EPISODE8 繋ぐ手と手…戸惑うわたしのため…



マリアはフィーネさんではなか切歌がフィーネさんなのか!?
マリアがフィーネさんの魂を継いでいないことがどうでもよくなるくらいの衝撃だ。
あれは金子彰史がシナリオを書けば金子彰史になるというくらいの既出感である。
歌を切る者……終わりの名を持つ者……
マリアも名前にそれっぽい単語を加えておけばちょっとは信じてもらえたのに。
エンドとか完とか名乗っておけば、あるいは。



武装組織フィーネは欠けた月が睥睨する中、母艦であるエアキャリアでフロンティアへ向かっていた。
何とマリアが操縦をしていた。
私はできないと思っていました。
へっぽこだと思っていました。

この人、ナスターシャ教授の応急処置にヘリの操縦と意外にもできることが多い。
(無論、応急処置止まりでヘリも操作が自動化されていてさほど技術が必要なわけでもないだろうが)
海外の防人は日本の防人と違って戦いと歌以外もできる。
翼の部屋を見ると発狂して片付けようとするかもしれない。



さて、マリアはF.I.S.の施設にいた頃を思い出す。
ホログラムを用いた戦闘訓練だ。
敵はノイズである。
ちゃんと攻撃すればノイズが炭となって砕けるから高性能なホログラムだ。
PS6くらいですか。




訓練は対ノイズ、ただし民間人(以下、佐藤)が紛れ込んでいるという設定だった。
F.I.S.の仮想敵はノイズであり防衛が目的らしい。
決してテロ活動もといフィーネさんの命令に従うのが前提となっている組織ではないようだ。
もっとも、政府に活動がバレた時のための口実として、こういった訓練を行っているのかもしれないが。
あるいは了子が二課で使ったシミュレーターをそのまま提供したのか。



「私にフィーネを演じろと?」

「私たちの計画遂行のためにはドクターウェルの助力が不可欠」
「彼をこちらに引き入れるためにはあなたの身体にフィーネが再誕したこととし、
 我々こそが異端技術の尖端を所有していると示せば彼はきっと」


訓練中にナスターシャ教授はマリアにフィーネを演じることを話していた。
普段は監視もあってなかなか話す機会がないのだろう。
さて、ウェル博士を味方に引き入れるためにフィーネを偽っていたようだ。
人格なアレだがウェル博士の力は重宝されているようだ。
米国製LiNKERはウェル博士の研究によって生まれたもので、LiNKERもといシンフォギアの力が必要になるとウェル博士の存在が必要となる。
英雄マニアなウェル博士にとって、永遠の刹那に存在し続けるフィーネこそが信奉すべき英雄なのか。

でも、自己申告で騙せるものなのか。
魂というデータにできないものを詐称するわけだから、是の証拠もなければ否の証拠もない。
ナスターシャ教授がグルとなって試験を行えばF.I.S.を騙せるのかもしれない。
でも、突然フィーネが降霊したわーと言って、私フィーネだわー私フィーネだわーと言い出すマリアさんを想像すると何か可愛い。
一歩間違えれば頭のあったかい人です。



「無理よッ!」
「たしかに私たちはレセプターチルドレン」
「フィーネの魂が宿る器として集められた孤児だけど現実は魂を受け止められなかったわ」


だが、弱気であった。
防人語に弱気を隠してばかりである。
さすがへっぽこ系ライバルである。
その過去でさえブレない。




動揺したマリアは誤ってHORIZON†SPEARで佐藤を撃ってしまう。
シミュレーションなのだからさほど気にしないでもいいのにマリアは愕然としている。
メッチャ驚いている。何だかやたらと驚いている。
そして、驚いているのが似合っている。
こういうキャラになってしまったマリアさんであった。



「シンフォギアシステム」
「素晴らしい力だ」
「そして、適性の薄い君たちに力を授ける僕の改良したLiNKERも」


さて、問題のウェル博士がやってくる。
任務失敗に終わったシミュレーションだったが、ウェル博士としては満足のいくものだったらしい。
人間がノコギリ連発したりビーム出したりすれば成功と言えるか。
しかし、切歌と調の視線が冷たい。
ウェル博士に対する好感度が低いのは昔からだったらしい。




「この力を以てすれば英雄として世界を……」

ウェル博士は年頃の娘を撫でるというセクハラ度の高い攻撃をしてくる。
これは好感度だだ下がりですよ。低いわけだよ。
切歌と調はガン無視で対処だ。マリアは蔑んでいる。

