刃牙道感想 第44話「そういう人物(ひと)」



本部が機関銃の解禁を促した。
時々、この人は本気でバカなんじゃないかと思ってしまう。
しかし、本部ほどの知識量を持つ男が機関銃を使えと言うのならその通りだろう。
でも、本部って知識はあるけど活用法がダメダメだからなー。
あ、そういえば、第4巻のラストは本部の守護らねばならぬであった。
単行本派は本部の存在に悶々とすることは間違いない。 「宮本武蔵への武器の解禁」
「武術 格技を見つめ続けた御老公」「あなたの洞察力には敬意を抱きます」


とりあえず、みっちゃんを褒める本部であった。
みっちゃんがこうして褒められるのは初めてではないだろうか。
というか、そんなポジティブな印象がまったくと言ってもいいほどないのですが。
試合を見ている最中は常に驚いてばっかりだしな。
ドヤ顔したのなんて刃牙がズールに不意打ちを食らった時くらいじゃないか?

何よりもみっちゃんは災いの種という印象しかない。
ピクル編以降は格闘家たちに無茶振りをして災厄に巻き込む役割を担っていた。 今だって帯刀した武蔵との試合をさせるなど一歩間違えばとんでもないことになるし、佐部には斬り合いをさせる気で呼び出していたし。
そんなわけで本部のような見方があったなんて驚きですよ。

でも、本部さんや。
武器解禁は多分烈から持ちかけたと思うぞ。 みっちゃんが武蔵が危険だから武器を使ったらどうかと言ったわけではなかろうて。
無論、許可を出したのはみっちゃんだろうがあくまでも許可止まりだ。
クソ! いきなり外しやがったぞ本部! これからに期待させやがる!

だが、みっちゃんもまたただの無能ではない。
本部のお世辞を素直に受け取らず何か裏に意図がないかと思うのだった。
ああ、ダメだ。
こんな老いぼれも誤魔化せんのか、おのれは。
わかった。もう守護ろう。誰かではなく、自身を!
いつの間にか本部が死んでいたよりは、じっと引き籠もっていた方がありがたいよ……

「しかし悲しいかな」「実践を経ぬ者の限界………」
「このような暴挙をやらかしてしまう」

「御老公」「図らずもこのたび」
「あなたは自分が素人であることを」「自ら曝け出してしまった」
「宮本武蔵という怪物中の怪物」
「あなたはまるで理解できていない」


エラそう。この人、物凄いエラそう。
そんなわけで一転攻勢。
怒濤の勢いでみっちゃんをDISり始める本部である。
まぁ、みっちゃん素人だしね。素人だから見通しが基本的に甘い。
みっちゃんの甘さが烈や克巳が四肢を失うことになった遠因となっているのは疑いようもないだろう。
そう、みっちゃんの見通しは本部と同じくらい甘い。
武蔵の戦力をみっちゃんは過小評価しているのか。
まぁ、しているっぽい! ぽい!
でも、格闘家がそれを望むのなら何も言わず後押しするのもみっちゃんの仕事だ。
みっちゃんはいい意味でも悪い意味でも格闘家に何もしない。 死地に赴く格闘家を止めることがなければ、赴いた格闘家に水を差すこともしない。
なので、叱られるに値しないと思うのですが。

しかし、本部さんや。
「実践を経ぬ者の限界」ってそれはアンタ自身のことを言っているのか? 知識だけじゃ勝てんということを証明したのは本部自身である。
最大トーナメントにおいて多種多様な知識を一切活かせず金竜山程度に負けたのは全財産を失うレベルの失態だ。

みっちゃんも「金竜山にも勝てなかった男が何を言う」と言い返せばいいのに、律儀に素人発言を受け止める。
その上で武器を望んだのは烈だから彼まで素人扱いするのかと問う。
早速、本部は先の発言が空振ったことがわかってしまった。
どう返す。本部。

「今回の試合 烈氏を知る者なら誰もが納得の内容」
「そもそも烈海王とはそういう人物
(ひと)でしょうが」
「命を失おうが片足を失おうが」「強者と認めたなら求め戦うのが「義」ッ」
「それが烈海王」「皆が知ることじゃないですか」


烈はそういう人だよと大変上から目線で語る本部であった。
みっちゃんも烈がそういう人物だと知っているからこそあえて止めなかっただろう。
そこを批判されても困るというものだ。
この妙に偉そうな空気はまさに本部だ。 俺……震えてきやがったぜ……

みっちゃんは本部も武蔵と戦いたいのかと問いかける。
本部だって解説家……じゃなくて格闘家だ。
強いんだ星人……だよね? そうだよね?
強者と戦いたい本能、あるよね?
今だって勇次郎にリベンジしたいと思っているよね?

「闘争(やり)たいというよりは守護(まも)りたい」「―――ですかな」

お前はまだ守護る気だったのか。
あの発言は気の迷いかと思ったら本気だったようだ。
マジかよ……マジで守護ってくれるのかよ……

「はァ!!?」「だだだッッ誰を!!?」

これにはみっちゃんも困惑する。
誰だって困惑する。読者一同だって困惑する。
そう思うと単行本の締めを守護らねばならぬにしたことで、混乱した読者を本誌へ導く力があるかもしれぬ。
本部はチャンピオンの守護者だ。
いや、今のチャンピオン最大の守護者は弱ペダの気もしますがね。

ともあれ、ついに守護らねばならぬの真意が明かされる時が来た。
本部で引っ張り続けた真意が明らかになる!

