XDに出てこなかったのは今日この日のため。
頑張れ、キャロル。蘇れ、キャロル。ウェル博士はちょっと眠ってて。
さて、時は遡ってエルフナインがジェネレーターを見せられた直後。
第6話ではそのままAパート終了したけど、メタルマンよろしくネックハングを食らうのだった。
メタルマンのパッケージの配色と劇中の配色は違うんだ。
本当に申し訳ない。
あ、ちゃんと本編見たことあります、メタルマン(謎アピール)
「バイオパターン照合」
「さあ、認証を突破してもらうゼ」
「――マスター」
エロ同人ならウチに任せるんだゼ!
そもそも気圧されている状態だからいとも容易く効果を発揮するのだった。
よってエルフナインに拒否権ゼロ。
無理にやれと言うよりこれを使った方が話が早い。
にしてもマスター、かつてキャロルがオートスコアラーに呼ばれていた名前を使うのが嫌らしい……薄い本で覚悟しておけ……
エルフナインは薄い本ではどれだけのマリアさんを堕としてきたと思っているんだ……(一部サークルだけです)
でも、認証を突破しろと言われましてもエルフナインはよく知らんような……
いや、キャロルの補佐をしていただろうから知っているか?
あるいはエルフナインではなく深層心理下のキャロルの想い出に語りかけている?
「その庭に咲き誇るはケントの花……」
「智慧の実結ぶ……ディーンハイムの証なり……」
ケントの花に智慧の実結ぶディーンハイムだとォ!?
ケントの花はリンゴの品種名にして彼のニュートンが万有引力の法則を見つけたきっかけである。
錬金術的には万物の真理に至るきっかけという意味合いだろうか。
智慧の実は言うまでもなくアダムとイヴが食べたもの。
その実の正体はリンゴ説やイチジク説など諸説あるが、シンフォギア的にはリンゴだろう。Appleだし。
その智慧の実とキャロルの血筋、ディーンハイムは関係ある?
ついでにキャロルのミドルネーム、マールスはリンゴの意味を持つ。
うわぁ、今まで触れられてこなかったキャロルの血筋にもスポットライトが……?
「稼働は順調」
「廃棄されたとはいえ高密度のエネルギー体」
「これを利用しない手はないでアリマス」
さて、廃棄躯体を動力源とするのがノーブルレッドの狙いのようだ。
なるほど、その廃棄躯体を動かすためにキャロルの身体が必要だと。
シェム・ハの腕輪そのものにエネルギーがあるようだけど、エネルギーはあるに越したことはないか。
にしても神の力を移して量産型防人軍団を作り出すかと偉そうに予想並べたけど全然違ったよ……
感想中で展開予想するとこうなるから困りますね!
だから、あまりやりたくないんだけどキバヤシの如く仮説を思いついたら叫ばざるを得なかったんだ!
許して欲しい……
「そして、コイツの利用価値はここまでだゼ」
「あとは心を破壊して――」
廃棄躯体は無事に起動。エルフナインは用済み。
というわけで、
この能力、一度かかれば第三者にも発動可能ととかく便利だ。
何かこれだけでミラアルクの重用してもいい気がするけど……完全に洗脳できるわけじゃないからそこで評価を落としているのか?
「これ以上、オレを覗き込むなッ!!」
「どうしたでアリマスかッ!?」
「コイツ、何を……ッ!?」
キャロル!?
出てくるの、早!?
久し振りの登板だけど何か怒りっぽさはそのままだし、全然平気そうでアリマス!?
キャロルは錬金術マスターにして数百年生きた精神の怪物。
精神を乱す
「制御不能ッ!?」
「腕輪から抽出されるエネルギーが抑えられないでアリマスッ!!」
「このままでは――」
それと時を同じくしてシェム・ハの腕輪は制御不能になる。
神獣鏡の欠片だけでは止められないのだった。
シェム・ハの腕輪は輝き未来さんにその光が迫る。
エルフナインの拿捕と覚醒、ヴァネッサの出動の間にこんなことが起きていたのだった。
……シンフォギアは相変わらず時間の流れが濃い。
「まさか、チフォージュ・シャトーが稼働しているのッ!?」
「こいつら、廃棄施設をアジト代わりに使っていやがったのかッ!!」
こうして前回にラストに続くワケダ。
せっかく裏をかいたつもりがあっさりとバレてしまった。
ただ装者たちとしても予想外だったのか、けっこう普通に驚いている。
何せラストダンジョンが再利用されたのは初めてだ。 カ・ディンギルだって投げ捨てられたまま。
……そっちはそっちでそのうち利用しそうな気がするでアリマス。
「はぁあぁああああああッ!!」
と、意識が向いた隙にヴァネッサはクリスに蹴りかかる。
クリスは不意を突かれてしまうがマリアが素早くフォロー。
プチョヘンザを手放したが優勢は維持するのだった。
この辺、本当にフォロー体質だな、マリアさん……
前回もフォローが決め手になったしな……
なお、自分で決めようと隙だらけと言いながら突っ込むと隙だらけの背中を撃たれる。
「逃がすかッ!!」
「フンガァーッ!!」
ついに開帳! フンガー!
ガンスにアザマスに続いてどこかで叫ぶかと思ったけどここでフンガーと叫んだ!
そして、接近、ハンドガンの銃口に指先を突っ込む。
この状態で撃てば当然暴発するしクリスは躊躇する。
破れかぶれかと思いきやけっこう有効な手であった。
が、クリスはステファンの脚を撃ち抜いた覚悟を持つ女。
躊躇こそしたもののすぐに決意をし引き金を引く。
当然、爆発が起こるのだった。
……あの、もう片方のハンドガンを取り出して撃つのはダメだったんですかね?
それとも取り出している隙を突かれることを危惧した?
決断が遅ければヴァネッサのハンドバルカンでクリスの方が大きなダメージを受けていたかもしれない。
何にせよ覚悟の選択肢だけあり、ヴァネッサの反撃を受けることはなかったのだがいろいろと紙一重であった。
「どこまで奔放なのッ!?」
「びっくりさせちゃった?」
「だけど、こちらも同じくらい驚いているのよ」
マリアさん、あんたの感想もけっこう奔放だね……
まぁ、自分の指先を銃口に突っ込んで無力化を狙うなんて、通常の戦闘術にはないから奔放と言えば奔放だけど。
そんなわけでヴァネッサは右手を失ってしまうのだった。
だが、錬金サイボーグなので痛みはなさそうだ。
右手を失ったことでむしろ二人を威圧する結果になったのか、テレポートジェムで逃げようとするヴァネッサを妨害できず見送ってしまうのだった。
実力では劣っているけど思い切りの良さと意表を突くことに関しては装者たちを上回るノーブルレッドだった。
なお、おっぱいからジェムを取り出す時の胸の揺れが凄い。
この人、おっぱい描写が凄い。
作り物のはずなのに……ミサイルのはずなのに……
それとも作り物だからこそダイナミックに揺れるのか?