さて、時系列的には第1期からシンフォギアGの間の空白の3ヶ月の話だろうか。
おそらくはルナアタックからマリアのアーティストデビューまでの1ヶ月間となるだろう。
その間にマリアはフィーネだと詐称し、武装組織フィーネとして活動するための準備が始まったのか。
これっぽっちもゆっくりする気がない。武装組織フィーネの活動がやっつけ気味になるのも止むなしか。
そして、アーティストデビューの真意は武装組織フィーネの目的以上に謎である。
未だに用語集でも語られていない。
そこにマリアの本心が隠されているかもしれない。



運転をしながらフィーネ詐称は必要ないと言ったナスターシャ教授のことを考える。
その真意を教えてもらえなかったようだ。
少人数なのだから各人のコミュニケーションを濃密にしなければいけないのだけれども……
真意が読めないナスターシャ教授、好き勝手やりたい放題のウェル博士、それに振り回される装者たち。
武装組織フィーネは大変だ。



さて、これがフロンティアの形である。
どことなくムー大陸に形が似ている。
ミヨイ・タミアラである。

神獣鏡は卑弥呼の鏡説がある。
その卑弥呼と言えば邪馬台国である。
そして、邪馬台国=ムー大陸説がある。
何だか全てが線で繋がった気がする。
シンフォギアGになって金子のおっさんのオカルト大好きっぷりが強化されている気がしてならない。




さて、歳のわりには出ている身体をチェックされる切歌だった。
44kg! 4月13日生まれ! 15歳! O型! B81・W56・H83!
金子彰史初の3サイズ設定である。
これを考えたのは金子のおっさんなのか? いや、多分違う。
怪獣の設定は嬉々として考えるが3サイズは別に興味なさそうだし。

これはLiNKER過剰摂取のチェックだった。
フィーネさんは関係ないらしく、誰も切歌が放ったASGARDのことを知らない。
フィーネさんの魂を宿してしまったことは切歌本人しか知らない。



「LiNKERによって装者を生み出すことと同時に装者の維持と管理もあなたの務めです」
「よろしくお願いしますよ」


これがウェル博士が必要になった理由なのだろう。
LiNKERという時限式で副作用も多分にある不安定な代物を戦力として勘定する以上はどうしてもその専門家が必要になる。
ナスターシャ教授の専門は聖遺物であり、シンフォギアではないということか。
でも、ウェル博士のやっていることはLiNKER関係を凌駕している。
まさに猛毒である。



「わかってますって」
「もちろん、あなたの身体のこともね」


何かもう敬意とか遠慮を完全になくしたウェル博士である。
堂々とおばはんに嫌な顔を見せる。
そりゃナスターシャ教授の顔も険しくなる。
だが、マリア=偽フィーネであることについては触れない。その上でまだ武装組織フィーネに属している。
ウェル博士にはウェル博士の思惑があるのか。



(あれはあたしのしたことデスか……)
(あんなこと……どうして……)


無意識のうちに出したASGARDについて考える。
その表情は重い。
そりゃあ突然バリア出せば困惑する。喜ぶ人間はいない。
これでも年頃の女の子です。
なお、語尾の「デス」は「Death」でもあるとか(社長ブログ)。
この口調、金子彰史本人としては断腸の思いだったようだけど、多分照れ隠しですね。
可愛いキャラを書けないくせに変に可愛くしようとするのが金子彰史である。



ここで切歌の脳裏に知るはずもない痴女ことフィーネさんの姿が浮かぶ。
このオーラである。久し振りに見て改めて感じるがラスボスとしてのオーラに充ち満ちている。
武装組織フィーネの皆を上回る貫禄だ。
これは魂を握り潰されても仕方がない。



そのフィーネさんの姿に切歌は怯える。
マリアがフィーネさんに塗り潰されることが怖いと言ったのは切歌本人だ。
だからこそ、フィーネさんの影に怯えているのか。
でも、フィーネさんに乗っ取られれば巨乳になれるかもしれない。
切歌のスタイルが悪いとは言わないが全裸で見せびらかすにはちょっと幼い。
でっかくしないと。



「体内にあるガングニールがさらなる侵食と増殖を果たした結果、
 新たな臓器を形成している」
「これが響君の爆発力の源であり命を蝕んでいる原因だ」


武装組織フィーネ側の爆弾の次は二課の爆弾の話である。
まさか体内のガングニールが新たな臓器を作っていたというトンデモである。
身体中にガングニールの破片が及んでいてその危険性がわかる。
もう後戻りできない状況だ。
それともこのガングニール臓器が何らかの救いになるのだろうか。



