バキ道感想 第103話「お優しい」



宿禰の顔面に勇次郎の拳がめり込んだ。
アオリでも突っ込まれるくらいにはメッチャめり込んでいる。
頭蓋骨陥没していませんかね?
宿禰は本当に変な方向でキャラを立てている。
勇次郎も勇次郎でホモレイプでキャラを立てているけどね……


というわけで、扉絵で拳がめり込み、次の見開きで勇次郎のパンチが打ち抜かれる。
豪快なパンチではあるが、片手ハンドポケットのせいでやや窮屈なフォームでのパンチになっている。
これでは体重を乗せにくそうだ。
だが、勇次郎にとって体重やフォームなどの常識は意味を為さないのか、顔面にめり込むほどの破壊力を伴って宿禰を吹き飛ばすのだった。
もう何でもありですな、この人。
いや、今更ですが。

勇次郎は郭海皇との戦いで以下の台詞を残している。

「奥義だの秘伝だの秘技だのウエイトだのスタミナだの………………と」
「それらの創意工夫は」
「闘争を物質にたとえるなら不純物だ」

奥義や秘伝を否定するのはわからなくもないけど、ウェイトにスタミナを否定するのは暴論にもほどがある。 ほどがあるけど、こんなフォームで宿禰を吹っ飛ばすパンチを打てるのならそれはもう仕方ない。
理屈というか物理法則を越えた先に勇次郎は立っているのだ。

宿禰は鼻血を流しながら吹っ飛ぶ。
200kgの身体を水平に吹っ飛ばす凄まじい打撃力である。
だが、宿禰は腰を落とし堪える!
柵まで吹き飛ぶが倒れずに自立する!
耐えた! 宿禰が勇次郎の打撃に耐えた!

「”打たれる覚悟の力士は倒れない”」
「まんざらウソでもないらしい」
「立ってる」


宿禰は立っていた。
だが、立っているだけで目は完全に死んでいた。 宿禰は立ったまま、気絶していたのだった。
って、いきなり勝負あった!?
何かライブ感に溢れる生き方をしているな、宿禰……

タフネス自慢かと思いきやまさかの一発ダウンである。
宿禰はバキ世界の強者としては珍しく三角形とか体重差とか、そうした理屈に重きを置くタイプだった。 が、その理屈丸ごと吹っ飛んで一発でやられてしまった。
まぁ、勇次郎が相手だしな……
ウェイトとスタミナを否定するくらいだしな……

刃牙の時も蹴り一発でダウンを取られていたし、宿禰は一定以上の打撃には弱いのかもしれない。
はぐれメタルの防御力以上の攻撃力で殴った時のように!(実現できるシリーズはあまりない)
そこは強敵と戦った経験が少ないことが響いた弱点だろうか。
オリバの金剛力士像パンチには耐えたんですけどね。
まぁ、範馬一族の打撃は桁外れというか常識外れだし、オリバのパンチに耐えたなんて何の指標にもならないのですが。

「鬼神オーガの一撃を喰らい尚―――」
「倒れずにいる」


たった一発でやられたのは情けなくもあるが、勇次郎のパンチをモロに受けても宿禰は倒れなかった。
そのことをみっちゃんは評価するのだった。
同じくタフネス自慢の花山は一発でダウンしているし、評価点なのは事実ではある。
まぁ、気絶しているんでどうしようもないんですけどね。

ピクルや武蔵の時と違ってみっちゃんのテンションがいまいち高くなかったのはこの結果を予見していたからかも。 武蔵の時なんて邪悪なくらいにテンションが高かった。
武蔵の強さが未知数だったからだろう。
対して宿禰は何となく強さの上限が見えていたのかもしれない。

「あの武蔵がいたなら言っていたハズじゃ…」
「天晴れ也”肉の宮”」


と、武蔵のことがバキ道に入って初めて触れられた。 途中の警察虐殺編の意味が怪しかったり、オチがけっこうアレだったりと忘れられた判定になっていたとさえ思った武蔵編だがなかったことにはなっていないようだ。
でも、武蔵がいたらどれくらい斬撃に耐えられるかに興味を持っていたと思いますよ。
あの人、本質的に人斬りだし。

「目覚めたら言っとけ」
「また遊んでやる……と」


一蹴した勇次郎ではあったが倒れなかった宿禰を認めたのか、明確な好意を示した。
ここで鬼の貌が哭いたら地獄だったが、今の勇次郎はそんなことはしない。
勇次郎はクールに去るぜ。
とりあえず、宿禰のケツ穴は守護れたようだ。
これで倒れていたら強敵未満のオナホと認定され、冒険家ジョー・ウィリアムの如く掘られていたかもわからん。
例え失神すれど気合いで堪えた甲斐があるというものだ。