フィクションだからこそノンフィクションを上回ることがあるのだ!
「本部ッ! 状況を教えてくれッ!!」
「先日観測した同パターンのアウフヴァッヘン波形を確認ッ!!」
「腕輪の起動によるものだと思われますッ!!」
「これがシェム・ハ」
「アダムが予見した復活のアヌンナキ」
さて、ヴァネッサを逃がしたので必然次の事態、目覚めた神の力に当たることになる。
この時に本部に意見を求めるクリスがいいデスね。
かつては前線に立つ防人に背中を任せられなかったのに今では銃後を信頼できるようになっている。 こうした信頼関係の前進が特にクリスは描かれているのであった。
というわけで、シェム・ハの腕輪の起動を確認。
つまりはアヌンナキの復活……なのだが、そこに込められた訃堂の意図はまだ読めていない。
どうにか神の力を自分のものとする算段があるはずなのだが……
さて、意外と小さい神の繭。
ディバインウェポンや破壊神ヒビキの如くビームでけっこう無意味に周囲をなぎ払う。
その出力はさすが神の力。
3度目なれど未だに脅威的な破壊力である。
「敵は大筒、国崩しッ!」
「ヘリで詰められる間合いには限りがあるッ!!」
「それでもここまで来られたら」
「十分デスッ!!」
そんな神の繭にヘリで近付く装者たちだが対空砲火でなかなか近付けない。
そして、防人の防人語が冴える。
国崩しって……この人、やっぱりメンタルがヤバいほど防人語を言う傾向にあるんデスね……
なお、国崩しとは威力の大きな大砲の形容である。
そんな防人を無視して出撃!
XVはシリーズ最多の落下変身でアリマス。
それだけ不測の事態に対応する展開が多い、つまりは敵の思惑に振り回される展開が多いということか。
「Zeios igalima raizen tron――」
今回の変身バンクは切ちゃん。
誰だ、この美少女!
目を閉じて黙っていれば誰でも美少女。それがシンフォギア。
というわけで、一度目では省略されたラピスも実装。
あとは認可さえ下りれば誰でもアマルガムになれるというワケダ。
「天真+爛漫×重低音ブッぱDeath」
「可愛さ余って肉を食べたい少女の参上Death」
「未完成愛Mapputatsu!」と共に勃発!
百戦錬磨の響と防人に成長著しい切歌と調の4人チームである。
切ちゃんはイケメン顔を披露しつつビームで迎撃する繭に対して防御しつつ接近する。
ディバインウェポンのビームは絶唱を使わなければ防げなかったが、今回は適合係数に劣るザババコンビでも捌けている。
ディバインウェポンよりも破壊神ヒビキ寄りの攻撃力であることがわかる。 神の力そのものは強力だが意図が込められていない天然物はあまり強くないらしい。
「抉り散らし大鎌タイフーン」
「目が廻るけどえんやこらさ」
「日夜ガンバルDeath」
翼と響も捌きつつ接近する。
あ、切ちゃん。それでかわせるんだ……
ビームをかわしながら近付くってシチュエーション的には格好いいはずなのに、切ちゃんのせいで絵面的には面白くなってしまっている。
歌詞がマッチしているのも小技。
罪造りな女よ……
「決戦のFight Song、重ね合う歌が」
ビームが捌かれるので今度は触手で攻撃。
響と翼は昨今ブームの波乗り回避に成功するが調はかわせない……
と思いきや切歌が援護防御!
いつもは調が切歌を守ることが多いが今回は逆である。 引いては無茶を無茶でカバーすることが多かったけど、今回は切ちゃんも余裕を持ってカバーしている。
技量が上がっているということか。何この美少女。
「調ちゃんッ!? 切歌ちゃんッ!?」
「機動性においてはこちらに分があるッ!!」
繭の攻撃力はビームも触手も圧倒的。
しかし、動かない以上は機動力で立ち回れる。
最近の防人らしからぬまともな台詞だ。
君、最近は正気を失うことが多かったのに……
その言葉に嘘がないように足周りで翻弄しつつもしっかりと触手を捌いて立ち回っている。
ただその一方で響と違ってザババコンビの心配をしていない。 第1話の時には沈んだ響を心配していたように仲間をちゃんと気遣えるのに……
だからこそ、AXZ第9話では調を気遣うことができたのに……
判断そのものは間違ってはいないが、……周りがやや見えていないのも事実……
「まずは距離を取りつつの威力偵察だッ!」
「――行けるなッ!!」
敵は強大。
であるからには無理に倒しにかからず威力偵察……
いや、至極まともな思考だ。君は正しい。
ただ……一方で翼らしくない。
こうして引っ張るタイプだったか?
ここも第1話では響とマリアのために道を拓いたように先輩としてカバーする戦いをしていたような……
こうした戦いは前に出る奏らしさを感じさせる。
だからこそ、訃堂のみならず査察官やオペレーター代理の言葉に惑わされたのだろう。
今の翼は自分の戦い方ではなく、自身の中の理想、奏の戦い方をなぞっている……?
仲間との出逢いで今の自分の、奏に依存しない自身を見つけたはずなのだが……
「――はいッ!!」
「――デースッ!!」
もっとも状況的には正しい防人の言葉に二人は従う。
二人にとって翼は強く引っ張ってくれる頼れる先輩だし、そんな先輩に信頼されたことが嬉しいのがわかる。 あまり接点がない(特に切歌)けどちゃんと翼を慕っているわけデスよ。
そりゃ後輩としては嬉しい。
嬉しいが……やはり付き合いが長いわけではないからか、ズレていることには気付いていないのだった。
「装者応戦ッ!」
「ですが……ッ!!」
「高次元の存在相手に有効な一撃を見舞えてませんッ!!」
ザババコンビは翼の指示通りに立ち回る。
調子はいい。
調子はいいのだが、相手は高次元の存在。よくわからんがスゴい相手だ。
なので、決定打を与えられていない。
何度か乗り越えた神の力だが容易くはなくやはり手強い。
棺といいカストディアンに連なる存在はどれも手強いのであった。
「二人でほら切って拓く広い世界にィィイイッ!!」
そこで切歌が放つのは「凶鎖・スタaa魔忍ィイ」!