「つまり、胸のガングニールを活性化させる度に融合してしまうから、
 今後はなるべくギアを纏わないようにしろと」
「あはは、あはははは」


この惨状を響は笑って誤魔化すのだった。
……痛々しい。迫り来る死に怯える方がまだ救いがある。
自分の一生懸命で誰かを傷付けた過去を持つ。
響は誰かのために一生懸命になれるが、自分のために一生懸命になれないのかもしれない。
響の背負った歪みは未だに存在し続けている。



「いい加減にしろッ!」
「なるべくだと? 寝言を口にするなッ!」
「今後、一切の戦闘行為を禁止すると言っているのだッ!!」


響の言葉に翼は心から怒った。
響を想っているが故に怒った。
面倒臭くて不器用で剣だが、いい先輩だ。
風鳴翼とは泣き虫で弱虫で仲間想いである。



「このままでは死ぬんだぞッ! 立花ッ!!」

泣いた。落涙である。
何やかんやでシンフォギアで一番泣いている人かもしれない。
泣くほど響が愛おしいのか。
そこに防人や剣としての凜々しさはなかった。



「そんくらいにしときなッ!」
「このバカだってわかってやっているんだ」


ここで仲裁をするクリスだった。
第4話で萌え尽きたのか、最近は出番も見せ場もないが、地味な立ち位置で皆を支えている。
クリスもまた響を想っていることは間違いない。



同じく見せ場がない弦十郎だが、了子が遺したデータがあるから大丈夫だと響を安心させる。
OTONAではなく大人らしいところを見せた。
だからとて、それで大丈夫ならここまで重いことにもならないか。
未来に頼むくらいだから実質的には手詰まりに等しいのだろう。
こういう時にフィーネさんがいれば……
でも、フィーネさんも撃たれてヤバくなって半ば博打で融合症例となったのだから、今回の件は想定外か。



(涙など剣には無用……)
(なのに、何故溢れて止まらぬ……ッ!)
(今の私は仲間を守る剣に当たらずということかッ!?)


ともあれ、相変わらずの剣モードである。
己の弱さを肯定できていない。
奏を失った頃に戻っている。
これでこそ風鳴翼であると言えよう。
ホントめんどくせーな、この人。



泣いているところを緒川さんに見られるが、それを隠す。
そして、インタビューを一人で受けられると歩き出す。
ホント、昔の翼のような行動だ。
自分のためではなく誰かのために面倒臭くなるのが風鳴翼である。
変わらずで何よりだ。
ここから格好いい翼に戻る時がまた楽しみである。



武装組織フィーネはフロンティアのポイントに着く。
ついに計画は最終段階に、フロンティアの封印が解ける段階に入った。
計画は主にネフィリムを目覚めさせる→ネフィリムを成長させる→フロンティアを動かすの3段階となっております。
随分と簡略化されている。




「長野県皆神山より出土した神獣鏡(シェンショウジン)とは鏡の聖遺物」
「その特性は光を屈折させて周囲の景色に溶け込む鏡面迷彩と
 古来より伝えられる魔を祓う力」
「聖遺物由来のエネルギーを中和する神獣鏡の力を以てして
 フロンティアに施された封印を解除します」


ナスターシャ教授は神獣鏡の解説をしてくれる。
その折りに皆神山での出来事が流れる。
襲われる天羽家族と神獣鏡を手にする了子の姿だ。
なお、残念ながら声はない。完全に過去の人となったようだ。

天羽家族は奏・父・妹の前髪が共通している。
天羽の血脈だろうか。
そして、了子は自ら赴いて神獣鏡を手にしていた。
諜報のプロが集まる二課がいるのにこんなことをやれば危ないと思うのだが……
聖遺物の発掘という題目で了子自身が現場に足を向けていたのだろうか。
妙に行動力がある。フィーネさんは超先史文明の人だから浮世離れしているのか?



さて、フロンティアに神獣鏡ビームだ。
ここでWAファンならエルゥのほこらを思い出すのが礼儀である。
これでフロンティアが起動、やっと武装組織フィーネが動き出すのか?



