範馬刃牙 第224話 無数の傷



刃牙VS千春の開戦だ!
すぐに宣戦布告を撤回したくなるほどに、絶望的なカードだ。
というか、あれで勝負ありなんじゃないか?
もう決着しちゃったんじゃないか?


見学者、ヤン・ウィリアムスは刃牙を普通の少年と形容していた。
が、改めて見るとその印象を改める。
鍛えられた肉体、刻まれた傷跡、一般人の肉体でもなければスポーツマンの肉体ではない。
刃牙はNINJAよりも強い!

一発で吹き飛ばされた千春だったが、並外れた根性の持ち主だけあり立ち上がる。
すみません、あれなかったことにしてください。
そんなことを言っても誰が千春を責めようか。
刃牙だって主人公だし許してくれるさ。
これで君の金玉が潰れるまで!蹴るのを止めない!と猛ったらどうしよう。
…あ…Jr.の時はまったくもって容赦がなかったな…

「あれ………?」
「あれあれあれェ…?」
「稀代の戦士…………… 地上最強の少年――― にしては柔らかい………………」


しかし、反骨精神の塊、不良の鏡としては引くわけにはいかない。
ツッパる千春であった。
稀代なんてちょっと難しめの漢字を使っちゃうわけだ。
精一杯の背伸びとも言う。

5mも吹っ飛んだ千春だったが、どうやらあれは千春にしてみてはぬるい攻撃だったようだ。
柔らかいという表現も不思議だが、たしかに刃牙の動きにも力が感じられなかった。
鋭さや硬さを感じさせない攻撃だったのかもしれない。
逆に言えばそうした一撃で千春は吹っ飛ばされたのだ。
圧倒的な力の差だ。
多分、ムエタイより少しマシなくらい。

千春の読み通りというべきか、刃牙は手加減していたことを告白する。
あえて怪我をさせないようにした…
侮辱とも取れる行為だ。
実際にやられた刃牙はキレていた(第160話)。

ただ、ここで刃牙を責められるのだろうか?
手加減しても千春が相手だからしょうがないという気持ちになってしまった。
目の前の相手に全力を出す。理想的だ。

だが、圧倒的な差がある相手に全力を出しても悲惨なことにしかならない。
それは戦いではなく虐殺だ。
そんなことをしても映えるのはムエタイくらいだ。
千春はムエタイとは違うのだ。
…一応、褒め言葉です。

「誰が…」
「手加減…」
「望んだよッッッ」


まぁ、怒りますよね。
でも、本気でやられたらその間実に1秒で終わると思う。
それでもブレーキを踏まないというか、ブレーキが壊れちゃいましたモードの千春は刃牙に蹴りを放つ。
だが、その蹴りは刃牙の身体をすり抜ける。
ピクル戦で見せた粒子化回避だ(第173話)。
刃牙・F・ハンマの覚醒である。なお、FはFoolのF。

千春のキャリアの中でも打撃がすり抜けるのは初めての経験なのか、ただ唖然とする。
そこに刃牙が一気に踏み込み、顔面に張り手を放つ
千春が宙でくるりと回り地面に激突する。
力だけでも技だけでもこうはいくまい。力と技が組み合わさった見事な打撃だった。
範馬一族は相手を回す技術に長ける。

(強ええな………… やっぱ……)
(本物だわ……)

(いったい……)(俺と………)
(どんだけ差があるのか…)
(見当がつかねェ……)

刃牙の打撃は実力差を示すには十分すぎた。
現に千春はその差を感じ取っていた。
だが、それでも奔り出した獣は止まらない。
刃牙に再び襲いかかる。
正確には奔り出されたんだけど。獣というよりも鉄砲玉だし。

相変わらずテレフォンな千春のパンチに対し、まず刃牙はローキックで迎撃する
これだけで千春の体勢を乱れさせ、動きを止める効力は十分あるだろう。
だが、この範馬刃牙。容赦しないことに関しては定評がある。
一度容赦しなくなれば徹底的に容赦しない。
金玉潰してなお首を絞めるし、小学生だって全力で叩く。

