刃牙らへん感想 第41話「自覚」



勇次郎がジャックに花山の何を知るかを問いかける。
外伝の方で変な味付けがされたから読者としても今の花山を知っている自信はない。
若干外伝寄りになっている感はあるけれど……

花山の何を知るかを勇次郎は問いかける。
だが、その前にジャックは狭いから外へ出ようと促す。
外に出る。
出るんだ!?
いや、外に出た方がいいのはその通りなんだけどあまりにも常識的すぎて逆に驚くぞ……!

「何モ知ラナイママダト」「何カ不都合デモ………??」

さて、ジャックの答えはこれだった。
実績だけで言えば本部に負けたこと以外はジャックの方が圧倒的だ。
特にバキ世界でも最強格のピクルを相手に圧勝できたのは大きい。
それに対して花山はピクルに勝てなかった克巳に負けている。
何ならジャックが圧勝したガーレンにも負けている。
である以上はジャックの発言は傲慢とは言い難い。

「花山という男」「尺度が並じゃない」

ここで勇次郎は尺度という新概念を持ち出す。
尺度とは一体……
スゴそうでいてその実態としてはふわっとしている。
花山の尺度がスゴいと言われても読者としては納得しにくい。
幼年編で刃牙にゲーセンの筐体で攻撃したり窓から投げ捨てたり、意外とみみっちいところはある。

そうした人間がいることをジャックは肯定する。
勇次郎という典型例があるからだった。
一方でその説を支持しないとも語る。
異次元に見えるのは調査不足に過ぎないと断じるのだった。

もっともかもしれないが花山のことをまったく調査していない人間が言うのはダメだと思う。
それはただ相手を舐めているだけでは……?

「人間ノ肉体ガ生ミ出スモノニ」「”異次元”ナド存在シナイ」
「全テハデータデ決定キマル」


それはそうかもしれないがこの漫画でお前が言うか……!?
君、データとかまったく気にせず突っ走るタイプじゃん!
おそらくはデータに基づいた博士の懸念を範馬力で上回って覆したじゃん!
それとも自分が業界のデファクトスタンダードとでも言いたいのか?
たしかにドーピングしまくって健康に影響ないからドーピングが正解と思ってもおかしくないけど……!

ここで勇次郎はジャックを物理的だと語る。
苦痛が伴う骨延長、歯を金属化し戦力の中心を噛み付きにした。
出た、再放送だ。
わかった! それはわかってるから! 話を先に進めてくれ!
あとジャックがジャックたる象徴でもあったドーピングはすっかり省かれている。
あれはもう健康サプリ判定の気がしてきた。

「一日30時間?の鍛錬という」「あり得ぬファンタジー」

一方でジャックの持つファンタジーというか無茶にも触れる。
1日30時間の鍛錬はありえない矛盾である。
だから、ジャックにもデータでは語れない部分はあるというかそういうところが過半数を占める……
のだけど、別にジャックは実際に1日30時間に時間を歪めているわけではない。
鍛錬の結果はファンタジーではあるけど単なる比喩表現をファンタジーと言いましても……
いや、実は時間を歪めて1日30時間になっているのか?

そんなデータもファンタジーも関係なく花山は鍛錬しない。
強者として生まれ落ちた負い目とも言える自覚が鍛錬をさせない。
だが、それこそが強みと勇次郎は語るのだった。

「揺るがぬ花山の「自覚」」
「どう破る?」


……まぁ、その自覚を真っ向から二度も破っているのが勇次郎なのですが。
それで勝ち続けているのなら誇れる自覚かもしれないが、現実としては花山はけっこう負けている。
負けてもなお鍛錬しないのが花山のオリジナリティかもしれない。
でも、それ、あまり褒められたオリジナリティじゃないんだよな……

ただその上で武蔵を脅かしたりと不思議な強さを持つのが花山でもある。
あの強さが強者としての強烈な自覚から成り立つのなら勇次郎が一目を置くのもこの戦いに注目するのもわからなくもない。
ジャックが鍛錬を積み重ねるという常識的なアプローチから強くなったのならば、花山は自負心のみで強くなるという非常識で形成されている。
まぁ、ジャックはジャックで非常識な鍛錬をしているから常識的とも言い難いのだけど……

さらに勇次郎は花山が本気で拳を握るとその握力から自らの拳を握り潰してしまうという逸話を語る。
これ、花山外伝で出た匂わせた逸話である。
そんな花山が本気で拳を握るという出だしにときめいた読者も多いであろう。
もっとも花山外伝では結局本気で握らなかったけど。

「俺ガ噛ミ砕キマショウッッ!!!」

だが、そんな非常識な逸話を聞かされてもジャックの自身の強さへの自信は揺るがない。
ジャックは異常な鍛錬に加え肉体改造もしているし、最近は宿禰やピクルという強者を倒すと結果も伴っている。
鍛錬せずとも強いという花山の逸話を聞かされてもまったく気にしないのは道理だ。

ここまで余裕ムーブを見せられると一泡吹いてほしいのが心理というものだが……大丈夫なんですかね、花山さん。
範馬刃牙と一緒に鍛錬しておいた方が良くないか?
いや、幼年編ラストで刃牙の鍛錬に付き合って悲惨な目に遭ったからやりたくないかもしれないけど。

勇次郎としては少しくらい花山を警戒してもらいたかった気持ちがあったかもしれない。
だから、瞬間移動してまでジャックに逢いに来た。
ただ忠告するだけじゃなくジャックを褒めて聞きやすい空気を作っている。
親馬鹿だ。
でも、当のジャックは馬耳東風の極みだ。
愚息だ。

そろそろ花山の方にも触れてほしいけど何をやっているのか。
というか、周りが勝手に決めた感のある勝負だから本人のやる気が怪しい。
最大トーナメントもみっちゃんに担がされて出場した気もする。
個人的には花田に逆襲してほしいかな……そうすれば花田を再登場させられるし……
次回へ続く。