「これでフロンティアに施された封印が解ける……」
「とぉけぇるぅ……」


フロンティアの封印が解けることを物凄い楽しみにしている大人がいた。
新しいゲームを買った小僧っ子のように楽しみにしている。
アンタ、いい歳だろうに……
どれだけ楽しみにしているんだよ。
重い話が続く中でウェル博士が出るだけで場が愉快な空気になっている。
ある意味では英雄である。トカ博士系の英雄。



「解け……」

きっと、「解けた」と続けたいのだろう。
次の言葉を紡ごうとワクワクしている。
いい大人なのに……
いい大人がいい歳して出来上がったのがこのアニメなので突っ込んでも致し方あるまい。



「解けない……?」

だが、無情にもフロンティアから湧き出た気泡は縮こまっていく。
封印は解けなかった。
愕然とするウェル博士である。



「と、解け……」
「解け……」
「解けない……」


ウェル博士は物凄く残念そうにしている。
どれだけフロンティアの封印が解けるのを楽しみにしていたんだ。
それはもう物凄い楽しみだったんだろうな……
一挙一動が楽しいウェル博士である。



「出力不足です」
「如何な神獣鏡の力と言えど機械的に増幅した程度では
 フロンティアに施された封印を解くまでには至らないということ」


驚くと切歌と調、面白いウェル博士とは異なり、マリアとナスターシャ教授はこの結果を予見していたのか、動揺が感じられない。
冷静に状況を説明するのだった。
計画が半ば瓦解したようなものだが妙に落ち着いている。
へいきへっちゃら。



「あなたは知っていたのかッ!」
「聖遺物の権威であるあなたがこの地を調査に訪れて
 何も知らないはずなど考えられないッ!」
「この実験は今の我々ではフロンティアの封印解放に
 ほど遠いという事実を知らしめるためにッ!」


今度はマジギレするウェル博士だった。
コロッコロ変わる。本当にコロッコロ変わる。
プレゼントにPSPをお願いしたらゲームギアを買ってこられたような心持ちなのだろう。
WAXFを遊べないよ。そりゃ怒る。仕方がない。

とはいえ、この怒りも道理か。
何せナスターシャ教授の口車に乗せられて組織どころか国を裏切ったのにこれである。
ネフィリムを破壊された時のウェル博士の動揺を見るに、計画遂行が今のウェル博士を支えていることは間違いない。
ウェル博士も弱さを抱えているのだ。面白すぎて気付きにくいけど。



これからの大切な話をするとはぐらかすナスターシャ教授に対し、この表情である。
何もここまで怒らんでも。
笑っても面白いし怯えても面白いし怒っても面白いとどうしようもない。
次回はどんな面白さを見せるのだろうか。今から楽しみである。



さて、二課では大きな問題である月の落下について話される。
NASAのデータが偽りであり僅かだが公転軌道にズレがあったことが判明する。
月が相手ならOTONAとて歯が立たない。
XDモードのシンフォギアの絶唱でさえ月の欠片をかろうじて砕けた程度だしどうしようもない。
弦十郎は歯がみする。
だからとて、こんな急軌道では落ちないような。

ともあれ、響の体調も問題だが月も問題だ。
シンフォギアGはただ敵に勝てばいい物語ではない。
抱えた問題は大きい。



さて、第1期第10話に出てきたスカイタワー。
そこにマリアとナスターシャ教授は来ていた。
普段着で。
ちょっとは変装しなさい。いや、ここに来るまで変装していたのはわかるけど。



「マム、あれはどういう……」

「言葉通りです」
「私たちがしてきたことはテロリストの真似事に過ぎません」
「真に為すべきことは月がもたらす災厄の被害を如何に抑えるか」
「違いますか」


テロリストの真似事どころか何もしていないのだが、これがフィーネを偽る必要はないことへの答えだった。
武装組織フィーネはフィーネさんの意志を継いでいる。
けれど、フィーネさんほどの器はなかった。
だから、フィーネであることを捨てるということか?

ともあれ、月の落下の被害を抑える止まりで食い止めるには至っていないのだろうか。
世知辛い。
計画が成就すれば全てが叶うわけではないのが世知辛い。



「つまり、今の私たちでは世界を救えないと……」

WAシリーズ序盤くらいに武装組織フィーネは脆弱だ。
これで世界を救うのは厳しい。
愛・勇気・希望が足りません。



さて、マリアたちを待ち受けていたのは黒服こと米国政府のエージェントだった。
敵であるはずの米国政府と講和を結ぶためにコンタクトを取った。
これもウェル博士には通告済みのようだ。



こんな急展開にマリアは怪訝な顔を見せる。
ナスターシャ教授に言われるがままにフィーネを名乗って宣戦布告した結果がこれだった。
ナスターシャ教授が落ち着いているからわかりにくいが、完全にマリアたちをブン回している。
マリアはアーティストとしての人生を捨ててさえいる。
フィーネさんであることを偽った結果とはいえ、かけがえのないものには違いなかろう。
如何にナスターシャ教授を慕っていようと文句はひとつくらい言いたくなる。



さて、スカイタワーにいたのは響もだった。
内部の水族館にいる。
普段なら楽しみそうなものだが、ぽつんとしておりあまり楽しそうではない。
制服着用を心がける防人たちとしては珍しい私服なのに……