というわけで、さらにアゴにフックを決める
カスらせるような軌道だ。
カスりパンチはピクルの頸椎すら無力化するほどの効力を秘める。
並みの頸椎に並みの筋肉の千春に耐えられる道理はなく、これだけで千春は白目になる。
あ、意識飛んじゃった。

もうこれで勝負ありだ。
春成に例えれば崩拳にカウンターを合わせられた状態です。
逆に言えばここからが恐怖の鏖殺タイムの始まりだ。
というわけで、刃牙は迷わずに左でアゴを打つ。
右から左へと繋ぐコンビネーションだ。
左右に瞬時に打つことで、千春の脳はさらに揺さぶられたことだろう。

この連撃に千春のHPはもう0よ。むしろ、マイナスよ。
モンスターカードを引くのを止めさせてあげたくなる。
だが、刃牙ほどだめ押しの好きな人間はいない。
トドメと言わんばかりの肘が、右から千春のアゴをかすめた。
右左右と打撃の方向を分けている。
もう千春の脳はぷるんぷるんに揺れて、豆腐を壁に投げつけた状態になっているかもしれない。
ヘタすれば、死ぬ。

あまりのコンビネーションの速さに、ヤン・ウィリアムスには刃牙が棒立ちしているようにしか見えなかった
それほどの速さで、それも的確に千春のアゴを打ち抜いたのだ。
千春相手でも手加減せずに4ページも使って叩き潰すあたりはさすが範馬一族だ。
こうしてしまうことがわかっていたからこそ、刃牙は乗り気ではなかったのだろう。
呪われし血族である。

それでも千春は根性でパンチを当てる。
が、(おそらくは)完全に意識が飛んで弛緩した拳は、威力をまったく失っている。
刃牙の頬が力なく歪んだ程度で終わる。
既に意識を喪失した相手のパンチを受けるというのも何かの皮肉だろうか。
どこまでも実力差を示す刃牙であった。

しかし、これは刃牙の頭脳プレイとも言える。
今の新宿は夜な夜な達人たちが人々を襲う危険な街だ。
その噂は刃牙の耳にも入っていることだろう。
もし、本気で戦えば刃牙も警察の手にかかってしまうかもしれない。

そこでまずは正当防衛と言えるレベルの軽い手合わせをする。
目撃者からの刃牙に有利となる証言を得られるようにしておく。
その上で目撃者の目には捉えられない極悪連撃で相手を叩き潰す。
目撃者にはただ千春が突如倒れたようにしか見えない。
刃牙の蹂躙劇は闇へと消え、正当防衛と見なされる。警察に何か言われることもない。
過剰防衛を正当防衛にする見事な策だった。
こうやって不良たちを闇に葬ってきたのか?

これで千春は果てたのだろうか。
いや、果てるだろうな。
スピードとタイミングとピンポイントという根性の及ばない打撃で刃牙は決めた。
子守歌のように静かで穏やかな連撃だった。
それでいて歌の中身はSATSUGAIという凄惨なものだ。
痛くないから耐えられませぬ。

しかし、相変わらず刃牙はダメ押しが大好きだ。
これ以上ないくらいのダメ押しだ。
だが、これで終わりではない。
今の刃牙はさらに言葉でもダメ押しをする。第153話
千春もひどいことを言われてしまうのだろうか。
いやぁ、千春さんは強敵でしたね。

それにしても伝説的な春成の瞬殺劇にそっくりだ。

千春の放つ不良パンチが放たれた瞬間に合わせた右は――
正確に千春の顎の先端を捕え――脳を頭骨内壁に激突させ――
あたかもピンボールゲームの如く頭骨内での振動激突を繰り返し生じさせ――――
典型的な脳震盪の症状をつくり出した。
既に意識を分断された春成の下顎へダメ押しの左。
殴りかかる体勢を利用した――
右肘による肘打ちは千春を更なる遠い世界へと連れ去り――
全てを終わらせた!
その間実に1秒未満!


うむ、違和感がない。
ウィリアムスの目に捉えられなかった以上、あの時よりもさらにスピードが上がっていそうだ。
刃牙は千春相手に最新最速のコンビネーションを決めたのだろう。
本当に容赦ねえな!

