何を馬鹿なことを……と思われるかもしれないが、末堂はあの死刑囚、ドリアンの打撃を受けてもこんなもんかよと一蹴したタフネスを誇る。
肉体の才能は死刑囚と互角! いや、それ以上!
あ、ドリアンが手加減していたってオチはなしで。
末堂は独歩と向かい合う。
身長205cm体重130kgかつ100mを裸足で11秒切る驚異のフィジカルの持ち主である。
逆に言えばバキ世界で11秒切る程度の走力しかなく、巨漢は弱いの法則性にモロに当てはまっている人物でもある。
そんな末堂だが初登場時からの個性がある。
唇にトーンが張られているのだ。
セクシー!
いや、だから何だって話ですが。
二人の実力差はとんでもないレベルで離れている。
だが、今は本部がジャックと武蔵を倒し、花田が花山を投げる時代だ。
かつての圧倒的弱者が強者に一矢報いるどころか、食らい尽くす可能性だってある。
加藤同様に本部流と付き合いのある末堂が生まれ変わっていてもおかしくはない!
なお、加藤は普通に弱者のままだった。
「愚地館長がどんな空手を
「そりゃひょっとして克巳師範」
「息子のアンタより」「俺の方が知ってるかもヨ」
独歩対策は完璧だ! 末堂厚だ!
末堂は独歩の表の試合だけ見ているわけではない。
地下闘技場での裏の試合も見ている。
即ち不意打ちをするような卑怯な独歩を知っているということでもある。
今の末堂に隙はない。
まぁ、如何に防犯が完璧な家でも上空から爆撃されたらどうしようもないのですがね。

そんな末堂だが戦う前から冷や汗を流す。
あっ、この人、やっぱ無理。
これはもう負け犬のリアクションですよ。
グラップラー刃牙第1話の時点で独歩に冷や汗を流していたし、あの頃からまるで成長していない。
やっぱドリアンには手加減されていたらしい。
中国拳法まで持ち出して手加減されていたなんて念を入れた手加減だ。
そういえば、ジェットコースターに乗ってからは中国拳法を使っていなかった。
やっぱ手加減しているじゃねえか!
そんな末堂だがまずは左突きから入る。
ローリスクな一撃から入るのは常套手段だろう。
だが、そんな常套手段で勝てれば苦労しないのがバキ世界である。
Jr.みたいなスポーツマンのようなお手本をなぞった一手を打とうものなら金的を喰らって悶絶するのがオチだ。
というわけで、手刀を首筋に寸止めされたかと思いきや、そこから一気に振り下ろされる。
末堂は首を斬られ生首になった幻影を抱きながら倒れ伏せる。
末堂! 君の強さは加藤級!
数週間待たされたから末堂にもワンチャンあるのでは……
そう考えていた時期が俺にはありませんでした。
でも、もうちょっと頑張るかと思ったら何の見せ場もなく倒れた。
加藤だってもう少し笑いどころがあったぞ!
金的喰らった時の表情とか変な声とか!
末堂自体は空手と独歩を愛し加藤との友情が輝く好漢なんですけどね。
最初は驕った部分も見られたけど、以降は前述の一面が見られたり刃牙に協力的だったりと大分落ち着いている。
まぁ、好漢なだけで生き残れるほどバキ世界は甘くはないのですが……
さらば、末堂。
君の見せ場は二度とないと断言できる。
地味ながら独歩が新技を見せた。
受けるダメージを幻覚として見せるという武蔵のような技は今までの独歩にはなかった。
武蔵に敗北した後は刃牙から一目を置かれるほどの研鑽を重ねている。
その研鑽によって辿り着いた新たな境地だろうか。
独歩を知っているはずの末堂が一蹴されたのはこの新技があったからこそなのだ!
いや、新技なしでも末堂くん、普通に一蹴されていたでしょうがね。
でも、手刀で首を飛ばすのはさすがに無理な気はする。
いや、末堂の首なら吹っ飛ばせてもおかしくはないけど。
ダメージを強調して伝える技なのか?
人体を破壊するほどの一撃が個性の独歩だが、日常の組み手でそれをやれば門下生がいなくなる。
門下生に手加減しつつたしかな格の違いを思い知らせる技として身に付けたのだろうか。
ともあれ、実績だけなら立派な末堂が瞬殺された。
だが、それで怖じ気付くような神心会門下生ではない。
三島、長谷川、竹の3人が同時に手を挙げる。
門下生にとって親同然の館長を叩きのめせというのが神心会流である。
なお、今回初めて出てきたぽっと出門下生たちだ。
間違いなく末堂より弱い。
末堂よりも強かったらさすがに困る。
末堂よりも格下だからなのか、3人一緒にかかってくるように独歩は言う。
さすがの独歩も1対3はキツいか……
そう思った人は間違いなく読者に一人もいないだろう。
そんな人がいたら詐欺に遭う可能性があるので気を付けられたい。
というわけで、独歩VSぽっと出モブ神心会門下生3人という絶望的な戦いが始まった。
勝ち目がなさすぎる。
これが加藤、末堂、寺田(克巳の側近)とかでも独歩に勝ち目がない。
三島、長谷川、竹では無理がすぎる。
せめて岩浪
名前で笑わせられなければもう無理ですよ。
一発でも当てられたら偉業だし、一発でさえ当てることもできないだろう。
せめて面白いリアクションしてくれればいいけど、残念ながらモブにはそういうことも期待できない。
いかなる理由があろうとも一方的にお前は負けるんだ。
悔しいだろうが仕方ないんだ。
ここから盛り上がるにはどうすればいいのか。
脚本家の学校の教材になりそうなくらいのお題だ。
いや、盛り上がっても困るというのが困り所だけど。
作中屈指の実力者である独歩に3人で挑めば何とかなるのはむしろダメですよ。
三島、長谷川、竹と言ったがそれは違う。
我々の真の名前はリップ、タング、トゥース……
マウス復活!
何かそれくらいやらないとダメそうだし、多分、マウスでも普通に負ける。
マウスが勝てるのはアイアン・マイケルみたいないまいちな人ですよ。
逆に言えば3対1で末堂に勝ったくらいの勲章はあってもいいかもしれない。
それでこの3人の評価は上がらないし、末堂の株がさらに下がるだけだけど。
でも、この3人、独歩を囲むようにはしている。
多対一に慣れている証拠だ。
……これくらいしか持ち上げられるところがない。
いや、これくらいしかないよ、三島、長谷川、竹……
休載を挟んで次回へ続く。
こ、この絶望的マッチに休載かよ……!