(死ぬ……戦えば死ぬ……考えてみれば当たり前のこと……)
(でも、いつかマヒしてしまってそれはとても遠いことだと錯覚していた)
(戦えないわたしって誰からも必要とされないわたしなのかな……)


楽しめていない理由はやはりと言うべきか、自分の死に関することだった。
だが、死よりも戦えないことを恐れているようにも思える。
かつて自分の一生懸命を否定された。
一方で戦いに関しての一生懸命が否定されたことはなかった。
それが調に否定されたからこそ、泣くに至っているのだろう。
自分の一生懸命が認められ誰かを助けられるシンフォギアに響は依存しているのかもしれない。
歪みが感じられる。



そんな響に未来のジュース攻撃だ。
沈んでばかりの響が久し振りに面白い顔を見せた。
みかんジュースである。素朴な一撃である。



「だってせっかく2人で遊びに来たのにずっとつまらなそうにしているから」

さりげなく未来と二人っきりの組み合わせはシンフォギアGにおいて初めてだ。
学園祭の時は翼が割り込んできた。
相変わらず同室にいるだろうにその場面が描写されることはなくなった。
そんな久し振りの二人っきりなのにつまらなそうにしていると未来もたまったものではあるまい。



「今日は久し振りのデートだものッ!」
「楽しくないはずがないよ」


あ、やっぱり、デートなんだ。
デートを積極的にするのが立花響である。
翼をいとも簡単に誘うくらいだ。
こんなことをやれば妄想が進んでシンフォギアの薄い本が厚くなりますよ。
2013年8月13日現在、とらのあなにおけるシンフォギアエロ同人の数、実に1冊だけど。
この数字は絶対におかしい。



「うん、思った通りの味が出た」

一方、おさんどん担当の調は料理を作っていた。
前回の体調不良はただ単にLiNKERのオーバードーズによるものなのだろうか。
実は調こそがフィーネさんという話はないのだろうか。
ともあれ、料理ができる子で良かった。
F.I.S.暮らしで人間らしい生活ができず、女の子らしい生活もできていなかったと思われるが、家事ができるだけでもどこか救われる心持ちだ。



料理できてねー! 何がカップラーメンで思った通りの味だよ!
わかっていたがとんでもなく抜けている人だ。
こりゃあ切歌が常識人扱いされるわけだ。
カップラーメンには「生めん的な、何か」と書かれていて不安を誘う。
何かって、何だろう。

でも、レンゲが差し込まれていたり妙に凝っている。
カップラーメンのくせに凝っている。
その辺も抜けているというか、何というか。
前回の総菜パンといい、もっと栄養につくものを食べなさい。
せめて軍用レーションとか確保しておけばいいのに。
むしろ、軍用レーションの方がいいですよ、こんな偏った栄養の食べ物を食べるくらいなら。



(リインカーネーション……)
(もしも私にフィーネの魂が宿っているのなら私の魂は消えてしまうのデスか)
(ちょっと待つデス)
(私がフィーネの魂の器だとするとマリアがフィーネというのは……)


さて、まだ見ぬフィーネの影に悩む切歌であった。
実質的な死が迫っているとなると気が気でない。
これが普通で常識的な気持ちで響は普通ではない。
死ぬことではなく戦えないことを悩むのはやはり歪だ。

そして、マリアがフィーネではないという可能性に気付く。
マリアを想って戦いに身を投じた。
そんなマリアが自分を騙しているとなると……
彼我に生まれた不和は高まるばかりである。



さて、そんな切歌にご飯が出来たことを教えにいく調だった。
エプロンです。可愛いですね。
作るのはカップラーメンだけど。
見事なまでのがっかり系美少女である。



「298円」

「ご馳走デェスッ!」


298円のカップラーメンに心を躍らせる切歌であった。
いや、298円のカップラーメンはたしかにカップラーメンでは高い。
高級カップラーメンでは十分高価だ。
だが、食事としては安い。
それをご馳走と喜ぶ切歌……間違いなくF.I.S.で相当に辛い生活を強いられてきたんだ!
切歌が任務そっちのけで日常を楽しむのもこうした事情があるからか。

そういえば、先日の食事は総菜パン一つ、良くて100円くらいだ。
それでも妙に満足していた。
どれほどみすぼらしいものを、そうでなくとも味気ないものを食べてきたのだろうか。
マリアも世界中でヒットを飛ばしたのなら美味しいものを食べさせてあげればいいのに……
それこそ298円に満足できなくなるくらい美味しいものを……



