誰もが望み誰もが望まなかったウェル博士の登場である。
これはあかん。面白いことになってまう。
ならいいな!
「花火が上がった……」
「争乱は近い……」
「ならば、求められるのは――英雄だッ!!」
さて、時は前後する。
ウェル博士が捕まっていた独房が描かれるのであった。
どうやって書いたのか、壁にも天井にも数式がびっしりだ。
これが何を意味するのかはわからないが、ウェル博士は何かの研究を続けているようだ。
狂人で面白い顔ばかりする人だが、根は研究者だけありつい研究してしまうのは本能か。
もっとも実験できる環境にないので机上の空論を重ねるだけに過ぎず、研究者にとってはこれほどの苦痛もあるまい。
行動力という点においてはウェル博士はとんでもないものがあるし、とんでもないことを幾度もしでかしてきた。
なので、策も何もない状況だが介入する気満々なのであった。
英雄体質というか主人公体質というか。
こんな目に遭っても全然懲りていなくて安心した。
なお、ウェル博士の牢が開放された真相はクリスのミサイルの爆風によるものであったとさ。
閉所なのにミサイルをぶっ放すから……
偶然というか奇跡的にも近場で交戦していたのが幸いした。
数多くの奇跡を掴んできたウェル博士らしい脱出方法であった。
「へっへー♪」
「旧世代のLiNKERぶっ込んでぇ、騙し騙しのギア運用ってわけね」
そんなわけで戦場に舞い戻ったウェル博士である。
早速のウェル節で煽っていくスタイルは相変わらずだ。
しかし、よくもまぁmodel_KのLiNKERを使っていると気付いたものである。
バックファイアがないようなので消去法でmodel_Kを使っているという結論に至ったのだろうか。
相変わらず頭の冴えはいいウェル博士であった。
変顔の冴えもいい。
ウェル博士の復活を見た装者の反応はこちら。
敵愾心を燃やすクリスと露骨に嫌そうなきりしらである。
まぁ、そうなりますわな。
この2人はウェル博士に一番振り回されているし、蘇られるとこんな顔をせざるを得ないというものである。
「優しさで出来たLiNKERは僕が作ったものだけ」
「そんなので戦わされてるなんて不憫すぎて笑いが止まらーんッ!!」
まぁ、アンタは優しくないがな……
ともあれ、復活に笑いが止まらない中でウェル博士はどんどんと言いたいことを言っていくのであった。
戦姫絶唱シンフォギアGかな?
「不憫の一等賞が何を言うデスッ!」
対して普通にツッコミ返す常識人こと暁切歌であった。
今回の切歌は全体的に常識的な言動が多い。
非常識な場所にいるからだろうか。
そういえば、第2期でも非常識なフロンティアに行ってからはわりとシリアスだったし、常識人の常識率は場の常識属性によって変わってくる可能性が微レ存……?
「あたしの一発を止めてくれたな……ッ!」
(後輩の前でかかされた恥は100万倍にして返してくれるッ!)
クリスは「MEGA DETH QUARTET」を受け止められた時に大層憤慨している。
相変わらず後輩の前だと意識してしまうようだ。
響の時はそんな意識がなかったのに……
響は全然後輩らしくしていなかったのに対し、2人は後輩らしい後輩だからだろうか。
それにしても自然と並び立つキャロルとウェル博士であった。
キャロルも動揺から回復したらしい。あれが一番の失態かも……
「待つデスよッ!?」
「ドクターを傷付けるのは……」
「何言ってやがるッ!?」
「だってLiNKERを作れるのは……」
闘争心を燃やすクリスをザババ組は制止するのであった。
現段階においてウェル博士はLiNKERを作ることのできる唯一の人間だ。
それも現在使用しているmodel_KのLiNKERよりも性能は上である。
冷静に考えるとウェル博士が真っ当に協力してくれる可能性は低いし、明らかに危険人物すぎてリスクもデカい。
だが、残り少ないLiNKERをやりくりして無茶を重ねるF.I.S.組にとって、ウェル博士は危険でも頼りたい相手なのだろう。 安くなった株を売却して何とかしていたところにFXを持ちかけられたようなものである。
ヤバいと知っても飛びつきたくなるのも仕方ない。
「――そうともッ!」
「僕に何かあったらLiNKERは永遠に失われてしまうぞッ!!」
そこでさらに口プレイを重ねるウェル博士である。
対峙する相手の戦意を削ぐことに関しては相変わらず一流であった。 ウェル博士の策略が優れているのは、戦術のみならず相手の動揺を生み出す話術にもあるのだ。
あと見た者を笑わせるその表情。
「……ぽっと出が話を勝手に進めるな」
久し振りの登場から暴れるウェル博士に対して、キャロルもそろそろ冷静にツッコミを入れる。 すっかり時間稼ぎ担当になったアルカ・ノイズをばらまく。
初見であるはずのアルカ・ノイズを見ても驚かない辺りは大物なウェル博士だ。
それにしてもこの絵面だとウェル博士が呼んだようにしか思えないのがズルい……
「2人が戦えなくともあたしはッ!!」
きりしらは突如のウェル博士の登場で思考の整理ができず混乱状態に陥っている。
なので、クリスが突っ走ることになる。
せっかく前回は連携を取って押していたのに、あっという間に個人技に走ることになってしまった。
まぁ、前回はクリスの個人技をきりしらが上手くフォローしたとも言えるのだが……
先輩並みに鞘走るのが伝統の雪音クリスであった。 先輩がちゃんと後輩に教育を施さないから……
ミサイルは防げど数の多い銃弾には相性が悪いのか、大人しくウェル博士はキャロルを盾とするのであった。
ヒーローチックに盾となった前回と比べると、あっという間に小物になりやがって……
英雄モードと小物モードを恥も外聞もなく自在に使い分けられるのがウェル博士の強みなのだ。
……まぁ、英雄モードというか悪党モードだけど。
「その男の識別不能」
「マスター、指示をお願いします」
あ、レイアがウェル博士の処遇について突っ込んだ!
人形さえも戸惑う計算不能というか計算したくない感がウェル博士であった。
WAシリーズで例えるとゼットとかトカとか……
アレ? もしかしてウェル博士ってイロモノでギャグキャラ?
「敵でも味方でもないッ!」
「――英雄だッ!!」
答えになってねえよ!
第2期の頃は「英雄になりたい」がウェル博士の概ねの主張だった。
それがGXでは心境の変化からか自身が「英雄そのもの」だと自負するようになっている。 まぁ、結果論だけで言えば月の落下を防げた原動力となったのがウェル博士なら、1000000000000℃の炎でノイズを殲滅できたのもウェル博士だ。
英雄と自負するようになったのも道理……なのか?