かつてアダムの動きを止めた一打である。
アダム相手にも通じただけあって触手を切り裂く。
勝ったな!
ところでお前ら、未来さんが取り憑かれているかもしれないから手加減しろよな!
「切ちゃんッ!?」
だが、並行世界の同一存在にダメージを肩代わりさせる能力発動!
神の力と言ったらこれ。
ヨナルデパズトーリにもディバインウェポンにも実装されていた強固な防御力である。
忘れた頃に発動するこの力に不意を突かれ、切歌はクリーンヒットを受けてしまう。
何せ俺も忘れていたからな! 仕方ねえ!
「神を殺すのはやはり……ッ!!」
倒れた切歌に
攻撃だけなら倒れた切歌にビームなり触手なりで追撃すればいい。
何故、姿を変えて迫るのか……
この辺の行動様式は攻撃性に特化したディバインウェポン、暴れるだけの破壊神ヒビキとはどこか異なる。
アヌンナキ、あるいは未来さんの心理が影響しているのか? つまり、レズ……?
「うおぉおおぉおおおッ!!」
「――神殺しの拳ッ!!」
神には神殺しの拳!
響が神殺しを持つことは既に周知の事実である。
ならば、切り札として最短で最速で真っ直ぐに一直線に振るわれる!
こうしたシステムの活用は熱いデスね。
でも、未来さんが依り代になってるかもしれないから手加減したって!
「響さんッ!!」
イケメンスマイル。これは惚れる。
勝ったな!
わたしは歌でブン殴る!
「エネルギー収束ッ!」
「このままでは響ちゃんがッ!!」
が、即落ち2コマ。
イケメンスマイルの隙を突かれ触手に絡み付かれてしまう。
棺に殴られた時といい地雷といいXVの響は即落ちネタが好きだな!
先ほどまでの散発的な攻撃とは異なり、一気に響に攻撃を集中させている。
響が神殺しの力を持っているとわかって危険視したのか、あるいは別に事情があるのか……
響に戦わせたくない未来さんの深層心理が反映されたとか……
「負けられない……」
「わたしは未来を……未来にもう一度……」
「もう一度ッ!!」
「へいき……」
「わかってるッ!」
「だから、今は無茶できないッ!!」
「へっちゃら……」
未来にもう一度何を望むのか。
それは語られないが何にせよ未来への想いを叫び拘束を破る。
……が、大ダメージだったのか、ギアが解ける。
ダメージでギアが解けるのはけっこうな珍事だ。 何せGX第8話で響が気絶しているけどギアが解けていない。
AXZ第4話でもラピスによるイグナイトキャンセルを食らって響翼クリスの3人が気絶したが同じく解けていない。
これらの事例を鑑みるにダメージでギアが解けることは基本的にない。
ギアが解けるのは本人の意志、あるいはコンバーターの破損となっている。
が、今回はダメージでギアが解けている……
自然そうでいて珍事そのもの。
それだけに何か意味があるのではないか。
……未来さんの深層心理、響の戦わせたくない意志が映し出された英雄殺しとか。
にしても、調が一番に駆け付けるのがエモい。
かつては嫌っていたけど、今では心から響を慕っていることがわかる。
こういう些細な描写からもキャラクターの心理の変化が窺えるのがシンフォギアの魅力。
「切り札たる立花を失えばそれだけ遅れを取ることとなるッ!」
「ここは撤退し態勢を整えなければッ!!」
いろいろ怪しい防人だが今回の状況判断は全体的に花丸。
遅れてマリアとクリスが駆け付けるが無理に勝負しない。
慎重でありながらも正確な状況判断である。
周りからの横槍がなければ状況判断をあまり間違えないのかも。
逆に言えば周りに誰かがいればポンコツになる。
独りから仲間を得て成長した翼が、今は仲間がいない方がまともなのは皮肉だな……
「立てるか、本部に戻るぞ」
せっかくやってきたけど人命救助最優先のクリス。
最近のクリス、メチャクチャ響に優しいな!
いや、弱り目の響に優しいのはいつものことだけど。
響と違って空気を読めるだけのことはある。
翼も翼でちゃんと繭……というよりも胎児を警戒しているとちゃんと仕事している。
身体の部分を触手が包んでいたから繭に見えたけど、触手が解けて四肢が見えるとまるで胎児だ。
胎児は先ほどまでの猛攻はどこへやら、撤退を始めた装者たちに追撃をせず、不気味にだがじっと見守っている。
やっぱり、未来の深層心理が行動様式に反映されているんじゃ……
それならそれで切歌にエロいことをしようとしたのが不思議だけど。
レズ? やっぱりレズ?
「神の力は固着を開始」
「だけど、想定以上の質量に場外へと緊急パージしたのがこの体たらくだゼ」
「遊びなしのいきなり過ぎる展開はそういう……」
「遠からずこの場所は突き止められていたはず」
「むしろ、神の力の顕現でシンフォギアを退けられたのは僥倖でアリマスッ!!」
さて、その間にヴァネッサは帰還、事の経緯を聞かされる。
勝手に始まったら制御不能になってパージしたのだった。
意外にも訃堂は関係なかった。
あのお爺ちゃんもそこまで好き勝手暴れられないらしい。
まぁ、あと2話くらいしたら止められなくなりそうだけどな!
そして、未来さんが神の力の依り代になったわけではないことが判明した。 ティキや響の時とは違ってシェム・ハの腕輪の起動だけ担当したようだ。
だから、神殺しの拳を遠慮なく振るったワケダ。
未来さんだったらもう少し躊躇する。
そんなわけで未来さんは『まだ』無事なのであった。
一方で胎児の行動事態には未来らしさを匂わせているし、何かと危うい立ち位置なのは変わらないが……
未来さんが無事なら無事で今は何を依り代にしているかは気になるところだ。
神の力はそれだけではカタチを為さない。
神獣鏡の力で制御された結果?
イレギュラーなだけに怪しさと危うさが漂うのであったとさ。
「決戦が近いとなると……お荷物の処分は早めに済ましておきたいところだゼ」
保留になっていたエルフナインは始末の路線で行くらしい。
いざという時の人質として使うのもありだとは思うが、
じゃあ始末するのがベターな選択肢。
マリアさんなら無理な行為だな!
