烈の方が圧倒的だと思っていたが、無念にもぶっちぎってしまった。
逆に言えば梶原さんが生存すれば烈も生存するのだ。
そうだ、そうに違いない……
起き上がった工藤は梶原さんを締めつける。
かつて十兵衛に大ダメージを与えた腕力による締めつけが(今度こそ)梶原さんを襲う!
この締めつけに梶原さんはいきなり吐血する。
ああ……もうあかんて……
梶原さんは命の奪い合いに生きてきたというか、生きたい人間である。
死の淵に立たされたからと心は折れない。
目潰しを試みるが抱え込まれていない左腕は欠けている。
なので、頬を撫でるだけに留まる。
工藤は左手を使って梶原さんの右足首を破壊した。
利き手でない左手を使ったのは梶原さんの右半身のバランスを崩させ、右腕を下げさせることが狙いだった。
それも右腕を抱え込むためだ。
工藤は覚醒直後だというのに一手先を読んだクレバーな判断をした。
頭の回転が鈍ってタオル投入を求めた梶原さんとは偉い違いだ。
やはり、喧嘩稼業は最後の最後まで頭を使った方が勝つのだ。
かつて十兵衛に締め付けを敢行した時は両腕を自由にさせてしまったがためにピーナッツ作戦で抜けられてしまった。
梶原さんにも暗行で抜けられている。
それら過去の失敗を踏まえ入念な仕掛けから締め付けを行ったのだった。
工藤が目覚めたのは技だけでなく駆け引きもなのだ。
これには工藤のセコンドの吉田もほほほーいとメッチャ喜ぶ。
ほほほーいって面白い喜び方だなー。
対して梶原さんのセコンドの澤は焦るしかない。
忍者を信じた結果がこれだよ!
工藤の怪力によって梶原さんの右肩は脱臼する。
梶原さんにとって命とも言える右腕が失われてしまった。
ああ……終わった……
もうお終いだぁ……死ぬしかないぃ……
ここで見せた梶原さん最後の足掻きはこれ! 忍術!
忍術は梶原さんにとって最大のネタ要素とも言える。
だってブラフを忍術と言うという新境地だし……
田島に忍術梶原柳剛流とか紹介されちゃうし……
剣術メインなのに忍術=ブラフメインにされちゃうし……
なお、忍術には元から心理術が含まれている。
加えて忍術と一番に言い出したのは文学だ。
なので梶原さんはあまり悪くない。
悪くないんだけど、まぁ梶原さんだからなぁ……
ともあれ、必殺の忍術開始だ。
解毒剤がある!
工藤のジャッジは嘘判定。
ヒト血清を早く打てば助かる!
工藤のジャッジは嘘判定。助かる可能性が100%ではないと示すことで真実味を出していると深読みもする。
ウマ血清ではほとんど効果が期待できない!
工藤のジャッジは嘘判定。
それでも自分の言っていることに賭けるしかないと梶原さんは言う。
今度は締めつけて返答する。
あかん、全然忍術が効果を発揮していない……
梶原さんは死を覚悟するが、脳裏に浮かぶのは仇を取るまで死ねるかという決意だ。
死を前に必死に足掻き最後の忍術を敢行だ。
もう勝つためではなく死なないための、生き残るための忍術である。
その忍術は「助かる可能性を放棄することを十兵衛はどう思うか」だった。
こいつ、工藤が大好きな十兵衛に触れてきやがった!
十兵衛は工藤相手に最後まで諦めずに戦った。
その姿に一番触発されたのは工藤本人だ。
梶原さんは工藤のもっとも繊細な部分を突いたのだ。
工藤は梶原さんを解放するが梶原さんは立ち上がれない。
ぐんにゃりと曲がったままだ。
だが、殺してはいなかった。
それは板垣組に解毒剤のことを探らせるためであった。
(屍がその毒と同一なのかは触れられていないが)0.5gで全人類を滅ぼせる凶悪な毒に解毒剤はなさそうだけど……
なお、血清の違いはよくわかりませぬ。大まかにググるとそれぞれヒトで作ったかウマで作ったかの違いのようですが。
工藤有利のこのルールで梶原さんを殺せなかった。
こういう強さもあると工藤は感心する。
梶原さんは駆け引きだけで工藤を翻弄したようなものだし、十兵衛とも違う異質な強さだった。
そして、恒例の燃えたぜ判定を出した。
それが決着の合図となり2人の審判は同時にジャッジを下す。
梶原さん、敗北! 工藤、勝利!
この結果に徳夫を除く参加者が各々なりの反応を見せる。
なお、十兵衛はメッチャドヤ顔。
そりゃ嬉しいわな。
どれだけ工藤のことが好きなんだ……
こうして第1試合がついに決着した。
梶原さんは負けたとはいえ、予想以上かつ想像以上に善戦した。
散々ネタにされた梶原さんであったが、喧嘩稼業有数の実力者である工藤と互角以上に渡り合うと本当は強かったのだ。
なので、負けても悔いはなかろうて。
格好良かったよ、梶原さん。……命乞い以外は。
何よりも梶原の真髄、屍も炸裂させた。
これで悔いがあるとか格好悪いことは言わないよねぇ?
首吊ってもいいんじゃよ?
しかし、格闘漫画で毒を盛るという変化球なんてさすが梶原さんですよ。
ん? ケ○○○ア○○ラ?
あれは格闘漫画じゃないから(辛口)
次は休載を挟んで主人公の出番となる、はず。
対戦相手の徳夫は何故か姿を見せていない。
今回みたいな参加者全員集合の場面にもいない。
どうしたのだろうか。屍には気付いていそうではあるが。
何はともあれ第1試合とは思えないほど盛り上がったので次も楽しみである。
今一番懸念すべきは木多先生がちゃんと完結させられるかの一点に尽きるな!
いや、泣くよウグイスの最終回は秀逸だと思いましたがね……
喧嘩稼業(4) (ヤンマガKCスペシャル)