それはウェル博士が暴れたのを装者たちやナスターシャ教授が必死に収拾に当たった結果、奇跡的に上手いところに事態が収まったのだが。
何にせよ自身を英雄と誇るようになったウェル博士は厄介だ。
ホントに厄介だ。
できればお近づきになりたくない厄介さ。
クリスは一気に押し切ろうとまたも「MEGA DETH QUARTET」を構える。
これには場が凍り付く。
冷静に考えれば深海の施設でそんなMAP兵器を使えばヤバい。
いや、シンフォギアで冷静に考えるという行為がどれだけ愚かなのかは愚問というより他ないが。
何にせよレイアの必死の迎撃とウェル博士の登場によって最悪は避けられたが、この余波でウェル博士の牢獄が破られているのだからちょっとは反省せい。
RPGみたいに戦闘中の演出だからと無理していいわけじゃないんですよ。
「――このおっちょこちょいッ!!」
「何のつもりか知らないがそんなの使えば施設もッ! 僕もッ! 海の藻屑だぞッ!!」
「……なんてね」
と、ここでまたも口プレイで動揺を誘うウェル博士である。
施設の損壊によって一番困るのはウェル博士だ。
装者たちと錬金術士はかろうじて逃げられる可能性があるが、左腕以外は生身のウェル博士はそうもいくまい。
その弱みをあえて強調、状況全体の弱みのように錯覚させ躊躇わせている。
狂人だが悪知恵や駆け引きに長けるからタチが悪いウェル博士であった。
「レイア」
「この埒を明けてみせよ」
「即時遂行」
ここでレイアが地味に陽動を行う。
側転で高速移動でクリスを幻惑するのであった。
なお、この時のアルカ・ノイズは背景となって撃ち抜かれるだけだ。
このやる気のなさ……まさにノイズさん……
最近、まともに攻撃さえしなくなったアルカ・ノイズである。
そりゃたしかにロクに攻撃が通らなくなりましたけどよ……
(後輩なんかに任せてられるかッ!)
(ここは先輩のあたしがッ!)
気負いからか、冷静さを欠いているクリスはトリガーハッピーしかできない。
ちゃんとエイムしたまえ。リコイルコントロールも忘れずに。
でも、マシンガン系の武器って下手に狙うよりボタン押しっぱなしで撃ちまくる方がいいか?
FPSの最強武器、アサルトライフルにアームドギアを変化させられれば……
「ばらまきでは捉えられないッ!」
「落ち着くデスよッ!」
そんなクリスを常識的にたしなめるザババ組である。
戦闘になると普通の意味で常識人な切歌であった。
日常に戻るとただの常識人な生物なのに……
これもギャップ萌え?
まぁ、戦闘中も常識人だとただの迷惑ではあるが。
「諸共に巻き込むつもりデスか……ッ!」
そんなトリガーハッピーではフレンドリーファイアをしてしまうのが自然の摂理である。 うっかり調を巻き込んでしまいそうになったところを切歌の乱入で助かるのだった。
な、何だ、この真面目な生物は!? おきてがみは何だったんだ!?
これはおきてがみのことを忘れてあげねばなるまい……
初登場くらいの印象に巻き戻そう。
あの頃から常識人だったけど。
「ドクターに何かあるとLiNKERが作れなくなると思って……」
「でも、もう惑わされないデスッ!」
「あたしたち3人が力を合わせれば今度こそッ!」
そんな間にキャロルたちは床を掘って逃走だ。
これでやや落ち着いたのか、調と切歌はやっぱりウェル博士に頼るのは不味いとすぐに考えを改めるのだった。
有り金がないからとFXをやったらいけませんわな。
例え苦しくとも残った分でやりくりしなければ明日はにい。
とはいえ、いきなり状況をかき回されては冷静な判断はできまい。
超展開に慣れたはずの適合者でさえ唖然としたくらいなのだ……
「後輩の力なんて当てにしない」
「おてて繋いで仲良しごっこじゃねえんだ」
「あたし一人でやってみせるッ!!」
だが、クリスの調子は戻らない。
独りで鞘走る気だ。
思い詰めると独断専行に走りがちなのがクリスなのだ。
スカイタワー防衛線で連携が取れなかったように、ソロモンの杖を取り返すために寝返ったように……
第10話はクリスが独りで突っ走るのが伝統なのであった。
(独りでやり遂げなければ、先輩として後輩に示しがつかねえんだよ……ッ!)
そうなったのも先輩と後輩の関係に起因しているのだった。
調も……切歌も……あたしが
だが、守護ろうと気張りすぎるとどの世界でも空振るのはお約束だ。
特に金子彰史作品では御法度だ。 独りでは英雄になれぬのだ。ウェル博士は単騎でなろうとしてるけど。
「ドクターウェル……隔離情報が公開されていればこんなことには……」
「ネフィリムの力も健在……厄介だな」
ウェル博士のことはS.O.N.G.の面々は伝えられていなかったようだ。
深淵の竜宮は秘中の秘だけあり情報を提示しなかったのだろう。
特にウェル博士の処遇に関しては当事者のS.O.N.G.には特に隠したかったに違いない。
お役所仕事はS.O.N.G.を苦しめるのであった。
また、ネフィリムの力を行使したのはこれが初めてだ。
あんな使い方ができたのは設定用語を隅々まで読んだ適合者一同もビックリである。
ウェル博士はS.O.N.G.も錬金術士もかき回している。
こんな爆弾を飼っていたF.I.S.一同は大分大変だったろう。
変顔してもらわないとストレスがマッハだ。
「最後のパーツ、ヤントラ・サルヴァスパが失われたことでチフォージュ・シャトーの完成を阻止できました」
「なのに、キャロルはまだ――」
ヤントラ・サルヴァスパは破壊されたと見ていいようだ。
ちゃんと用語集でも保証されている。
でも、本当にぃ?
第2期の頃はナスターシャ教授の生身による生存は絶望的だと述べた後に、生身でなければ生存できると車椅子と合体させた。
GXでも第1話で水着をやったからノルマ達成をしたと言いながら、ノルマを達成したからと水着回がないわけではないと第7話で水着になった。
幾度に渡って高度な情報戦を繰り広げたのが金子彰史である。
簡単に信用するわけにはいかないのだ。
大人は嘘はつかないけど真実は隠す。
「説明してくださいッ!」
「ボクが建造に携わったチフォージュ・シャトーはボクたちのパパの遺志を継ぐためだったはずッ!!」
「世界をバラバラにするなんて聞いてませんッ!!」
さて、ここで回想だ。
本編では初めてキャロルとエルフナインが並び立つ瞬間である。
なので、エルフナインは最初の破廉恥ルックである。
対するキャロルはフルアーマーではない。
あれは完全な外行きの服装らしい。
まぁ、あんな仰々しい服装を普段からやれば疲れるわな……
それでも最初の頃は格好付けか、普段着にもしていたけど。
話はどうやらエルフナインがチフォージュ・シャトーの正体を知った直後のようだ。
最近、○ンポが生えた天使になりつつある良心の塊、エルフナインにとってその用途は得心のいかないものなのだろう。
同じ想い出を持っていながら考え方は真反対な2人であった。
CMでは仲が良かったのに……
「――如何にも」
「チフォージュ・シャトーは錬金技術の粋を集めたワールドデストラクターにして巨大なフラスコだ」
「ボクを騙すつもりで……」
錬金術の実験道具と言えばフラスコ。
何かを生み出すために使うのもフラスコ。
チフォージュ・シャトーは世界をバラバラにする他に再構成するためのものなのか。
毎度のことながらいつの間にか大規模な話になるのがシンフォギアだが、今回は世界の再構成が見えているのでなおさら大規模だ。
可愛いキャラばっかり出てくるシンフォギアに再構成してみるか?
