一番好きなゲームは何かと問われればワイルドアームズ(以下、WA)と答える人間が私。
好きすぎて自作ゲーの作風にも大分影響を受けております。
そんなWAがスマホゲーとして復活する!
その名もワイルドアームズミリオンメモリーズ!(以下、WAMM)
わー! 楽しみ!
はい、2020年2月27日にサービス終了しました。
そんなWAMMの想い出についてだらだら書きます。
・WAMMのサービス終了について 大変残念ながら至極真っ当な結果だと思っています。
正直、いろいろと問題が多かった。(詳しくは後述)
加えて途中から更新頻度が極めて減ったし、これはサ終するだろうな……と予感したら見事にサ終が告知された。
そこには驚愕以上の納得があった。
仕方がない……仕方がないことだった……
と、まぁ、WA信者と言ってもいい私なのですが、そこに関してはけっこうドライに考えていたわけですよ。
アサヒスーパードライ(ポプテピピック)
でも、ですね。
先日、ふと作業用BGMにWAMMのサントラのBGMをかけたんですよ。
こう……いたたまれない気持ちになって別のBGMに変えた……
具体的には徒花ネクロマンシー……
というわけで、そんな自分の心を整理するためにWAMMのことをちょっとだけ分析的に書いていきます。
サ終の原因や要因に触れるよりもWAMMの構造の分析。
あまりマウント取ってガシボコ殴ってもアレですしね。
スカッとしたいんじゃなく、こういうゲームだったなと気持ちを整理させたいということで。
・バトルシステム
WAシリーズ初のアクション戦闘!
まぁ、ぶっちゃけると、……何で?って感情が強いですね。
WAシリーズは全て非リアルタイムのターン制バトルを採用。
それが突然のリアルタイムのアクションへと転向!
……企画の段階で一体何があったのか。
ただ、試みそのものはありだとは思います。
WAMMはシリーズの正統続編というわけではなく、オールスターの番外編のような立ち位置。
なので、変化球でアクション戦闘にするのはそれはそれでありかなーと。
FF7だってそんな感じのリメイクをしたわけですしね。
そんなWAMMの戦闘の問題点を挙げるとするのならその完成度の微妙さに尽きるかと。
キャラを自由に動かせて楽しい!というのがアクションの面白いところなのですが……
そこが残念ながらいまいちの一言。
特に操作感は上質とは言い難いものでした。
そこはスマホのタッチでアクションを十全に行えというのが土台無理な話だとは思いますけどね……
とはいえ、成功しているスマホゲーもいくつかありますが。
WAMMのアクションがいまいちな要因としてはまずはやれることの少なさ。
操作はタップで通常攻撃、ロングタップでチャージ攻撃、フリックで回避行動のステップが基本操作。
それに加えてキャラクターアイコンをタップで交代、ARM及びフォースアイコンをタップでARMとフォース発動。
ARMはスキルのようなもので発動中は基本的に無敵。
フォースは基本的に自己強化。
以上。終わり。
基本的なものは揃っているように思えて、基本だけしかないので何ともあまり面白くない。
どうしてもやること、やれることが回避して殴るに終始しちゃうんですよね。
例えば攻撃中に交代すれば交代しながら攻撃、あるいは控えのキャラが所謂アシストとして攻撃なんかあれば、コンボを作る楽しさみたいなのが生まれたと思うけど、生憎そういったこともないわけで。
キャラごとに異なるスキルを使えるとかくらいはあっても良かったような。
思い返せばちょっとテクニカルなことをすれば美味しいみたいな要素がほとんどなかったんですよね。
結果、難易度の上げ方が回避困難かつ大ダメージの攻撃を繰り出す方向性になっていて、かなり息苦しいゲームになってしまった感がある。
もちろん、小技が完全にないわけではなくステップを駆使した高速移動とかもあったけど……アレはちょっと方向性が違う気がする。
また、キャラによってやることに差があまりないのは正直致命的だったかなと。
キャラの違いはパラメーター、移動速度、攻撃範囲、攻撃距離といろいろあったけど……
結局、やることはどのキャラもわりと一緒というか、適正距離が変わるくらい。
どうしても安全な距離で回避しながら殴るに終始してしまう。
さすがに間合いが違うキャラならやることは多少は変わってくるけど……(派手に変わるわけではない)