「ドクターは何かの任務?」
「見当たらないけれど」

「知らないデスッ!」
「気にもならないデスッ!」
「アイツの顔を見ないうちにさっさとご飯にしちゃうデスよッ!」


ウェル博士、嫌われていますね。
好感度稼ぎを怠った結果がこれだよ。
しかし、ウェル博士を好き勝手にさせた結果、アジトを失い響の左腕は食われてLiNKERの過剰摂取をされた。
全てはウェル博士を制御できなかった結果である。
少しは気にしてください。もとい学習してください。



異端技術の情報をマリアは渡す。
渡したらエージェントたちに拳銃を向けられた。
如何にシンフォギアが強力と言えど変身させる前ならば隙はいくらでもある。
そう、聖詠が終わる前に鉛玉を打ち込めばいいのだ。
変身ヒーローに対する何という暴挙。というか、そういう理屈が通る世界観だった。
機密保持や外交問題などこういうところは妙に堅いのがシンフォギアである。
でも、無駄に爆発させたりする。



ぐぬぬとなるマリアとナスターシャ教授であった。
素人だけあってこういう時の対策はないようだ。
脆い。組織としてあまりにも脆い。
本当にウェル博士がいなければ瓦解しているところだ。
なお、こういう時に弦十郎がいれば発勁でどうにでもなる。
弦十郎どころか緒川さんでも十分対処できるだろう。
組織としては二課の方が盤石である。



だが、その時、現れたのがノイズだった。
エージェントたちは為す術もなくやられてしまう。
でも、目の前に現れたノイズさんはこんにちはという感じでほのぼのする。
シンフォギアGになってノイズに炭素分解させられる人は増えた。
それだけにこうしたほのぼのさは大事である。



当然、ノイズはウェル博士の手によるものだった。
スカイタワー近隣のビルに構えていた。
スカイツリーイーストタワーならぬスカイタワーイーストタワーだろうか。



「誰も彼もが好き勝手なことばかり……」

これぞ本日のお前が言うな大賞である。
今度は一応の仲間にも危害を及ぼしている。
一応は助けたと言えなくもないはいえ判定は限りなくブラックだ。
やはり、好き勝手にさせると危険な人だった。

なお、ソロモンの杖は側に置いている。
つまり、ノイズを制御していない。
半暴走状態にある。
マリアを始末することも狙っているのではないだろうか。

なお、客がいない。ウェル博士一人だけだ。
もしかして、そのソロモンの杖で……




ここで麗しのポーズと共に変身する。
随分久し振りの変身バンクだ。
切歌と調の変身はまだですか?
それは置いておいて笑みを浮かべていた第1話の変身とは異なり今回は笑っていない。
心情の変化があるのだろう。
一応、LiNKERの準備はしてきたようだ。
もっとも、そればかりに固執したことで不覚を取りかけたのだが。



さて、普段はへっぽこだが戦闘になると格好いいのがマリアである。
ある意味、主人公らしい性質だ。
そんなわけで「烈槍・ガングニール」と共にノイズを次々に薙ぎ払う。
歌い方にも力みがあっていい。攻撃のタイミングと力みのタイミングが完全一致しているからなおさらだ。
やはり、戦場に立てば格好いい。
普段はへっぽこですがね……



「行っちゃダメッ!」
「行かないでッ!」

「この手は離さない」
「響を戦わせたくない」
「遠くに行って欲しくないッ!」


戦おうとする響を未来は必死に止める。
かつては戦う響を受け入れられなかったが、今は戦おうとする響を止めている。
響を理解しての行動である。
同じ8話でも未来の立ち位置は異なる。これもシンフォギアお得意の対比だろう。
これには響も止まる。



だが、母を見失って泣く子供を見てそれだけでも助けようとする。
その過去を知っているからか、戦うことは止めても人助けを止めることはできない。
あるいは2人の原点は人助けにあるのか?
未来が響を在りし日の絶望から救ったことは想像に難くない。
そのエピソードは過去の響を救うだけではなく、現在の響も救うのだろうか。



さて、一方で道に迷うマリアはデータを蹴り潰す。
どうしようもない苛立ちが見て取れる。
マリアは翼に匹敵するくらい打たれ弱い。
こんなことでもしないと戦場に立っていられないのか。
でも、炭素の舞う中でよく黒いメモリーカードを見つけられましたね。



さて、避難と相成る。
ナスターシャ教授をお姫様抱っこ……と見せかけて担いだ。
雑な扱いですね。そりゃあ丁寧に持っている場合ではないが。



この惨状にウェル博士のこの笑顔である。
今までのウェル博士の行動には戦術的意図が見えたが、今回は明らかに好き勝手やっているようにしか思えない。
さすがと言わざるを得ない。
かき回すだけかき回しているが、ウェル博士には何らかの方策があるのだろうか。
一応は頭脳担当で策略担当だ。
でも、聖遺物に関してはあまり詳しくないみたいだし、そのおかげでブチギレウェル博士をやった。
まだ、ウェル博士の行動は読めないのであった。



