刃牙らへん感想 第46話「まだまだ」



ジャックが左腕に噛み付いた。
上腕動脈は本部も認める急所!
ピクル戦の勝因も上腕動脈を噛み切ったことで弱体化させたかもしれない。
でも、戦いが終わったら問題なく血が止まっていたけど。
急所なのかそうでないのか、よくわからんな……

ジャックが噛み付いたことにその場に居合わせた一般人たちは驚く。
普通の喧嘩では噛み付くなんてことはしない。
嚙道だけに存在する異常なシチュエーションである。

ここで二代目花山組若者頭?木崎久一郎にインタビューが行われる。
若者頭に「?」を付けているってどういうことだ?
いや、木崎って正直そこまでスゴい人じゃなさそうだし、花山組での立ち位置が怪しいというのはわからなくもない。
まぁ、そこは花山の存在感がスゴすぎるだけな気はする。
それに木崎のようなブレーンがいないと組織は回らないし「?」を付けないでも……

木崎は花山に噛み付いたジャックに立派という感想を抱いていた。
人類なのに人類を噛むなんてできないと語る。
無意識のうちに格好付けるからこそ、命がけの決闘でも格好付けてしまう。
だからこそ、格好悪いことを堂々とやってのけるからこそ立派だと感じるのか。
格好悪いことが一周して格好良くなる逆転現象だ。

「ウンコをぶつけりゃ勝てるとしても――――――」
「それはせんでしょう」


それはそうかもしれんけど例えがウンコかよ!?
いや、説得力はあるけど!
でも、木崎理論だと格好悪くともウンコを投げれば立派、格好良くなるってことか?
ウンコを投げるのはどう転んでも立派にならん気はするが。
逆転するにも限度がありますよ。
ウンコはどう転んでもギャグにしかならん。

堂々と噛み付く。立派でさえある。
花山の戦いを見守ってきた木崎がデカい強いとジャックを賞賛する。
一方で木崎は喧嘩なら花山の負けはないと語るのだった。
いや、上腕動脈噛まれて大ピンチですよ。
斬撃耐性があるから大丈夫とか、いざとなったら中断してサラシを巻くとか考えているのか?



「アァァァァアァ~~」
「~~~~~~~~」
「~~~~~~~~」
「~~~~~~~」
「~~~~~~~」
「~~~~~~~」
「~~~」
「~~~…」
「……………」
「………ッッッ」


その時、数ページに渡る壮絶な絶叫が響く。
つねっている! 花山がジャックの頬をつねっている!!
花山はシンプルにしてディープな技?でジャックの噛み付きを攻略したのだった。
みっともなく、それでいて堂々と噛み付いたジャックとは対称的にハンドポケットでスマートさを演出している。
つねるのはスマートなのかは置いておくけど。

これは痛い。
骨延長手術、顔面の皮を食われた、本部の武器攻撃と様々な痛みに耐えてきたジャックが情けない表情で喘いでいる!!
花山はかつてスペックにも同じようにつねっており、そして、スペックもジャックと同じように痛みに喘いでいた。
刃牙も勇次郎につねられた時は激痛に苦しんでいる。
つねるは凄まじく痛いのだ。
もしかしたら鞭打に匹敵する痛い技かもしれない。

そして、超握力の持ち主であるジャックがつねればまた話が違ってくる。
花山はジャックの頬の肉を引きちぎる。
皮とかそういうレベルじゃなく明らかに肉片だ。
もはや痛いとかそういうレベルではないダメージである。

ジャックは格闘技で攻めて、左腕を取って無力化した。
格闘技ならそこからの反撃は難しいが、花山は格闘技にはなく、それでいて花山の超握力だからこそ使えるえげつない技術?でやり返した。
ジャックは花山は格闘技を舐めていると評価したが、ジャックは花山を舐めたが故に反撃された。
なかなか皮肉が効いている返しだ。

