バキ道感想 第55話「年の功」



渋川先生が力で投げられた!
巨漢がまさかの逆襲である。
いや、投げるだけならオリバでもできるから……
すっかりオリバは物差し状態である。
やっぱ負け方が良くなかったな。

渋川先生は投げられる。それも水平に投げられる。
絵面はギャグだが大事件である。
巨鯨としてもここまで綺麗に飛ぶのは初めてであろう。
むしろ、これは巨鯨がスゴいというよりもそうするように渋川先生がコントロールしたのか?

投げられた渋川先生だがただされるがままに観客席に突っ込むことはなかった。
身を翻して柵に着地、そこからさらに飛び上がって身体を回転させて地面に降り立った。 巨鯨の投げを完全に無効化している。
さすがは怪力無双のオリバの投げを無力化しただけのことはある。

「えれぇ事態ことだぜ」「「絶対技術」合気が「力」に返されたんだ」

「合気って力で返せるんだ…」「てか合気を返す「力」って存在するんだ…」

だが、地下闘技場戦士の見解は違った。
合気を破れる力に驚愕している。
完全に決まった合気からは誰もが逃れられない。
勇次郎でさえピクルに力負けした時にはとっさに合気を用いるくらいには絶対の技術だ。 合気はバキ世界においては物理法則そのものとさえ言える。

その合気を巨鯨は力だけで破った。
あのジャックやオリバが力で破れなかった合気を巨漢で力士が破ったのだ!
これは前代未聞の事件にして珍事ですよ。
……うん、珍事だな。
力だけでは破れない合気を破ったメカニズムは純粋に疑問だ。

ともあれ、合気の神話が切り崩されてしまった。
それも範馬一族ではなく力士相手に。
……一体、大相撲とは何なんだ?
かつての強者が乗り越えられなかった壁をあっさりと乗り越えるとは何が起きている?
この力士たちはみっちゃんが生み出した改造生物なんじゃないか?

ともあれ、こうなったら認めざるを得まい。
巨鯨の持つ力はジャックやオリバを凌駕している!
巨鯨の持つ力はジャックやオリバを凌駕している!
巨鯨の持つ力はジャックやオリバを凌駕している!
……お、俺はこの事実をどう判断すればいいんだ?
極端なインフレか極端なデフレが起きているのか……?

こうなれば気になるのは柳がどうやって目を奪ったかだ。 合気を上回る技術を柳も用いたのか?
空道も空道で合気と同じく魔法に近い技術体系だ。
そして、渋川先生は飛び抜けた速さやゆっくりとした攻撃、意を感じない攻撃と初見の技術には一杯食わされることが多い。

なので、柳はこうした初見殺しで目を奪ったのだろうか。
逆に言えば柳は真っ当に戦えば渋川先生としてはあまり怖くない相手の可能性もある。
だから、死刑囚編終盤の渋川先生は柳を舐めていたのかも。
さて、話を力士に戻す。
事態の重さは本人が一番感じているのか、渋川先生はノーダメージで済ましながらも大量の冷や汗を流している。
対する巨鯨も冷や汗を流していることから、合気を破ったとはいえ余裕とは言い難い。
巨鯨は渋川先生の繰り出す技を次々と破っているものの全てが驚愕と隣り合わせだ。
勝負の天秤はどちらに傾いているのかはまだわからない。

もっとも、この冷や汗は超常現象同然の合気に翻弄されている意味合いが大きいのかもしれないけど。 いきなり身体が重くなったりしてビックリで慌てているうちに思い切り投げたら投げれた!というのが真相かも。
巨鯨は合気を破ってはいるもののおそらくは勝機があって破ったのではなく、何となく流れで破っているのだろう。
その点、勝機を持ってダメージを与えた独歩、ジャック、Jr.とはまるで異っており、それだけに心理的な余裕はなくそれが冷や汗に表れている。
その辺は巨鯨の他流試合の経験の浅さが表れていそうだ。

「アンタ」「逃避にげたね」

合気を破られた渋川先生だったがここで巨鯨を煽る。
組み合いを挑んだのに、巨鯨は投げに逃げた! クレーマー同然の物言いである。
さすがは一時期は通り魔同然のことをしでかしただけのことはある。

合気を破られて劣勢なはずの渋川先生だが、相手が逃げたと論点のすり替えを行うことで優位に立った。
いや、優位に立ったつもりなだけで、実際は最大の武器を幾度も潰している巨鯨の方が有利だ。
だが、巨鯨は真に受けてしまったのか、動けていない。
力押しが通用するのなら力で押してしまえばいいのに、渋川先生に試合の主導権を握らせてしまっている。
そして、今度は渋川先生から巨鯨に組み付きマワシを握る。
力と力の勝負ではあるが、見方を変えればリーチの不利は出にくい。
渋川先生は技を破られ続けているが、試合を自分の望む展開にしている。 渋川先生の強さは技術だけじゃなく駆け引きもなのだ!

そして、巨鯨の身体能力は巨漢どころかバキ世界でも破格な部類のようだが、試合運びは拙いと言っても過言ではなさそうだ。
フィジカルによるゴリ押しで勝ち続けてきたことは想像に難くなく、それ故に駆け引きには疎いのだろう。
是非、駆け引きの達人の本部と戦わせてみたい。素手で。ただし、素手で。

「大相撲を」「嘗めてる」

金竜山、さすがにキレた。
大相撲を嘗めるようなことをしてくれれば金竜山としてはありがたいだろうに……
相変わらずどっちの味方かわからない。
そもそも宿禰が味方となっているのがよくわからないのだが。 金竜山、そのうち宿禰と共に離反するか?
そうなった方が話の流れとしてはわかりやすいんですけどね……

組み付かれると再び巨鯨は腰から下に重さを感じる。
巨鯨は合気を破ってはいるものの脅威には変わらない。
何せ理屈がわからない攻撃だ。
ここに至るまで何とか切り返せているのも結局は「何となく」だろう。
先述したように捌けているとはいえ見切っているわけではないので、心理的な負荷はけっこうなものに違いない。

渋川先生は組み付いて重さを感じさせるだけではない。
今度は渋川先生が巨鯨を投げた!
やぐら投げであろうか。
それを力ではなく技でやってのけた。
フィジカルや身長を無視する魔法のような投げであった。 物理攻撃じゃなく魔力攻撃じゃないか、これ?

合気は巨鯨の力によって破られた。
今度は合気によって巨鯨の力を破る番か? 巨鯨は異常な粘りを見せている。
そろそろ無理が祟って突然爆発してもおかしくはないぞ。
次回へ続く。
次回は来週! 休載を挟まない!
何か普通に掲載する方が驚きになってきましたな。
……でも、下手に毎週やって最強生物が犬になるよりはいいのかも。