
同じように足にも爆薬を仕込む。
当然、蹴れば爆発だ。
金的をやった日には睾丸が骨になる。
さて、ストライダムは白兵戦で力を発揮する武器を用意した。
用意したが、何のためだ?
こんな物騒な物を自作する以上、通常の作戦行動ではないだろう。
何を企む、ストライダム。
マークに改めて金的するためか?
[待っていろ………………]
[我が親友(とも)………… 範馬勇次郎!!!]
ヤメテエエエエエエエエエエエ!
いやいやいや、NONONO。
それは無理だろ、ストライダムさん。
というか、アナタ、一体何を考えているんですか。
当たりさえすれば勝てるとでも思っているのか?
当たらなければどうということはないという名ゼリフを知らないのかよ。
まぁ、武器があるから自信満々なわけじゃないわけですよ。
ちゃんと防具だって着込む。
剣道の胴のような防具に加え、スネや腕をガードするプロテクター。
顔面は透明なカバーでガード。
股間にだってプロテクターはあるぞ!
これで勇次郎に勝てたら、イジメテ君だってピクルに勝てたよ(ピクル第7話)。
というわけでストライダムは勇次郎との決戦を決意した。
何を思い違えたのかは知らないが、とにかく決戦を行うつもりらしい。
独歩を瞬殺出来ると思っていた本部並みに勘違いしていそうなんですけど。
ミリタリー特集の増刊はストライダムに合わせたものなのだろうか。
わざわざストライダムに合わせんでも…
こうして斜め上の対戦カードが組まれてしまった。
変化球を狙って大暴投だ。
ボールどころか、キャッチャーが取れずにバッターが1塁に向かって走ってしまうレベルだ。
何でストライダムと勇次郎が戦うんだ?
これが所謂誰得というヤツだろうか。
せっかくムエタイを殺したのに(死んでません)、勇次郎を相手にするのは無謀にもほどがある。
いや、本当に何を考えているんだ、ストライダムさん。
武道家は特攻隊じゃないんですよ。
それは軍人のあなたにも共通する事項でしょう。
しかし、安心めされい。
克巳はダメキャラも代名詞だったが、ピクル戦を経て男の中の男となった。
克巳vsピクルの直後に人気投票をしていたら、上位獲得間違いなしだっただろう。
同じようにストライダムだって…!
いや無理。ストライダムじゃ絶対に無理。
再来週の次回へと続く。
そんなわけでストライダムが名乗りを挙げました。
命は投げ捨てるものではない。
ストライダムさんがおかしくなったと言っても過言ではない。
勇次郎の怖さを一番知っているのがあなたでしょうに。
刃牙が妖術を使ってピクルを圧倒したのを見て、小細工すれば俺もイケる!と勘違いしちゃったか?
無謀にもほどがあるぞ。
不意打ちしてパンチ一発当てられるならともかく、勇次郎のことだから爆薬の匂いを嗅ぎつけてストライダムの狙いを見切りそうだ。
胴の中にドイルよろしく爆薬を隠していてもあっさりとかわされそうである。
そもそも、爆薬程度で勇次郎を倒せるのか?
無理だよ…ストライダム…
でも、まぁ、ストライダムはフェイントかもしれないな。
勇次郎の前に立った時、いきなりピクルが降ってくる。
親友のお前に無茶をさせられないとピクルは何故か語り出す。
勇次郎vsピクル開戦!
ストライダムは傍らで人間じゃねぇ…とか言い出す。
しかし、万が一にでもストライダムが勇次郎に善戦したら困るな。
そう、そこが問題だ。
武器を使って勇次郎に善戦しても、それはストライダムの評価には繋がらない。
むしろ、勇次郎の絶対性が安っぽくなってしまうだけだ。
同時にストライダムの評価が上がる要素はない。
かませ犬になるしかないのだ。
これがムエタイの呪いか?
バキ世界は肉体至上主義だ。
武器が猛威を振るうことはあれど、飛び抜けた肉体に駆逐される。
だからこそ、尊いし価値のある世界観を生み出せている。
これでストライダムが爆薬で勇次郎を追い詰めても困るというものですよ。
だが、ストライダム一人で勇次郎に挑むつもりではないのかもしれない。
軍人繋がりでガイアにも声をかけておく。
戦場格闘技と戦場格闘技を組み合わせることはただの加算ではない。
二乗の効果を誇るのだ!
いや、無理だろう…
開始前から絶望感の漂うカードだ。
ストライダムの勝利も期待出来ないし、善戦すら期待出来ない。
これが2009年の締めでいいのか?
次回は2号連続だ。怒濤の急展開を見せるかもしれない。
急展開というか超展開が必要そうだけど。
今回自体が超展開だよ。
一体、板垣先生は何を考えているんだ?
とんでもないボケすぎて、呆然としてしまった。
梢江だけじゃ足りなかったのかよ。
何だかストライダムが勇次郎の元に辿り着けるのか、それ自体が不安になってきた。
勇次郎がかませ四天王を集めてストライダムを試すのかもしれない。
先鋒は堕落が激しい柳龍光だ。右手にはバズーカを付けています。
次鋒は当然ムエタイ戦士、サムワン海王だ!金的に気をつけろ。
副将は劉海王が出ておこうか。知られざる実力が今度こそ発揮される。
大将は本部で決まりだ。今の私なら貴様を50分で倒せる。さりげなく長いぞ!
こうしてかませ四天王とストライダムの死闘が始まるのだった…
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