間合いが同じキャラ同士ならやることも同じになって差がほとんどなかったですね。
かなりのっぺらぼうな印象でした。
アクションであるのにどのキャラも(強弱こそあれど)触り心地が似通っているのは良くない。
あと周回前提で考えると使われるキャラが限定されるのも今思えばのっぺらぼうな印象に拍車を掛けていたなと。
周回で使われるキャラはぶっちゃけ移動速度が速いキャラ。以上。
遅いキャラはその遅さを覆すメリットがあったかとなると……周回以外でもそこは微妙なところで。
そこも練り込みが不足していたなぁと言う印象が強かったです。
加えるのならARMがあまり面白くなかったかなと。
先述したのですがARMはまぁ必殺技です。
発動中は無敵なのでMPを消費する以外は基本的にノーリスク。
必殺技なので当然大ダメージを与えられる。
つまり、どうなるか。
ボス戦が始まったらARM連打。相手は死ぬ。 ……WAMM、ほとんどこれで突き進めてしまうんですよね。
終盤のボスになるとさすがにARM対策(ダメージ軽減やARMだけでは殺し切れない大HPなど)をしてくる。
だけど、基本的にはボスにはARMを連打するゲームになっていたのは事実。
キャラに違いがあまりないと先述しましたが、そもそもARM連打が強すぎてキャラの差が霞んでしまうという事情もあります。
そんなわけで全体的に単調な感は否めなかったです。
周回主体になるのでせっかくのアクションもオートプレイが過半数を占めていました。
そこはいっそ割り切って途中からセミオートバトルと言っていた気がするけど、割り切り方はそこじゃない。
あと細かいことなのですが……動作が重い。けっこう重い。
よってスマホのバッテリーを食う。けっこう食う。
それなのに動作を軽くするオプション、演出を簡素なものにする、解像度を下げると言ったものがないのも今思えばけっこう不満点かも。
あまりにも重くてけっこう高性能なスマホに変えたものですよ。
6万円した。サービス終了した。
グラフィック自体はけっこう凝っていたんですけどね。
例えば火山のステージなら熱気によって空気が揺らめくエフェクトが入っていたりとか。
そこに関しては無駄に凝っていたとも言えるかもしれないけど。
プレイ中は気にしている余裕はないし、それによって重くなっていたと思うとなんとも……
・ガチャ周り
商業的にはWAMMで一番の失敗した部分。 儲からないとサービスだって続かない。
WAMMがサービス終了したのもガチャが回らなかったから。
(真偽は定かではないけど月によっては数十万円の収益しかなかったとか……?)
まず、ガチャはARMとギアの二つに分かれていました。
WAMMは(最初のコンセプトとしては)キャラガチャなしでストーリーを進めることで必ず加入することが売りでした。
キャラガチャがソシャゲの一番にして最大の稼ぎ所なのに、そこをオミットするのは思い切っている。
ただ思い切りに見合った考えがあったとは言い難くて……
まず、ARMとギアのどちらも装備に該当するもので、恩恵としてはパラメーターが上がる。
上がるパラメーターはARMの方がより大きく、ギアは装飾品の立ち位置が近いかと。
(そのためか、ギアガチャの方が回すのに必要な石は少ない)
他のソシャゲにありがちなキャラの外れとして付いてくる装備の類をメインにしたわけですね。
で、どうなったか。
単純に求心力が不足した。
FGOに例えると礼装だけのガチャを回せということだから必然。
いやーキツいっス……
ARMは書き下ろしイラストとセットなのでまだマシなのですが、ギアに至っては原作のアイコンをイラストとして高精細化したようなものなので……
加えてレアなARMやギアを手に入れても変化が生じるのはパラメーターだけ、つまりはプレイングに大きな変化が生じないのが致命的だったかなーと。
まぁ、パラメーターでブン殴るゲーム性だったので、そのパラメーターが補強できるというのはそれなりに大きい。
大きいとはいえプレイヤーが求めるのはやはり変化なわけで。
新しいキャラの加入で今までと違うことができるようになるというのはガチャへの求心力を高める要因の一つだろうし、それがないのならガチャが回らないも納得ですね。
あとはガチャにキャラクター性がなかったのも痛いかも。
ソシャゲをやったことのある方なら明らかに弱いけど好きなキャラなのでガチャを回すという体験があると思います。
