バキ道感想 第35話「徳川の打診」



地下闘技場戦士VS力士の全面戦争が始まる! ……のか?
力士の桁を越えた力士、宿禰との戦いと思いきやまさかの大相撲の殴り込みだ。
何度も言うが大関負けてんぞ。あと金竜山も猪狩に負けてんぞ。

金竜山は大相撲が幕内力士で十分という言葉を地下闘技場の戦士たちに伝える。
大関負けてんぞ。あと金竜山も負けてんぞ。
そんな過去があるというのにこの挑発に等しい挑戦状に戦士たちの顔は険しくなる。
これはまさに本部に喧嘩を売られたような心持ちなんだろうな。 まぁ、本部の時と違って戦士たちの相撲への評価は押し並べて高いのですが。

「格闘貴族」
「そう呼んでさしつかえがない程――」「彼等の意識 気位は高みにある」


力士たちは貴族!
何か今までにない概念が出てきたな。
意識と気位が高いって。
そして、あまり褒め言葉じゃない気がする。 意識が高くても内実が伴わないと意味がない。
むしろ、力士の驕りや慢心に触れているような気さえする。

ともあれ力士たちの気持ちは高みに達しているようだ。
だから、初代宿禰の墓を雑に扱うようになったのかも。
初代など既に超越した! ならば省みる必要などなし!
……そういえば、初代宿禰の墓の話はどうなったんだ?
小池が勝手に言い出したことだから宿禰本人とは無関係なのかもしれない。
最近、いろいろと話の種が飛び出しては行方不明になるので話の整理がしにくいですな。

「力士は力士以外を「素人」と考える」

金竜山は力士たちの意識を語っていく。
だが、やはり気になるのは実力の方だ。
金竜山はまぁ昔のことだし実力者である本部に勝っているからまだわかるけど、つい最近に大関が負けているのはマイナスだ。
あれで大相撲の力士はいまいちって印象が染みついちゃったし。

実は地下大相撲の闇力士がいたりするのか?
でも、幕内で楽勝というからにはそれで十分という意味なわけで……
いや、全員が本部に勝てる人材ならなかなかに脅威かも。
「“思い上がり”じゃねえよ」
「デカくて速くて荒っぽい」「肉体の「天才」だ」


そんな意識の高さを渋川先生は思い上がりではないと肯定する。
ある意味、バキ世界でもっとも求められるフィジカルの評価が高いようだ。
デカくて強い奴が強い!
それがバキ世界のルールである。
そして、そういう奴は大抵噛ませ犬になってきた。 大丈夫か、力士よ……

そんな貴族である力士と戦える。
だからこそ、渋川先生を初めとする地下闘技場戦士が集った!
読者視点としては力士はいまいちという印象は拭えないけど、作中人物の評価はとにかく高い。
1回戦で勝ったのが本部じゃなく加藤だったらそこそこ印象が変わったのかも。
そんな中で宿禰は唐突に渋川先生の襟を掴む。
その理由は技量こそ感じるもののその内容がわからないというものだった。
渋川先生の強さは力士とは真逆の技術による強さである。
肉体一番体重一番の宿禰としては好奇心が上回っても仕方ないかも。 でも、空気は読まないなー、こやつ。

渋川先生は宿禰の手首の上に手を乗せる。
すると宿禰は強烈な重量を感じる。 かつてオリバに使った技術と同系統のものだろう。
だが、今回は握手しているのではなく襟を掴む宿禰に手を乗せただけ。
用いられている力は少ないため、あの時よりも高い技術力が必要そうだ。 渋川先生も技に磨きをかけているのだ!

宿禰は重さに対抗するように両足で踏ん張る。
踏ん張った瞬間に静川先制は今度は手首の下を持ち上げる。
すると宿禰がふぁ…と浮いた。 宿禰が力を込める瞬間を狙いすました高等テクニックだ。

そして、今度は身体を下げて宿禰を振り回す。
今度は柳に首を絞められた時に使ったような上半身の動きで相手を投げる技術ですな。
如何に宿禰ほどの剛力と体重を以てしても無重力状態では無力なのだ!
多分。

だが、宿禰も只者ではない。
襟を離さず握り続け、さらに回転したものの足から着地、倒れることはなかった。
巨体からは想像できない柔軟性とバランス感覚は宿禰の稀有の能力の一つだ。
握力が目立っているけど高所から音もなく着地する、オリバの突進を柔らかく受け止めるとこうした能力も侮れないものがある。
特にダウンしたら負けの相撲においては強く求められる能力と言えよう。

でも、そのわりに大関のぶちかましには手こずっているんですよね。 実はあの大関、スゴかったのか?
楽勝に見えて薄氷の勝利だったのか?

「伝説の秘宝「合気」」
「相撲とは真逆!!!」
「スゴい技術わざです!!!」


柔の極みである合気の技術を味わえて宿禰はご満悦だ。
例えフィジカルに劣っていても技術があれば宿禰としては評価に値するようだ。
やっぱり、オリバの評価が低いのは技術がないことに由来するんですな。 この理屈なら本部は意外な高評価に……
いや、あいつは技術があるというか卑怯なだけだな。

さて、宿禰は襟を握り締めたまま、空中で回転させられた。
そうなるとどうなるか。
渋川先生の着物がはだけてフンドシ一丁になった! 本邦初公開の渋川先生の裸である。
実は今までなかったんですよね、渋川先生の裸。
老齢かつ体格に劣るからどうかと思ったらけっこう肉付きがいいゾ。
でも、あまり嬉しくないゾ。梢江の裸よりは嬉しいけどさ……

「ふふ…」「い~~~いチームができるぜェ」

そんな二人の様子を見て独歩は呟く。
宿禰は地下闘技場チームとして入団だ!
宿禰はライバルキャラかと思ったらまさかの仲間であった。
地下闘技場戦士+宿禰VS大相撲の6on6になるのか?
ともあれ、これで次の展開は決まった。
いろいろと落ち着かない感じだったので、地下闘技場戦士VS大相撲でまとまればいいのだけど。

なお、次回は柳復活編である。
柳復活編では大事件が起きる。
死刑囚の復活を描いた以上は本編に絡まないわけがないし、柳編が今後の展開に絡んでくるとしたら大相撲と戦っている場合ではない。
どうなる、大相撲。どうなる、死刑囚。
まさか、ここで大相撲を持ち上げたのは死刑囚の噛ませ犬にするため……?
次回へ続く。