これを有力な対戦相手にやって試合を終わらせようものなら、チャンピオンを引き裂かれるくらいの衝撃だ。
でも、今回の相手は千春だ。
まぁ、しょうがないよね。
そんな気持ちになってしまう。

ところで烈はどうなったんでしょうか。
千春がジェノサイドされるのは想定の範囲内だったが、烈がボクサーに悔しいでもヤラれちゃうされるのは想定の範囲外だ。
一体、どうなっていることやら。

もしかしたら、烈も千春と同じ目に遭っているのか?
フック一発ではなく、右フック→左ストレート→右肘打ちの3連撃を食らっていたのだ!
なお、あまりの速さにクレーザーは棒立ちしているようにしか見えず、肘打ちは反則に数えられません。
次回へ続く。


範馬っすから。不良なんて余裕っすから。
まぁ、ただの不良が範馬一族に挑むのはキツいよね。
最低100人は必要だ。
そして、今の刃牙は100人相手でも勝てるだろう。
とりあえず、初手から睾丸を破裂させて、不良たちの士気を盛大に下げる。
竿は無傷であったが脱皮する昆虫の如く陰嚢は破れ、残された不良は許しを乞う眼差しを向けるしかなかった。

あまりに圧倒的すぎて何ともコメントしがたい。
いつもならこれはおかしい、汚いなさすが刃牙きたないとお茶を濁すところだが、相手が千春だから妥当すぎる結果で何も言えない。
そして、今回ばかりは刃牙に感情移入できてしまう。
刃牙をDISることすらできねえ…

しかし、千春を叩き潰すのに1話とは豪快だ。
連撃シーンなんて4ページ使っている。
1ページ1コマ。
これほど豪華な扱いを千春が受けたことをあっただろうか。
いや、ない。
木人形(デク)だけど。
その待遇を少しはクレーザーに回してください。

完全な消化試合だったが、これで本当に終わるのだろうか。
千春は根性で戦う男だ。
…ここまでやられたら根性ってレベルじゃないけど。
根性が効果的なのはアイアン・マイケルレベルまでなのも忘れてはいけない。
そのアイアン・マイケルは刃牙にハイキック一発で負けた。
この結果は妥当か?

千春で有名なのはナナハンをぶつけられたエピソードだ。
ナナハンブチかまされた時と同じだ…だったらイケるぜ!
ついでにナナハンの名前を普及させたと言われるCB750FOURの重量は218kgだ。
刃牙は体重200kgのピクルを浮き上がらせるアッパーを撃ったことがあるので、パンチ力は200kgを越える。
ナナハンだって吹っ飛ばせるし、ナナハンより凄い打撃だって撃てるだろう。
だって、ナナハン=アイアン・マイケルだから。

ここで立ち上がろうものなら千春はナナハンとはまるで比べものにならねェ…なんて思いをしそうだ。
金的に蹴り、アッパー、フック、肘打ちの睾丸潰しのコンビネーションを繰り出すだろう。
一発で睾丸を1個破壊できる打撃を実に4回。合計4個もの睾丸を破壊する。
多分、来世の分の睾丸も消し飛ぶ。

でも、ナナハンを股間にブチかまされた時と同じだ…だったらイケるぜ!と勃ち上がったら刃牙も対応に困りそうだ。
変態性を見せると一矢報いることができるかもしれない。
既に千春のキャラクターは地の底にくっついている。
今更失うものは何もない。だったらイケるぜ!
そこで刃牙が今度は鞭打でいじめてきたり、放尿してきたりしたら、泣いても許す。むしろ、泣いていい。

力も、技も、ネタ度も、変態性も、刃牙の方が上だ。
そりゃあ勝ち目がないわけだ。
…後ろ2つは主人公として越えてはならないんだがなぁ。

あ、でも、今回のはバキ世界の瞬殺打撃、脳を攻めた打撃だった。
逆に言えば脳が揺れなければ、効果がないとも言える。
ここで千春は馬鹿だから脳の意味がない=脳の意味がないから脳震盪が発生しない!という理論を立ち上げてみてはどうだ。
悪魔将軍だって骨がないから痛みを感じないんです。
脳の皺がまったくなくてぷるんぷるんなら揺れても平気さ!
別に千春はピクルよりも馬鹿と暗に言っているわけじゃない。



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