ジョジョとかガンダムもそのうち。
櫻井が見せた竜の構えを里見が解説する。
手刀からもう片方の手でアッパー、または下から掴み手刀……
そのパターンはいくつかあれど上下のコンビネーションであった。
なお、里見と空はどちらも敬語になっている。
里見タメ口&空敬語から里見敬語&空タメ口になり、今は里見敬語&空敬語……
ええい、キャラを統一しろ!
文学が屈んだ、虎の構えを取ったのは下からの攻撃を打たせず、攻撃を手刀に絞り込むためだと里見は推理する。
コンビネーションならばその攻め手を限定するのがわかりやすい対策だ。
耳が千切れてもきちんと対策をしているのであった。
裕章の失われていない記憶では、師は同じ構えから野牛の脳天を手刀で割っていた。
それなりにリアル路線の喧嘩稼業だけど、動物の強さは格闘漫画相当であった。(つまり、弱い)
その技はかつての裕章ならば使えなかった。
だが、今なら……
裕章の竜の構えをヨシフは知っていた。
既にアンダーグラウンドで使ったことがあったのだった。
1対2の状況で使い、一人は片腕で止めようとして脳天が陥没。
もう一人は十字受けで堪えたものの、続く下段からのアッパーに倒れている。
また、裕章の得意な後の先だけでなく、自分から攻めている技でもあった。
「俺は記憶障害で72時間後には」「今の事を忘れている」
「この戦いの事も」「お前の事も」
「忘れている」
「忘れたくない」
「忘れたくねーよ」
煉獄を食らったこと以外はわりと一方的に押しているように見えた裕章であったが、文学を忘れたくないほどの強敵と認識しているようだった。
ユウジョウ!
初めてお互いがお互いを認め合う試合だ。
第1試合と第2試合はそういうのなかったからね……
対する文学は対素手における虎の構えは、父の無一が山本陸との戦いに備えたものであった。
一撃を受け止めた後に反撃の金剛で勝負を決める。
富田流の剣術である車を既に応用したものであった。
この技名を叫ぶ十兵衛は何やかんやで富田流の剣術を学んでいることも伺える。
それなりに真面目なのだ。
……それなりに。
文学は手刀を十字受けで受けた後に櫻井の下からのコンビネーションも防ぐ。
そして、鉤突きを構える。
もはや富田流の十八番となった煉獄である。
だが、それを裕章は片手で逸らす。
「恐ろしいのは状況に応じてシームレスに流派を変える事」
「恐ろしいのは底が見えない事」
この咄嗟の反応に選手は戦慄する。
特に里見が。
すっかり驚き役になりやがって。
後の先を実現するために高い対応力はあらゆる流派を使えることで成り立っているのであった。
「左両前腕骨骨折」
「入江文学はこの戦い 実質片腕を失った」
そして、文学の右腕を掴み、肘と膝の挟み撃ちによって骨折するのであった。
あかん……骨折はあかん……
バキにおいて試合中に骨折したらほぼ負け確だった。
何せ次の試合がまともに戦えないからだ。
文学もこのまま負けてしまうのか?
それとも逆転して何とか骨折を治して金隆山と戦うか?(ほぼ勝ち上がり確定)
致命傷となる毒も血清があれば治っているし、骨折くらいなら何とかなるかも……
次回へ続く。