翼さんがあうあうとか言い出す。
「さて、そうと知ってどうする」
「力のないお前がオレを止めてみせるのか?」
頬杖をしているとカッコイイ。
だが、身体は小さく椅子はデカい。
なので身を片側に寄せるのだった。
無理しやがって……
椅子を子供サイズにしなかったのは格好付けのためか。
あるいはダウルダブラを纏った時のように大人サイズで頑張ろうとしたが疲れるので子供サイズでいることにしたのか。
まぁ、これならウェル博士にはピッタリそうですね!
「それでも……」
「それでも、ボクが想い出の向こうのパパを大好きなように、あなたもパパのことが大好きなはずです」
「お前――何を……」
「パパは世界をバラバラにすることなんて望んでいなかったッ!」
「望んでないことをボクはあなたにさせたくないッ!!」
エルフナインはパパとキャロル本人の前で言ってのけた。
これは修羅場不可避……
キャロルの意志はイザークの遺志からはかけ離れているように思えるし、だからこそエルフナインはキャロルと対立する道を選んだのだった。
同じ想い出を持ちながら行動と思考は異なる。
そこにも何か理由はあるのだろうか。
そして、一人称がわたしからオレとボクに別れた理由とは……
それにしてもこの股間アップは一体何なんデスかね。
度々股間を見せびらかすエルフナインであった。
なお、少しもっこりしているように思える。思え。
小生は可能性は捨てないのだ……
「オレは、落ちていたのか……」
「またしても拒絶反応です」
「撤退の途中で意識を」
これはエルフナインの回想だったのか、キャロルの夢だったのか。
どちらかはわからないが2人の衝突の原因は以上であった。
そして、キャロルは未だに想い出の高速インストールの弊害に苦しんでいる。
落ちるほどとはかなりのダメージだ。
ウェル博士の登場で窮地は逃れたものの弱みは抱えたままだった。
「高レベルフォニックゲイナーが複数揃う僥倖に早るのは理解できますが……」
「……杞憂だ」
あ、フォニックゲイナーって言うんだ……富野アニメみたい……
キャロルが計画を急ぐのは稀に見る好機というのが理由なのであった。
6人もイグナイトモジュールに耐えられる装者が揃った状況というのは奇跡的である。
キャロルが無理に計画を進めるのも道理か。
過酷なシンフォギアに耐えられる声優が6人もいるのも奇跡である。
そのうちの1人が作中人物にそっくりな防人なのも奇跡。
それにしても介抱したり心配したりと地味に優しいレイアであった。
オートスコアラーの中でも次女なだけはある。
なお、長女はミカ。
……長女らしくない。
「知っているぞ、ドクターウェル」
「フロンティア事変関係者の一人」
「そんなお前が何故ここに」
「我が身可愛さの連中がフロンティア事変も、僕の活躍も、よってたかってなかったことにしてくれたッ!」
「人権も存在も失った僕は、ヒトではなく物」
「回収されたネフィリムの一部として放り込まれていたのさッ!!」
ここでみんなが興味津々なウェル博士の顛末だが、やはりと言うべきか、人ではなく物扱いされていた。
ネフィリムLiNKERの効果は時限式ではなく永久式のようで半融合症例のようになっていた。
ネフィリムアームの展開も自由自在らしく形態変化を見せてみせる。
人ではなく物として扱われたと言うがこれでは物扱いされても仕方ない。 危険人物には違いないし半ば人外だ。顔芸も人外。
なお、通常時も茶色とネフィリム色になっている。
第2期の頃は肌色だったのに……
時間の経過によってネフィリムの体細胞がウェル博士の身体を侵食したのだろうか。
独房の数式もネフィリムアームに関することなのだろうか。
「イチイバルの砲撃も腕の力で受け止めたんじゃない」
「接触の一瞬にネフィリムが食らって同化――身体の一部として推進力を制御したまでのことッ!!」
ミサイルを止めたメカニズムも語る。
吸収というよりも同化による制御が種明かしのようだ。
強力そうで本家ネフィリムと比べると大分限定的だろうか。
ガトリングに対してはキャロルのはちみつバリアに避難していたし、戦闘に用いるのは難しそうだ。
もっともウェル博士のことだからネフィリムの力の応用を考えていそうだが。
僕自身がネフィリムになることだとか。
ゼットンは蘇るのが王道……WA3のラギュ・オ・ラギュラも蘇ったし……
「面白い男だ」
「よし、ついてこい」
「ここから僕を連れ出すつもりかい?」
「だったら争乱の只中に案内してくれ」
「争乱の只中?」
「――英雄の立つところだ」
面白いのは変顔だけでやることと思考はかなりヤバいのですが……
ともあれ、ラスボス2人が協力態勢を結ぶのだった。
ウェル博士も英雄を自称してやる気満々だ。
GXと同じ3作目のWA3でもジークフリードが英雄を自称して大暴れして……いなかった。
アイツ、大層なことを言っていたけどファルガイアに実害を与えていなかった。
だが、ウェル博士はそんなことをすまい。
地球に実害を与える気満々だろうて。
「ネフィリムの左腕――その力の詳細は追っ手を撒きつつ聞かせてもらおう」
ネフィリムの左腕はキャロルにとっても予想外にして想定外の力だろう。
聖遺物を制御する力も興味津々に違いあるまい。
でも、決別を意味する左手の握手は厄いぞ。
それでもわざわざ握手をする辺りは律儀だ。
ちゃんと握手するウェル博士も律儀だ。
なお、握手に当たってウェル博士は手を拭いている。 律儀な人外め。
潔癖なだけかもしれないが。
「――力を使うなと言ってるんじゃないッ!」
「その使い方を考えろと言ってるんだッ!!」
「新しくなったシンフォギアはキャロルの錬金術に対抗する力だッ!」
「使い所は今をおいて他はねえッ!!」
「眠てえぞおっさんッ!!」
「ここが深海の施設だと忘れるなと言っているッ!!」
まさかミサイルの件が普通に怒られていた!