強キャラ厨の私にだってあるくらいだしな。
それもキャラに期待しての行為だけど……
WAMMはARMはイラスト1枚。ものによってはシチュエーションも定かではない。
ギアに至ってはそれこそ本編に出てきた装備品なので愛着なんて正直ゼロ。
……無理がある。これではキャラ愛を引き出せない。
と、最初の頃のガチャは課金を促す力が足りなすぎたと思います。
ソシャゲのガチャは良し悪しだけど……そもそも虚無だとどうしようもないわけで。
なので、WAMMはシステムに大体1ヶ月くらいの沈黙の後に大改造を施すことになりました。
なお、それがリリースから大体3ヶ月後の話。
大改造を施す時期が早すぎる。 あと3ヶ月にして1ヶ月のお休みをするのはロックを越えてCRAZY。
そして、ver2.0を銘打ってキャラガチャ導入。
あ、結局はそうなるんですか……
疑問符を浮かべながらも納得する。
納得するけれど、このキャラガチャは諸手を挙げて歓迎はできなかったと思います。
まずはキャラをストーリーで必ず取得できるという初期コンセプトの破綻。
この思い切りはけっこうユーザーに評価されていたと思うんですけどね。
一応、ガチャで出てくるキャラもストーリー加入するとはいえ、その性能はいわゆる配布キャラ。
ガチャの最高レアリティキャラに及ぶものではなく完全下位互換同然。
ガチャキャラの代替品とするには厳しかったと思います。
次に……確率。
WAMMは最高レアリティは4%で排出される設定になっていました。
で、キャラガチャが始まるのだからその確率がどうなるのかと思ったら……
まさか、最高レアリティキャラはその4%のうちの1%のみという渋い設定。
渋いと有名なFGOよりも渋い(伝聞だけなので実際どうなのかはわかりません。あしからず)。
一応、10連ガチャを何回か回せば確定で最高レアリティが出るとはいえ、それでも(記憶が正しければ)70連回しても最高レアリティのキャラが出る確率は10%。
さすがにちょっと心許ない。
キャラガチャが始まってから最高レアリティのキャラを手に入れることができなかった、という人はわりといるんじゃないでしょうか。
当初はやらなかったキャラガチャを後出しで始めたのに、その(確率的な)負担はユーザー側に強いる……
という一種の不義理はユーザーの信頼を大きく損ねたんじゃないかなと思っています。
これで運営にやる気が出てくることもなく、イベントなどの展開は縮小の一途を辿りました。
そして、そのうちにソシャゲ恒例のイベントさえもなくなったと思ったらサービス終了告知……
滅び行く世界、ファルガイアの実況プレイかな?
最後にこのキャラガチャを以てしてもやることに変化が生じなかったのが致命的だったかなーと。
最高レアリティのキャラはさすがに強い。
強いけど……じゃあその強さはどこから来るのかとなればパラメーターの強さであって、そのキャラならではの行動の強さではなかったんですよね。
終始変化が生じない単調さはキャラガチャが追加されても変わらなかったんです。
それでも今まで使えなかった新キャラが出てくる分には良かったと思います。
何だかんだアシュレーとか盛り上がったしね。
でも、最終的には修道服セシリアを出した時には、……死を感じた。
ただのスキン、それもストーリーで登場済みのスキンですやん……
ついでにWAMM、シリーズのいろいろなキャラを使えるゲームだと思っていたんですよ。
本編だと使えなかったマヤとかガウンとか、ファンなら使ってみたいですよ。
そういうのがガチャで出てくるのかなーと。
まぁ、実際のところは本編で使えたキャラすら使えなかったわけですが。
・育成周り
控えめに言っても地獄というか虚無。
素材を集めてそれでARMやギアを強化……というのが基本形なのですが、その中身が辛い。
とりあえず、素材集めはオートでひたすら周回。
まぁ、これ自体は放置なのでそこまで辛くはないんですよ。
バッテリーが減るのが嫌だなくらいで。
問題は育成。
ARMを最高レベルにするためには大体数百個の素材を使う必要がある。
その素材を一つ一つタップして選択すると素材を集める以上に使うのが手間な仕様となっています。
さらに素材にはかなり厳しい所持数制限があるので使っては倉庫に溜まった素材を下ろして、使っては下ろしてを繰り返すので非常に手間。
素材を集める時間と育成に使う時間が同じなのではないかと疑うくらいにはテンポが悪かったです。