花山を素人と舐めた克巳に対して胴廻し回転蹴りで機先を制したりと、豪快な一撃のみならず相手の心にダメージを与える一手が得意なのが花山だ。
久し振りにこっそり姑息なところを見せてくれて嬉しいぞ。
花山は技術に関しては劣るかもしれないが決して工夫をしないファイターではないのだ。
工夫をしなかった武蔵戦はちょっと解釈違いなところがあったくらいですよ。

ジャックはピクルに顔面の皮を食われたことはあったが、その時は耐えたのに今回は痛みでうずくまっている。
単純なダメージはあの時の方が上だが、今回はダメージ以上の痛みがあるようだ。
これで花山はヤクザだし拷問の技術としてつねるを身に付けていたりして。
つねる痛みで心を折れば他のヤクザを威圧できるし、花山にとってはけっこう効率のいい技、なのかも。

けっこう情けないところを晒してしまったジャックだが心は折れない。
ジャックは倒れ込んだ状態からの蹴りで反撃しようとする。
痛みに苦しみ頬の肉を引きちぎられても屈しはしない。
気を失っても闘争を捨てない精神性の持ち主ならでは反撃である。

花山はその反撃を待ち構えたかのように左フックでカウンターする。
ギャラリーが驚くだけの音が鳴り響く完全なフリーンヒットだ。
つねるという工夫に続いて今度は見事なカウンターを行い技術を見せつけた。
花山はただ殴るを延々とやって来ただけあり、打撃に関しての技術はかなりのものである。
それを証明するようにプロボクサー、刃牙、克巳と打撃の専門家相手にも上手く追い詰めてパンチを当てている。

これにはジャックが震え冷や汗を流すほどの大ダメージである。
最初の2発とはダメージの質が違う。
ジャックは刃牙らへんが始まってから初めてのまともなダメージを受けた。
ジャック史上でもダメージを受けるのは珍しい。
基本、圧倒的なフィジカルで耐えるからな……

この喧嘩を見守る者がいた。
警察の中では大物、園田警視正である。
死刑囚編では非格闘家ながら存在感を示しつつも、以降は役割の似た警視正の内海旬三に取って代わられて登場しなくなった。
そんな園田警視正が本当に久しぶりに本編に登場だ!

これは嬉しいぞ。
園田警視正のことが何となく好きな読者も多そうだし、いいファンサービスですね。
『何となく』好きというのがポイント。明確に好きな場所を挙げられる人は少なそうな気がする。
実際、私は園田さんの何となく好きではあるけどピンポイントで好きなところを挙げられないし……

「バカ言うンじゃないッッ」「ぜんぜんまだまだだッッ」

介入しようと申し出る部下に対し、堂々と見守ることを選択する園田であった。
強さの世界にある程度触れているとはいえ、法の番人らしからぬ態度だ。
いや、君、そんな人だったか?
警視正の内海さんでさえ法や市民の安全よりも強いんだ星人を優先するから、警察ってそういう組織なのかもしれないけど。

ともあれ、これで5分どころか、決着まで邪魔が入ることはなさそうだ。
まぁ、園田さんが好奇心を発動させないでもみっちゃんが警察に介入して足止めしていただろうけど。
ところでみっちゃん、何してんの?
血を見たいのに何をサボってんの?

花山とジャックの戦力差は絶望的と思われたが予想外かつ納得性のある反撃で一気にペースを握った花山だった。
つねる自体、花山は1回しか使っていないから使い古し感がないのはポイントが高い。
これだよ! 格好良かった時の花山はこれなんだよ!
恵まれたフィジカルに甘えるのではなく、有効活用する戦い方ができるのが花山なんですよ。
こういうところを昂昇にも期待したけどあいつはダメでしたね……

この調子で花山には格好いいところを見せてほしいですね。
久々に、それこそスペック戦以来に輝いている!
この輝きを負けるにしても昂昇やピクルにも見せてほしかったのだが……いや、言うまい。
しかし、つねる一発で一気に輝いて見えるから不思議なものですね、漫画って。
まさにひとつまみで料理を変える隠し味って感じだ。
次回へ続く。
次週は休載! 定期的な分、むしろ、ヨシ!