宇宙から電波を受けたのかもしれない。
宇宙意志ならまぁ仕方がない。
それくらいの飛躍がないと加藤が刃牙に挑むとかわけわからんし……
「「弱い加藤」ではないが」「相手は刃牙」
「痛めつけてももらえんわ」
徳川邸で花田はみっちゃんに加藤が刃牙に挑んだことを報告していた。
それに対するコメントである。
みっちゃんの予想通りすぎる。
それほどまでに両者の実力には隔たりがある。
何ならグラップラー刃牙第1巻の時点で加藤は勝てなかっただろう。
それにしてもみっちゃんも言葉を選んでいる。
弱い加藤ではないとは申しますが加藤さんは立派に弱い側だと思います、押忍。
ドリアン相手にそれなりにやり合えたのが奇跡的なくらいだ。
大擂台賽に出場した1回戦負け海王たちに勝てるかも怪しい。
弱い寄りだよなぁ、神心会のデンジャラスライオン……
一方で加藤の友、花田は刃牙の実力を評価、自分では勝てないと語る。
まぁ、自分に圧勝した斗羽に刃牙は勝ってますからな。
その斗羽に勝った烈にも勝っているし、花田が刃牙の実力を認めないのはおかしい。
あれ……? 加藤は自分が勝てなかった夜叉猿に勝った克巳に勝った烈に勝った刃牙の実力を認めていないのはどういうことだ……?
「最初からです」「入門初日から逸材です」
「古武術のセンス」「武への取り組み姿勢」「単純な身体能力」
「どれを録ってもずば抜けている」
そんな花田にみっちゃんは本部と話した時のことを語る。
バキ世界屈指の実力者になってしまった本部が花田を大いに認めている!
いや、まぁ、最近は何か急に強くなった感はあるけど、花田は加藤に負けてんだよな。
金竜山に負けた本部が武蔵を倒しているから、過去の戦績に囚われても仕方ないけど、限度というものが……
この本部の評価は最近になって急に改めたというわけではなく、むしろ、最初期から変わっていない。
かつて本部は花田をこう評価している。
「君が格闘技の申し子なら 花田は格闘技の大天才と云っていいだろう」
「君の父親 範馬勇次郎がそう呼ばれているようにね」
……盛りすぎだ! 勇次郎と並べんな!
いやまぁ、この頃の本部さんはいろいろおかしいのですが。
斗羽戦で刃牙に「スピードでかきまわせ!絶対イケる!」とアドバイスしたり、勇次郎相手に独歩は相手が悪すぎると言ったり、勇次郎が独歩の五段突きを受けたら決着と勘違いしたり、何かと見立てを間違えている。
そのノリで金竜山に負けて、同じノリで柳や武蔵に挑んだと思ったら勝ってしまうのだから人生とはわからないものである。
ともあれ、本部は花田を評価し続けていた。
この事実に花田は普通に喜ぶ。本当に普通に喜ぶ。
何だかんだで花田にとって本部は尊敬する師匠なのだろう。
いや、まぁ、今の本部は立派な実力者ではあるけど、やっぱ金竜山ショックがデカすぎるんだよな……
アレで好感度が相当に下がったと思っていたけど、存外そうでもないらしい。
それにしてもこのことで花田が喜ぶのは意外だ。
本部流に通っていた頃は本部はあまり褒めていなかったのだろうか。
そういえば花田が本部流から離れプロレスラーをやるようになった理由は謎のままだ。
二人の間に軋轢があったりしたのか、あるいは免許皆伝をもらって本部流を理解した気になったのか。
本部は武器を含めた武芸百般を旨とし、花田は素手にこだわっていると同じ本部流でもズレがあったのかもしれない。
ともあれ、みっちゃんは戦わないのかと言外に煽る。
花山を投げ飛ばして失神させてはいるし実力十分だ。
でも、ジャックに一蹴された昂昇に手こずるくらいなんだよな。
やっぱダメかもしれない。
……本部流の実力はよくわからないんだよ!
ここで花田は天才を知っていると語る。
刃牙、勇次郎、本部、克巳、ジャック、そして、独歩を指す。
そんな独歩は道場に門下生たちを集めていた。
懐かしの1ヶ月に一度、独歩と立ち会える機会である。
今回もそれなのかはわからないが独歩と立ち会えるようだ。

ここで一番に名乗りを上げる男がいた。
末堂厚である。
あ、あの末堂が戦うのか!?
いや、ドリアン以来ですよ。年月にしておおよそ24年振りですよ。
何だ? 加藤に花田といい昔のファンを喜ばせようとしているのか?
昔のファンが加藤花田末堂に求めるのは戦うことじゃなく観客席で驚くことだと思うけど。
解説王本部さんはいっそ戦ってほしい。横綱にリベンジしてくれ。
ともあれ、末堂と独歩が戦う!
……何も期待できねえ!
いや、加藤と同じくドリアン相手に意外な実力を見せましたけどね?
だからと独歩相手に激闘を繰り広げられても見直すよりも困るというか。
でも、大相撲が地下闘技場戦士に善戦したからな。
お前もやってしまうか?
うーむ、近年のバキ世界は強さの基準が安定しない……
加藤に末堂と神心会のいまいちな人にスポットライトが浴びせられている。
こいつらが主役になっていくのか?
とりあえず、加藤の何でもありのアンダーグラウンドな戦いと末堂の恵まれたフィジカルが融合して両者に足りない部分を補い合うとかどうだろう。
合体戦士加堂(かどう)の誕生だ!
加堂ならば昂昇くらいには勝てる! 克巳とか花山とかその辺りには無理だろうけど。
ついでにそういう人がもういるんですけどね。
二人を叩きのめした怒李庵海王さんです。
しかも、二人の得意分野でも上回っている。
もしかしてこれ、大変化球でドリアン復活の儀だったりするのか……?
さて、末堂だが闘士としてはいまいちだが名場面はけっこうある。
最大トーナメントの克巳VS花山の時、加藤と一緒に鼓舞したり、克巳VSピクルの時も神心会門下生を先導して鼓舞している時の末堂は輝いていたし、印象に残っている読者も多そうだ。
対戦成績が全敗だから仕方ないのだが、名場面が誰かを鼓舞してばかりだ。
どうやら末堂はバフ専門キャラらしい。
ドリアン戦全体も好きではあるんですけどね。
その末堂の名場面トリビア。
克巳VS花山で応援に駆け付けた時が最大トーナメントにおける末堂の初登場である。
へぇへぇへぇへぇへぇへぇ。
最大トーナメント開始からそれまで影も形も見せなかったし、克巳VS花山戦でも観客として出てきてもいなかったのに、あの応援の瞬間、急に末堂が生えてきている。
あまりにも唐突すぎる末堂の登場である。
そう思うとあの名シーンもちょっと笑えてしまう。
今回も同じノリで末堂が生えてきた。
この人、登場する時はわりと急に生えてくるんですよね。
ドリアンの時もそうだし。
今回も急に生えてきてどうなる? 加藤みたいに笑われて、もとい笑わせて終わってしまうのか?
休載を挟んで次回へ続く。