刃牙道感想 第96話「逸材」



本部がまたもちュどった!
刃牙を、勇次郎を惑わしたようにジャックも煙幕の前にやられてしまうのか?
強いなぁ……煙幕……(Jr.観)

ジャックは両腕を用いた猛ラッシュを仕掛ける。
一撃重視のジャックがラッシュを仕掛けるのは珍しく、同時に久し振りでもある。
実に最大トーナメント決勝戦以来のラッシュである。 つまり、これは最大トーナメント決勝戦の攻撃!
そして、それを受けるのは最大トーナメント1回戦負けの防御!
どちらが勝つ!
どちらが勝つのかワカランのが不味いぞ!

武器を用いてジャックを圧倒している本部だが、フィジカルでは勝ち目がない。
如何にジャックのフィジカルが優れているとはいえ重傷を負っている。
なのに、本部はジャックにフィジカルでは勝てない。
素手ならまったくの相手にならないことがわかる。
まぁ、1回戦負けですからな。それも金竜山に負けおった。

逆に言えば武術を身に付ければ、そんでもって武器を使えば1回戦負けの本部が決勝進出のジャックを圧倒できる!
そんな売り文句で本部は本部流を売り込み、アラミド繊維を買い込めるだけの資産を手に入れたのかも。
でも、本部流、冷遇されてなお楽しんで鍛錬を積むくらいにはメンタルがおかしい。
本部の強さは肉体ではなく精神なのか……?

ちュどッ

そんなあらすじ混じりの余談は置いておいて、ちュど炸裂!
本部とジャックが見えなくなるくらいの煙が出る。
本部は機関銃・硫酸入りカプセル・アーマード普段着からわかるように、使う道具は現代流である。
そんな本部だが煙幕はクラシックだ。
スモークグレネードでもいいと思うのですが。

本部の煙幕玉は割るだけで煙を出すと非常に脆い。下手すれば暴発しかねない。
それだけにピンを抜くという一手間もないため、緊急時に即座に使用できるという強みがある。
と考えるとあえて利便性を捨てて緊急時の瞬発力を選んだのだろうか。
うーむ、本部流、けっこう深いかも。

煙幕を前には刃牙も勇次郎も意表を突かれた。
あの勇次郎も下がっている。
煙幕からどんな攻撃が飛んでくるかわからないから仕切り直しが妥当だ。
まして今の本部は危険物を遠慮なく使用するから、煙幕の危険度は乗算だ。
例えそれが本部の術中だとしてもそうせざるをえない。

「おいジャック………」
「ジャックって…」
中断とまるだろ―――――普通……ッッ」


だが、ジャックは構わず殴る!
どうやら爆風で直接ダメージを与える類のものではなく、いつも通りの煙幕だった。
だから、ダメージはなくこうしたゴリ押しもできるのであった。
仕切り直しを狙う本部であったが、ジャックは勝機と見たのか構わず殴り続けた。
奇しくもこれが本部にとってもっとも困る選択肢となっていた。
「しかも……」
「加速してる…」


怯まないばかりか、加速していくジャックだ。
前歯を砕かれ左足のアキレス腱が断裂したというのに、煙幕を受けて殴るのを止めないどころか加速させる!
さすがは日に30時間のトレーニングを行うジャックである。
不自然主義が炸裂したラッシュである。
まぁ、本部が強いよりは自然でしょう!

ジャックの連打を受けたのなら普通なら吹き飛ぶところだ。
だが、木を背負っているため、吹き飛ぶことができず本部が少しずつ浮いていく。
それを本部は亀になって耐え凌ぐ。
このまま殴られ続ければ勝負ありだ。
そう、今までの本部ならね。

「これほどの逸材………」
「武蔵には渡さねェよ」


本部は木を支えに顔面に蹴り!
口火を切ったドロップキックといいダイナミックな一撃ですな。
身体が浮き上がった状況でも攻撃力を出すために最大限の工夫をした本部であった。
全身の力をフルに活用したこの蹴りにジャックのラッシュも途絶えてしまう。
だが、ダウンはしない。実質片足だというのに踏みこたえる。
フィジカルの差はやはり絶望的だ。絶望しろよ、本部。

