しかし、郭海皇だからこそ使える技術だと思うので、いかに烈と言えど消力は厳しいのでは。
この爺さん、けっこう無茶振りが好きだからなー。
なお、今回も本部出番なし。
期待されていない時にひょっこり出てきて、期待されている時には出ない奴だな。
「二刀流」「武蔵だけのものではなし」
というわけで二刀流になる郭海皇であった。
このジジイ、地味に武蔵に対抗する気満々だ。
武蔵に対抗するために来日したのではないだろうか。
大擂台賽といいピクルといい、活動的な妖怪爺さんである。
じゃあ、自分でやればいいのに……
そう思ってしまうところだが、武蔵は如何に郭海皇と言えど未知数の存在だ。
なので、烈を挑ませて様子見と言うところであろうか。
勝てば中国武術の勝利、負ければ烈個人の敗北であり中国武術の威信は守られる。
郭海皇……やはり、策士か……
そんなわけで郭海皇は青竜刀二刀を振り回す。
非常に軽やかな動きである。
郭海皇と言えば消力のような緩い動きだが、実は素早さもかなりのものなのだ。
相変わらず底が見えない妖怪だ。
だから、出番が欲しいところなのだが……
とりあえず、本部でも倒しておくか?
「同じ剣技でありながら」「何という違いだ」
「飾り気なく シンプルに一太刀に思いを込める日本の剣技 “静”の印象に対し」
「スポーティーなまでの躍動感 中国剣技の印象はまさに“動”!」
郭海皇の二刀流をそう評する克巳であった。
前回はいなかったけど今回は出てきましたな。
そりゃ現館長の克巳がいなければ青竜刀を振り回すのは許すわけないか。
なお、たくさんの門下生が見守っていた前回とは異なり、今回の受講者は烈と克巳と寺田だけだ。
何で寺田? 神心会での権力はけっこうあると思うが、別段有望なわけではないと思うのだが……
末堂や加藤はこういう時に出ないと。
こういう時に出なくなったから出番がなくなったことに気付いてもらいたい。 いや、本部の取り巻きとして活躍していたから本部が本格的に守護り始めれば彼らの出番も増えるか?
郭海皇の演舞を初めて見たであろう克巳と寺田は冷や汗と共に絶句する。
演舞そのものよりも147歳の爺さんが青竜刀を振り回すことに驚いているのかも。
烈は見慣れているのか、平静だ。
まぁ、師匠も今年で101歳だし、中国ではよくあることかもしれない。
「攻めは鋭利に」「受御(うけ)は優美に」
さて、郭海皇が中国武術の要諦を語る。
これは蛇の攻撃を飛んでかわして仕留めた鶴からヒントを得たものであった。
象形拳の発想はこうして生まれたのだろう。
トリケラトプス拳を学んでみたらどうかな?
「あれじゃダメ」
「受御(うけ)は優美に…」
「それが通じるのは徒手対徒手まで」
「優美な舞いも剣には仕留められよう」
そんな中国武術の極意であるが郭海皇自身が否定する。
優雅にかわそうとしていたら斬られてしまう。
うーむ、真理かもしれないがそれはそれで悲しい。
何せ素手が武器を凌駕するのがバキ世界だった。
だが、今は武器の方が上だと言われているような心持ちだ。
武器が素手を凌駕するのは本部くらいだと思っていたのだが……
「“飄”となれ」「とことんなびけ」
「羽毛(はね)になれ………ッッ」
「ワシの他になびき切ったのなら」
「武蔵とて斬れぬ」
さて、郭海皇の無茶振りが始まる。 羽毛になるのは消力の極意なのだからOKなのだが、斬ろうとする辺りが厳しい。
前回、他流派の門下生に消力を教えたりと器の大きい部分を見せた郭海皇だが、不祥事だからと利き腕を切り落とす暗黒面も持っている。 上手くやればそれでよし。できなければ死ね。
中国武術界はどこまでも厳しい。
失敗すれば死ぬ。
さすがに烈も冷や汗を流す。
だが、引けない辺りが烈海王であり郭海皇である。
やがて烈は覚悟を決めて郭海皇の斬撃と向かい合おうとする。
烈は武蔵と戦う前に生死の分岐路に立たされてしまった。 烈の明日や如何に。
なお、ここで郭海皇がさりげなく自分=武蔵くらいの腕前にしている。
さすがと言わざるを得ない。
147歳を迎えてなおこの強さへの自負である。
最悪、烈を斬り殺して代打俺をやりかねないのが怖い。
その一方で武蔵も鍛錬をしていた。
徳川邸にある木の下で刀を鞘に収め棒立ちして、自然に落ちてくる葉っぱを斬るものだった。
武蔵は葉っぱの落下を視覚ではなくその聴覚で感じ取っていたのがポイントか。
0.5秒に代表されるように武蔵は気配を察する能力が高いのだが、これはそれを鍛える鍛錬だろうか。
筋肉至上主義のバキ世界には珍しい精神的な鍛錬である。
幻影刀といい武蔵が登場してから精神的な要素が多分に絡むようになっている。
肉体的に最強クラスだったピクルは精神面の弱さにつけ込まれ刃牙に大苦戦した。
だが、今までのライバルよりも精神面に長けている武蔵は一筋縄に行かない強敵となるだろうか。
さて、落ちてきた葉っぱは縦に1回、横に1回斬って四等分した。
恐るべき速さと正確さである。
これなら宙を舞う羽毛も斬れるのではないだろうか。 両者の思惑が進み本部が(多分)何かを守護っている中、次回へ続く。
試合開始前に烈ピンチ!
試合が始まった時には片腕がないとか勘弁願いたいところだ。
そして、郭海皇は間違いなく手加減をしない。
烈にとって郭海皇がやってきたのは凶事かもしれぬ。
郭海皇の消力への評価は極めて高い。
実績で考えても勇次郎の打撃を幾度も無効化できているから、その信頼は当然か。
でも、烈に同じことを期待されると困るのですがね……
武蔵は落ちた葉っぱを四散させた。
消力対策は完璧か?
消力は壁を使った打撃に弱かった。
なので、複数の斬撃を一気にたたみかければ……
今からでも遅くはない。素手による対決を所望しよう。
さて、本部ですがここで出番ですよ。
烈の若すぎる消力では郭海皇の凶刃から身を守れないかもしれない。
その時、本部が郭海皇の刃を防ぐ!
「大丈夫か烈! 安心しろ! お前のことは俺が守護ってやるぜ!」
「あなたは――誰だっけ」
……面識なさそうなんだよなー、烈と本部って。
『本部さん』とか言う烈は想像したくないデス。
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