刃牙道感想 第80話「強敵」



障子の向こう側にいるのは勇次郎か、本部か!
どちらにせよ美味しい展開だ。
勇次郎なら本部は守護れておらず本部る。
本部なら即座に敗北して本部る。
もし、武蔵に善戦したら……そうなりかねないのが最近の本部の恐ろしいところでもあるが。


さて、時は前後して徳川邸。
THE・危険な昆虫のスズメバチが飛んでいた。
そのスズメバチを素手で捕まえる男がいた。
徳川邸親衛隊長加納秀明! ってお前かよ!?

何やかんやとちょくちょく出てきているのが加納秀明である。
独歩の演舞以来の登場である。
って、わりと最近のことですな。
その実力は刃牙以下にしてドリアン以下である。
つまり、弱い。
だが、防御が一流というわかりやすい個性に加え、刃牙の虎王の初披露となったりと印象に残るキャラではある。

そんな加納秀明であるがスズメバチを相手に恐れず素手で捕まえた。
端くれとはいえ地下闘技場戦士。
スズメバチなど恐れるに値せず捕まえるのも容易!
同じことを本部にもやらせてみようか?

加納秀明がスズメバチを捕まえると唐突に暴れ出す。
針が刺さったら危ないぞ、加納秀明。
遅れて寒気を感じると加納秀明の背後には勇次郎がいた。
オーガの存在に野性がまず反応したのであった。
そして、本部が守護れていないことが確定した!
ボール球ならまだしもストレートさえも打たない本部。
そんな男に果たして守護神を任せていいのだろうか……

しかし、加納秀明はある意味では本部に似ている。
本部が守護者なのに守護れていないように、加納秀明も親衛隊長なのに守護れていない。
出逢えば友朋になれるかもしれない……

さて、勇次郎が背後にいた。
勇次郎は誰かの背後にいつの間にかいることはままある。 ある意味では定例行事だ。
そんな勇次郎に加納秀明が驚愕するのは無理からぬことである。
そして、うっかり掴んでいたスズメバチを離してしまう。
勇次郎は己に向かうスズメバチをデコピン一発で粉々に粉砕だ。
まさに指先一つでダウンである。

「警備を預かる者が」「こうもあっさりと背後を奪られちゃいけねぇな」

(初めて口を利いてくださったッッ)

そこに驚くか、加納秀明!
加納秀明も強さの世界に生きる人間だし、勇次郎には憧れを抱いていてもおかしくはない。
とはいえ、アイドルに声をかけてもらったような驚き方を……

それにしても加納秀明という路傍の石に声をかけるとは意外と紳士的な勇次郎だ。
刃牙道の勇次郎はオーガっぷりがやや薄れているし、これも親子喧嘩で価値観が変わったからだろうか。
そんな勇次郎の逆さ鱗に触れた本部は逸材と言わざるをえない。

そんな勇次郎の目的は当然、武蔵である。
いつの間にか障子を開けて室内に入っていた。
わりと紳士的なのが最近の勇次郎なのでちゃんと靴は脱いでいるぞ。
対する武蔵は幻影刀による牽制を行わず、まずは共に酒を飲むことにする。
銘は純米吟醸徳川である。
このジジイ、何てものを作らせてんだ……となるかもしれないが、「徳川家康」なら実在する日本酒だ。
つまり、このジジイは悪くない。諸悪の根源だけど。

武蔵は勇次郎の器に酒を表面張力いっぱいまで注ぐ。
それを一気に飲み干す。
対抗して武蔵も飲み干す。
互いに最強同士だがまずは酒を飲み合うだけだ。
互いが互いに極上の美酒だけにまずは味わうという算段か。
武蔵と言えば相手をまずはイメージで捉える。
刃牙はご馳走、渋川先生は花畑。
ならば勇次郎はどうなるかと言うと天まで届く小判の山を連想した。 勇次郎はまさに至宝に匹敵する逸材ということか。
同時に勇次郎でさえ危険なイメージを武蔵には与えられなかった。
自ら死合いを望む性分のため、危険という感覚がマヒしているのかもしれない。
だから、烈の攻撃をけっこう受けたとか?

「――で御仁」
「俺に」「何を見る」


「何を見る…………?」
「宮本武蔵の実物を眼の前にして」
「他の何が見えるという」


何が見えるのかという問いに対して武蔵以外は見えないと返す。
これは勇次郎にとって武蔵は他に形容するもののない宮本武蔵そのものということだろうか。
ある意味では最上級の賛辞だ。
同時に作り物であるが勇次郎に本物と認めてもらえた。 勇次郎のお墨を付けてもらったことで武蔵は完全な本物と言ってもいいようだ。
これなら烈もクローンで復活できるかも?
復活されると緊張感が大分薄れてしまうので良くはないが。

最強の2人が邂逅したがすぐには始めない。
ご馳走はゆっくりじっくり食べようということか。
これなら本部も守護れる余地がある。
本部にチャンスが与えられたまま、次回へ続く。


やってきたのはやはり勇次郎だった!
ピクルの時と違って対面するのに時間がかかった
果たして勇次郎は戦うのか。
ピクルの時はその辺がおざなりになったが、本部が何か吠えているし武蔵との絡みがなければ話も進むまい。

戦いそうで戦わないのが勇次郎でもある。
今回の相手は日本刀を持っているし勇次郎としても絡みにくいかも。
本部くらいなら日本刀をポキポキ折れるのだが……
それとも今のうちに國虎を折っておくか?
後に続く格闘家たちも喜ぶぞ!
というより、もう武器を使う格闘家が本部かギリギリガイアくらいだから、今のうちに國虎を破壊した方が……

しかし、ここで本部が守護者としての本懐を遂げる時かもしれない。
2人の間に挟まって今度こそ守護るのだ!
このバケモノ2人組を目の前にするとさすがに守護る気は失せそうだが。
2人の邂逅は当人たちにとっては大事件だが、本部にとっても大事件かも……



刃牙道(8): 少年チャンピオン・コミックス