殺すどころかAppleでブン殴る!
「見た目以上に響のダメージは深刻」
「だが、翼の撤退判断が早くて最悪の事態は免れたようだ」
さて、S.O.N.G.。
撤退に無事成功、響は治療中だった。
わりと頻繁に倒れるなー。
それにしてもギアの解除といい見た目以上にダメージは深刻というのが解せない。
やっぱり、未来さんの影響……? サソリ座の英雄殺し……?
最強の敵となるであろうアヌンナキもとい未来ンナキ。
最強が最強たる所以は純然たる力だけでなく何らかの特性にあってもおかしくはないのだ。
「いえ、弱きを守るのは防人の務め」
「きっと、奏だってそうしたはずです」
えー……何言ってんの、この人……
褒められたと思ったら、この満面の笑みからのピントの外れた言動。
戦闘で正確な判断と立ち回りを見せたのも束の間。
やっぱり、この人、ダメ! 調子が全然ダメ! それにしても弱き弱きと言いまくっている。
……幼少期に訃堂にこんな感じに防人の心得を説かれたのか?
そんな翼を最後に支えている防波堤が奏のようだ。
先陣を切る戦い方も奏らしい気がする。
無印の頃の精神状況に逆戻りしている。
ここが崩された時、訃堂の傀儡となってしまうのか。
あるいは奏から真の独立を果たすのか。
頑張れ、防人。負けるな、防人。お前の薄い本はいらんが活躍はして欲しい(非情)
そんな翼の言動と様子を見て弦十郎は訝しむ。
こう見えて響の心の歪みやクリスの抱えた葛藤に気付いたりと人の心の機微に敏感だ。
それに弦十郎は翼との付き合いが長い。
こんな可愛い顔を見せることは滅多にないことを知っている! にしても、翼が凹んでいることに装者たちは気付けど、おかしさに気付いたのは弦十郎が初。
XVにおける弦十郎の見せ場には翼が、風鳴一族が絡んできそうだ。
「司令、マリアさんから提案のあったデータの検証、完了しました」
「データの検証?」
「何デスか、それは」
「腕輪の起動時に検知される不協和音に思うところがあってね」
「あの音に経年や電波距離による言語の変遷パターンを当てはめて予測変換したものになります」
さて、一方で順調に打たれ強さを手にしたマリアは推測を調査に移していた。
出来るオンナは仕事が早い。
そして、経年! 電波距離! 言語の変遷パターン!
ものそい多角的に検証が行われている。
こういう仕事をサクッとこなすのが藤尭の地味にスゴいところ。 さすが軌道計算を暗算で行う男だけのことはある。
「この曲……どこかで聞いた……」
「いつかにマリアが唄ってたデスよッ!!」
「知ってるのかッ!?」
結果、Appleに酷似したメロディが流れる。
シェム・ハの腕輪が奏でる音はApple……つまり、アヌンナキとAppleは深い関係を持っている。
なお、Appleをけっこう聞かされたであろう切歌と調はわりと塩反応。 さ、最近、唄っていないから……
「歌の名は『Apple』」
「大規模な発電所事故で遠く住むところを追われた父祖が唯一持ち出せた童歌」
「変質変容こそしていますが、大本となるのはマリアさんの歌と同じであると推察されます」
「アヌンナキが口ずさむ歌とマリアの父祖の土地の歌……」
ここで来たか、チェルノブイリ!
OPの描写から鑑みるに発電所事故はチェルノブイリ原子力発電所の事故だろう。
その付近にマリアたちの父祖は暮らしていたが事故で離れざるをえなくなった。
Appleの原点はチェルノブイリにある……
それは立ち入ることのできない場所にAppleとそれにまつわるアヌンナキの真実が秘められているということを意味し、人間の力では真実を探れないことも意味する。 何せチェルノブイリ付近には300年は人が住めないと言われている。
である以上、2045年の今でもチェルノブイリには踏み込めないのは間違いなく……
ただ可能性はある。
反応兵器を無力化したラピスの力である。 そのラピスの力を持つ今のシンフォギアなら、あるいはチェルノブイリに踏み込みAppleの真実に至ることも……
まぁ、ここまでいろいろ書いて予想が外れるとか普通にあるんデスけどね!
あったよ! 防人軍団とか全然外れだったよ、コンチクショウ!
「フロンティア事変にて見られた共鳴現象」
「それを奇跡と片付けるのは容易いがマリア君の歌が引き金となっている事実を鑑みるに、何かしらの秘密が隠されているのかもしれないな」
さらにGの最終局面においてAppleが70億の絶唱の引き金となったことにも触れられる。
一見すると奇跡と思しき現象にもしっかりとした所以が存在するのがシンフォギア。
だからこそ、Appleで人々の心を束ねたことも奇跡ではなく何かがあるのだ。 まぁ、問題はその人々を束ねる奇跡を敵が使う可能性があるということですがね……
「敵の全貌は未だ謎に包まれたまま」
「それでも根城は判明した」
「俺たちは俺たちのできることを進めようッ!」
「おそらくは未来君とエルフナイン君もそこに囚われているに違いないッ!!」
「「「「「了解ッ!!」」」」」「デースッ!!」
謎は多い。
だが、少なくともアジトは発覚した。
それに装者たちにはまだ伝えていないが……風鳴機関の関与も判明している。
S.O.N.G.は一歩ずつ進んでいることに間違いはないのだ。
それにしても俺たちにできること……風鳴機関は八紘に任せているとか?
……うーん、訃堂に何かやられそうでとても不安。
「じゃあ、わたしが誰かを困らせてたら響はどうするの?」
さて、Bパート始まりと同時に響の夢の中。
第1話の問いかけがリピートされる。
あの時、響は答えを出せなかった。
未来の問いかけもここで終わっていた。
「でも、その時は響に止めて欲しいな」
「何で、わたしが……?」
振り返るは、交わされなかったはずの言葉。 夢だからか、存在しないはずのあの日の続きを紡ぎ始める。
未来は響に止めて欲しいと呟くのだった。
でも、ピンと来ない響である。わりと平時はいつもこう。
「響にはそれができるんだもの」
「わたしの大好きな世界で一番優しい拳で」
「よく、わからないよ……」
「お願いね」
「だって……わたしの全部を預けられるのは響だけなんだから」
未来の言葉は響がかつて受け取った言葉である。
「世界で一番優しい拳」はGX第13話、「わたしの全部を預けられるのは響だけ」は無印第8話である。
未来は響に伝えられない想いを抱えているが、伝えた想いもまたいくつもあるのだ。 ……かつてナスターシャ教授の墓前で切歌と調が言った言葉が思い出される。
「ここはマムが遺してくれた世界デス」 「答えは全部あるはずだもの」
……響が求めている答えは未来が残した言葉の中にあるのかもしれない。
「未来……」
だが、響の意識は戻らない。
まぁ、寝込むのは毎度のことだが……神の力に対しては響は絶対にして唯一の決定打となる。
この状況での欠席は痛い。
……次目覚めた時は未来ンナキとして覚醒した時とかじゃないでしょうねー。
さて、チフォージュ・シャトー。
じゃけんトドメを刺しましょうねー。
査察のおっさんを殺した凶爪が迫る!