アレは弦十郎としてもアウトだった。
本人が現場にいれば発勁で打ち消せたところだが、発勁スキルを持たない装者たちでは生憎そうもいくまい。
いつも高火力でぶっ放しているクリスだが、ちゃんと状況を考えないといけないのだった。
被害を考えるという概念があったのは意外だ。
毎回毎回火薬を大量に使っていたのに……
「正論で超常と渡り合えるかッ!!」
真に正論なツッコミに対してクリスは聞く耳を持たない。
意固地になったクリスの心を溶かすのは大変なのも今も昔も変わらない。
そんな様子を複雑な表情で見る後輩たちだった。
素直に現状を受け止め無理をせず先輩たちを信頼するように心がけた調と切歌だが、肝心要の先輩はご覧の有様だ。 そりゃ複雑な表情にもなりますよ。
大丈夫、先輩がこうなるのは2年に1回の定例行事だから。
しゃっくりのようなものよ。
さて、ダンジョン攻略のためにスイッチの位置を覚えよう。
深淵の竜宮ということで何かいろいろなギミックがあるのでしょう。
ブロックを動かしたり火を消したり。
シンプルな体育会系ギミック。
「そういう報せを待っていたッ!!」
そんな中でキャロル発見の報だ。
鞘走る気満々のクリスちゃん、悲惨な目に遭わないか不安です。
武装的に後方支援型なのだが……第1期第10話では後方支援に徹することで活躍できたわけだし。
第6話で翼と共闘した時は上手く後方援護をできていたが、後輩に前衛を任せにくいからかつい先走って損してしまうトカ。
戦場における先輩経験値はまだまだなのであった。
「翼さんが仕留めたオートスコアラーの残骸です」
さて、ウェル博士のせいですっかり忘れられたファラ、再利用の刑。
ボクのこと、忘れないでねッ!
ダルマの刑なのでマニアは喜びそう。(正確には上半身のみなのでダルマじゃないが)
バラバラになったミカは厳しいけど、同じく真っ二つにされたガリィも海を漂流しているかもよ?
八紘は出てこないことから後始末は任せたようだ。
静かに燃える炎に例えられる男は引き際もわきまえているのだ。
「……いつかショボいだなんて言って、ごめんなさい」
「剣ちゃんの歌、本当に素晴らしかったわ」
「私の、歌――」
さすがは人形、ダルマになっても動くのであった。
だが、剣じゃない。翼と言っておろう!
まぁ、友じゃないから仕方ないのだが。
「――アハハハハッ!!」
「まるで身体がバッサリ2つになるくらい、素晴らしく呪われた旋律だったわッ!!!」
「呪われた旋律――たしか以前にキャロルも言っていた……」
「答えてもらうわッ!!」
スゴい面白い顔でかつてキャロルが口にした呪われた旋律を繰り返す。
世には物凄いアヘ顔がありますからな……
アヘ顔は置いておいて、態度や言動におかしさを感じたのか、尋問タイムの始まりだ。
こうしてついに錬金術士サイドの目的が明かされるようとしている。
第1期や第2期と比べると謎を提示しそれを引っ張ったGXであった。
「だが、向こうも巧みに追跡をかわして進行しているッ!」
「まるでこちらの位置や選択ルートを把握しているみたいに……?」
「まさか、本部へのハッキングッ!?」
「知らず毒を仕込まれていたのか……ッ!!」
同時にS.O.N.G.も情報が漏れていることに気付き始める。
ヤントラ・サルヴァスパの元へと一直線に向かったクリスたちを先んじたのはやはりエルフナインから情報を得ていたようだ。
今現在も得ているからこそ、嫌らしいルート選択ができているのだろう。
とはいえ、すぐさまそこに辿り着くのはかつて了子という黒幕が組織の内部にいた経験からか。
「未来が聞いてくれたおかげでもう1度だけお父さんと話をしてみる決心がついた」
「……だけどね、本当はまだ少し怖い」
「どうなるのか不安でしょうがないよ」
さらに響サイド。
壊れたモノは元には戻らないとは言ったものの、やはりというか、洸のことは諦めきれないのであった。
響は心の奥底では洸のことを嫌悪できず、また求めているのだった。
それは洸も同じ心境なのだろう。
だから、見苦しい部分を見せながらも娘と言葉を交わそうとしているのだった。
似た者同士な2人であった。
本音を隠すのも似ているし、本音で語り合えていないから齟齬が生まれていそうだ。
「――響」
「へいきへっちゃら」
「響の口癖だよ」
「いつから口癖になったのか、忘れたけど――」
「どんな辛いことがあっても何とかなりそうになる魔法の言葉なんだ」
「へいきへっちゃら」を未来が言った。
目が見えないから未来の表情はわからない。
だが、響と洸の間に何かを感じているだろうし、だから洸にまた逢おうとする響を止めないのだろう。
響のことをよく知る未来なら、響に似た洸にも何かを感じていてもおかしくはないのだ。
響は「へいきへっちゃら」の出所を知らないのか、知っていて誤魔化したのか。
何にせよ間違いなく洸が言っていた言葉が「へいきへっちゃら」だろう。
響にとっては「どんな辛いことがあっても何とかなりそうになる魔法の言葉」であり、洸にとっては「どうしようもないことをどうにかやり過ごす魔法の言葉」である。
響はポジティブな意味が込められているが、洸はネガティブな意味となっている。
在りし日の洸は前者として「へいきへっちゃら」を教えたのかもしれないが、逃げ出したことで後者と変化したのだろうか。
響と洸の物語はまだ終わらないのであった。
これにて今回の響の出番、ほとんど終了。
GXでは休みがちな響であった。
「知らず毒は仕込まれて、知る頃には手の施しようもないまま、確実な死をもたらしますわ」
「俺たちの追跡を的確にかわすこの現状ッ!」
「聖遺物の管理区域を特定したのも、まさかこちらの情報を出歯亀してッ!!」
ファラは呪われた旋律を、弦十郎は情報の漏洩を話題に話している。
まったく別の話題だが絶妙にリンクしている。
金子彰史はこういう演出が好きである。
WA3の竜機果つる墓所とか。
さて、謎ポエムの毒はこれらのことであった。
誰だよ、Anti_LiNKERとか言った奴……
アルカエストをAnti_LiNKERのガスとか勘違いしやがって……
何かウェル博士関係に関しては予想を外しまくりだ。
「ち、違いますッ!」
「ボクは何も……ボクじゃありませんッ!!」
情報漏洩……内通者……
となると、明らかな部外者であるエルフナインに疑いがかかる。
S.O.N.G.の立派な大人たちはエルフナインのような純真な少年を疑うような素振りを見せていないが、エルフナインとしては即座にその思考に辿り着き弁明する。
「いいや、お前だよエルフナイン」
