刃牙らへん感想 第44話「顎」



本当に久し振りの刃牙らへんだ。
掲載間隔の長さはむしろ味になってきた感がある。
まぁ、板垣先生もいい歳だし無理せず描けるペースということで。
なお、次回も休載だ。

花山の剛拳がジャックの顔面に突き刺さる。
この全力の一撃を受けてジャックは吹っ飛ぶ。吹っ飛んで何回転も回る。
211kgの体重を誇るジャックを吹っ飛ばすほどの凄まじい打撃力である。
まともに受けてノーダメージだったのは刃牙と勇次郎とガーレンくらいだ。
……ガーレンの時はマッハ突きのダメージが残っていたということで。

今度は渾身の一撃だったからか、噛み付きカウンターを受けていない。
ジャックと言えど全力で放たれた一撃に噛み付きカウンターを合わせることは難しいらしい。
噛み付きカウンターを意に介さない花山の思い切りの良さが功を奏した可能性もある。



そんな凄まじいパンチを受けたジャックだが冷や汗どころか出血もなく何事もなかったように起き上がる。
しかし、まったくのノーダメージというわけではない。
チタン製の歯が曲がっていた。
もっとも、曲がったのは基部の部分であって歯そのものに変化はない。
いずれにせよ武器破壊に成功……と思いきやジャックは指で曲がった歯を矯正する。
デリケートな部位だというのにけっこう無茶なことをするジャックであった。

ジャックの歯にダメージを与えることはフィジカル最強クラスの宿禰でも無理だった。
宿禰以上の打撃力を見せたということか?
花山の異常な握力によるものかもしれない。

歯が頑丈なジャックに対して花山の歯は脆い。
幼年編の刃牙に前歯の上下全部へし折られたし、最大トーナメントでも稲城文之進にワンパンでへし折られている。
この歯の強度の差が勝負を分ける差に……はならなさそう。
花山の歯はあまりにも簡単に折られるものだからダメージ表現になっていないし……

「ヘシ曲がった前歯を指で押し戻す…豪気……!」

そんなジャックの無茶を木崎はこう評価する。
豪気……なのか?
痛そうではあるけどそういう問題なのか?

さて、数日前、木崎が脊椎動物の進化の歴史を語る。
脊椎動物が顎を獲得したのは4億3000万年前に遡る。
顎を得たことで餌を噛みちぎれるようになり、結果、肉体が巨大化していった。
手足の構造は進化の過程で変化すれど、顎は現代に至るまでほぼ同じ構造。

「「顎」という器官は最も完成されているのです」

木崎はこう語る。多分に説得力がある説ではある。
で、それがジャックとどう関係するのか。
そこが問題である。

「ミスタージャックの持つ」「あの特異なセンス…」
「「拳」じゃない」
「「蹴り」じゃない」
「最終兵器は”噛むこと”と気付くセンス」
「その”純度”が―――」「自分は気になります」


………………
話題が繋がっているようで繋がっていない!
顎が完成された器官であることとジャックのセンスは何か別問題なような……
完成しているから強力であり、それを使いこなすジャックは手強いということか?

野性の中の野性、ある意味ではジャック以上の噛み付きファイターピクルは噛み付きを最終兵器にしなくなった。
そんな中で噛み付きにこだわり続けるジャックはたしかに特異な存在だ。
いや、ピクルさんは何か違う気はするけど。
単に野性を失っただけの気がするけど。

それにしても武蔵の時は相手の情報を聞くことは純粋じゃないとか言っていたのに。
殺されかけて価値観が変わったか?
あるいはただの喧嘩だからいいってことか?
まぁ、木崎の言っていることはわかるようなわからんような、どちらかと言えば後者寄りだからヨシか……?

「噛ムゼ」

ともあれ、スペックや武蔵のようなフィジカルモンスターさえ喘がせる花山の一撃だったがジャックは目に見えるダメージはない。
噛み付き宣言をしたことから受けるだけでなく攻める気のようだ。
対して花山はいつも通りに両腕を掲げるのみだ。
相変わらずのマイペーススタイルである。

若い頃、特に刃牙と戦った時はけっこう小賢しかった。
克巳と戦った時も胴廻し回転蹴りによる不意打ちをしたり、スペック戦ではつねったりマウントポジションを取って殴りまくったりしている。
剛拳が売りの花山だがかつては意外と芸達者な部分があったのだ。
でも、最近の花山は殴るだけになっちゃいましたが。
大人になる度にシンプルになっていくのが花山薫であった。

小細工しなくなった花山に対してジャックはやや小細工をするようになった。
やや、程度ではあるけど。
基本的にはフィジカル任せのゴリ押しだ。
ピクルさんまでゴリ押しで倒しちゃったのは納得してねえからな。

花山は噛み付かれたことはないが斬られたことも銃を撃たれたこともある。
何なら頬を爆破というとんでもないダメージを受けたこともある。
血生臭いダメージには慣れているから噛み付きくらいなら平気……なのか?
とはいえ、指を噛みちぎって食べるなんてことは勘弁願いたいが。

それにしてもみっちゃんが出てこない。
花山を焚き付けたくせに……
花山が路上での喧嘩を望んだのはみっちゃんから逃れるためか?
いや、みっちゃんなら現場を探るどころか、警察の動きを封じるくらいはやりそうだけど。
戦いだけでなくみっちゃんの動向も気になるところだ。
そして、予想通り範馬刃牙は出てこない。
次回へ続く。