スターオーシャン2Rをクリアした





個人的な青春のゲーム、スターオーシャン2のリメイク版(以下、SO2R)を誕生日プレゼントでいただいたからプレイしてクリアしたぞ!
オリジナル版は発売直後、夏休みの貴重な一日を野球部の応援で潰されたという辛くて苦い想い出があるぞ。
絶対に許さねえぞ、野球部の応援……エラいのは大○翔平であって野球部じゃないからな……
というわけで感想とか所感とか。


・良かったところ
とりあえず、ゲーム部分は文句なしの出来でした。
まず、オリジナルのSO2の要素を全部引き継いだ上でいろいろと足した形となっています。
足された要素が必ずしも必要なのかとなれば微妙ですが、○○がオリジナルにはあったけどリメイクにはないと歯がゆい思いをすることがなく、素直に上位互換になっていて満足感が高かったのは事実。



リメイクされて良かったところとしてはまずはフィールド。
キャラはオリジナルのままの2Dだけどフィールドは3Dとして一新。
見栄えも良く世界の広さを感じられるようになったしで令和のゲームとして見劣りしないようになっています。
ただし、町は出来がいいのですがダンジョンはテンプレアセットを使ったような画一的な仕上がりでやや退屈しました。
まぁ、削るべき部分はどちらかとなればダンジョンの方かな……



良かったというか感心したところはファストトラベル。
一度訪れたところなら好きなところから好きなところへノータイムで飛べる。
これだけなら普通のファストトラベルなのですが、町なら町の入口だけじゃなく個々の建物へ、ダンジョンもセーブポイントのあるところ、最深部へいきなり飛ぶことも可能。
ここまで飛べていいのかとちょっと感心しました。
おかげで移動のストレスが大幅に軽減されることになって大変ありがたい。



次にイベントが起こる場所が表示される上に期間限定イベントかどうかもわかる点。
このゲーム、期間限定イベントがけっこう多い。
踏破するためには攻略本なり攻略サイトなりが必須なのですが、ゲーム中に表示されるようになったのでイベントを見るのがかなり楽になりました。
その期間限定イベントは前に行った町に戻ったりと面倒な手順を踏むことが多く、オリジナル版では移動に時間を食うことが多かったです。
しかし、その不満も先述のファストトラベルのおかげで面倒な移動を省けるようになって解消。
このイベント表示とファストトラベルの相性は最高だったと思います。
まぁ、冷静に考えればイベント表示がなければ見逃すレベルのイベントを置くなとなるけど、そこはオリジナルがそうだったので……



こうした利便性は他のシステムにも及んでいて。
例えば追加システムである釣りはまだ釣っていない魚の場所がわかるというオギャバブ仕様。
攻略サイトと睨めっこするよりも圧倒的に楽。
正しい仕様ではあるけどここまで開けっぴろげにするのは覚悟さえ感じる。
総じてユーザビリティは非常によく出来ていました。





あとダメ押しでイラストのリニューアルが嬉しかったです。
オリジナル・SO2E(旧リメイク版)・SO2Rを選択できます。
オリジナルは当時の時点で古臭い絵柄だったし、SO2Eも何かのっぺりしている……



それがSO2Rでは令和最新仕様の絵柄に!
元のデザインは98年産で古いはずだけどそれを感じさせず、それでいて癖のないイラストになってて嬉しい。
メインキャラだけでなくサブキャラにもイラストが追加されていてキャラクターを捕えやすくなっているのもプラス。
敵キャラとか、オリジナル版はイラストなんてなかったからな……







行き遅れたおばさんって風情だったセリーヌも普通に綺麗なお姉さんに変身!
絵師の人、頑張ったね……


・いまいちだったところ
シナリオ全部。
SOシリーズ、SO3とSO5のシナリオがダメだったってイメージだったんですよね。
SO2はその辺特に問題はなかったと記憶していたんですけど、いまやるとやっぱダメ!
SO3みたいな積み重ねてきた世界観全部裏切るようなやらかしはないけど普通に無味……