「キャロル……そんなボクが、毒――……」
と、そこでキャロルの立体投影が開始だ。
図ったものかどうかはわからないが、キャロルとファラは同時に種明かしを開始だ。
さすがオートスコアラーの人格はキャロルの一部から生まれたものである。やることが実に似ている。
まぁ、悪役にとって今まで隠してきた自分の思惑を話すのは最高のご褒美タイムですからな……
そりゃ派手にバラしたくなる。
「マスターが世界を分解するためにどうしても必要なものがいくつかありましたの」
「そのひとつが魔剣の欠片が奏でる呪われた旋律」
「それを装者に歌わせ身体に刻んで蒐集することがワタシたちオートスコアラーの使命ッ!!」
やはりと言うべきか、オートスコアラーたちはイグナイトモジュールを抜剣させ、それに倒されるのが目的であった。 コンバーターの破壊に固執し、装者たちにトドメを刺さなかったのもそのためであった。
エルフナインにダインスレイフの欠片を持たせたのもこのためか。
イグナイトモジュールが錬金術士を倒せる唯一の手段であるがために、その誘いに乗らざるを得なくなっていたのであった。
「では、イグナイトモジュールがッ!?」
「馬鹿なッ!」
「エルフナインを疑えるものかッ!!」
となると、ダインスレイフを持ってきたエルフナインに疑いがかかる。
エルフナイン大好きのマリアとしては大人しく受け止めるわけにはいかない事実だ。
エルフナインは力のみならず心でも装者たちを支えてきた仲間なのだ。
特にマリアはエルフナインの言葉によって弱さに目覚めたので恩人みたいなものだ。
疑えるわけもない。
……弱さに目覚めたって新しい字面だなー。
「とはいえ、エルフナイン自身、自分が仕込まれた毒であるとは知る由もない」
「オレがこやつの目を、耳を、感覚器官の全てを一方的にジャックしてきたのだからな」
そこでエルフナインの感覚器官をジャックできるとわざわざ足を止めながら種明かし。
そんなにバラしたかったんだ……
そりゃレイアが派手好きになりますよ。
というわけでエルフナイン自身は無自覚なのだ。
こんなにいい子が腹に一物を抱えているわけもないし、生えていないわけもない。
しかし、感覚器官のジャックってエロい響きだなー。
誰か薄い本頼まあ!
「ボクの感覚器官が……勝手に――……」
「同じ素体から作られたホムンクルス軀体だからこそできることだ」
エルフナイン、恥ずか死。
そして、同じ素体でなければできない応用技術のようだ。
もしかして、キャロルの想い出を持っているのもこの副作用めいたものなのだろうか。
キャロル自身、イザークのことを言い出したエルフナインには驚いていたしけっこう想定外なのか?
「最初にマスターが呪われた旋律を身に受けることで譜面が作成されますの」
「あとは貴方たちにイグナイトモジュールを使わせればいいだけの簡単なお仕事――」
「全てが最初から仕組まれていたのかッ!!」
いきなりキャロルが倒されたのは譜面を作るためであった。
順序がちゃんとあるのだった。
そして、オートスコアラーの名前の意味は自動で旋律を記録することに由来するのだろう。
GXでは敵のネーミングがかなり綿密に考えられているのであった。
それだけにキャロルのミドルネームであるマールス、リンゴの意味を持つ言葉にも意味がありそうなのだが。
世界を壊す歌、Death Apple。Z級映画にありそう……
「キャロルの企みを知らしめるというボクの目的は既に果たされています……」
「だからいっそッ!!」
おしっこ漏らしそうな顔をしながら、いっそのことといっそのことを提案する。
キャロルの目的を阻止することに命を賭けているのであった。
何せイザークの想い出を守るためである。
WA3的にはそこにさらにS.O.N.G.との想い出が関わってきてさらに感動ポイントだ。
今後に期待しよう。
言いたいことを言ったのか、ファラは自爆する。
その爆風を緒川さんは忍法で防ぐ。
って、唐草模様の風呂敷かよ!
実に伝統的な風呂敷である。
OGAWAさんは現代的な忍法のみならず伝統的な忍法も使いこなすのだ。
GXの緒川さんは第2期と違って派手な活躍は今のところしていないが、ピンポイントで美味しい働きをしているのであった。
……イケメンキャラにこういうことやらせるのはどうかと思うなー。
「呪われた旋律を手に入れれば装者は生かす道理がなくなったということなのッ!?」
「だから、こちらの気を引くことをなめらかにッ!!」
「緒川さんッ! 本部に連絡をッ!!」
「イグナイトモジュールを使用を控えさせなければッ!!」
「ダメですッ!」
「おそらく、この粉塵が――」
「付近一帯の通信撹乱ッ!」
「周到な――ッ!!」
イグナイトモジュールの旋律を手に入れれば、ここまでトドメを刺さず生かしてきた装者も用済みのようだ。
そうなるとここから先は敗北がそのまま死に繋がる戦いになる。
緊張感が高まっていくのであった。
同時に通信妨害を行っている。
地味なことを……
結果、別の真実の得ながらもそれを伝えることができないのであった。
その時に欠けた月が睥睨しているのが象徴的だ。
GXになって月の話題はめっきり減っている。
だが、その一方で画面に映ることは多い。
カストディアンが作った最大の建造物だろうし、今後に出番はありそうなのだが……
第4期か劇場版の対カストディアン戦で乗り込むとか。
「なら良かった」
「エルフナインちゃんが悪い子じゃなくて」
「敵に利用されただけだもんな」
「友里さん……藤尭さん……」
情報の漏洩はエルフナインが基点となっていることがわかった。
そんなエルフナインをS.O.N.G.のOTONAたちは優しく包み込む。
大人たちの優しさが身に染みる。
あおいさんと藤尭は任務における有能さだけでなく、大人としての度量と心の強さを見せつけた。 こいつは頼れる。
にしても、エルフナイン、名前を覚えていたんですね。
喜べ、藤尭。
あおいさんはまぁ普通に覚えられていると思うので喜ばなくてもいいです。
「君の目的はキャロルの企みを止めること」
「そいつを最後まで見届けること」
「弦十郎さん……」
「だからここにいろ」
「誰に覗き見されようと構うものか」
そして、弦十郎がトドメを刺すのだった。
情報を知らず漏洩されるのは痛手である。
だが、漏洩しているとわかっていればそれを利用した陽動もできる。
情報戦が得意なのは二課時代からだし、種さえわかれば負ける気はしない。
その確信があるからこそ、エルフナインを受け止めたに違いない。
司令らしからぬ頭脳戦が炸裂するか……?
ん? 司令って普通頭脳戦するはず?
