刃牙らへん感想 第17話「範馬家の評価」



今回はこの男の出番があるぞ! 範馬刃牙!
相変わらず待っていたような待っていないような、そんな立ち位置だ。
出てきてもあまり盛り上がらないから主人公を降板された感もある。
それでいいのか、主人公。


「ジャック範馬」
「範馬刃牙といえど」
「勝てるかの…?」


さて、徳川邸でみっちゃんは刃牙にジャックに勝てるかを問いかける。
刃牙は結果だけならジャックが苦戦した宿禰を9秒で瞬殺している。
一応、純粋なフィジカルでは勝てないような発言はしていたけど、多分、真っ向フィジカル勝負をしても勝てた。
それが範馬刃牙である。

そんなわけで結果だけ見れば刃牙はジャックに勝てそうな気はする。
「バキ」の頃くらいはジャックの方が強そうだったんですけどね。
いつの間にやら刃牙の強さは妖術めいた不動さを手にしてしまった。
「バキ道」に至っては恒例の新キャラにいっぱい食わされるイベントさえなかった。
代わりに小結に妙に苦戦した。何だったんですかね、アレ。

「清々しさにあふれていたよネ」

出た。範馬刃牙得意のはぐらかす話術だ。
みっちゃんの問いかけに答えず話題を逸らした。これが範馬刃牙である。
迂闊に勝てると言えばジャックとの試合を組まれるだろうし、勝てないと言うのはプライドが許さない。
ならばはぐらかすのが正解……なのか?
範馬刃牙流話術は難しい。

その刃牙の答えにみっちゃんはジャックは他者からの評価に興味がないと語る。
あ、はぐらかされた話題を続けるんだ。
刃牙との付き合いも長いから刃牙の話術に慣れっこなのかもしれない。

「どうかな」
「宿禰との試合に勝利したジャック兄」「明らかに歓声を堪能している」
「降り注ぐ賞賛の嵐に対し――」「至福の表情を隠そうともしていない」


ここで範馬刃牙がジャックの抱える矛盾を堂々とツッコんだ。
美意識なし、評価を気にしていないと言われつつも、実際のところは勝ち方にこだわったり賞賛に喜んでいたりと読者視点からは矛盾が感じられた。
そこに刃牙は初めて触れた。主人公らしい鋭さと言っていいのかもしれない。
なお、刃牙は少なくともジャックよりは美意識はない。ババアキスで武蔵を無力化したくらいだし。

刃牙はジャックとて報われたい、勇次郎に褒められたいのだと語る。
実際、その通りであり、刃牙はジャックの心境を理解している。
これは刃牙も一緒だろう。
何せ親子喧嘩の最中に撫でて褒められた時は思わず泣くほど感情を乱している。

刃牙もジャックも褒められたいという感情は一緒だった。
でも、最近の刃牙さん、どうなんでしょ。
バキ道においては一度も絡まないまま、終わってしまった。
刃牙道でも直接的な描写はなかったけど、舞台裏では武蔵のことを話したらしい。
そんなわけで今の刃牙が勇次郎へどんな感情を向けているのか、いまいちわからない。

その辺も改めて触れられるのだろうか。
せっかくだからホモ疑惑について突っ込んでくれ。いや、さすがに引くと。
ホモ疑惑のせいで勇次郎に近寄りがたくなっているのなら、まぁ、その気持ちはわかる……


さて、神心会本部。
そこで独歩がかつて刃牙や克巳がやったコンビニ袋のリフティングを行う。
これはそれなりの実力を示すデモンストレーションらしい。
ある程度リフティングを行った後に独歩は飛び蹴りでコンビニ袋を一刀両断にする。
刃牙や克巳にも柔らかいコンビニ袋を両断することはできたので、独歩にも同じことはできるのだった。
多分、昂昇もできるぞ。……独歩並みの切れ味があると示された時はけっこう期待したのになぁ。

「せいやッ」

この演舞は残心と気合いを入れた叫びで終える。
だが、この叫びは必要なのかと克巳と共に自問する。
これを不要と断ずるのがジャック……らしい。
何かジャックの美意識不要論が拡大解釈されている気もしますが。

独歩は残心を空手の見栄、見せ場と語る。
格好付けたがることを否定しない。
独歩は美意識を抱いているからこそ強くなれた人間だ。
アラミド繊維やテグスに逃げず、素手で切り裂けるまでに鍛え上げた。
その愚直さこそが独歩の美意識であり強みなのだろう。

「昨日今日立ち上げた「嚙道」とやらが――――」
「解ったふうな口きいてンじゃねェッての」


独歩は嚙道に異を唱えた。
ここに至るまで嚙道はやたらと絶賛されているだけに異論は初めてである。
いきなり名乗り始めた我流流派に文句を言いたくなるのはごく自然なことだ。
尖っていた頃の烈がいたら、噛み付きなど通過さえしていないと吠えていたかもしれない。

独歩は敵意を燃やしている。
ジャックの次の相手は独歩になる……のか?
とりあえず、生け贄として加藤と末堂を捧げてみては如何か。
あと花田は完全に存在が消えてしまっている。どこ行ったんだよ、お前。


一方、ジャックは勇次郎とホテルの一室で食事をしようとしていた。
おそらくは親子喧嘩の舞台となったホテルだろう。
勇次郎からそれなりの信頼を得ているホテルのマネージャー、野中三夫も姿を見せている。

「たまには柔らかい物も食え」

勇次郎が優しい!!?
いや、何でこんなに優しいんだ?
かつては「汚れた身体で舞い戻りおって」とか「消え失せい」とか「日に2度敗れるバカがいるか」とか「あれは血が薄い」とか、言いたい放題だったのに!!
刃牙には親馬鹿出しまくりだが、ジャックには塩対応が勇次郎のスタンスだったが、今ではそれがまるでズレてしまっているよ。

刃牙との親子喧嘩を経て父性愛に目覚めたのか?
だとしたら親子喧嘩から10年以上経って急に目覚めたな、アンタ。
どうせなら世界中にばらまいた種にもこの愛を注いであげてほしい。
あの発言、いい加減拾ってもよろしいのでは?

あまりの優しさにジャックはむしろ困惑している。
誰だってそうなる。俺だってそうなる。
勇次郎に褒められたいジャックとしてはこうしてもてなされることは最上級のご褒美だろう。
何か母親の無念を晴らすという目的は忘れていそうだ。
刃牙も朱沢江珠の件が有耶無耶にされたし、そういうところでも似ている息子たちである。
次の展開が読めないまま、次回へ続く。