後にアップデートで素材がスタックされるようになって管理の手間が大幅に軽減しました。
それでも(アップデート前から)一度に10個の素材しか選択できないので、10個選んでは使って10個選んでは使って……
管理の手間こそ減ったものの育成の手間はさほど変わっていなかったと思います。
せめて100個くらい一気にどばーっと使えれば話が変わった……とは言い難いかも。
というのも育成に当たってお金を大量に消費する。
お金の消費量は素材のレアリティに関係なく1個ごとに加算されていく。
なので、大量に手に入る低レア素材を使うと怒涛の勢いでお金が減るから、必然厳選した高レア素材で育成を行うことになりがち。
なので、青天井に素材をつぎ込めるとしても高レア素材の数という天井ができていたと思います。
この辺は意図はわかるけど何もかもが噛み合っていなかった仕様になっていましたね……
・ストーリー
ここまで不満点ばかり挙げてきたけど、ことストーリーに関してはお世辞抜きで面白かったです。
特にリリース直後のストーリーは期待感の塊で凄まじかった。 スマホゲーにありがちなメッセージ表示速度が遅いということもなかったしね(大事)
瞬間表示は偉大。
WAMMのシナリオは原作のエピソードを上手く活用していて、ライターさんはWAシリーズのことを理解しているなぁと感じました。
(というかライターは攻略本の人なんですけどね)
WA1とWA5のリリティアを繋げたり、ベルーニとエルゥを繋げたりと設定のクロスオーバーは興奮しました。
天使の詩ネタを出してきたりしたのも良き。
ただ……ただ、面白かったけどストーリーの進行速度がかなり遅かった感がありました。
リリース直後のスピード感と面白さは特筆に値したけど、そこからは一気にペースダウンした印象。
シリーズ主人公が揃うのにもけっこうな時間がかかって、その間にWAMMの生死が決まってしまった感が……
で、最後は多くの伏線を盛大にブン投げてかなり足早にまとめた印象ですね。
それによって割を食ったキャラもいくつかいて、アレクシアなんかは設定資料集には3Dモデルの設定画が載せられていたのに、結局プレイアブルキャラとして使えなかったり。
(そもそも顔も名前も出てこなかったキャラがいるので、出番があっただけアレクシアはまだマシ)
土台は良かっただけにちゃんとした運営をできていればいろいろと変わってきたと思うのですが……
でも、エピローグでブン投げた伏線をさらに広げて締めたのは打ち切り漫画っぽさがあって面白かったです。
何かあのヤケクソな面白さは最後の花火に相応しかった……
・最後に
ハッキリ言ってWAMMは欠点が多くて諸手で賞賛できるゲームではありませんでした。
ゲームそのものはもちろんとして、運営に関しても健全とは言い難い状況なのは伝わってきました。
それがユーザーに不信感を抱かせゲーム以外の部分で気を揉ませたのは大きな失敗でしょう。
ですが、十数年振りのWAの復活というのはファンとして胸が躍りました。
WAMMをきっかけにコンサートなども開催されたしね。
だから、悪い想い出ばかりだったとは言いません。
WAMMなんて出さなかった方が良かったとは言いません。
ただサービス終了と同時に公式サイトを閉じたりと、WAMMをなかったことにしようとする公式の動きには大きな不満があります。
いや、まぁ、サーバー代だってタダじゃないし、サービスが終わった以上はいつまでも公式サイトを生かしておく必要はありませんよ。
それでもサービス終了と同時に閉じるのは性急すぎるというか、何やかんやで全ユーザー合わせれば
その想い出の残滓に触れる余裕を少しは作ってくれても……
せめてオープニングムービーくらいは見せてください……
WAMMがWAシリーズの最後の展開になるのかどうかはわかりません。
まぁ、正直なところ、ここからさらに復活というのはいくら何でも厳しいでしょう。
ただもしそうなったとしてもWAMMによってトドメを刺されたとは私は思いません。
時勢とかそういうのもいろいろあるしね。
今のご時世、RPGを作って出すというだけでも大変ですし……
とはいえ、WAシリーズの生みの親、金子彰史の才能はシンフォギアで実証されたように健在の極みなのは幸いです。
なので、またいつか、WAシリーズは羽撃いて欲しいなぁとは思います。
想い出を明日に――(口笛イン)