「……チッ」
「使われるだけの分際で……」
人の不和を見てきて、それによってイザークを失ったキャロルとしては同じようにS.O.N.G.も魔女裁判のような醜い争いをして欲しかったのだろう。
だが、S.O.N.G.のOTONAたちはエルフナインを真っ正面から受け止めた。
キャロルとしては面白くない光景に違いない。
それと同時にこうした大人がいればイザークが死ななかったという可能性でもある。
もっとも考慮しなくない可能性だろうし毒づきたくもなる。
こうしてキャロルは見事な反撃を受けたのだった。
S.O.N.G.はキャロルの想定外でも少しずつダメージを与えることに成功していた。
「ここまでよ、キャロルッ! ドクターッ!!」
「さっきみたいには行くもんかデスッ!!」
「だが、既に、シャトー完成に必要な最後のパーツの代わりは入手している」
今度はLiNKER詐欺には騙されんと調と切歌は吠え叫ぶ。
対するキャロルはヤントラ・サルヴァスパの代わりは入手したと言う。
どうやらヤントラ・サルヴァスパの人生はあれで終わりのようだ。
うーむ、面白い名前をしているのに……
舌を噛みそうなくせにわりとすんなり覚えられる不思議な名前だったのに、ヤントラ・サルヴァスパ……
ここでパッと思いつくのはウェル博士のネフィリムアームだ。
聖遺物と同化することで制御が可能、それはつまり聖遺物由来の異端技術のパッチワークであるチフォージュ・シャトーの制御が可能ということに繋がる。
つまり、世界を壊すのはウェル博士に委ねられることになる。
うわぁ、最悪デース…… そして、キャロルの計画が破綻する可能性大。
まぁ、世界をバラバラにできればどうでもいいからウェル博士が好き勝手できてもいいのかも……?
「子供に好かれる英雄ってのも悪くないが、生憎僕はケツカッチンでねッ!!」
第2期の時点で疑問に思っていたのだが本当にこの人は外国人なのだろうか。
ケツカッチンって日本人のDNAが濃すぎませんかね?
さて、ケツカッチンは後に用事があるという意味合いである。
言うまでもなく死語。
こんなことを言うわけだから、キャロルの計画の要所を担うことになりそうで嫌だなー……
「デデデデースッ!!」
ここで切歌も呪われた旋律を奏でる。
どの辺が呪われているかって、その、手抜きじゃない的に。
なお、普段着なのでちゃんと変身バンクは流される。
衣装差分は修羅場においては苦行そのものなのだ。
そして、予想されている調との同時変身はお預けだ。
今後に期待か。
「おきてがみ」ではなく「オーバーキルサイズ・ヘル」と共にまずは雑魚退治。
何やかんやで叱られたのが効いたのか、クリスはハンドガンで地味に応戦している。
捻くれているようで根は純粋ないい子が雪音クリスである。
ちゃんと弦十郎の忠告は素直に守っているのであった。
ここで銭をトンファーにするという派手な新次元をレイアは見せつける。
銭を投げるのはあったがよもやトンファーにするとは……
まぁ、銭を剣にする先人はいましたからな。
トンファーにするのがいいのかも。
そして、トンファー使いの超王道トンファーキック!
トンファーと言えばトンファーキックだ。
キックしなければそいつはトンファーを無駄遣いしていますよ。
クリスがガトリングではなくハンドガンを使っていたのはレイアとの接近戦を想定してのことか。
クリスはハンドガンを用いれば不得手なはずの翼とも互角に渡り合える。
バトルセンスを見せつけるのであった。
……しかし、トップクラスのはずなのにやられっぱなしなんだよなー。
と、ここでOPで見せたキメ顔回避からのパワーゲイザーが本編で炸裂。
OPよりもゆっくりになっている分、ぬるぬると動くぞ。
こいつはカッコイイ。
上手く省エネしているのう。
三(/o^)こ! (^o^)三ど! 三(^o^)う! (^o^)/は!
「あとはワタシと間もなく到着する妹が対処します」
「オートスコアラーの務めを――」
「派手に果たしてみせましょう」
最後のオートスコアラーとなったレイアはここで派手に散る覚悟であった。
蒐集の順序に意味はあるのかはわからない。
ガリィがあそこまで一番乗りに固執したのには何か意味があってもおかしくないのだが。
まぁ、一番にキャロルの力になりたい頑張り屋さんな一面が現れたのかもしれないが……
「バッハハーイ♪」
「――待ちやがれッ!!」
やっぱり、こいつ、昭和生まれの日本人だ……
それを止めようと前ダッシュするクリスである。
防御力が低いのに不注意に前ダッシュするのは不味いと思うのですが、どうぞ。
やられたぁ! 男女平等トンファー!
見事にカウンターを受けやがった。
カウンターというか不用意に近付いたら迎撃された。
リョナられることに定評のある雪音クリスであった。 そういうすけべなのもあるし……(こちら。かなりハードなので閲覧注意)
翼もけっこうダメージを受けているけど、あの人、派手に血涙するからむしろ笑いどころになっているんだよなー……
あとそれに伴う詐称を忘れてはならない。
「マズいデスッ!」
「大火力が使えないからって飛び出すのはッ!!」
「ダメッ!」
「流れが澱むッ!!」
クリスはハンドガンによるガンカタで接近戦に対応できるが、「対応できる」と「得意とする」は別物である。
なので前ダッシュで自分から近付くのは悪手なのだ。
というわけでまたも真面目に常識的なツッコミが冴える切歌であった。
同時にそれで連携が乱れてしまう。
連携命なザババ組としては致命的である。
先ほどから多彩な投げ銭を見せるレイア、今度は大量散布からの広域攻撃だ。
密度は下がるが出所が掴みにくいだけにかわしにくいのだろう。
切歌は耐えるが出力低めの調はモロに受けてしまう。
胸部装甲も薄いデスしね。
機動力高めで広範囲ガードも備えるがHP自体は低い調整。
怯んだところに投げ銭サンドイッチ!
さすがオートスコアラーでも2番手だけあり派手で多彩な戦い方を見せる。
ミカ以上の技巧派であった。
まぁ、多彩というか見た目が面白いというか……
何にせよ見栄えがいいレイアであった。
派手の名に偽りなしだ。
これによって調と切歌は古今稀に見る大密着をすることになってしまった。
むしろ、ラッキー?
