喧嘩稼業第54話感想



喧嘩稼業が掲載されていた!
前の掲載からあまり時間が経っていないからお得感がある。
うむ、大分休載に慣らされているな、小生。


金田戦で十兵衛の配下として働いたダーマスが陰陽トーナメントにも来ていた。
今回も当然、十兵衛の配下である。
金田戦では絶大な効果を発揮した佐藤十字軍なので再度起用するのはある種必然か。
そして、すっかり弄られるようになった金田死亡ネタ。
まぁ、作中最大級のクソ野郎なので弄られても良心の呵責があまりないのが救いか。

徳夫は十兵衛の技を見る気でいた。
それは文学が勝ち上がってきた時のために備えるためだった。
徳夫にとって警戒すべきは関や金隆山でもなくどのような戦い方をするのかわからない文学と梶原さんなのであった。
工藤が候補に入っていないのは脳筋だからいくらでも対処できるという自信からか。
また、無名度では里見も相当なものだと思うが、道場を乗っ取っているからそこで情報が入ったのか?

梶原さんは警戒されていたようで良かった。
いやぁ、片腕だからアウトオブ眼中とかじゃなくて本当に良かった。
そんなことを言いながら梶原さんの試合を寝てガン無視していたし、実はアウトオブ眼中だったりしますか……?

一方で十兵衛は前回の殴られたフリを思い起こす。
結局は審議まったくなしにノーペナルティだった。
そこから審判2名は不測の事態に陥れば会場の空気を読んだ裁定を下さざるをえないと十兵衛は考える。
十兵衛は徳夫の能力を見切るためではなく、審判の傾向を見極めるために殴られたフリをしたのだった。
しかし、この審判、工藤の時は謎ジャッジをしている。
結局、あの説明はなされていない。
工藤がやたらタフだから多少は様子を見ろと言われたからかもしれないが……

試合開始数秒前になっても十兵衛は背中を向けたままで徳夫と目を合わせない。
金田戦では目を合わせたというのに今回は違うことを徳夫は訝しむ。
この人、ちゃんと覚えているなー。
そんなわけで試合開始前から怒濤の勢いで読み合いをしていくのだった。
うむ、実に喧嘩稼業らしい展開だ。
徳夫が嘘を見抜ける人間だからこそ、読み合いに火花が散るぞ。

徳夫は高野の0.2秒だけ驚いた表情から十兵衛が何らかの指示を出したと読む。
徳夫は情報を察知する能力は高いのだが、その内容を見切れるわけではない。
そうと知ったからこそ十兵衛はあえて指示めいたものを出したのか?
試合直前に指示を出す可能性は少ないと思いながらも、徳夫は十兵衛が罠を張っているのではないかと危惧していく。
徳夫はよほど十兵衛の駆け引きを危険視していることが伺える。
それは格上と思われた金田や石橋に勝った実績からか。

ふと徳夫は前回の睦夫が襲おうとしているかどうかという問いを思い出す。
そして、先ほどまで睦夫がいた部屋を見てみると睦夫が消えていた。
すわ一大事、襲いかかってくるのではないかと徳夫は焦るのだった。
徳夫は考えていることを読めるだけに、考えていることが読めない睦夫はある意味一番怖い存在なのか。

その種明かしは睦夫に窓際ではなくモニターで見ろとホテルのボーイを通して十兵衛が指示を出したからだった。
睦夫を使って徳夫を動揺させるとは……
見事な頭脳戦であった。
睦夫とコンタクトを取ったことがここに来て生きてきた。
まぁ、ベッドの下に潜り込まれたりとリスクも背負ったわけだけど。

試合開始7秒前になって徳夫は焦り始める。
睦夫の件に加え十兵衛が目を合わせて笑ったからだった。
さらに佐藤十字軍の睦夫コールと防犯ブザーが鳴り渡る。
徳夫はかつて父を刺した記憶もあって、背後からの奇襲を用心して振り向いてしまうのだった。
もっともどれも十兵衛が仕掛けたフェイクなので杞憂なのではあるが。

こうして徳夫の緊張がピークに達すると同時に、睦夫のことは杞憂だと安堵から一瞬緊張が解ける。
そこに十兵衛は無極から前ダッシュをして背後から鉤突きを決める!
これぞ試合開始5秒前の煉獄!
主人公が堂々と不意打ちをしやがったよ……!

十兵衛はこの不意打ち煉獄を行うために審判の傾向を確認していたのだろう。
事前に吹っ飛ばされたフリをすることで観客を味方に付けて、さらに防犯ブザーを試合開始のブザーと誤認したと言い訳もできるようにする。
十兵衛は反則を犯しても失格になりにくい空気を作り上げていたのだ。
それでも倒しきると当然反則負け待ったなしだから、ダメージを与えて優勢に立つことを目的としているようだ。
この陰陽トーナメントの環境そのものを味方に付けた見事な反則であった。
実に喧嘩稼業らしい出だしでる。

こうして入念な仕掛けによって実現した不意打ち煉獄であった。
見事ではあるが汚い。汚いが見事である。
完全なルール違反の不意打ちなのに、十兵衛が格好良く見える……ズルい……
そして、次の掲載が1ヶ月後というご無体。
今回は28ページと山盛りだったから相当無茶をしたのはわかるのだが。
木多先生は原作に専念してみてはいかが?(無茶)