でも、バキシリーズにおける猪木モチーフキャラのイメージってあまり良くないんですよね。
シコルスキーに酷い負け方をしたのが良くなかったか。
なお、外伝を描くものだから本編の方はさらに遅れる! 遅れまくる! 失禁してる場合じゃねえ!
「元…気が…あれ…ば…」「なん……で…もで……きる……」
猪狩、いきなり瀕死!
すっかりやつれて病院のベッドに横たわり、顔もすっかり皺だらけになっている。
元気があれば何でもできると言うだけに、元気がないので何もできなさそう。
語るまでもなく「元気があれば何でもできる」は猪狩の元ネタ、アントニオ猪木の言葉だけど、猪狩は一言も言ったことないんですよね。
体格がいい猪狩だったがその面影がまったくない。
バキ最終話以来、本編に出てくることがなかったが、出ていない間に病に倒れたらしい。
猪狩はバキシリーズでは貴重な病を抱えた格闘家になった。
実は出番の多い猪狩の側近的なキャラ、久隅(今回はクズミ名義)は猪狩は来週までの命だと語る。
猪狩もそれを察しているようだった。
それでも死に怯える様子はなく受け止めている。
人間力が武器の猪狩だけありメンタルの強さも一流ということか。
「来週の騒動――――」
「そのまた「後」の騒動に比べりゃ」
だが、来週に待ち受ける自身の死の後に何かを企んでいる猪狩であった。
タフの方の猪木、アイアン木場は自分の死後に格闘トーナメントに開いていたし、猪木モチーフのキャラは死後に何か企む傾向でもあるのか?
なお、アイアン木場は怒涛の描写の矛盾によってよくわからないことになった。あと人間のクズ。
……猪木モチーフのキャラは何かそうなる傾向でもあるのか?
さて、おそらくは猪狩と久隅の語る来週になり告別式が行われる。
シコルスキーに切り刻まれた傷がある上にやつれて皺だらけになった晩期ではなく、若々しい全盛期の写真が飾られている。
その猪狩の在りし日の姿を見つめるのが告別式に参加した渋川先生だった。
渋川先生!? ナンデ!?
「武術にはある」「レスリングにはない」
「それは貴方だ―――渋川さん」
「レスリングには」「達人がいない」
死の前に猪狩は渋川先生とマンツーマンで食事していた。
その中でレスリングには達人がいないと猪狩は語っていた。
作中ではまったく繋がりのない二人だったけど、猪狩は猪狩なりに渋川先生のことをリスペクトしていたのだった。
食事を共にし告別式に出席している以上、渋川先生も猪狩には一目を置いていたのだろう。
告別式に出席したのは渋川先生だけではない。
渋川先生と並ぶベテラン、愚地独歩もだった。
まさかの蹴速との試合を置いておいて出席だ!
「アンタのレスリングは」「とうに
猪狩は独歩とも生前に語らっており、そこでもレスリングに達人がいないことを、愚地独歩がいないことを語る。
だが、独歩の返答は猪狩のレスリングは達人級というものだった。
独歩は斗羽の実力を高く評価していた。
同じように猪狩も評価しているということか。
独歩の答えに猪狩は満足そうな笑顔を浮かべていた。
最前線で戦い続ける独歩に自分の人生を褒められたに等しいのだ。
接点がまるでなかったがお互いにリスペクトし合う関係だったことが窺える。
この二人に加えてもう一人が告別式に出席していた。
中国武術のトップの中のトップ、郭海皇であった。
何であんたがそこにいるんだよ!?
渋川先生も独歩もまだわかるが郭海皇は予想外過ぎて困る。
接点なさすぎるだろ!