クリスとマリアが食らっていたら身体のある部位のおかげでショックを吸収できるので大分ダメージを軽減できそう。
鞘走ったおかげで後輩2人が倒れてしまった。
その光景はかつてイグナイトモジュールによって見たものと瓜二つであった。 悲しいかな、あの光景を見ないために気張ったはずが、こうして目の当たりにすることになってしまったのだった。
「独りぼっちが、仲間とか友達とか、先輩とか後輩なんて、求めちゃいけないんだ……」
「でないと……でないと……ッ!」
「残酷な世界がみんなを殺しちまって本当の独りぼっちになってしまうッ!」
「何で世界はこんなにも残酷なのに、パパとママは歌で救おうとしたんだ……ッ!!」
自分の痛みは殺せるが、誰かの痛みを強く感じてしまうのが雪音クリスである。
かつてのように自分のせいで誰かが傷付く現実に苦しむのであった。
まして大切な後輩が、自分と同じように独りだった者たちが傷付いたのだから、より強く痛みを感じていることだろう。
その痛みは両親の夢にも向けられる。
第1期第11話で両親の夢は自分の夢として継ぐと決めた決意も鈍ってしまう。
「滂沱のいとまがあれば――歌えッ!!」
心の痛みは身体の痛み以上にクリスを引き裂き、致命的な隙を生んでしまう。
だが、ガリィのように甘くはないレイアは構わず襲いかかる。
実にスパルタである。
トンファーキックを直撃してしまうのか……?
だが、ここで後輩が先輩を守護る!
助けられる側も一生懸命。
だからこそ、時に助けられる側が時として助けるのもシンフォギアだ。
故に後輩たちを守ると気張る先輩を、後輩が守ってもいいのだ。
「独りじゃないデスよッ!」
「未熟者で半人前のわたしたちだけど――側にいれば誰かを独りぼっちにさせないくらいはッ!」
「2人共……ッ!!」
調と切歌はクリスと同じように目的のために悪を背負った時期があった。
突っ張っていたからこそ、クリスの気持ちを強く理解できるのだろう。
それ故に自分たちを大切だからこそ守りたいというクリスの純粋な気持ちも理解したに違いない。 そして、調と切歌は自分を大切に想ってくれる人たちに支えられるだけでなく支えたいというゴールを見つけている。
だからこそ、大切な先輩であるクリスを守るために立ち上がることができた。
助けられる側も一生懸命。
生きるのを諦めるな精神は2人の心にも根付いているのだ!
なお、この時のBGMは「空を見ろ…零さない…みつけたんだから」だ。
これは「繋いだ手だけが紡ぐもの」のアレンジとなっている。 先輩と後輩の絆という繋いだ手だけが紡ぐものを描くにはこれ以上のBGMはあるまい……
「後輩を求めちゃいけないとか言われたらちょっとショックデスよ……」
「わたしたちは先輩が先輩でいてくれること、頼りにしてるのに……ッ!」
「そっか……あたしみたいのでも先輩やれるとするならば、お前たちみたいな後輩がいてくれるからなんだな……ッ!」
さすがに余力はなく倒れる2人だが、クリスへ想いをぶつける。
調と切歌のエピソードは第8話で終わりにあらず。
そこで得た答えをクリスにぶつけてさらなる続きを見せたのだった。
クリスが独りになることを恐れるなら、今は独りでないと支えてくれる仲間がいる。
この土壇場で二課とF.I.S.の激しい交錯を見せた。
第9話といい二課とF.I.S.の交わりは濃くなり、それによって答えを見出せるようになっているのだった。
「……もう怖くない」
「イグナイトモジュールッ!! 抜剣ッッ!!!」
どんな時でもあなたはひとりじゃない。
独りじゃないだけでなく、独りにしないために支えてくれる後輩がいる。
その想いに支えられ抜剣だ!
傷つくことからいつも逃げて、閉ざしたココロが作り出す壁の目の前で立ち尽くすことはないのだ。(Rebirth-dayより)
「あいつらが、あたしをギリギリ先輩にしてくれる……ッ!!」
「そいつに応えられないなんて――」
「他の誰かが許しても、あたし様が許せねえってんだッ!!!」
「TRUST HEART」の一節と共に抜剣完了!
もちろん、「TRUST HEART(IGNITED arrangement)」である。
それにしても最近は台詞に歌詞多めの雪音クリスさん。
ポエミーな部分を見せている。
実は謎ポエマー?
共演は競演となり、饗宴はやがて狂宴へと移ろっちゃう?
出力と判断力の両立がニグレドモードの持ち味である。
なので先ほどのように無理に前に出ず、まずは射撃戦を行い近寄られてからの近接戦による迎撃へと移行している。
そして、ここでも炸裂するトンファーキック。
どれだけトンファーキックが好きなんだよ!
全国のトンファーキックファンは大喜びですな。
(失うことの怖さから、せっかく掴んだ強さも暖かさも手放そうとしていたあたしを止めてくれたのは――)
さらにザババ組に目配せでアイコンタクト。
今のクリスは後輩を守ろうと独りで鞘走らず、後輩と共に戦う気満々だ。
足止めして「禁殺邪輪・Zぁ破刃エクLィプssSS」をやってもらいますか?
見せ場を譲るという寛大な先輩的行為。
さらにレイアはトンファーキックで攻め立てる。
もちろん、普通にトンファーも使っているけど。
こういう悪意のある抽出はあまり良くないと思います!
「ライフルで……ッ!?」
ここで第2期第4話で不発に終わった「RED HOT BLAZE」で用いた長身のライフルを構える。
この距離で使うには銃身が長すぎる。
だが、ニグレドモードの出力に加え、判断力と技術と合わせれば零距離における狙撃も可能か?
これぞ突スナ・ジツ! いわゆる「ショットガンでいいじゃん」的なアレ!
「殴るんだよッッ!!!」
ついに炸裂した「RED HOT BLAZE」は長い銃身を用いて殴る技だった!
って、殴っちゃった!? それでいいのかよ、雪音クリス!?
効果音付きで必殺技カットインを出すのは止めてください。スゴく面白いです。
これじゃGXから見た視聴者が殴る技だと勘違いしちゃうじゃないですか……
何にせよこれは予想外だったのが技巧派のレイアに直撃するのだった。
ライフルの在り方にこだわらない柔軟な発想!
これはトンファーキックにこだわるレイアに対する意趣返しか。
(先輩と後輩――この絆は世界がくれたモノッ!)
(世界は大切なモノを奪うけど、大切なモノをくれたりもするッ!!)
(そうか――パパとママは少しでももらえるモノを多くするため、歌で平和を――ッ!!)
調と切歌の想いを受け止めたことで、両親の夢の意味を改めて知るクリスであった。
同時に両親の愛も知ったことであろう。
もはや夢を見続けることを恐れていない。
同時により強い気持ちで戦いに赴けるのは間違いない。
「ひとりぼっちでも冷たい鉄部屋でもあたしはいいから――」
「諸共に巻き込むつもりかッ!?」
と、ここでミサイルを撃ち込む「MEGA DETH FUGA」。
いや、アンタ、ミサイル御法度って怒られたじゃん。
結局、ミサイルかよ。
「TRUST HEART(IGNITED arrangement)」の歌詞も悲しげパートに差し掛かっている。
またずっこけちゃう? 雪音クリスっちゃう?
