刃牙道感想 第88話「えらいこと」



ついに本部が守護った!
勇次郎を守護る前に烈を守護れよ。
何はともあれ、本部、死す!
我が生涯に一片の悔いなし!

「本部!!!」

「何奴!!?」

前回同様に驚愕する二方であった。
勇次郎は本部如きに守護られて驚き、武蔵は奥義を封じられて驚く。
思い返せば本部は武蔵以上の速度で割り込んでいる。
武蔵の驚きはむしろそこにあるのかも。
本部がそんなことをできるとは思えんのだが……
いや、本部は武蔵と同じ構えを取っていたし何かできるかも……

さて、本部だが死んでいる。
まぁ、武蔵の素手斬撃が直撃したのだから、横綱の四股以上のダメージがありますわな。
そんな本部を勇次郎さん、脚を器用に使って引き起こし立たせます。
さらに同じく器用にも脚を使ってこちらを向かせます。
なお、本部の動きにまったく力は感じられない。どうやら死んでいるようだ。

「きさまッッ」
「この馬鹿ァ!!!」


既に死んでいる本部をビンタしたぁあああ!
何という駄目押し!
加えてあの勇次郎が気の利いたことをまったく言えていない!
本部、踏んだり蹴ったりとはこのことである。

せっかく守護ったのに感謝されるどころか殴られた。
まぁ、そうなるな。
何というか、実に本部的な生き様だ。
ビンタされる瞬間の顔が大変面白い辺りも本部的だ。 連載20年となって本部がこうして輝こうとは誰が予想したか。
アンタ、1ページ出てくるだけでネタになって笑わせてくれる存在なのに、こうして物語の主役を張って笑わせてくれるとは……
結局、笑わせてくれる。

「この範馬を守護まもったかァァッッ!!!」

【朗報】これでちゃんと守護判定が出ていた
殺してやるの時くらいには怒っているけど、ちゃんと守護られたと認めているのだった。
うむ、これで本当に我が生涯に一片の悔いなし。
何かビンタされて面白い顔を披露したけど悔いなし!
これで本部が死んでいても読者的にも悔いはない。 これだけ輝けばもう本部に求めるものはない……

勇次郎はさらに本部の胸ぐらを掴み引き起こす。
駄目押しに次ぐ駄目押しだ。
たしかに壊れたオモチャなんて後は徹底的に壊すしか使い道がないかもしれない。
もう好きにして欲しい。
既に好きにされている気もするが。
雑巾を飾るってこういう意味だったのか?

「それまでだ範馬氏」

「じゃまする気かてめェ」

そんな勇次郎に対して手刀を突きつけて制止する武蔵だ。
この手刀に勇次郎は反応できなかった。 これで実戦なら勝負ありなところだ。
本部に気を取られて勇次郎は地味に不覚を取るのだった。
逆に言えば勇次郎が気を取られるほどに本部の守護は絶大な破壊力を誇っていたようだ。
なお、感謝の念はゼロ。

「じゃましとるのは本部じゃろッッッ」

あー! 本部が邪魔って言っちゃったよこのジジイ!
たしかに邪魔だ。
出不精な勇次郎が武蔵とちゃんと戦って、武蔵も本気を出した。
そんなところに本部は全力で水を差した。
そりゃ邪魔になりますわな……

こうして勇次郎VS武蔵のカードは勝負なしとなった。
勝負が有耶無耶となるのはけっこうあることではあるが、本部に守護られて潰されるのは初めてだ。
勇次郎もビンタ程度で抑えたのは奇跡的だ。
いや、胸ぐらを掴んでいたしさらに追撃するかもしれないのだが。

勇次郎の表情には冷や汗と無念が浮かんでいる。
勇次郎らしからぬ表情である。
よりにもよって本部が勇次郎にこんな表情をさせている。
かつてここまで勇次郎を困惑させた男はいまい。
ある意味、刃牙以上に勇次郎を困らせている。
本部……本当に悔いはあるまい……

さて、武蔵だけでなく勇次郎の一撃を受けた本部である。
死ぬと見るのが妥当だ。
だが、本部は守護っても死なん。
生きていた! 眠っていた!
それを見たみっちゃんの態度が絶対零度と言わんばかりに冷たい!
前からそうであったが本部に対する興味のなさを隠さないみっちゃんであった。
こういう時だけは心強い。