そんな勇次郎をみっちゃんは優しいと茶化す。
たしかに優しい。
今回の勇次郎は闘争というよりも値踏みしたくらいだった。
グラップラー刃牙時代なら(刃牙の対戦相手以外は)嬉々として破壊していたのに……
刃牙との親子喧嘩を経て勇次郎がかなり丸くなったことが窺える。
今の勇次郎なら烈の墓参りとかしていそう。

「犯すぞ爺い!!!」

出た、ホモネタ!
みっちゃんの茶化しに対して一瞬でキレるのだった。
でも、そっちかよ! 怒り方はそれでいいのかよ!
宿禰に対しては至極真っ当にキレていたんですね。

ということはジョー・ウィリアムは勇次郎をキレさせたから犯されたのか……? 何をしたんだよ、ジョー・ウィリアム。
君が犯されたことよりもその過程の方がよっぽどミステリーだよ。

でも、みっちゃんは犯したいのか? 私は絶対にノゥ!!!ですよ。
みっちゃんが性癖に刺さる人は日本でも数えるくらいしかいなそうだ。
ただ犯すこと抜きでみっちゃんにトラウマを刻み込みたいとなれば、まぁ、うん……否定できないかな……
このジジイはちょっと痛い目に遭って欲しいし、そのためのホモレイプならあり、なのか……?

「儂をかッッ!!!!!!?」
「この爺いを手籠めにすると―――――!!!!?」


みっちゃん、壮絶な量の!で驚愕する。 普通なら冗談と受け流しそうなくらいに唐突な言葉だったがモロに真に受けている。
勇次郎が言うからこその迫力だろうか。
説得力は迫力に比例するのだ!

「いやァ~……」
「そ……」「それはチョットォ…」


で、何故かみっちゃんは赤面する。
みっちゃんほどの富豪なら性交もリッチだろうしあらゆるプレイを試しているんだろうけど、男に掘られるというのは未体験かつ新しい発想なのか?
そもそもこのホモネタは何なんですかね。
どこを狙っているのかわからなくて困惑するよ。
とりあえず、わかることは宿禰のケツ穴は守護られた。みっちゃんのケツ穴も守護られた。
ホモストームの結果からわかるのはその事実だけである。

勇次郎が去ってから目覚めた宿禰は体育座りで呆然としていた。
大相撲に恐れなく挑むくらいには自分の強さに自信があった。
それがパンチ一発で崩されてしまった。 呆然とするのも無理はない。
常に飄々としている宿禰だが凹む時は人並みに凹むのだった。

「あんな「生物」がいたのか…!!!!!」

宿禰は勇次郎の存在そのものに驚いていた。 勇次郎は強さ以上に存在自体が人間離れしている。
片手で崩しもせず宿禰をブン投げたり、ハンドポケットのままで殴って気絶させるとありえないことばかりを味わった。
宿禰としては蹴りが通じなかったのも勇次郎という生物ならではのものだと思っていそう。
多分、消力だぞ。

宿禰のこの感想は勇次郎という存在を端的に表現しているとも言える。 勇次郎という存在は生物としての種そのものが違うのだ。
なお、その脳裏に浮かぶのはハブであった。
あ、未知の生物に遭遇したような驚き方をするわりに、イメージするのは既知の生物なんだ……

宿禰は一撃で敗北した。
秘蔵の蹴りも通じなかった。
攻守共に圧倒的な差を見せつけられてしまった。
これから宿禰はどうするのか。
ここまでの宿禰に好感を持てるところはほとんどなかっただけに、再起の物語で人気を集められるといいんですけどね。
引退して蘇った死刑囚たちとの戦いに移ったら、まぁ、それはそれで……

バキシリーズで一度負けたキャラはなかなか立ち直ることができない。 代表例はJr.だ。
一度負けたら一気に連敗しまくり、再起したと思ったら無情にも金玉を潰されてトドメを刺された。
他にもゲバルは出番そのものがなくなったし、武蔵も本部に負けたら一気に迷走を始めてしまった。
克巳みたいに負けてから立ち直ったキャラもいるんですけどね。

逆に敗北から立ち直れなかった戦士たちと組むことで毒を裏返してみるか?
Jr.! アイアン・マイケル! 柳! シコルスキー!
彼らと共に栄光を掴め! 無理!
次回へ続く。
なお、次回休載である。
休載を挟んで新展開……になるのか……?