喧嘩稼業第56話感想



1ヶ月ぶりの喧嘩稼業!
掲載されるだけでも……嬉しいんやな……って!
なお、できれば隔週でお願いします。

十兵衛の策謀によって反則から試合開始だ。
徳夫、既に虫の息である。
それでも十兵衛は油断していない。
徳夫は選手権を四連覇するほどの日拳の選手を相手に完封勝利していた。
ほんの僅かな初動を見切ってカウンターするほどの反射神経の持ち主なのだ。
徳夫の目の良さは度々描かれているし、それがこのカウンターに表れているのだろう。

瀕死の徳夫だが動ける自身があった。
これは過酷な状況下でロードワークをし続けた経験によるものらしい。
そのロードワークの先には父の雅夫が回り込んで見張っていたらしいが、これはおそらく幻影か。
こんなものが見えているから父が没した後も自然と自分を追い込んだトレーニングをしていそうだ。
雅夫を殺害した疑惑といい、どんどんと徳夫の過去が重くなっていくのだった。

そんな徳夫もとい日拳の攻略法として文学と一緒に考えたのがグラウンドに持ち込むことだった。
日拳はグローブを着用している。
つまり、掴んだり目に指を入れられないので、グラウンドが怖くないという見方だった。
普段やらないことはできないのが人間の常だ。
まして試合という緊張下で淀みなく行動を選択するにはなおさら経験と鍛錬が必要となる。
それ故にその格闘技にない選択肢はないと見るのが自然か。
まぁ、金田は蹴ったけど。

というわけで、グラウンドに持ち込むのが十兵衛の第一戦術となった。
その前振りとして唾を吐き付ける!
おう、お前、本当にダーティだな。神聖なリングに唾とは……
いや、屍を仕込むよりはマシだけど。

この唾を追う徳夫の視線の動き、避ける動作から一瞬のぼけを感じ動いた。
煉獄のダメージは確実に積み重なっており、徳夫の武器である反応速度が落ち込んでいたのだった。
そして、同じ対策を考えていた陰陽トーナメント出場者がやりたかった徳夫に組み付くという難事をノーダメージで実現だ。
この真相に陽側の選手が気付かない一方で、ゆう君と里見と田島は真相に気付き評価をする。
って、ゆう君かよ。お前、何か最近キャラが急に立ってるな。

だが、兄の睦夫だけは十兵衛の仕掛けが甘いと指摘する。
徳夫は十兵衛を掴んで投げた!
さらに外れはしたものの踏みつけによる追撃も行う。
投げから打撃へ綺麗に繋げるこのコンビネーションは双方に精通するからこそ行えるものか。
ダメージを与えていなかったら踏みつけで死んでいたと十兵衛は述懐する。
つまり、不意打ち煉獄が失敗していたら十兵衛はこの時点で敗北していたことになる。

徳夫は日拳の弱点である掴むことに関する攻防を克服するために素手での鍛錬を行っていた。
その結果、オリンピック候補の川上竜を相手に投げで勝利するほどの腕前を身に付けていた。
そして、打撃のみならず投げでも勝利してみせた徳夫の圧倒的な強さが川上が日拳入りを決意した真の理由なのであった。
ボクシングは前振りに過ぎなかったのですな。
あと驚いている時の川上の表情が面白かった。
ゆう君といいセコンドが急速にキャラを立ておる。

この徳夫の強さに川上は震える。
徳夫は強いのだ。
それも十兵衛の想像以上に。
最大の攻略法である掴みを無力化されてしまって、優位に立っていたはずがピンチになってしまった十兵衛だ。

徳夫の強さに十兵衛は冷や汗を流す。
対する徳夫はこの局面を乗り切ればさらに強くなれると踏んでいた。
絶望を抱く十兵衛に対して希望を抱く徳夫ですな。
体力は未だに十兵衛が有利でも心理的には徳夫の有利になってしまった。

そして、逆転の時を予想すると徳夫は残酷に笑うのだった。
徳夫は遠慮なく殺せる人だ。
というか、殺す気で踏みつけを行った。
試合開始は十兵衛が策で上回って見せたが、ガチの試合になると徳夫が才能を見せつけて圧倒する。
煉獄奇襲にあれだけの策を投じた以上、これで打ち止めになるのか、あるいは。
徳夫は一筋縄に行かない相手なのであった。

だが、煉獄を決めれば何とかなるぞ。
よし、背後に睦夫を立たせろ!
……真っ向勝負で十兵衛が勝つ未来があまり見えないな。