おっさんを殺したあの爪が!
おっさん!
何で死んだの!
普通に死ぬわ。
「新調した右手の具合を確かめなくちゃ」
「たまにはお姉ちゃんらしいところも見せないとね」
「神の力が神そのものへと完成するまでにはもうしばらくの時間が必要」
「それを邪魔する要因は小さくても取り除かなければ」
が、ヴァネッサがトドメを刺す気であった。
ミラアルクは……思うところがあるかもしれないが譲るのだった。
なお、新たな右手に秘められた武器は高周波手刀。 ヴンヴン音が鳴って面白いので困る。
真面目に考えるとヴァネッサは何だかんだで接近戦で押されていたから、そこを近接用パーツで補おうという思考だろうか。
というわけでジョジョ立ちをしながらSATSUGAIせよ!
「コイツッ!?」
「気付いていたでアリマスかッ!?」
その高周波手刀、死んだフリに気付かずあっさりかわされる。
相手、素人なんですけど! ダセエ!
そこはノーブルレッドは弱い相手が慣れていないことの表れだろうか。
強者には手練手管で対抗できるが、弱者には侮ってかかるので不覚を取ってしまう。 つまり、ノーブルレッドは戦力面だけでなく精神面でも弱いということである。
「あら、自分が原因で世界に仇為してしまった以上、生きているのも辛くないかしら」
「たしかに昔のボクならば世界を守るためなら消えていいとさえ思ってました」
「だけど、この身体は大切な人からの預かり物です」
「今はここから消えたくありませんッ!!」
ヴァネッサは悪辣な言葉で迫る。
うーん、卑怯! おっぱいがプルプル揺れていなかったら許さなかったゼ!
対してエルフナインは自分の意志を貫く。
かつて、GX第10話では命は投げ捨てるものをしそうになった。
が、今ははっきりと生きることを諦めない。
技術面で多大な貢献を果たしているエルフナインだが、精神面の成長も著しいものがある。 この叫びはこうした成長の一端と言えよう。
「そう……」
「だけど、それは聞けない相談ね」
「どうすれば……だけど、ボクでは……ッ!!」
「次は外さないわ」
「――誰かッ!!」
例え世界に仇為してでも生きたいのはノーブルレッドも同じ。
だが、一切の同情を見せない。
エゴの塊であった。外道!
この辺が訃堂と共鳴した部分なのかも……あの人、ビッグ・ザ・エゴだし……
こうして迫り来る死を前にエルフナインは誰かと叫ぶ。
それはまるでGX第5話で切歌が叫んだように。
あの時は剣が助けに来た。
だが、今の剣はハッキリ言ってビッグ・ザ・イマイチ。 助けは絶望的だろう……
だが、あの時と同じく――剣が助けに来た。
剣は剣でも剣殺しのファラ・スユーフが!!
バ、バカな……キャロルの命に従ってその命を散らしたはずでは……!?
予想外の助けにエルフナインは言葉を失う。俺も失う。
全世界70億人の適合者みんなが言葉を失った。 この時の音楽がGXで使われた「抜剣――ダインスレイフ」なのが熱い……ヤバい……
「な、何なのッ!?」
「――
「その一振りをあなたが剣と思うならば――」
「日に二度もッ!?」
手『刀』ならば剣! ソードブレイカー発動!
予想外にして久し振りの登場だがその哲学兵装に翳りなし。
ヴァネッサの右手を破壊してのけたのだった。
しかし、これ、「剣だから壊せた」と言うよりも「剣ではないものを剣と認識させることで壊した」という強弁を使ったような……
いや、剣を翼と言い張る強弁を振るう今防人がいた。
それと比べたら剣と認識させることなど容易い。
ならば、これは剣殺し!
「――先手必勝ッ!!」
「派手に行くッ!!」
さらに棺が爆破。
レイア・ダラーヒムが派手に行く!
得意の投げ銭は命中こそしなかったもののノーブルレッドたちの意識を逸らすことに成功する。
「アハハハハァ☆」
「ちゃぶ台をひっくり返すのはいつだって最強のアタシなんだゾッ!!」
その隙をミカ・ジャウカーンがケツバットでブッ叩く!
ケツバットかよ!? お前らも仲良く並んで食らうなよ!
オートスコアラーたちが連携したことは基本的にない。
精々、GX第4話のガリィが幻惑で惑わしその隙をミカが突くくらいだった。
だが、今は見事に力を合わせてノーブルレッドを翻弄した……!
こいつら、仲良しだったな!
「あなたたちは……炉心に連結されていた廃棄躯体の……?」
で、大人気ゲス野郎のガリィ・トゥーマーンだけ攻撃しません。
代わりにエルフナインをお姫様抱っこ。
これはこれで美味しいでアリマス。
今のオートスコアラーはGX第4話で緒川さんが言っていた「お姫様を取り巻く護衛の騎士」の姿そのものだ。 キャロルの時は武力が呂布並みだったから守る必要ゼロどころか計画のために死ねだったけど、今は武力一桁のエルフナインだからまさに
「スクラップにスペアボディ?」
「呼び方はいろいろあるけれど、再起動してくれたからにはやれるだけのことはやりますわよ」
というわけで、復活のオートスコアラーはGXと同一個体ではなく廃棄躯体だったのであった。
廃棄だけあって傷が見える。
コンディションはハッキリ言って悪いようだ。
廃棄躯体ジェネレーターを使った時に再起動したようである。
ノーブルレッド、メッチャ墓穴! 人の物を使ったから!
この事実を鑑みるとキャロルはその気になればオートスコアラーを復活させることができたということである。 だが、キャロルはその選択肢を選ばなかった。
イグナイトに敗北したとしても戦力としては十分。
世界を壊す歌が完成した後は純粋な戦力として期待できたのに……
キャロルにはシンフォギアに対する絶対の勝機があったから? 時間がなかったから? 想い出の補充ができなかった?
