バキ道感想 第104話「云われてきた言葉」



宿禰のケツ穴は守護られた。
宿禰の性癖も守護られた。
でも、ライバルキャラとしての矜持は壊された。
ケツ穴を掘られるのとどっちがマシだったのだろうか。
なお、今回の扉絵は全裸で背面を見せる刃牙だ。
刃牙の記号とも言える傷が全身に走っているのだが、ケツだけ傷がない。
ケツ穴は穢されていないという隠喩か? 深読みしない方がいいのか?


「この世は広い」
「あんな化け物がいた」


宿禰は土砂降りの中、町中を歩いていた。
よほどのショックだったのだろうか、傘も差していない。
みっちゃんがあの場には同伴していたから、徳川邸に戻るのなら一緒のはずだ。
それが宿禰一人なのだから、行く宛もなく放浪しているのだろうか。
あるいはみっちゃんに見捨てられたか? あのジジイ、興味を失ったオモチャにはとことん冷たいからなぁ……

オリバも横綱の零鵬も一蹴して、自分の強さに自身を持っていたところを理不尽に一蹴された。
ショックを受けるのも無理はない。
でも、刃牙相手にかなり手間取っていた時点で気付くべきだった。 いろいろと難癖を付けていたけど、刃牙は体重差を上回るパフォーマンスを見せて終始圧倒していた。
いや、炎に手間取ったのを見て「やっぱこいつ俺より弱ェわww」と思ったのかもしれないけど。

そうして失意を抱えて歩いていると、宿禰の前にハンチング帽・トレンチコート・サングラスの重武装をした男が立ちはだかった。
愚地独歩以外にこんなファッションをする男がいたのか……
その男は横綱零鵬であった。
って、お前かい!?
大相撲力士の中でもっとも持ち上げられて、もっとも貶められた男である。
使い捨てられず再登場したのはビックリにもほどがあるよ。思わず笑ってしまったよ。

零鵬の目的は当然復讐であった。
横綱の面子を潰されたままでは気が済まない。
例え横綱としての品位を貶めることになろうともこの男をブッ倒す!
そんな覚悟であった。



でも、零鵬さん、アンタ、試合後にけっこう満足した顔してましたよね?
あの試合内容でこの顔はおかしいと思っていたので、閉会式が終わってからしばらくしたらアレはいくら何でもないと思い直したのか?
たしかにアレはいくら何でもなかった。
劉海王ほどとは言わないけど陳海王くらいにはガッカリしたよ。
気・拳・地と調子乗っていたくせに一瞬でやられやがって。

さて、現在は大相撲力士との戦いから数日は経過していると思われる。
数日程度なので零鵬の怪我は治っていない。包帯を巻いている。
肋骨が丸ごと粉砕されて立っているだけでもおかしいくらいだ。
だが、怪我のうちに入らないと零鵬は凄む。
それを「なかなかのケガ」と宿禰は笑うのだった。
君のそういうところが不要な争いを生んでいると思う。
「オレは十分に認めてますヨ 横綱の強さ」

「四股は足らんがな」

「そんなこと根に持っちゃって」


宿禰は横綱の強さを認めていると言いながらも、根に持っているとスッゲエムカつく笑顔で取り繕う。
宿禰は無自覚な煽り体質だ。 そりゃ勇次郎だって怒るよ。怒られるよ。
宿禰は根本的な部分がとにかく慇懃で無礼なのだ。
閉ざされた環境で自分の強さに自信を持ちすぎたが故の弊害か?

そのスッゲエムカつく笑顔が引き金となったのか。
零鵬の左拳が顔面に入る。
左拳の次は返しの右拳。
姿勢が崩れたところに太ももを蹴って姿勢を崩す。
いずれも相撲の教科書には存在しない攻めであり、この戦いが相撲ではなく喧嘩だと示すものだった。

零鵬は姿勢を崩した宿禰に張り手で追撃しようとするが、宿禰は後転で距離を離す。
巨躯とは裏腹に身軽なのも宿禰の異質さの一つであり、その軽やかな動きに零鵬は驚く。
そもそもとしてはオリバの不意打ちパンチにも耐えた宿禰ならこれくらいはものともしなそうだ。
が、メンタル面が万全ではないからか。土を付けてしまっている。
力士としてはある意味敗北だ。
零鵬も力士としては反則だけど。

それでも零鵬は突っかける。
貴様は現代相撲を舐めた!
が、踏み込んだところに宿禰の蹴りが胸に放たれた。 メリ…と鈍い音と共に足がめり込む。
胸骨がただでは済まない蹴りを受けて、零鵬は吐血と共にうずくまる。
これで決着、文字通りの一蹴であった。

「よく殴られる日だ……」

口先では横綱を褒めつつも、結局は目障りなだけだったのか。
宿禰は苦々しい表情を見せながら零鵬に背を向けた。
いろいろ言いながらも本音の部分では無礼なのが野見宿禰という男である。

そんなわけでまさかの零鵬リベンジであった。
いや、こんな展開になるなんてまったく思いませんでしたよ。
そもそも、零鵬はどこに勝算を感じたんだ?
ドリアンに挑んだ加藤や末堂と大差ないぞ。

喧嘩なら、相撲にこだわらなければ勝てると思ったのだろうか。
結局、零鵬にとっての相撲はそういうものだったということか。
最後まで相撲にこだわって負けた金竜山と比べると相撲愛が足りない。 だからこそ、金竜山は現在の大相撲に不満を感じていたのか。
わりと謎な零鵬リベンジだったけど、金竜山の主張の後押しにはなっているんですよね。

また気になることがある。
零鵬はどうやって宿禰の居場所を知ったのだろうか。
広い東京で探し当てるのはなかなか骨だぞ。
内通者はどうみてもみっちゃんの気はするけど。 実力差があるのに復讐したいのならそれはそれでヨシ!
正直、想像もつかぬ……どうのたうつか……!
そんな兵藤会長並みの性格の悪さを以て零鵬を玩具としたのかも。

まさかの零鵬の乱入(そして撃沈)で次の展開がまたわからなくなってきた。
とりあえず、零鵬がやられた写真をバキ世界特有の謎記者が撮って大相撲にまた一波乱か?
というか、まだ大相撲が続くのか?
公平を期すために今度は地下闘技場戦士が相撲ルールで勝負!とかなったらどうしよう……
次回へ続く。