刃牙道感想 第93話「煙草」



世界(観)の命運を賭けた大一番の始まりだ!
刃牙はよく負ける。
よく負けるから本部にも負ける。
そう何とかどうにかこうにか納得できる。
だが! ジャックは主人公とボスキャラにしか負けていない!
そんなジャックが本部といういいとこ花田の師匠に負けるのか!
今、本部の真骨頂が試されるぞ!


「近頃はな」「愛煙家も肩身が狭い」

本部は左手に持っていた煙草を捨てる。
これが地面に落ちた瞬間がスタートと言わんばかりだ。
だが、煙草のポイ捨てはいけませんよ。
そんなんだから肩身が狭くなるし、読者から応援されないんだ。
流儀もクラシックならマナーもクラシックな本部であった。

と思ったら落下する煙草を右手で弾く。
弾かれた煙草は手裏剣のように真っ直ぐとジャックにめがけて飛ぶ。
何という精妙なコントロール、何という硬い煙草。
常日頃から本部はこの技術を磨いていたのだろうか。
金竜山にも煙草を持ってリングインしていたらわからなかったか?

これはジャックとしては相当に想定外の行動だったようだ。
ジャックは為す術もなく左目に煙草を食らう。
愛煙家というキーワードから煙草に動きを集中させ、そこからまさかの軌道変化だったので意表を突かれたのだろうか。
シコルスキーの釘投げを口で受けた人間とは思えない失態だが、それほど本部の行動が予想外だったのだ!
シ、シコルスキーの時は既に戦いが始まっていたし……警戒態勢ができていたし……

如何にタフなジャックと言えど、目を潰されれば怯まざるをえない。
その瞬間、本部が跳躍! 顔面にドロップキックだ!
って、素手かよ。
アンタが強いのは認めたくないけどまぁそれなりに認めるが素手じゃあかんだろう。
アンタの素手は金竜山以下なんだよ!!
ジャックの顔面付近まで飛ぶ本部らしからぬ跳躍力から繰り出された本部らしからぬ大技であったが、タフネス自慢がジャックである。
本部如きの蹴りでは出血はすれどダメージには至らずダウンもしない。
本部の全身の力を込めたドロップキックでものけぞらせるのが精一杯なのだ。 素手の打撃では絶望的なのがわかる。

この一連の攻防によってジャックは左目の視力を一時的にかもしれないが失う。
これによってこの戦いが競技ではないと悟る。
無頼のピットファイターのくせに火付きが遅い。
やっぱり、油断していたのか。まぁ、本部だしな。
そして、上着を脱ぎ捨て臨戦態勢へと移るのだった。

「ハズだった」

だが、上着を脱ごうとした瞬間に本部が走る!
脱いでいる途中だったのでジャックは自らの腕を拘束、即座に反応できなくなってしまう。
ジャック範馬、壮絶な自爆であった。 ヒーローの変身中を狙わないのが悪役のお約束だが、今の本部は遠慮なくヒールなので変身中を狙うのだ。

走り寄った本部は背中から木刀を抜く。
その木刀でスネを叩く!
見るからに痛い一撃だった。ジャックも苦痛に怯む。
え、怯むんだ? ジーンズを破くほどの一撃とはいえジャックが木刀に怯むとは……
本部が強いのか? それとも骨延長の効果がなかったのか?

さらに本部は片足のみならず、もう片方のスネも叩く。
ジャックは大ダメージに思わず膝を着く。
巨人対策には四肢の尖端を狙うのは勇次郎も認める戦法である。
だからとて本部の攻撃がジャックに通じる道理があるか……?
いや、武器で公園で普段着なら可能性はあるか……?

