バキ道感想 第133話「蹴速VS独歩」



間が空いているが蹴速VS独歩の戦いは続いている。
間が空いているけど! 空きまくっているけど!
ついでに次回は休載だし、さらにまた自衛隊時代の読み切りが行われる。
間が空きまくる! どんどん空いていく!


勇次郎を天井まで吹き飛ばした蹴速の蹴りが放たれる!
クリーンヒットしたことはないため、威力は未知数だがともあれ常識外れな蹴りだ。
本来はムエタイ戦士の金玉を砕いて威力を証明するところだが、蹴速はいきなりの実戦である。
新米の伝統行事である噛ませ犬を噛むことさえ許されなかった波乱の生涯なのだ。

新キャラが噛ませ犬との戦いさえしていないのはけっこう異例だ。
特に新キャラの存在感が増しているバキ以降では全員が噛ませ犬を噛んで己の強さを示している。
死刑囚も、Jr.も、海王たちも、ゲバルも、ピクルも、武蔵も、宿禰も、全員が噛ませ犬を贄と捧げてきた。

噛ませ犬と戦わなかったのは範海王と郭春成くらいだ。
戦わなかった結果、この二人は大事故を起こした。
……範海王と郭春成と蹴速が同じと思うと一気に強さのランクが下がった気がするな。
龍書文のようにいきなりの実力者と戦い、その強さを示した例もあるにはあるが、大事故のイメージが強すぎて印象が悪すぎる。
噛ませ犬による暖機運転は事故を防ぐためには欠かせないのだ。

準備体操なしで蹴速が独歩という何だかんだの実力者を相手に蹴る。
勇次郎とは戦ったが相手が悪すぎて何の強さも示せていない。
免許取り立てのドライバーが高速道路でいきなりアクセル全開するような無謀とも言えよう。

そんな不安と共に放たれた蹴りを独歩は拳で受け止める! いや、ぶつけ合う!!
独歩も独歩でけっこう無謀な突っ込みをしやがる。
独歩は正拳突きのような前に突き出すパンチではなく、上から下に打ち下ろすようなパンチを打っている。
空手ではなくフィジカルをぶつけるような、独歩らしからぬワイルドなパンチだ。

「なんて“拳”だ……ッッ」
「人体中最堅牢を誇る“踵”」
「一発でイカれた…ッッ」


このファーストコンタクトによって蹴速の踵には亀裂が入った。
ムエタイ戦士なら5人は死んでいるような致命的なダメージである。
宿禰もいきなり小指や僧帽筋を噛み切られたりで初手から大ダメージを負っているし、古代相撲は初手にやや甘さが見える。
零鵬に鼓膜を破られてもいますしね。

当然、このダメージは独歩に筒抜けだった。
重心移動の違和感と動作の不自然からダメージを見切っていた。
語ってはいないが骨が砕けた手応えも感じ取っていただろう。
百戦錬磨の独歩らしい観察眼である。

一方で独歩の拳は平気そうだ。
筋力も重量も骨の硬さも上の足部と正面衝突して無傷の脅威の拳である。
加藤がダイヤモンドより硬くダイヤモンドより高価と言ったのはハッタリではないのだ。

初手は文句なしに独歩の圧勝だ。
一方の蹴速は致命的なダメージを負いながらも表情を変えない。
内心では焦っているが外面には何も示していない。
それどころか砕けた踵で地面を蹴った。それも埋まるくらいの全力で。
ダメージがあると悟られると相手に主導権を握られてしまう。
蹴速、全力の強がりであった。

もっとも、独歩にはダメージはバレていることには変わらない。
これで疑心暗鬼になるほど甘くはない相手だ。
独歩は負傷した部位を嬉々として攻める。
蹴速としては如何に右踵を守るかが肝要となる。

であるのに蹴速はさらに右の蹴りを放つ。
何かもう無茶苦茶な男だ。仕切り直しという理由になっていない理由で勝利宣言するだけのことはあるか?
そんな蹴速の蹴りに対して独歩も飛び蹴りで対抗する。
既に一度拳で砕いている。さらに蹴りで砕こうという算段か。

この壮絶な激突に両者が吹っ飛ぶ。
だが、吹っ飛んでいる距離は独歩の方が長い。
蹴りの威力だけなら蹴速の方が上か。
意地は見せたが既に踵が砕けているから見せるべき意地だったのかは疑わしい。

ともあれ、この力と力の派手な激突に観客は沸き上がる。みっちゃんも立ち上がって歓喜する。
やっとまともな試合を見れたと喜んでいるのかも。
大相撲との戦いは何かアレだったし、ジャックと蹴速は肉片が飛び散る血生臭い試合だった。
こんなまともなぶつかり合いは久し振りなのでみっちゃんが興奮するのもわかる。

互いに吹き飛びながらも無事に着地し、再び向かい合う。
蹴速のダメージは加速したであろうに表情には一切出していない。
屁理屈が得意?なだけにブラフも得意のようだ。

もっとも派手に沸いているものの蹴速の不利は変わらない。
お互いに全力をぶつけ合うのなら最初にダメージを負った方が不利になるのは必然。
このままだと負けは避けられないだろう。
そして、ここで蹴速が負ければ相撲編は終わってしまう。
……いや、相撲編はけっこうグダグダなのでサクッと終わらせて心機一転して新展開へ行くのもありか?

独歩が真っ当に活躍している。
近年の独歩はケチが付きっぱなしだったからこれは素直に嬉しい。
持ち味をイカしているのもありがたい。

対して蹴速は相変わらずの虚勢が目立つ。
負けたら仕切り直したいところだが、独歩は手負いの相手にも全力でブン殴る精神性の持ち主だ。
仕切り直しはむしろ危険!
だからこそ、独歩が宛がったのかも。

蹴速の右脚は二度の衝突で使用不能になっただろう。
でも、独歩が猛剣に腕を破壊されながらも普通に動かしていたし、踵くらいならどうとでもなるか?
これくらいガンダムの頭部が取れたくらいのダメージですよ。
中の人がアムロなら問題なく戦える!
いや、その辺、蹴速はあまり信頼性ないのですが。

蹴速には面白いことはやって欲しいけど新たな蹴りというのも難しい。
その辺は烈が開拓しきっている感もある。
蹴速は足による正拳を披露したけど烈も同じことをやっている。
同じように蹴速も足の指で相手を掴んでみるか?
問題は独歩に毛が生えていないから掴もうにも掴めないことですが。
休載を挟んで次回へ続く。