勇次郎と武蔵はどこぞへと消えたようだ。
みっちゃんは武蔵を保護る気、まったくなし。
好き放題させれば大変なことになるのはもう知っているはずなのに……
保護る気が失せるほどに本部に怒ったということか。

「わたしがあそこで割って入らなければ」「斬られていましたよオーガは」

本部はまたも衝撃的なことを語る。
たしかに武蔵の素手斬撃の破壊力はとんでもなかった。
とんでもなかったが本部が直撃しても生きている。
振り返れば刃牙だって生きていた。
なので、破壊力はあっても殺傷力は実物の剣よりもマシなのではないでしょうか。
勇次郎も斬られたかもしれないけど、それで勝負ありにはならなかったのでは……

もっとも、本部は鎖かたびら(自作)でも仕込んでいる可能性がある。
わけがわからんけど狡猾……いや、狡猾なのか?
まぁ、柳戦の実績から狡猾ということにしておこう。
さて、狡猾な本部だから自分を守護る保証を得た上で守護ったのかもしれない。

「皆さんあまりにも「武」の理解が浅い」
「だからわたくし本部なのです」


「ワカらんのイマイチ」

本当に冷たいみっちゃんだ。
全然本部の言葉に興味がねえ。
そりゃいつの間にか武の代表を気取られると冷たくもなろうか。
本物の武を知るくせにプロレスに負けた金竜山にさえ勝てない。 この汚点は本部の発言の全てから説得力を奪い去る破壊力があるのだ。
唯一の例外は解説だ。
解説なら今でも本部は一流!

「次なる試合この本部が」
「武蔵を斬ります」


ついに本部が守護る気だけでなく殺る気にもなった。
武蔵は守護る気ないようだ。
本部曰く、自身が現代で唯一の本物の武の体現者である。
ならば武蔵を殺せば唯一無二の存在となれる……?
意外と本部を支えるのは武蔵同様の功名心かもしれん。
出世したいのだ!(必死)

そんな爆弾発言をしながら本部はみっちゃんの側にいるゴキブリを短刀の投擲で仕留める。
今の本部はゴキブリを上回る瞬発力!
武蔵を上回る瞬発力を見せただけのことはあるぞ。

……と言いたいところだが、これはトリックではなかろうか。
たしかに唐突に湧いて出てきたゴキブリを仕留めることができれば見事としか言いようがない。
こんなことをしても金竜山に負けた過去は上書きされるわけもないが、見事ではある。

しかし、ここは多数の召使いが日々入念な清掃を行っているであろう徳川邸だ。
日本でも有数の清潔度を誇るだろう。
そんな場所にゴキブリがいるとは考えにくい。
なので、このゴキブリは本部が持ち出したものではなかろうか。 むしろ、ペット。ゴキブリがペット。
ならば、それを短刀で狙い撃つのは容易!

本部は何を考えているのかさっぱりわからない。
ブレーキもステアリングも壊れた軽自動車って感じだ。
どこへ行くのかもわからないしどう止めればいいのかもわからない。
精々言えることは本部だからダンプカーとかトラックじゃなく、軽自動車くらいだろうということだけだ。
次回へ続く。


本部、守護る!
守護られた判定も出たみたいで良かった。
武蔵との死合いも決意してくれたみたいで未来は明るい。
ここまでやると本部が死んでも何の問題もないと断言できよう。
烈の時と違って誰も悲しまなさそうだ。

本部は武器で戦う気満々だろう。
だって武器がないと精々80点って自認しているし。
80点も見積もりすぎだし。
対して武蔵の本気は素手だった。
この相違点がどうなってくることか。
武蔵が素手なら負けないとか言っちゃうか?
それとも勇次郎ほどの反射神経と瞬発力が相手だからこそ、速さを最重視した素手が必要なのであって本部が相手なら武器を使っても問題ないか?

しかし、本部が気を向けるべきは武蔵ではなく勇次郎かもしれない。
だってあの人、メッチャ怒っているし。
殺してやるって言ってたし。
試合前日の公園には気を付けい。
それは本部自身がやったことだしやるなとは言えまいて。
アレ、実は伏線だったりするのか……?