ジャックは膝を着いても本部と同じほどの身長だ。
実は本部の身長は不明である。
まぁ、力士相手に1回戦負けした男ですからな。
それは置いておいて、ジャックはデカい。
デカいからむしろ弱体化してしまったのだろうか。
そうだ、そうに違いない……じゃないと本部のターンがこんなに続くものか……

そんなジャックの正中線上に本部は木刀を振り下ろす。
如何に本部と言えど一般人なら頭蓋骨陥没は免れない一撃である。
ジャックの額からも血が出る。
だが、範馬星人なら……ジャックなら……
ダウンしたぁ-! ジャック、ダウンしちゃったぁー!
あ……本部が……ジャックに……勝った……?

「ん~~~……」
「アホウ」


本部のこの余裕、思わずブン殴りたくなっても誰が責められようか。
まぁ、これで本当に負けたら本当にアホだ。
アホ丸出しだ。
今すぐ伸ばした両手足を圧縮して193cmに戻した方がいい。
というよりも、最大トーナメント決勝戦で圧縮路線に目覚めただったはずのに伸ばす路線になってしまったのがよろしくないか。
今すぐゲロれ!

「木刀でこと切れるタマか」

これで勝利宣言でもすればむしろ安心なのだが、今の本部は両手をベルトで縛るまでは油断しない。
ジャックが未だに健在だと見切っていた。
どうもピエロになる気が見られない。
小指くらい取れよ。ジャックなら小指だけで本部を転がせるから。

ジャックは首を支点にして回転しながら跳ね起きる。
あえて腕を使わないアクロバチックな起き上がり方だ。
200kgの体重を支える首の筋力は本部にはないものであろう。
格好いい起き上がりは強者には欠かせないものである。 ダメージを感じさせない狙いがあるのだ。多分。

「武器ヲ取ラセテ対等フェア
「間違ッテイナカッタ」


本部の怒濤の連撃を受けたジャックだったがダメージはないようだ。
元気よく腕力で上着を破り捨てる。
武器があるからジャックと本部が対等というのも違和感しかないが、当の本人がそう言うなら公園武器あり普段着本部はジャックと互角!

本部はジャックの隙を突くことでダメージを重ねた。
だが、一応ダメージは与えられていない。
正面対決となれば本部はダメージを与えられず敗北するか?
それともスネを叩き続けて倒すか? 世界の命運がどうなるのかはまだ誰にもわからないのであった。
次回へ続く。


本部絶好調!
悪い夢を見ているような気分だ。
というか、悪い夢そのものだ。
ま、まぁ、ジャックは最初は攻撃を受けるタイプですから。
ダメージはなさそうですから。
……スネでメッチャ怯んだけど。

本部の攻撃はまるでこれが真剣勝負だったらと言わんばかりだ。
もし投げていたのが煙草ではなく手裏剣なら……
木刀ではなく真剣なら……
そう言うしか本部が生き残る術はないように思える。
勝ち逃げするなら今しかないぞ!
もちろん、執念深いジャックからは逃れられないがな!

容赦がないのがジャックの強みだ。
範馬一族特有のフィジカルと容赦のなさで相手を押し切るのが勝ちパターンである。
だが、今の本部も容赦がない。
そして、刃牙・勇次郎・ピクルと容赦がない相手との戦績が悪いのがジャックなのだ。
つまり、今の容赦のない本部には黒星の可能性も……?

それにしても本部のダーティさはまるで死刑囚、いやそれ以上だ。
こいつ、実は死刑囚だったりするのだろうか。
本部の正体は脱走中の死刑囚でももう驚かないぞ。
あるいは親子喧嘩から武蔵復活までの空白の1年間の間に死刑囚になっていたか?

いっそのこと死刑囚たちに本部流を教え込み暗黒本部軍団を作り上げていたりして。
ガリ痩せスペック! 精神崩壊済みドリアン! 失明したドイル! 金玉と心が粉砕したシコルスキー! 死んだとされた柳!
暗黒本部軍団、クッソ使えねえ!
でも、使えないくらいが本部らしくていいかも。
今回も違和感ばっかりだったし、闇堕ちしたヒロインを取り戻すみたいな感じでいつもの本部を取り戻してください……