……いや、きっと、多分、自身の目的のために命を燃やし尽くしたオートスコアラーたちの忠義を軽々しく扱いたくなかったのではないか。 オートスコアラーの最期を最期として受け止めることこそが、キャロルのオートスコアラーたちへの手向けだったのだ……
「マスターのようでマスターでない、少しマスターっぽい誰かだけど、マスターのために働くことがアタシたちの使命なんだゾッ!」
さて、廃棄躯体のオートスコアラーだが忠義は健在。
そう、オートスコアラーはマスターへの忠義を尽くす!
マスターがキャロルなのか、エルフナインなのかは大事ではないのだ。
それは寝取られ人妻のように薄情のようでいて、キャロルナインの本質を捉えているとも言える。 今のエルフナインはキャロルではないけれど、キャロルの肉体と想い出を継いだ紛れもないキャロルなのだ。
「この身に蓄えられた残存メモリーをエネルギーに利用したようですが……そうは参りません」
「さて、マスター、今後の指示を頼む」
「このまま地味に脱出するもよし」
「無論、派手に――」
「だったら、やりたいことがありますッ!!」
ボディ自体のコンディションが悪い上に残存メモリーということで残り物余り物。
が、オートスコアラーはマスターのために忠義を尽くす。死ねと言われれば死ぬ。
だから、最悪のコンディションでも命を、想い出を燃やすのだ。
その心意気を受け取ったからか、エルフナインはオートスコアラーに助力を嘆願するのだった。
「――司令ッ!」
「外部より専用回線にアクセスですッ!!」
「専用回線、だと?」
「モニターに回せるかッ!!」
「はいッ!」
「――うわぁあぁあああッ!!?」
ここで謎ポエムにあったEmergency Call。
正体はエルフナインからの通信であった。
おい、藤尭。アンタ、ビビりすぎ。
何でや! ガリィちゃん美少女やろ!
「ごめんなさい、ボクですッ!」
「エルフナイン君ッ!?」
「通信を行った以上、捕捉される恐れがあるため、要点だけ手短にッ!!」
「現在地点はチフォージュ・シャトー内部ッ!」
「ボクと未来さんはここにいますッ!!」
ミカよ、起動前のポーズを取っているのは面白いから止めなさい。
そんなわけでエルフナインは状況を伝える。
簡潔かつ必要要件だ。
ところでミカよ、起動前のポーズを取っているのは面白いから止めなさい(2回目)
「未来さんもそこにッ!?」
「……たりめえだッ!」
「そう信じていたから無茶してきてんだ」
「あたしらも、あのバカもッ!!」
何だこの子……聖女か……
クリスにとって未来もまた大切な友達であり、流す涙がそれを物語っている。
まぁ、クリスと未来の絡み、あまりないんだけどな……
本編でも絡んでいる姿は見たいデース。
「これからオートスコアラーたちの助けを借りて未来さんの救出に向かいます」
「神そのものへと完成していない今ならまだ間に合いますッ!!」
「君が?」
「無茶だッ!!」
「――そう、無茶ですッ!!」
「だから、応援をお願いしますッ!!」
「ここは敵の只中です」
「どうしたって危険が伴うのであれば戦うしかありません」
未来さん、まだ手遅れではない。
危険が伴う状況だが間に合うかもしれない。
そんな時にこそ全力を尽くす装者の姿を見てきた。
故にエルフナイン、退かぬ媚びぬ省みぬ。
オートスコアラーの復活も熱いがエルフナインの成長も熱い……
ところでミカはポーズを決めるのに飽きたのか、普通に座っていることで笑いを誘うのは止めていただきたい。
コイツ、全然ブレないなー……
少女を危険の只中に立たせることに弦十郎は辛さを感じていた。
命は投げ捨てるものの父親とは全然違う。 XVの弦十郎はこうした感情の機微が目立つ。
自身の目的のためなら如何なる犠牲も厭わぬ訃堂との対比だろうか。
八紘も人格者だし防人教育が全然実を為していない。そりゃ翼に期待しますよ。
いや、残り推定8人の風鳴一族は外道かもしれないけど……
「こちらも負傷で神殺しを欠いた状態である」
「この局面に響さんを……」
「救出に向かうまで何とか持ち応えて欲しい」
「頼んだぞッ!!」
「はいッ!!」
それでも弦十郎はエルフナインの決断に託した。
「子供のやりたいことを支えてやれない大人なんて格好悪くて敵わないんだよ」とは弦十郎の言葉である。
だからこそ、銃後として支えてきたのだが……今はそれができない。
それでもエルフナインの意志を尊重したからこそ、弦十郎の決意が重いのであった。
「……マスター」
「地味に窮地」
「今度はさすがに不意を突けそうにないかと」
そんな中でノーブルレッドたちは追いつく。
数では勝っているのに窮地。
弱気と言うよりも冷静と言うべきか。
前回まで散々ボコボコにできたノーブルレッドが今は立派な危機として存在しているのだった。
なお、この時のBGMがGX以来に使われるオートスコアラーのテーマ曲「終末の四騎士」である。 金子ぉ……!
「二人共ッ!?」
「ここは私たちに」
「ガリィにはマスターのエスコートをお願いするわ」
「任せて」
「目的地までの道のりはここに叩き込んでるから」
襲いかかるエルザをファラとレイアで押さえる。
さすがにアタッチメントにソードブレイカーは使えないのだった。
そして、ガリィ、性根が腐っているわりに信頼されてる。
何せ頑張り屋さん、つまりはマスターにとって一番の忠義者だからか。 だからこそ、一番乗りにこだわったワケダ。
ゲスだけどいい子。ゲスだけど。
「ミカも一緒にッ!」
「お前がついていれば私もファラも憂いがないッ!!」
「元気印の役割は心得てるゾッ!!」
最強のミカも護衛に付かせる。
この辺の役割分担には淀みがない。 オートスコアラーたちの仲の良さ、信頼関係が窺える。
キャロルの人格を元にしているのが大きいのかもしれないが……それにしても見事である。
「ごめん……」
「違う……ッ!」
「ありがとうッ! ファラッ! レイアッ!!」
「『ごめんなさい』よりも応援が欲しい」とAXZ第1話で切歌がエルフナインに言った言葉である。
その言葉に従ってか、「ごめん」ではなく「ありがとう」をファラとレイアに送るのだった。
どちらもキャロルだったら絶対言わない。死んでも言わない。だってキャロルだもん。
ただ……このどちらもキャロルはどこかで抱いていた気持ちかもしれない。
しないフォギアではキャロルとオートスコアラーはメチャクチャ仲良かったし。 だからか、この二つの言葉を受け取ったファラとレイアは、笑うのだった。
エルフナインでありキャロルの言葉へ示す感情はこれだけで十分であった。
「行かせやしないゼッ!!」
「この道は通行止めです」
「他を当たっていただきましょう」
「ああ、行かせるわけにはいかないな」
追いかけようとするミラアルクをファラのハリケーンアッパーで吹き飛ばし、レイア得意の投げ銭トンファーを放つ。
そして、キメる。
何この人(形)たち……惚れる……
人形であろうとマスターを守るという自身の意志を貫く姿は格好いいのであった。
え? 防人さん?
