活躍に期待したのだがいいところが何もなかった。
おじさんは悲しいぞ。
昂昇は救急車で紅葉が勤める病院へと運ばれた。
地下闘技場にはドクターと医務室があるがそこの設備では不足だったのか、あるいは応急処置だけは行ったのか。
ともあれスーパードクター紅葉の手に昂昇の治療は委ねられ、そして、一命を取り留めたのだった。
「武術って」「ホントにスゴい」
「あの大量出血……」「生還するなんて…」
「150キロを超える体重でも」「到底 持たないでしょうね」
医師たちは武術の凄まじさに感嘆する。
たしかに昂昇は頸動脈、首の骨折、上腕動脈のどれか一つでも余裕で死ねるダメージを3つも受けている。
なのに、無事に生還した。
医学の常識からはありえない奇跡が起きたとしか思えない。
でも、武術のスゴさなのか?
スゴいね、人体♥の方じゃないか?
あと首の骨折は何か忘れられた感がありますね。
どれも致命傷だけど即死に至るのは間違いなく首の骨折だと思うのですが……
さて、翌日。
昂昇はベットから抜け出して屋上で身体を動かしていた。
本当に首の骨折って何だったんだよ!?
血管は繋げば何とかなるのはまだわかるけど、首の骨折は1日じゃ治らんでしょ!
実は気のせいだったのか?
でも、あの範馬刃牙も骨折判定出していたので見誤るとは思えないけど、範馬刃牙だから見誤りそうだなぁ……
昂昇は斬撃拳の演舞をする。
首の骨が折れたとは思えない軽やかな動きである。
常人離れした柔軟性は首の骨を守護るために活かされたのか?
いや、極められたのならまだしも、思い切り踏みつけられれば柔軟性は関係ないか……
「美しく見えるのは」
「カッコつけてるからです」
昂昇の演舞を武術に関しては素人の医師たちも綺麗だと絶賛する。
それを昂昇は格好付けていると断じるのだった。
さらに見栄えを良くしたいのが武道家の呪縛とまで語る。
なお、今更格好付けても仕方ないとはあえてツッコまないでおこう。
この意識は不要……とも言い難い。
こうした美意識は死刑囚編で独歩が語っているが、その美意識を持つが故に独歩は強くなっている。
本部だって守護るために己を鍛え上げた。
美意識は強くなるために必要なものでもある。
「あのジャックならば」「そんな美意識など歯牙にも掛けない」
だが、ジャックはその美意識を捨て去れることこそが美意識とするほど。
そのもっともたるものが噛み付きの使用。
勇次郎でさえそこまで徹することはできない!
って、前にも同じ話したよ!!
休載が多いからもういいよ! ついでに次週は休載だチクショウめ!
勝利のためならケツの穴も舐めるほどの美意識のなさこそがジャックの美意識……
とはいうけど裸締めを解いて噛み付いたのは嚙道への美意識が表れていた気がする。
勝つだけならそのまま裸締めでいいのに、わざわざ解いてまで噛み付きに固執した。
結果的には勝ったとはいえ、昂昇の反撃を受けて両目の視力を失っている。
……本当に美意識ないんですか? けっこう勝ち方にこだわっていません?
それでも噛み付く場所をほぼ急所に限定しているのは噛み付きに頼っているだけではない……のか?
その辺、いまいち透明度が怪しいのがジャック範馬である。
勝利以外は何もいらないはずが、宿禰に勝った時は勝算を受けてヘヴン状態になっていたし。
矛盾するスタンスが並列していて、今のジャックはどうにも評価に困る。
武道家は格好付けたがるというのは面白い捉え方なんですけどね。
スポーツ選手は格好付けたがるのは道理だ。
魅力的なプレイをして観客を惹き付ける必要がある。
だからこそ、バキ世界ではスポーツ選手と武道家は対比され、武道家の方がより実戦的な実力者とされてきた。
しかし、その武道家も格好付けたがると言及されたのはより深い分析と言えよう。
だが、昂昇よ。
負けたのは格好付けたからではなく単純に実力不足だったことは忘れるなよ……
あと噛み付き対策ゼロとプランニングがなさすぎた。
総合して甘いから負けたというのはそうなのですが。
実戦派と思われていた武道家は格好付けてしまうという話は面白いけど、ここからどんな展開に繋がっていくのか。
同じく美意識を持たない戦士がジャックの前に立ちはだかるのか?
加藤は美意識を持たない男代表だし、同僚の花田が実力者となって復活したし、いっちょテグスを使ってみっか!
圧倒的な実力差がありながらもドリアンに挑んだ姿は熱かったんですけどね。
まぁ、バキ道の序盤で独歩に二度もやられてあまり成長していない現実を見せてしまったので、加藤の前線復帰は無理そうですが。
こうして美意識を持たない戦士として同じく並ぶのはかつて言及されていたピクルだろうか。
獣なので美意識はないも同然だ。
刀の威力スゲえとなったら遠慮なく刀を振るうくらいだし。
じゃあピクルと戦うかとなれば……何かちょっと早い気はする。
ある意味では勇次郎並みのボスキャラですよ、ピクルさんは。
何かと厚遇されている立ち位置だし。
美意識を持たない代表と言えば死刑囚たちだ。
そろそろ東京にリベンジしておくか?
シコルスキーは今更本編の方には出て行きにくそうだけど。
外伝のシコルスキー、面白いと言えば面白いけど完全に気のいい兄ちゃんなんですよね……
何で死刑になったんだろ、この人。
守護るという美意識は持てど武器も毒も何でも使う美意識のなさを兼ね備える本部さんなんか如何ですかね。
というか、花田ですよ、花田。お見舞いにも来ねえ。
板垣先生、忘れちゃったんじゃないか?
あるいはこいつはいまいちだから斗羽に変えようという過去を思い出しちゃったか?
また斗羽にやられて巨人って言っていたら面白いんですけどね、花田。
あるいはジャックに挑んで巨人って言ってみるか?
何だか期待してしまう辺りに本部流の業の深さを感じるな……
再来週の次回へ続く。