地の利を活かしたラッシュを仕掛けたジャックに対し、本部は地の利を活かした蹴りで仕切り直した。 双方共に地形を活用している高度な戦いだ。
今宵の本部は武器だけでなく素手も冴え渡るぞ。
頼むから素手で金竜山を倒してくれ。
そうすれば説得力が出てくるから。出てこないけど。

難を逃れた本部だが虫の息だ。
ジャックのラッシュを受けたのだから当然か。
ついに本部はダメージらしいダメージを負った。 この調子だ、ジャック。
あと少しでこのデバフばっかり使う嫌らしいモンスターを倒せるぞ!

「キサマ」
「火薬ヲ隠シ持ッテルナ!!!」


ここでジャックは火薬の匂いに気付く。
本部が火薬を、爆薬を持っていることを看破した!
って、遅ェ! もう爆発したよ!
殴ることに集中して爆発しさえ気付かなかった。
こんなんだから本部からカウンターを何度も受けるんだよ!

本部戦におけるジャックは迂闊と言わざるをえない。
爆破に気付かないなんて迂闊を通り越してただのアホの子ですがな。
だが、今回はアホの子が幸いし、本部に大ダメージを与えることができた。
さすがは無意識でも闘争を選択するだけのことはある。
「甘ぇんだよな俺は…………」
「やりすぎちゃいけねぇと」「少なめに見積もっちまった」


って、何を言っとんじゃお前は。
ここまでやってまだ足りんのか。全力じゃないのか。
本部の底はまだ知れない。
あとできればこの台詞は金竜山に惨敗した直後に言って欲しかった。

ここからの本部は本気を出す!
そんなわけで手裏剣を投げつける。
アイエエエ! スリケン!? スリケンナンデ!?
何かやっていることが柔術家というよりも忍者な本部だ。
まぁ、弟子のガイアもけっこう忍者っぽいところあるし……

この手裏剣7連打をモロに受ければヤバい。
ジャックは腕で顔を守る。
5発は腕に突き刺さり、2発は腹部に刺さる。
相変わらず痛い。痛いが致命傷は避けられた。
そして、これくらいならけっこう平気そうだ。

「悪りィなジャック……」
「全開するぜ……」
「こっちの生命が持たねェ……」


だが、手裏剣は囮。
本部の十八番、分銅で脚を絡め取りダウンを奪う。
かつて柳の態勢を崩した時と一緒である。
あそこから本部の黄金期めいた何かが始まった気がしなくもない。
本気の本部をジャックに見せつけるか?
そして、お前、少しは守護れよ?
次回へ続く。


ジャック、アホの子だ!
だが、アホこそが奇跡を起こす。
アホパワーで本部に大ダメージを与えるのだった。
……何であれで倒しきれないのか。
アラミド繊維は万能じゃないぞ?

本部が勝つにせよ負けるにせよ、あっさりと終わると思っていた。
だが、まさかの長期戦に入りつつある。
何か本部が主人公みたいだゾ……

まぁ、本部は応援されないわけですが。
やっぱり、あれか。格闘漫画で武器を使って強いはいかんな。
武蔵は愛嬌みたいなものがあるし、結局素手が強かったり、愛され要素はあるけど本部なんて解説しなければ持ち味生きないし……

一方でジャックは応援される側になっている。
また、今までやや無機質な感のあったジャックだが、今回の本部戦はけっこう愛嬌みたいなのが見え人間味を感じる。
今回の爆破に気付かなかったりとか。
アホの子だけど、いやアホの子故になかなか愛らしい。
本部よ、パンツを見せれば萌えキャラになれるとでも思ったか?
甘ェんだよ!!

それにしても守護るのが目的なら本部はもう逃げてもいいと思うんですけどね。
片足で殴れても追うことはできんだろう。
ここで闘争を選ぶのは守護る気のなさの表れか?
ジャックに勝ってランクを上げたいという名誉欲か?

今の本部が強い。
そんな本部に強いのは意外とドリアンかも。
本部の勝って第1巻の頃の底知れぬ強者みたいな立ち位置に戻りたいという欲望……
その歪んだ欲望を催眠術で利用されるのは必然であった……