「老いた―――選手が」「枯れた神技で若き選手を圧倒する」
「そんな あなたのような達人はレスリングには存在しない」
「郭 海皇がいないンだ…ッッ」
郭海皇とも達人がいないことを語らっていた。
郭海皇はバキシリーズでもっとも老いていると同時に最強格の一人である。
老いと共に衰えを感じているであろう猪狩にとって、相当にリスペクトする存在なのだろう。
郭海皇も郭海皇でわざわざ来日しているのもサービス精神旺盛だ。
大擂台賽ではいろいろな面で大暴れしたけど、以降は人格者な面が目立つ郭海皇であった。
刃牙だって全盛期の猪狩には勝てなかったと語っている。
ハッキリと老いによる衰えを感じ取っていたのだ。
そんな猪狩にとって老いに負けず技を輝かせる達人たちには憧れているに違いない。
いや、刃牙の発言に関してはリップサービスの可能性が全然あるけど。
刃牙は白々しいリップサービスが得意技だし。
レスリングは技以上に肉体を競い合う競技だから老いによる肉体の衰えが大きく響く。
だからこそ、達人がいないのかもしれない。
それでも達人であろうと望み、達人たちに憧れるのが猪狩なのだろう。
だが、達人たちに並ぶことなく病に倒れてしまったのだった。
猪狩の死を受け止めた達人たちの胸中はわからない。
だが、告別式に出席していることが猪狩への敬意が感じ取れるのだった。
でも、アライ父や金竜山は出席している様子は描かれていない。
あんたらも強敵だったのに!
特にアライ父。全盛期の猪狩を以てしても敵わない相手であるのに、ボクシングの盲点を突いて引き分けに持ち込んだ点に関しては高く評価してもいいと思うのだが。
勇次郎でさえアライ・猪狩状態は評価してたし。
金竜山はまぁ老いに負けたけど、アライ父は何だかんだで現役なところもあるし話を通しても良かったのでは。
さて、その後、八角形のリングの中、統合格闘技の試合が行われていた。
そこでチャンピオンが挑戦者をフック一発で仕留め勝利していた。
一発で終わらせるのはプロレスでなら間違いなく顰蹙ものの塩試合である。
試合のルールもチャンピオンの流儀もプロレスとは真逆であると言えよう。
試合を終えたチャンピオンは試合場から立ち去ろうとする。
そこにタオルを用いたチョークで不意打ちをする人間がいた。
プロレスラー猪狩完至だ!
生きていたんかい!?
不意を突かれたチャンピオンは反撃もできずにやられる。
というか、ここで下手に殴り返したら事だ。プロだからこそ受けるしかない。
そんな事情を知って知らずか、猪狩はナックルアローに卍固めとやりたい放題である。
結果、チャンピオンは猪狩に敗北?したのであろう。
「日本格闘技(プロレス含む)史上初―――――」
「「試合場」における暴行容疑の犯人」「栄誉の逮捕者として歴史にその名を刻む」
こうして猪狩は逮捕されるのであった。
まぁ、現実的に考えれば当たり前のことである。
仕方ないネ!
同意もなく猪狩側から勝手に仕掛けた。前述したようにチャンピオンは反撃が非常にしにくい。
それでも猪狩は衰えた身体でありながらも総合格闘技のチャンピオンという表格闘技の最強に勝った。
猪狩は自身がレスリングの達人であることを証明した!……のか?
ちょっとテーマが曖昧でよくわかんなかったです(正直)
とりあえず、猪狩は死んでいなかった。
斗羽といい死ぬ死ぬ詐欺が好きですね。
でも、斗羽に関しては死んだ振りをした意味があったけど、猪狩に関しては何で死んだ振りをしたのかは不明だ。
そもそも病気はブラフだったのか?
死んだ矢先に表舞台に姿を見せる意味は?
疑問は多すぎるが猪狩が実は生きており、現代の最強の代名詞、総合格闘技相手にレスリングの達人であることを証明する!というのは立派な夢なのは間違いない。
ましてプロレス最強説を打ち破ったのが総合格闘技相手にプロレスで勝つというのは夢がある。
まさに最強幻想でプロレスを体現してのけている。
でも、お互いの同意の元に対等の条件で行われる試合の形だったらどうなのだろうか。
さすがに厳しかったのかもしれない。
そこを含めて幻想ですね。プロレスファンタジア!
本編の方では(このごに及んでよくわからないけど)大相撲が持ち上げられた。
いつかプロレスが持ち上げられる時が来るかもしれない。
その時には猪狩の蛮行が歴史の分岐点になっている……のか?
こうして猪木追悼作品は完結だ。
そして、次週休載!
し、失禁してしまいそう……