最近は全然意志を貫けていないから格好悪いね!
さて、エレベーターで未来さんの部屋でガンダッシュ。
あ、チフォージュ・シャトーってエレベーターあるんだ……
階数的には20階。
デカいような小さいような……
「ファラとレイアならきっと大丈夫ですよね……」
「「………………」」
「不足はいろいろありますが、それでも全力を尽くしてます」
「だから、マスターも全力で信じてあげてくださいな」
エルフナイン、普通にファラとレイアの心配をする。
オートスコアラーとどれほどの付き合いがあるのかはわからない。
しないフォギアを見る限り、オートスコアラーの完成間もなくクビにされているから、接点はほとんどないと見るのが自然だ。
が、オートスコアラーはキャロルの人格が用いられている……
だからか、エルフナイン自身の人の良さもあるけど、他人事とは思えないのだろう。
対して……ガリィとミカは沈黙で答える。
すぐにガリィは気丈に振る舞うものの手先の動きはぎこちない。
やはり、廃棄躯体に残存メモリーとコンディションは最悪そのものらしい。
イグナイトと互角以上に渡り合った盛時の強さは期待できそうにない。
敵としては最弱のノーブルレッドにも勝ち目はないのだろう。
というか、万全なら多分ノーブルレッドを普通にボコボコにしている。 特にミカなんてイグナイト+ザババユニゾンという装者最強の組み合わせでどうにか勝てると強さの桁が違う。幹部さえ勝てなさそう。
「――待たせたな」
「お仕置きの時間だゼッ!!」
「ゾなもしッ!?」
あ、何かホラー映画みたいな登場をした!
オートスコアラーは地味に窮地といい懐かし名台詞を言っているのが心憎い。
止めろ、金子彰史。俺の涙腺に響く。
ともあれ、先ほどの言葉を実証するように最強のミカがミラアルク如きにいとも簡単に投げられてしまう。
ば、万全ならボコだからな、テメー! 覚えていやがれよ!
「ああもう、しっちゃかめっちゃかぁ☆」
先ほどまで手先を満足に動かせなかったのに、マスターの手を掴む時には力強く動く。
こういうところが頑張り屋さんなんだゾ。
で、気になるエレベーター、急遽増設したもののようだ。
明らかに浮いているでアリマス。
風鳴機関の手によるものか。
「させないゼッ!!」
「く、この……ッ!!」
「マスターを頼んだゾッ!」
「そんな楽しい任務、ホントはアタシがしたいけどこの手じゃマスターの手を引くことなんてできないから残念だゾ」
だゾVSだゼ、世紀の対決が実現。
万全のミカならいい勝負どころか多分鏖殺するが、生憎コンディションは絶望的。
時間稼ぎが精一杯だろうか。
だからか……ミカの台詞も勝ちを前提としていないことが伝わってくる。
そして、いつも脳天気なミカらしくないどこか寂しさのある台詞である。
ミカは自分の手がリボンを結べないことを知っている。 だからか、手を引けないことも知っているのか。
しないフォギアのエピソードを本編に活かしてくるとは……!
円盤、買おう! 買ってた。
「だけど、格好いいです……ッ!!」
「ミカのその手ッ! 大好きですッ!!」
またもエルフナインというよりもキャロルの言葉だろう。 しないフォギアではオートスコアラーのオモシロポーズに赤面したりもしたものだが、造形には美意識が反映されているとも捉えられる。
ならば、ミカの特徴であるこの手もキャロルの信じる格好良さが詰め込まれているのだろう。
絶対に言わないけどキャロルの本心だ……絶ッッッ対に言わないけど……
「褒められたゾッ!」
「照れくさいゾッ!!」
「廃棄躯体が嘗めてくれるゼッ!!」
「こうなったら照れ隠しに邪魔者をブッ飛ばしちゃうゾッ!!」
マウントポジション取られても殴ればいいんだよ!
キャロルではないけれどキャロルの言葉にミカは喜ぶ。
マスターに労われたのはこれが初めてなのだろう。
そもそも任務完了=死なのでこんな言葉は構造的にもらえなかった。 しかし、奇縁が巡りマスターの言葉を聞くことができた……
泣かせる喃……
なお、褒められて照れくさい。
……パパに褒められたいキャロルの深層心理が多分に反映されているのではなかろうか。
エモさ全開のイベント……金子のおっさん、これだからズルい……
「あそこですッ!」
「あの向こうに、未来さんがッ!!」
未来さん、美少女顔で寝ていられないほどには追い詰められている。
ポプ子とかその辺がやる顔。
それでもあと少しで辿り着くところまでは来た。
ガリィ、健気にも命令を遂行している。
頑張り屋さんの面目躍如である。
敵にするとゲスそのものだけど、味方にすると健気すぎて泣けるのがガリィであった。
「――何をッ!?」
「ガリィッ!!」
ブーストノヴァナックル!