とかくメインストーリーとキャラの繋がりがない。
『薄い』とかじゃなく『ない』。
なので、ストーリー上で起きた出来事に対するキャラたちの考えがさっぱり見えず印象に残らない……
古文書などの意味ありげに出した要素は回収されずに終わるので、目的を持って旅をしているのではなくただゲーム中のクエストで指定されたから進んでいるだけにしか見えなかった。
いや、この世界、ゲームなんですけどね(SO3)

それが特に極まっているのがストーリー中盤以降、舞台となる惑星をエナジーネーデに変えてから。
そこからは主人公たちの意志で行動を決めているのではなく、全部市長の言いなりになって行動するだけ。
主体性ゼロでもう完全に市長の手下やないか……

展開自体も無味で全宇宙を支配しようとする敵、十賢者を倒すことになる→今のままだと勝てないから4つの場を巡ろう→4つの場を巡る→4つの場を巡った意味や恩恵が不透明と腑に落ちない。
実際にキャラクターたちも強くなった実感がないと言い出す始末。
その後、決戦に望むのですが十賢者に敵わず敗走。
本当に4つの場を巡った意味とは。

そこから市長はパワーアップするための策があると言い出す。
最初からやれ。
戦力の逐次投入は兵法において愚策という典型ですね。
そこから本当にパワーアップして十賢者に勝てるようになったので、なおさら最初からやれ感がする。

そんな感じで何とも言い難いシナリオが展開されるのですが……オチだけは秀逸というか印象に残るものがありました。
主人公たちを散々振り回してきた市長が最後の最後で母星のエナジーネーデを滅ぼすとか言い出すんですよね。
一応、そうなった経緯はいろいろとあって。
十賢者が全宇宙を滅ぼすような超兵器を起動した、その兵器の照準を逸らすアイテムを起動、逸らすだけなので母星を生け贄にする必要があるというもの。
全宇宙を滅ぼすよりなら惑星一つ引き換えにした方がまだマシという考えですね。
さらにメインストーリーだけでは開示されない情報(サブイベントで発覚する)としては実はネーデ人は全銀河を武力で制圧しようとしていた、悪い奴らだと思われていた十賢者だがネーデ人の都合によって生み出された存在、諸悪の根源は遙か過去(37億年前)(桁が大きすぎる)のネーデ人。
だから、そこまで含めれば銀河を危機に晒す禍根を生み出した贖罪のために母星を滅ぼすというのは理屈としてはわからなくもない。
(なお、この事実を市長が明らかに意図的に隠蔽してネーデ人は宇宙のみんなと平和的に共存していた、十賢者は悪と伝えたのは本当にクズ

でも、やっぱり母星を滅ぼすのはいくら何でもやりすぎ。
当然、数億ものネーデ人は巻き添え食って死ぬ。
作中描写だけだと市長が感傷に囚われて大勢の人間を殺す選択肢を取ったとしか思えないんですよね。
市長、完全にテロリストやないか!
やべえ奴や、市長……

主人公たちを好きに使った上で最終的には母星を滅ぼす選択肢を取る市長は闇が深すぎて一番印象に残ったキャラになりました。
改めて見るとここまでヤバい奴の手先になっていたんだな、主人公たち……
今の倫理観だと罪があるなら償うために生きろ路線になるのでしょう。物語としても美しくなる。
でも、市長はうるせえ!母星死ね!なのがもう巡り巡って熱い。
市長はもっと掘り下げた方がよかったと思いますね。
いや、掘り下げると市長がラスボスになってしまいそうだけど……

というわけでストーリーそのものは無味乾燥なんですけど、十賢者の真実とか市長のイカれた判断とか、そういう部分まで巡ると面白くなってきました。
なので改めてプレイして一番好感度が上がったキャラは市長です。
数億の人間をはー!進化止めた生物いらん!殺そ!と割り切れる市長は悪とか傲慢とかそういうのを通り越して神になろうとしている存在ですよ。
かっけえな、市長……市長こそがSO2の真の主人公だよ……