どうする、達人。
渋川先輩と嘲られた借りを返せるか?
よし、本部を殴ろう!
さて、武蔵は渋川先生が踏み込もうとした瞬間に近付き袈裟斬りにしたのだった。
渋川先生の足は床に着いてさえいないのに、一瞬で肉薄している。
圧倒的な武蔵の踏み込みの速度である。
これは相手の初動を見切る0.5秒があるからできる芸当だろうか。 0.5秒の先読みをされれば達人も反応できないのだった。
イメージの中だが鮮血が飛び散る。
同じくイメージながら刃牙の片足を吹っ飛ばし絶叫させていた。
なので、メンタルに対してかなりのダメージを与えられることがわかる。
本部も同じような技を使えるでしょう。
本部相手に苦戦するなんて廃人級のダメージだ。
「やられたァーーー!!!」
対する達人の反応はこれ!
おう、オーバーリアクションだな。
倒れてすぐに立ち上がる。
特に冷や汗をかいていないことから、ダメージは克服できたようだ。
これは76歳の精神力が為せる技だろうか。
「さすがは”剣の人”だ」
「「抜く手」も見えずバッサリ………」
「――どころじゃねェ……」
「踏み込む気配すらも見せねぇ」「気付いたらバッサリだ」
「一足目を踏む間もなく詰められていた」
達人渋川剛気を以てしても武蔵の踏み込みは見切れなかった。
気配を読めれば如何に速かろうと捌けると豪語していたというのに、気配そのものを読めなかった。
0.5秒の世界で戦ってきただけに武蔵は意を消すことに長けるのだろうか。
動きを読まれてしまうのなら読まれないようにすればいい。
格闘家たちは読み合いの次元をひとつ引き上げなければ武蔵に対抗できそうにない。
合気は武蔵の上を行く技術かもしれない。
だが、武蔵は実戦で鍛えられた立ち回りでそれを無力化した。 殺し合いを幾度も経験したが故の立ち回りが武蔵の最大の武器か。
「触れる間もねェ」
「合気もクソもねェ」
「完敗だ」
渋川先生はあっさりと敗北を認めた。
実際にダメージを受けていないのにとゴネない。
武蔵がその気になれば本気で殺す人間と知っているからか。 烈の犠牲によってか、渋川先生は護身だけは完遂させようとするのだった。
というわけで、渋川先生は再び握手を求める。
何だかんだで武蔵は合気に一本取られている。 負けを認めながらも仕掛けてきた渋川先生であった。
武蔵はこの握手を受けるか受けざるか……
それに対し武蔵は構わず握手をする。
今だ! 合気のチャンスだ! だが、渋川先生は動かない。
それどころか冷や汗を流す。
何が起きたのか。
「さすがだぜ」
「剣豪ってなこうでなくっちゃ」
渋川先生は幻影刀で八つ裂きにされていた!
身体のあらゆるところに剣閃が走っている。
合気の借りを幻影刀で返した。
合気を使われる状況になっても、使われる前に切り刻めばいいということらしい。 大胆というか、ゴリ押しというか。
それでも渋川先生は笑っている。 幻影刀のダメージに慣れたのだろうか。
冷や汗を流せど動揺は見せなくなっている。
現代の格闘家たちの課題は幻影刀のダメージに慣れることだろうか。
そんな渋川先生を見て武蔵は満面の笑みを浮かべた。
渋川先生に何か感じるものがあったのだろうか、それとも合気の借りを返せて嬉しいのだろうか。
何はともあれ三輪のことを忘れるくらいの満足感を得たようだ。
三輪猛丈とは本当に何だったのか。
さて、どこぞのホテル。
そこの0000番という明らかにVIP用の部屋に2人の男がいた。
それが勇次郎と本部!
って、勇次郎と本部が同じ空間にいる!?
でも、わりと2人は同じ空間にいることがある。
まぁ、2度に渡って死闘――本部が死にかけた闘いをした関係ですからね。
勇次郎はヒョウ柄のパンツ1枚でリラックスしている。
あの本部を相手に何と無警戒な……
いや、本部だから無警戒なのか?
もう本部の強さと弱さ、どちらを信じればいいのかわからない。
「あまり言いたかねえことだが」「本部よ」
「おめぇん所訪ねようとしていた」
バカな!? 勇次郎が本部に逢おうとしていただと!?
あの世で自慢できるくらいの光栄だ。
今の本部は勇次郎に認められている存在なのだ! 赤飯を炊こうそうしよう……
でも、本部は刃牙に勝っている。
親馬鹿の勇次郎が怒っても仕方ないかもしれない。
本部、案外生命の危機……?
「ここんとこ客が増えてんじゃねぇか?」
「奴の事はおめぇがイチバン
勇次郎が本部を認めている……だと!?
意外と言わざるを得ない事実だ。
路傍の石だと思っていた男が実はダイヤの原石だった?
やはり、本部は宮本部武蔵、宮本一族の末裔なのか……
ついに本部が勇次郎に認められ、勇次郎が武蔵戦線に割り込もうとしている。 動向を見せなかった勇次郎はどうするのか。
刀は勘弁とかじゃないことを願うが……
武蔵は武蔵で勇次郎をして特別扱いであった。
本部も特別扱い。
いよいよ世界の崩壊は免れないか……?
次回へ続く。
渋川先生、敗北!
とはいえ、大怪我を負っていないだけ安く済んだ。
引き際をわきまえている達人であった。
人生においても達人!
だが、渋川先生をして武蔵には容赦なく斬られてしまうことがわかった。
これじゃ武器ありだと勝負にならない。
やはり、刀をなしにしてもらってはいかがでしょうか……
ピクルの時とは別の方向で勝ち目が見えない武蔵であった。
だが、それもこれも武器術を知らないからかもしれない。
そこで本部!
賢者として対武器の心得を格闘家たちに伝えるのだ!
まぁ、本人は守護らねばと息んでるわけですが。
今の本部から何かを学ぶことはできそうだが、生憎にも何かを学ばせようという気がない。
そして、出不精なのでどんどんと被害者が増えていく。
だが、本部には全ての技を受け取った愛弟子、花田がいる。
本部は解説役に専念してもらうとして、花田が頑張ればいいのではなかろうか。
でも、花田ってクッソ弱い印象しかないんだよね。
加藤に負けるくらいだし。
今ではレスラー設定も忘れ去られてすっかり落ちぶれていそうだ。
ん? 落ちぶれているからこそ、花田は浮上した本部にすがりつくかも?
俺が保護らねばならぬ!
本部、ニート更生編をお楽しみに!
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