ピクルといい肩に噛み付くのが好きですね。
一番噛みやすい、メタ的には致命傷に程遠い箇所だからだろうか。
必殺技ほど適度なダメージに収めるのが大事なのだ!
紀元前564年、パンクラチオンの歴史が語られる。
噛み付きを技術として使用した男がいた。
スパルタ代表のメガクレスである。
噛み付きを非難する対戦相手に悪びれず噛み付くのがジャックと同様である。
あとググってもメガクレスという闘士も噛み付きに関するエピソードも出てこない。
ま、まぁ、バキ世界のパンクラチオンはドラゴン・ロード事件のように歴史が隠蔽されていますから……
そして、2600年後!
再び噛み付きを技術として用いる男、ジャックが現れた!
左肩に噛み付いている!!
技術もへったくれもないただの噛み付きだが噛み付きは噛み付きだ!!
昂昇、ピンチである。
だが、ジャックと戦う上で噛み付きを巡る駆け引きは避けては通れない。
ジャックが噛み付きを使わなかった試合は緒戦のセルジオ・シルバ戦とアライJr.戦くらいだ。
対策は用意しているに違いない!
ジャックは胴着の上から噛んでいる。
衣服を噛ませて引っ張ることで歯を根こそぎ奪い取るのは噛み付き対策の代表例だ。
実戦派の雄、本部がジャック相手に実践している。
餓狼伝でも丹波がロートルプロレスラー相手に実践済みだ。
なら昂昇も同じ対策を実行するか?
だが、対策の対策をジャックはしていた。
左手を握り締めて逃げにくくしているのだった。
身をよじりにくくなるシンプルながら効果的な対策ですね。
結果、昂昇は何の抵抗もできず肩の肉を噛み千切られる。
だ、ダメじゃねえか!?
打撃戦の技術では勝っていたかもしれないが、圧倒的フィジカルを前にあっさり押し切られてしまった形か。
せめて花田は少しくらい対策をアドバイスしてほしかった。
というか、花田さん、全然顔を見せてませんね。
驚くなり解説するなりせい! お前は本部流だろうが!!
「せいぜい10センチ程の傷口に」
「直径30センチは超える巨大な激痛が姿を現した」
肩を噛み千切られて昂昇はある意味素直に激痛を覚えて膝を曲げる。
き、君、ちょっともうちょっとこう、反撃とか何とかしても……
その隙にジャックが握ったままの左手を捻ると合気なのだろうか、昂昇の身体は回る。
無防備にもジャックに背中を見せてしまうのだった。
そこをジャックは胴締め裸締めを決める。
打撃対策や噛み付き対策は用意していたかもしれないが、絞め技対策は慮外だったのだろうか。
何の抵抗もできずにあっさりと極まってしまう。
前回はけっこう格好良かったのに今回は不甲斐ないな、昂昇……
「ジャックだわァ…」
「友好の「証」を利しての位置取り」
「象徴的だわァ…」
握手からのジャックの立ち回りをジャックらしいと独歩は評する。
ジャックらしい、のか……?
一見すればそれなりにフランクで友好的だけど、その実、好戦的かつ残虐なのがジャックだから間違ってはいないか?
完全に決まった裸締めは脱出不可能。
このままでも間違いなく勝負ありだ。
だが、ジャックはあえて裸締めを解く。
その狙いは裸締めのダメージで脱力した昂昇の首筋だった。
ダメ押しの宿禰を沈めた頸動脈狙いの噛み付きである。
ただ勝つだけではなく徹底的に、そして、嚙道をアピールする算段だろうか。
さすがに頸動脈を噛み切られれば続行不能だろう。
宿禰の時のようにそこから決定打を与えても、ジャックが耐えきれば勝負ありだ。
大量の鮮血が飛び散りアナウンサーが悲鳴を上げる。
昂昇は頸動脈を噛み切られて出血多量で勝負ありか?
それともそこから反撃をしてジャックが出血したか?
これで終わりならあっさりすぎるしいまいちな昂昇のまますぎる。
また、このまま負けたら超人的な柔軟性がまったく活かされていない。
なので、反撃して欲しいところではあるのだけど……大丈夫ですかねぇ?
柔軟性を活かせば反撃できるという状況でもなさそうだし。
絞め技を続けていたらせめて活かせた可能性はあるのだが……
ここで反撃の鍵はやはり花田だろうか。
前述したけど驚愕も解説もしておらず姿をまったく見せない。
君も君でせっかく蘇ったのだから何かリアクションしてください。
でも、外野の本部流はまったく役に立たない。
特にセコンドの本部流は無能と言っても過言ではない。
……ダメかも、花田アシスト。
絶体絶命なだけにここから逆転すれば格好いい……のだが、やられ方があっさりすぎて不安の方が強い。
肩は何とかなっても頸動脈はあかんでしょ。
紅葉が改造手術して頸動脈が一本やられた程度では問題ないとかなら笑うけど。
姿を見せていないと言えば紅葉もですね。
医療室でスタンバっているのか、もしかして……
次回へ続く。
なお、次週と次々週は休載なので続きは3週間後!
イ、インターバルが長ェよ!?