突如のポイ捨てでゲスいな!と思わせてエルフナインをかばうため。
いや、お前、そういうところやぞ……
そういうところが健気なんやぞ……
今回、ガリィは一人だけ戦っていない。
戦っていないが……いや、戦っていないからこそ引き立つ魅力が大爆発であった。
「やっと追いつけたわ」
復活のオートスコアラーたち、ノーブルレッドに蹴散らされる。
シリーズ屈指の実力者揃いだったが、最悪のコンディションではまるで勝負にならないのだった……
奇跡が存在しないのがシンフォギア世界。
なので、最悪である以上は奇跡の大勝利は存在せず、妥当な敗北のみが用意されていたのだった。
特にミカは格好いいと言われた手をへし折られているのがエグい。 ミラアルク……お前、そういうところやぞ……
「ボクを守るために……ッ!」
「いやですよ、マスター……」
「性根の腐ったアタシが、そんなことするはずないじゃないですかぁ……」
「だけど……ッ!!」
「もっと凜としてくださいまし……」
「アタシたちのマスターはいつだって……そうだったじゃないですか……」
「キャロルは……」
オートスコアラーはGXで倒された順番とは逆にやられている。
なので、最後に残るのはガリィとなる。
GXでは一番乗りで退場したガリィが今度は殿を務める……
どちらにせよ頑張り屋さん。ガリィってホントガリィ。
そんなガリィの言葉にはマスターに対する親愛に満ちていた。
キャロルのこと、本当に大好きなんだな……
あたしたちのマスターと言っている時に笑っているしな……
形は変われどマスターに忠義を尽くした他のオートスコアラーと違って、あくまでマスターを尽くしつつもキャロルを求めているようである。
ガリィにとってキャロルに仕えるのは忠義よりも親愛の方が大きいのかもしれない。 何せガリィは一番最初にロールアウトしたオートスコアラー、つまりはキャロルと一番付き合いが長いのだから……
「手に余るから脚で失礼しちゃいます」
そんなガリィを足蹴にする! まさに外道!
とことん血で汚れたミラアルクにも負けんと言わんばかりの外道っぷり。
汚れ仕事はミラアルクにだけやらせないという意思表示かもしれない。
ともあれ、外道! おっぱい!
「ガリィ……みんな……」
「手間を取らせやがるゼ」
「みんなはボクのために……」
「それもここまででアリマス」
おい、エルザ、さりげなくでけえツラしやがって。
ブッ○すゾ☆
ともあれオートスコアラー全員の力を借り、全員が命を散らしたが……未来さんには届かないのか。
目的のために命を散らすのはGXの時と一緒だが……
「じゃあボクはみんなのために何を……」
「あなたにできることはッ!」
「もはや一つッ!!」
かつては不発に終わったヴァネッサコレダー。
だが、今度の相手は車分身も空蝉も使えない戦闘に関しては素人の錬金術師。
故に必殺として迫るのだった。
これで忍術でかわしたら腹抱えて笑えるのだが……
笑えるけどいろいろ台無し。
「――みんなのためにボクはッ!!」
錬金バリア、だとォ!?
コレダー、日に二度破られる。
この錬金バリア、いずれの錬金術師も頻用している基本にして絶対の防御手段である。
サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティ……
そして、何より誰よりキャロルが行使している。
「何なのッ!?」
幹部クラスが使う錬金バリアにノーブルレッドは戦慄する。
エルザなんてガチで震えている。 何せ目の前のチワワが幹部クラスの錬金術師に唐突に化けたのだ。
そりゃ震える。泣きたくなる。俺も泣きそう。
ダウルダブラ、だとォ……!?
かつて、いつか、誰かが世界を壊す歌を唄った時のように取り出す。
そして、爪弾く。
それが意味するのは当然……!
オートスコアラーたちのマスターが、ダウルダブラのファウストローブを再び纏う……!
だが、かつての時のように大人にはならない。
しかし、そんなことはもはや関係ない。
オレたちの知っている奇跡の殺戮者はナリが小さかろうと奇跡を殺せる。
ヘッドパーツにはオートスコアラーたちの意志が宿っている……!
燃え泣ける演出である。
だが、それだけではない。
オートスコアラーたちのポーズはかつて戦ったライバルたちのキャラソンのポーズを模している!
レイアの投げ銭……
ファラのソードブレイカー……
ミカのバーニングハート・メカニクス……
ガリィの性根の腐り方……
そして……このオレの怒りがッ! 奇跡をブッ殺す!!
この怒りに満ちた強い視線は……やはり……!
パーツの分離と激情の瞳を見せつつ、オートスコアラーたちの属性を纏い……
碧の獅子機がパックンチョ。
そして、OPの最後を締めた3時のポーズ!
ダウルダブラのファウストローブ復活!!
アルケミックカルトの全てが詰まった集大成そのものの変身バンクであった。
付いてこれる奴だけ付いて来いと言う人たちに付いてきて本当に良かったです……
なお、GXのOPでは2時50分。
10分だけ時間が進んでいる。
マスターは数百年の時を幼女のままで、時間を止めたままで生きてきた。
そんなマスターにとって僅か10分の時が進んだだけでも大きな意味を持つに違いない。
「それですよ、マスター……」
「アタシたちが欲しかったのは――……」
最後の最後に慕い、そして望んだマスターの姿を見ることができた。
頑張り屋さんのガリィにとってこれ以上の本望はなく、……笑って逝くのだった。
忠義と親愛だけ生きたオートスコアラーたちであったが……その最期はマスターがそれに応えたものだったのは間違いなく……
ところでこんな感じに逝かなくて良かったネ☆
「この土壇場でデタラメな『奇跡』を……ッ!!」
「――『奇跡』だと?」
「――冗談じゃない」
いけない。言ってはいけない。
この人の前で奇跡なんて言えば立花響みたいにヒドい目に遭わされる。
「オレは奇跡の殺戮者だッ!!!」
奇跡の殺戮者、キャロルがもつれた糸を断ち切ってついに復活!!
自身の城とオートスコアラーを陵辱する不埒をこの怒りの権化が見過ごすはずがあろうか。
奇跡を殺すためなら神も悪もどうでもいい。オレの立つ場所が全だ。
これ以上ない舞台、これ以上ないタイミングで
そして、奇跡の殺戮者はキャロルだけではない。
研鑽と研究を重ねキャロルを復活させる下地を作ったエルフナインもまた、奇跡の殺戮者である。 そう、エルフナインが胸に抱いたキャロルとは違う、それでいて同じ奇跡を殺す意志がこの軌跡に辿り着いたのだ……
さらに先のキャラソンオマージュも忘れない。
キャロルのライバルと言ったら響なので響のキャラソンをなぞる。 ……肝心要の立花さんは寝てますけどね。
締めは自分のポーズも取る。
止めてくれシンフォギア、その術はオレに効く。
高くつくぞ、オレの歌は――
EDテーマは恒例の黒バックに奇跡を殺す歌、「スフォルツァンドの残響」を絶唱!
当然、唄うのはキャロル・マールス・ディーンハイム(CV:水瀬いのり)。
奇跡を殺す、歌がある。 次回へ続く。