「自分以外はあったかくほら――ほほえめる世界へと――ッ!!」
ミサイルに乗って諸共に特攻!
「TRUST HEART(IGNITED arrangement)」の歌詞も自分を差し置くパートだ。
悪い方向に歌詞がリンクしてしまっているぞ。
ところで乗る意味、あるんデスか?
いや、誘導性アップとかあるかもしれんが……
「デエエェェェエエエエスッ!!」
「「守りたい」って涙 薬莢に詰めるしか知らないあたしを――」
だが、ここで切歌がワイヤーでクリスを牽引!
先ほどの目配せはこういう意味だった。
連携の合図だったのだ。
「ミサイルに乗って突っ込むから離脱を手伝って欲しい」という超S級のアイコンタクトをこの常識人は理解してのけた。 無理無茶無謀にもほどがあるが、理屈や計算ではなく心で理解したのだろう。
後輩に背中を預けるという信頼を理解したのだ。
同時に「TRUST HEART(IGNITED arrangement)」の歌詞の意味も反転する。
独りではなく仲間との絆を信じるパートに移ったぞ!
ミサイルはレイアはモロに食らいました。
ミサイル特攻という奇策は想定外だった。
派手な一手を笑いながら受け散っていった。
だが、地味な最期であった。多分、一番地味。ファラより地味。
派手が似合わないと謳った人形の最期が地味目というのも皮肉だ。
「スイッチの位置は覚えてるッ!!」
「こんなにも信じてやまない仲間の絆を今度は込めて――……ッ!!」
さらに調がスイッチを「α式・百輪廻」で起動してバリケードを起動して爆風を遮る!
即興ながら完璧な連携であった。
抜剣すれど自分だけの力で戦わず、後輩たちを信じてそこに勝利の鍵を見出してみせる……
クリスだけでなくこの場にいる3人全員の成長が現れた勝利であった。
まさに信じてやまない仲間の絆を込めてみせた。
実に歌詞と演出のリンクが完璧であった。
(攻撃でスイッチを起動させるのはどうかと思うがWAシリーズでもナイフでスイッチを起動させていたし別にいっか)
「やったデスッ!」
「即興のコンビネーションで全く以てムチャクチャ……」
「その無茶は頼もしい後輩がいてくれてこそだ」
実際に相当に無茶だったが、無茶をできるのも調と切歌を信じることができたからだ。
ついに二課とF.I.S.の完全な連携が実現した瞬間である。 シンフォギアGが
こうした連携はこれからにも期待したいところだ。
響とマリアとか。頑張れよ、マリアさん……
「ありがとな」
2人と手を繋ぎ「繋いだ手だけが紡ぐもの」を改めて感じるクリスであった。
それは調と切歌も同じだろう。
その表情にその想いが表れている。
今、キネきりしらが熱い。
……語感悪い。
「深淵の竜宮の被害拡大ッ!」
「クリスちゃんたちの位置付近より圧壊しつつありますッ!!」
でも、まぁ、ニグレドモードの火力でミサイルを撃てばそうなりますわな!
施設は見事にぶっ壊れたのであった。
そういえば、さっきから地鳴りというか海鳴りがしているし……
オチをつけるキネクリ先輩であった。 でも、3人の想いが交錯した姿は感慨深いものがあるので許そう!
さらば、深淵の竜宮! お前はWA1の頃は1回しか訪れることがなかったからな!
「この海域に急速接近する巨大な物体を確認――これはッ!?」
「いつかの人形兵器かッ!!」
さらにレイアの妹が接近しつつあった。
読み方は
相変わらずこういうところが無駄にテクニカルな金子彰史である。
小生はこういうところが大好きでーす。
ともあれ、ガンダムがやってくれば潜水艦程度では何の役にも立たない。
早く弦十郎は降りないと!
ロックマンXみたいに三角飛びで登っていくよ。
調と切歌はギアを解除している。
ニグレドモードのクリスには追いつけないだろうし第二種適合者だけあって身体への負担を避けたい。
ならいっそのこと担いでもらうことにしたと見える。
少し前の2人なら意地を張って自分の足で逃げようとしたかもしれないが、今では素直に身体を預けている。
こういうちょっとしたところでも関係や心情の変化を感じ取れるのだった。 GXはこうした演出が上手いのであった。
きりしらの学校生活は直接描いて欲しい気持ちもあるけど、それはしないフォギアに期待しましょう。
「ダメ――間に合わない……ッ!」
「さっきの連携は無駄だったデスかッ!?」
「――まだだッ!」
「諦めるなッ!!」
ここで諦めない二課の装者の心意気を見せるのだった。 どこまでも欲張りデスよ……
それは後輩を抱えているのならなおさらだ。
で、わりと普通に派手な潜水艇に間に合う。
ま、まぁ、TASさん並みの操作で三角飛びしたんデスよ。
そこに乗り込む時に調がスカートを抑えているのがポイント。
女子力高いなー。
余談ながらWAシリーズで高所から飛び降りる時にスカートを押さえるキャラは多い。 あのヴァージニアだってスカートを押さえていたほどである。
気圧を無視して急速浮上。
それを追いかけるレイアの妹だ。
手や足は動かしていないのでさすがに泳いではいないのだった。
泳いだ方がオモシロ度が上がっていたので、BD版では頑張って泳いで欲しいところですね。
明らかにおかしくなるけど明らかにおかしい方が映えるのがシンフォギアなので問題ない。
「決戦の朝――……」
シンフォギア特有の時間経過で朝を迎えていた。
ついに決戦の朝のようだ。
響にとっては錬金術士との戦いに加え、洸との戦いも待っている。
後者は拳だけでは勝てない戦いだ。
洸という最小最凶の存在に響はどう立ち向かうのか……
果たして未来と仲良くなった過去は描かれるのか……
かろうじて浮上するがレイアの妹も間に合う。
そこで炸裂するロボチョップ! S.O.N.G.仮説本部は爆発!
装者のみならずS.O.N.G.を全滅させる一撃だ。
呪われた旋律を集めた以上は本気で装者は不要らしい。
それは錬金術士サイドが本気でS.O.N.G.に立ち向かっているということである。
これほどの巨躯からのチョップが直撃した。
如何にバケモノ揃いのS.O.N.G.と言えどこれではどうしようもない……
爆発しているしもうお終いだぁ……
聞き慣れた歌も流れたので勝てん!
おまけにいつも通りのエンドクレジットだ!
次回への不安要素がまるで見当たりすぎる!!
久し振りに枕を低くして眠ることになりそうだ!!!
……これ、どうみても司令が受け止めてますよね。全然これっぽっちも不安にならねー。
次回へ続く。
・今回使用された楽曲
Exterminateより「Exterminate」
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