刃牙らへん感想 第34話「いつも どこでも」



ピクルのピンチが続いている。
だが、追い詰めたと思いきや隠し玉を持っているのがピクルである。
ピクルタックル然り白亜紀闘法然り最終形態然り。
諦めるな、白亜紀! 令和が君を応援している!

ジャックはスープレックスで叩き付けた後、そのまま縦に回って元の姿勢、投げる前の状態へと戻す。
嚙道は噛み付きへと繋ぐ技術。
ここから急所に噛み付き決着か?
背後という最上のポジションだしそれが妥当であろう。
噛み付きで決着を付けるためなら裸締めだって解くぞ!

だが、ジャックの選択肢は噛み付きではなくさらなるジャーマンスープレックスだった。
2連続の投げをピクルはモロに受ける。
どうやらピクルにとって投げは苦手らしい。
打撃のように余裕で受けられるものではないようだ。

投げは単純な力だけでなく技術やテコの原理と言った物理の集大成だ。
複数の要素が混ざり合った複雑な一手はピクルとて対処に困るようだ。
圧倒的なフィジカルを持つピクルがジャックの投げをこらえることができなかったことがそれを証明している。
……今のピクルさん、その圧倒的なフィジカルを失っている感は否めないけど。

ジャックの攻めは止まらない。
一撃必殺の投げを3度重ね、またもフェンスに叩き付ける。
フェンスに叩き付けられればピクルだってダメージを受ける。
トラックを正面から喰らっても平気なピクルだがダメージを受けるんだ。
そういう時もあるんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ。

ところでみっちゃんがいつの間にか観客席に戻っている。
いや、前回の花山と話していたのは何だったんだ?
遠隔操作型のスタンドか何かか?
休載しすぎてそのことを忘れちゃったか?



倒れるピクルを前にジャックは両手を握りこむ仕草をする。
これはエア噛み付きだ!
いつでもどこでも噛めるという宣言だ!
さりげなくパフォーマンスなんか練習しやがって。
最大トーナメントの時点でヤシの実を噛み切ったりパフォーマンスが好きだったな。

叩き伏せられたピクルは動かない。
だが、気を失っていることはないだろう。
ピクルタックルも白亜紀闘法も最終形態も残している。
特に白亜紀闘法に敗れたジャックとしてはこれを克服してこそ真の勝利と言えよう。
パフォーマンスしている場合じゃないぞ、ジャック範馬。
本気のピクルに備えろ!!

「一方的に勝ち名乗っての勝利宣言ッッ」

「勝負ありッッ」


ば、馬鹿野郎!? 勝負あるな!!?
ピクルタックルも、白亜紀闘法も、最終形態も、ピクルの本気を象徴する技を全部使わなかったよ!?
使ったのはいきなりこだわりだした引っかきだけだったよ!!?
何だコイツ!? 実はピクルじゃなくて郭春成じゃないか!?

一方的に勝ち名乗るってダメじゃん!
勇次郎に後ろからチョップ喰らいかねないじゃん!
でも、勝負あっちゃってんじゃん!
どうなってんだよ、マジで! 一方的に勝ち名乗って勝負あっていいのかよ!?


な、なまっているをしているだけに決まっている……
軽い運動不足さ……
ほら……喋り出すぞ……今にきっと目を開ける……
ピクルさん…そうでしょ?
起きてくれるんでしょう?
お、起きてくれ! 頼む……ピクルさん!!
バ……バカな……か……簡単すぎる……あっけなさすぎる……

まさかの決着だった。
それも範馬刃牙VSケンガンアシュラのジャックレベルの格好悪い負け方をした。
いや、最近、休載多かったからね……
板垣先生も疲れちゃって無理矢理締めたのでしょう。
何かそうとしか思えない決着だった。いいのか、元大ボスキャラがそれで。
ファンの中でも穏健派(?)を自認(?)する私でもちょっと悲しいぞ。

そんなわけでジャックのリベンジ成功!
いや、成功しちゃって良かったのか?
前回の敗因、白亜紀闘法を乗り越えずに勝っちゃって良かったのか?
ピクルさん、克巳の時と同様に寝ているだけとかありません?
倒れている表情が妙に穏やかだし寝ていてもおかしくないのでは?

だが、勝負ありが出たら勝負ありなのがバキ世界の不文律だ。
勝負ありが覆されたことは一度とてない。
というわけで、ピクルさん、負けました。
ここまで酷い負け方をするとは思わなかった。
武蔵と戦った時も最後に逃げ出したとはいえ、斬撃を真正面から身体で受け止める、何度斬られても死ななかったと意地と見せ場はあったのに今回は何もなかった。
ピクルをピクルたらしめる強さやスゴさを一度も見せずに負けてしまった。
弱者を狩りゴミ汁をすするようになってしまったことで、残念ながらピクルは戦士としては完全に終わってしまったらしい。

今回のピクルで一番面白かったのは試合前に喋ったところで、試合に入ってからは悲しいくらいに一方的にやられるだけだった。
というか、何で喋った?
野性の、強さの喪失を意味していたのだろうか。
まぁ、結果としてはそうなってしまったわけで……

ジャックが強くなったというよりもピクルが弱くなったとしか思えない戦いだった。
実際に弱くなっているのだろう。
ゴミ汁をすする男が強いわけないし。
いや、あんなことをすれば逆に強いか?
何にせよ現代のぬるま湯に使った結果、白亜紀で培った肉体と精神はすっかり衰えてしまったのはたしかだ。

昂昇はノープランだったから負けて、ピクルは弱くなったから負けた。
せっかくジャックの物語なのに対戦相手が不甲斐ないところばかり見せている。
まともな相手はいらっしゃいませんか?
というか、ピクルを倒してしまったら次の相手に困りそうだ。
いや、今のピクルは大物感ないけど。
バラモスというよりもせいぜいがカンダタ、下手すればおおがらす程度だった。

今のジャックは理不尽な強さを身に付けている。
強さというか、相手を弱くするというか。
かつて圧倒的な力の差を見せつけられたピクルに何もさせず勝ったのはその力によるものとしか思えない。
身長を伸ばしフィジカルを鍛えたはずが汚い技に目覚めやがって……!
あれか? 本部に同じようなデバフ魔法で負けたからその対策として学んだか?

これで思い出されるのは範馬刃牙だ。
範馬刃牙は相手を弱くする能力に長ける。
ピクル戦でもその能力を使って白亜紀闘法に追従したり最終形態の効果をなかったことにしたりした。
つまり、勝ってもあまり納得がいかない。

今のジャックもその類の強さを身に付けている。
故にかつては負けてしまい、いつしか大差を付けられてしまった刃牙に近付いている!……かも。
というわけで、そろそろ刃牙と戦ってみるか?
それでジャック編終了して新展開にした方がいいかもしれない。
ジャックさん、美意識がなさすぎて塩試合ばかりで盛り上がりに困るし。
猪狩と袂を分かったのも塩試合ばかりでプロレスができないからだったりして……
休載を挟んでの次回へ続く。