バキ道感想 第145話「ウォーム・アップ」



宿禰が刃牙に10秒で勝つ気だ!
やっと最初のテーマに立ち返った形になるけど、負け続けでやっぱ相撲ダメじゃんってなっている。
名誉を取り戻せるか?
とりあえず、本部をやっつけておくか?


刃牙は宿禰との試合を気軽に受けた。
そのことに少なからずの驚愕、あるいは困惑が宿禰にはあった。
退屈だからありがたいとまで言われたことをみっちゃんは伝える。
宿禰は嘗められているも同然だが怒涛の連敗をしているから致し方ないかもしれない。
いや、範馬刃牙はナチュラルに人を嘗めるけど。

そんな刃牙に宿禰は静かに闘志を燃やす。
嘗められても仕方ないという自覚はあるのか、あるいはチャンピオンだからこその余裕と捉えているのか。
まぁ、そのチャンピオン、新キャラ相手にはけっこう不覚取るんですけどね。
新キャラなのに不覚を取らせられなかった宿禰はむしろ異例だ。

「誰一人として――――」「まだわたしを知らない」

宿禰は刃牙と立ち合ったとはいえ本気の刃牙を知らない。
本気の刃牙はババアに背後からキスさせるように底知れない恐ろしさがある。
だが、刃牙も、いや、誰もが本気の、10秒で終わらせる覚悟の宿禰を知らない!
おそらくは宿禰を一番知っているであろう金竜山は持久戦を打診しました。
知らないというか信頼されとらん。

みっちゃんは10秒で終わらせると刃牙が知ったらどう思うかと言い出す。
短期決戦の攻略法は単純で遅延させることだ。
後先考えずに全力を費やすのだから遅延させればそれだけで勝率は上がる。
なので刃牙にこの事実を伝えられると宿禰としては困る。
だが、構わないどころか知らせろと言い出す。
圧倒的な自身の10秒への自信だ!

でも、そんな宿禰の自信に対してみっちゃんは嫌味な感じに微笑むのみだった。
いいよなァ~宿禰ェみたいな反応はしてくれない。
本部よりも期待値が低いぞ、あんた!
この辺、対応が露骨ですね、みっちゃん。
自分を愉しませられない相手にはとことん塩対応だ。

さて、試合当日。
試合開始前に宿禰は身体全体が湯気が吹き出るほどの入念なアップをしていた。
烈海王並みに汗を流している。
みっちゃんはこの入念なアップを過去の宿禰には見たことがないと語っている。

「かつて統一ヘビー級チャンピオン マイク・タイソンもウォーム・アップは十分過ぎる程入念だった」
「第一ラウンドに見せる―― あのケタ外れな「危険度」はこのアップに依ってもたらされる」


ヤバい! ボクシングを引き合いに出すのはヤバい!
ヘビー級ボクサーというバキ世界においてわりと低い方の基準を持ち出されたのは直後に待ち受ける不幸を物語っているようだ。
あと宿禰は力士なんだからボクシングじゃなく相撲で例えて差し上げて欲しい。

って、アイアン・マイケルじゃなくてそのモデルになったマイク・タイソンなんですね。
愚地独歩と大山倍達が同居する世界ですからね、バキ。
不思議な世界ですわよ。

ともあれ興味なさげだったみっちゃんだが、宿禰のこのアップを見てやっと冷や汗を流す。
10秒で終わらせるという言葉の本気を感じるのであった。
地下闘技場において短期決戦は珍しくはない。
だが、範馬刃牙相手にそれを狙う相手は初めてと言ってもいい。
でも、ズールには多分10秒くらいでやられていましたね。
……意外と行けるかもな。



「そうですか」

で、みっちゃんは刃牙に宿禰が短期決戦を狙っていることを伝えた。
それに対する刃牙の対応はそうですかの一言だけだった。
お前、本当にレスバ強ェな……!!
Twitterでクソリプに対してクソリプで返すタイプのファイターですよ。
これは応援する気が失せる。いや、宿禰さんもあまり応援する気にはなれんのですが……

「さすがは名王者チャンピオンッッ!!!」

この対応に対して宿禰はあえて持ち上げるのだった。
底知れぬ実力に裏打ちされた余裕と見るのか、あるいは上げて落とす気でいるのか。
何にせよ10秒で終わらせる覚悟は変わらない。
10秒の密度と共に古代相撲が出陣だ!

なお、宿禰の全身のあらゆるところに包帯が巻かれている。
ジャックとの戦いで負った傷が癒えていないことがわかる。
すぐに傷が治るのがグラップラーだがここまで傷だらけで挑むファイターも珍しい。
連戦が当たり前で常に負傷している力士らしいと言えば力士らしいか?

そんな入念なウォームアップをする宿禰に対して我らがチャンピオン範馬刃牙さん。
思い切り寝てた。着替えてすらいない。
やる気さえ疑うような怠惰っぷりだが、ここから余裕で相手を潰すのが範馬刃牙の真骨頂である。
期待していい。あまりしたくない期待だが。

10秒での決着を目指しコンディションを整えた宿禰。
相手の出方を知った上でただ寝ているだけの刃牙。
ここまでやられるとむしろ宿禰が10秒決着を成功させる方が違和感がある。
いや、これで刃牙さんが10秒で負けたらむしろ予想外で伝説になれますよ。
多分、その間実に2秒を5回重ねてその間10秒!みたいな勝ち方をすると思いますが。
金玉に鞭打とかそれくらいは真顔でやるぞ。

バキ世界においてウォームアップをするのはスポーツマン、極論すれば弱者の思考だ。
強者は全員準備体操をしない。
いつ何時始まるのかわからない闘争に備えるのが武術家であり、バキ世界はスポーツマンより武術家のステータスが高い。
そして、武術家相手にスポーツマンが結果を残したことはないのだ。

なお、武術家相手に結果を残したスポーツマンがいる。
それも実戦にのみ生きる超生粋の武術家相手にだ。
はい、本部に勝った金竜山です。
その実戦派の弟子、花田も斗羽に負けているんだよな。
何か本部周りはバキ世界の特異点ですね……

範馬刃牙は勝つだろう。
これで10秒で負けたら繰り返すが伝説だ。レジェンドレベルの馬鹿だ。
なので勝ち方が問題となる。
持久戦に持ち込んでへろへろの宿禰を仕留めるのか、あるいは10秒でやり返すのか。

前者だとリアルシャドーで生み出した幻影の刃牙と戦わせるのはどうでしょ。
10秒で勝ったと思ったらそれは宿禰のねじれ屈折した精神が生み出した幻だったのだ!
それでへろへろになった宿禰の金玉に鞭打を打ち込む。
宿禰は死ぬ。

後者だと宿禰のぶちかましを受け止める。
そして、その時、背後から徳川寒子が迫りババアキスをする!
宿禰は死ぬ。

……思い返すと刃牙ってババアキスで武蔵を屠るという好感度の上がりようがない最低最悪の勝ち方をしてましたね。
久し振りにまともな活躍をして欲しいところだ。
でも、まぁ、刃牙さん、バキ世界の味の素、鞭打はすると思います。
それが範馬刃牙ですよ。
次回へ続く。