バキ道感想 第11話「相撲の領域」



二代目宿禰の初陣は怪力無双オリバだ!
まぁ、今回はオリバ、出て来ないんですけどね。
刑務所にいる囚人を適当に武装してオリバ四天王を差し向けるくらいしてみては如何か……

徳川邸でみっちゃんが鯉に餌を与えている。
あのジャックが餌を与えたこともある由緒正しき鯉である。
いや、餌を持っていただけで餌を与えた描写はないんだけど。
なお、その直後に本部に負けているから不幸の鯉かもしれない。

加納秀明は鯉が大きくなっているのではと指摘する。
それは宿禰の四股(醜足)によって地鎮が行われ、地に棲む邪気が踏みつけられ去っているからなのだ!
そんなことを宿禰は言ったようだ。
邪気ってやっぱり徳川の呪われた血に纏う魔性のことか?
それならその四股でそこのジジイを踏み潰せば瞬殺できるぞ!

ともあれ、宿禰はけっこうオカルトな人ですな。
ガンダムだとニュータイプが凄いことをやらかしちゃう宇宙世紀時代の人だ。
ここまでオカルトに傾向した人間は筋肉至上主義のバキ世界では稀な存在だ。 もしかして歴代宿禰の霊が乗り移ったから強いとかかも。
通常、圧力だけでは不可能な石炭のダイヤモンド化ができるのだから、何らかのオカルトが混ざっている方が自然だ。

しかし、宿禰の四股は徳川邸一帯を揺らすほどの四股を踏んでいる。
そんなことになると鯉は大きくなるどころか逆にストレスで痩せてしまいそうだ。
まぁ、結果として大きくなっているからあれこれ突っ込むのは野暮であろう。
これで夜な夜な鯉に栄養満点の手作り餌を与えていたら困る。

当の宿禰はオリバとの戦いへ向けてか、四股を行っていた。
相変わらず脚を大きく広げて掲げるオーバーアクションな四股である。
こうして脚を大きく広げた状態を宿禰は全身が汗にまみれるまで保持していた。
筋肉にかなりの負荷をかけるのは想像に難くない。

「気を溜めとるんじゃと」
「あのシンドイ体勢のまま長時間――」「五体に「気」が満ちるのを待つ」


この姿勢もトレーニングとかそういう理由ではなくオカルト的なものがあるのであった。
オカルトでありながらもバキ史上最高峰の筋肉の持ち主という矛盾が宿禰の宿禰たる所以だろうか。
この四股のような不合理とも言える信仰こそが宿禰を鍛え上げたのかも。 緒戦の相手を務めるオリバも腹筋を鍛えるためにヘリコプターと綱引きをしている。
オカルトっぷりなら互角だ!
……互角か?

オカルトと言えば脱力して打撃を無効化する郭海皇、関節を多重化してマッハの速度を出す克巳も入りそうだけど、あっちは理論体系がおかしいのに対し、宿禰はやや信教めいたものが混ざっているのが独特だ。
相撲は神事なのでこうした側面が強調されているのだろうか。 まして宿禰は古代相撲の後継者となれば、なおさら伝統や慣習が関与していそうだ。
今回の四股も可愛がりのような無茶振りから始まったのかも。

そんな宿禰の前にみっちゃんは263キロのバーベルを見せる。
ウェイトリフティングの世界記録である。
なお、花田は300キロのバーベルでスクワットをしている。
ただこの263キロの記録はウェイトリフティング、花田がやったのはパワーリフティングとバーベルを使った似て非なる競技なんですけどね。
なので、263キロが花田よりもショボいとは言えないのだ。
実際にウェイトリフティングとパワーリフティングの記録を比べると、パワーリフティングの方がより重い記録を出している。

宿禰はバーベルを重いと言いながらも持ちやすすぎると言う。
その言葉を証明するように因縁のある小指でバーベルの端を掴み垂直に起こす。
263キロを軽々と持ち上げる小指力である。
こりゃ本部の指取り対策は完璧なので、あいつにはまた指取りをして地獄を見て欲しい。

「リフティングは力士の領域じゃない」

そう言うやいなや、宿禰はバーベルを思い切り振り回す。
263キロを軽々と振り回せる凄まじい膂力の持ち主であった。
この技は相撲で言う首ひねりであり、宿禰曰く人間ひとには使用つかえない「技」であった。

首ひねりは珍しい技ではあるけど禁じ手というわけではない。
だが、宿禰が使えない技と呼ぶからには古代相撲本来の危険な技としての首ひねりなのかも。 だこの技を軽々と使えるということは263キロの人間を軽々と投げ飛ばせることにもなる。
体重200キロくらいかつ人間を越えた筋肉を持つオリバに使うのに相応しい技かも。

リフティングは力士の領域ではないと宿禰は言った。
ウェイトリフティングは筋力だけでなく技術が要求される種目である。 技術が求められるからこそ、筋力が最重要なパワーリフティングよりも重量だけで見た記録が軽くなっている。
対して力士に求められるのは10秒に全てを賭ける瞬発力である。
この発言は相撲とリフティングに求められるモノの違いを正確に捉えた台詞なのだ。 宿禰はただの筋肉馬鹿ではないのだ。

普段から鍛錬を積んでいないことを無理にやっても仕方ない。
かといって世話になっているみっちゃんの頼みを断るわけにもいかない。
なので、相撲の領域で一芸を披露した。
これによってやりたくないことをやらず、同時にみっちゃんを満足させた。
宿禰はなかなかに世渡り上手だ。 ただの力自慢だけでなく柔らかな態度に知識と知能を隠している。

一方、対戦相手となるオリバは超絶!!監獄バトル編(正式名称)でおよそ200~300キロはあると推測されるバイクを投げ飛ばしている。 試し割り対決は互角である。少なくとも宿禰の有利には傾いていない。
次にやるのは頭脳勝負はどうだ?
オリバはアレでけっこう頭がいいらしいぞ!
その設定、かなり忘れられ気味というか活かされたことがない気がするけど!
次回へ続く。
……なお、次号は休載!