マリアに襲いかかるのはノイズだけでなく米国政府の特殊部隊もだった。
武装して待ち構えている。
マリアたちが窮地を脱したらその時はその時で抗戦するつもりだったのだろう。
プロだけあり保険が存在している。



こういう時に便利なのがマントである。
銃弾を全て弾き飛ばしている。
そして、隙を見てマントで直接攻撃を仕掛けている。
相変わらず攻防万能の大変便利なマントだ。



ヘ(^o^)ヘ
   |∧  
  / /

さらに蹴る。Nice Kick.
そういえば、翼も蹴っていた。
パンチが響の得意技ならキックがマリアの得意技なのだろうか。
こういうところで地味に響と張り合うマリアだった。
未だに一言も言葉を交わしていないけど。



響と未来は子供をあやしながら避難させている。
荒事に慣れている響はともかく、一応の一般人である未来の落ち着きようが凄い。
さすが、対抗策のない状況でノイズに幾度も殺されかけただけのことはある。
肝が据わっている。戦場でも己を見失っていない。



さらに天井の崩落から響を救うファインプレイだ。
地味に凄いところを未来は見せている。
一般人とは思えない胆力と行動力だ。
思えば第1期第8話でシルバーブルーメノイズから何kmも逃げ続けたのも凄い。
さすが、響の友達である。つまり、普通じゃない。



特殊部隊と交戦するマリアだったが、その中で罪なき一般人が巻き添えを食らってしまう。
マリアは人質を嫌い、チャリンコ野球部ジャリガキの死に心を痛めている。
ただの優しいマリアなのだ。
当然、この事態にも驚愕する。
即座に応戦するが失われた命は帰って来ない。



「マリア……」

過失によって命を奪われた人を見て愕然とする。
悪にまったくなれない。
一般人によって攻撃が緩めば好都合と割り切ることなどできようはずもない。
この時の「烈槍・ガングニール」の歌詞が「皆に幸あれ」なのが皮肉だ。
幸ないっす。




「私のせいだ……」
「全てはフィーネを背負いきれなかった私のせいだァアアアッ!!」


マリアは怒りに駆られるままにギアを振るう。
手加減なさそうな本気の蹴りで常人を蹴り飛ばした。
かつてギアを振るうことを躊躇っていたのに……
マリアもまた自分のためには本気になれず、誰かのためにしか本気になれないのだろうか。
誰かのために死んだセレナの影響で、響と似た歪みを持っているのかもしれない。




さらにアームドギアを振るって吹き飛ばした。
ヘタすれば死ぬ一撃だ。いや、死んだかもしれない。
人間が耐えられるダメージを越えている。
そんな一撃を思わずとはいえ放ってしまった。
血に染まるアームドギアを構えマリアは涙する。
本当にヘタれだ。覚悟がない。だが、それこそがマリア・カデンツァヴナ・イヴである。
ただの優しいマリアなのだ。
だからこそ、可愛いのだ。薄い本はないけど。
捕らえた翼に拷問しようとするけどヘタれ爆発してラブラブなあれこれするとか需要ないですかね。
ない(断言)。



「ありがとう、未来……」

「あのね、響――」


崩落をかろうじて逃れた。
だが、出口は塞がってしまった。
それでも生きている。
だからなのか、未来は響に何かを告白しようとするが……



突如、地面が崩れた!
「あのね、響」は何かのフラグらしい。
第1期でも同じ台詞を言った直後に響が寝てしまっている。
災厄を巻き込む体質でもあるのだろうか。

未来は響の腕を掴んでいる。
ナイス反応だ。そして、片手で響を支えるとは女子と侮れないパワーである。
だが、未来と繋いでいる腕はかつて失った左腕だ。
繋いでも別たれてしまうことを暗示しているように思えてしまう。



マリアは全力で応戦してしまったことに後悔しているのか。
未だに困惑したままだ。
翼とは別のベクトルで弱い。
こういうところで対抗しないでも……いいや、対抗するべきか。
キャラクターの弱さをとことん描くのが金子彰史流である。
だからこそ、強さが映えるし感動を生むのだ。
このまま、マリアがヘタれたまま終わったら……まぁ、公式ネタキャラということで。



「――狼狽えるなッ!」
「狼狽えるなッ! 行けッ!」


惨劇に狼狽える一般人にマリアはかつて叫んだ言葉をかける。
失われた命はあるが最低限に務めるようには動いている。
元より被害を最低限に留めるために決意した戦いである。
だが、最低限に留めるためにあえて殺す選択肢を取れないのがマリアでもある。
正義にも悪にもなれない。



(あの言葉は他の誰でもない私に向けて叫んだ言葉だッ!)

第1話での「狼狽えるな」はやはりそういう意味だった。
自分を自分で支えなければ立っていられない類いの人間である。
あの頃から弱さは幾度も見せてきたのだ。



「もう迷わないッ!」
「一気に駆け抜けるッ!!」


だが、惨劇に身を置いてやっと決意した。
本気で戦う覚悟ができたのか。
でも、迷わないと言いながら躓きそうなのがマリアである。
というか、間違いなく躓く。



というわけでドリルに変形して天井をブチ抜く。
駆け抜けるってそっち方面かよ!
もちろん、物理的にだけではなく精神的にも駆け抜けるのだろうが……
ともあれ、負担のかかるであろう技を躊躇わず使った。
LiNKERの制限を無視している。たしかに駆け抜ける気満々だ。



「未来ッ! ここは長く持たないッ! 手を離してッ!」

「ダメッ!」
「わたしが響を守らなきゃッ!」


響は変身できる。それを使えばこの窮地も何とかなる。
だが、命を削ることになってしまう。
それを知っている未来は手を離すわけにはいかない。
未来は戦う力はないが守りたいものがあるし、そのためなら一生懸命になる。
シンフォギアはみんなが一生懸命なのだ。
ウェル博士も一生懸命。一生懸命の、顔芸。



「いつか本当にわたしが困った時、未来に助けてもらうから」
「今日はもう少しだけわたしに頑張らせて」

「わたしだって……守りたいのに……ッ!」


守りたい人を守れない現実に未来は落涙する。
響は本当に大切な存在なのだ。
響は戦わなければ自分を大切に思ってくれる人がいなくなると思っていた。
だが、未来も翼もクリスもただの響が好きだし、だから涙している。
響はこの事実に気付けば歪みも変わるのではないだろうか。



「響ぃいいいッ!!」

遠く、遠くに零れていく。
君がこの手から零れていく。
繋ぎ繋がる手はかつて食われたように離れていくのだった。
ある意味では危険なのは響以上に未来なのだが。
変身すると死ぬ可能性が高まる響と問答無用に死にそうな未来では危険度が段違いである。
それでも未来は響の命を賭けた。
それほど響のことを思っている。

余談ながら薄い本が少ない少ない夏コミ終わって1冊とか少ないにしてはおかしいシンフォギアですが、未来の薄い本はかろうじて存在する。
1冊だけだけど。
なお、未来×クリス本だ。
泣けよ、響。
(集計はとらのあなだけで行ったので、他のサイト、あるいはイベント限定本を勘定に入れれば増えるかもしれません。10%くらい)

ついでに薄い本はクリスが圧倒的人気である。二番手は以外にも翼さん。
お前ら、最初の絵だけで翼さんを選んだだろ。
本編見た後だと作りたくなくなるだろ? ん?



響は無事変身し着地する。
クレーターを作ったが無傷だ。
シンフォギアの圧倒的な強さが伺える。
グレートマジンガーくらい強いぞ!



「未来ッ! 今行くッ!」

自分の無事を確保したら次は未来の無事が大事だ。
響は即天を見上げるが――



爆発!?
未来がいたであろうフロアが爆発する。
響は絶句する。



「未来ゥウウウウウッ!!」

まさか、未来に生死の危機が訪れた。
ううう、狼狽えるな! 適合者は狼狽えない!
響の左腕が食われた! 生身でノイズを殴った! 切歌がバリアを出した!
それと比べれば未来は無事すぎる!
……うん、無事すぎるな。
次回へ続く。


進みそうで進まない武装組織フィーネの計画であった。
これはいつかフィーネさんがしびれを切らして出て行ってもおかしくはないぞ。
その前にウェル博士が先っぽいけど。

敵側は盤石だった第1期と比べて、シンフォギアGは敵も味方も不安要素ばかり抱えている。
抱えすぎてお互いに戦うどころではなくなっている。
だが、今回、ついに響とマリアが肉薄した。
お互いの勢力の主人公とも言える存在だ。
やっと二振りのガングニールが巡り合う時が来るのだろうか。
もうちょっとお互いに意識し合えばいいのに。
そうすれば薄い本も……今一番出そうなのがウェル博士が粗相を働かせるものなんだよなぁ……


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