さて、本部は武蔵が剣しか使えないわけではないと語る。
剣・弓・槍・棒・薙刀・縄・馬・手裏剣と何でも使えるらしい。
本部の推測なので真に受けるわけにはいかないが、多くの軍勢と多様な武器を相手にする合戦では剣だけだと不便も多いのも事実だ。
一通りの武器を使えることが生存率を上げることは間違いない。

「はばかりながらこの本部」「それ等の武技全てを修めます」
そんな武器術を身に付けていると語る本部である。
デタラメばかりな本部だがこれは事実だろう。
何せ柳を多彩な武器術で圧倒している。
10年以上の時を経てあの戦いの意味が回収された。 ……10年以上も引っ張りたかったのか?
できれば世界中にばらまいた勇次郎の種についても10年以上経ったし回収してもらいたい。

しかし、それなら柳相手に是非馬を使って欲しかった。 夜の公園に馬にまたがって闖入するんですよ。
間違いなく伝説になっていた。
さすがの柳も別の意味で困惑しただろう。
なお、正しい意味での困惑は「何で本部?」というものです。

「それは範馬勇次郎にも出来ぬこと」

このおっさん、部分的にとはいえ自身が勇次郎以上だと言いやがった。
何てヤツだ。こいつはアレだ。
独歩を1分で殺せると言った頃の本部だ。 刃牙道はまさに本部のためにあるシリーズと言っても過言ではない。
この暴言かつ妄言にはみっちゃんが冷や汗を流すほどに困るのだった。
どうみても困っていますよね。誰だって困る。俺だって困る。

ともあれ、金竜山に負けた理由がわかった気がする。
いろいろなパラメーターを上げた結果、どれもいまいちになった感じか。 キャラカスタマイズ制のゲームで典型的すぎて逆に滅多に見られない失敗ですな。
なお、解説には特にリソースを注ぎ込みました。
その結果、余計に器用貧乏になったとか。

「わたし以外におらんのですよ 仲間達(とも)を武蔵から守護(まも)れるのは!」

勝手に仲間扱いされた!?
何というかかんというか、アンタ、全然構ってもらっていなかったじゃない。
「範馬刃牙」時代なんて1コマも出番なかったぞ。
特に話したことのない小学生の頃の同級生にいきなりマブダチと言われたような違和感だ。 今の本部を暖かく迎えてくれるのなんて花田くらいだ。
正直、加藤や末堂は本部を受け付けないと思う。

いろいろな武器を使える。
それは勇次郎にさえできないことである。
だから、いろいろな武器を使える武蔵に対抗できる!
それが本部の考えであった。

いやはや、何というノープランか。
赤魔道師だから全局面に対応できるだろうというヌルい考えだ。
なお、赤魔道師はFF5の半端なイメージが強いかもしれないが、FF1やFF11では本当にオールラウンダーな高性能ジョブだ。
本部流柔術がそうとは限らないがな……

本部はいくつも勘違いしている。
まず、武蔵は素手でエキスパートの刃牙を圧倒している。 いろいろな武器を使えるから強いのではなく、武器を使わずとも強い。
そして、本部は多彩な武器術を持つが素手の勇次郎に圧倒されている。 いろいろな武器を使えても元々のパラメーターが低いのでどうにもならん。

いや、剣持って槍持って弓持って棒持って薙刀持って縄で締めて馬に乗りながら手裏剣を投げつければ……あるいは……



ほら、パーフェクトガンダムみたいで強そう。
武装てんこ盛りは男の子の浪漫ですよ。
本部は男の子って歳じゃないが。



なお、多彩な武装を換装して戦うストライクガンダムの全武装を乗せたパーフェクトストライクは、武装の選択肢が増えたことによる使い勝手の悪さ、自重の増加による機動力の低下、エネルギー消費の増大から、バランスの悪い欠陥機とされている。
あっ(察し)

ともあれ、本部はやる気満々だ。
往年の本部を思わせる強気でもある。
そして、超弩級の勘違いだ。
これ、むしろ守護られる対象じゃないか? とりあえず、馬を捕まえてこようか……

さて、烈は神心会の本部ビルで稽古に励んでいた。
青竜刀にドイル戦で使った手裏剣(鏢。ヒョウと読む)と完全武装して木製の人形と向かい合っている。
ええい、こんな物騒な稽古を神心会でやるな。
ピクル戦直前に通っていた中国武術錬成研究会でやりなよ。

ともあれ、稽古開始だ。
烈は手裏剣を投げる。頭部に次々に刺さる。
おまけ程度に四肢にも突き刺さっている。
これは守りを頭部に集中させ、注意が逸れたところに四肢を狙い撃つ連携だろうか。

手裏剣の後に青竜刀を振り回し人形を一刀両断にする。
斬った後に人形が落ちるほどの切れ味である。
斬る前に振り回す辺り、ドイル戦で見せたものとまったく同じだ。
手裏剣と言い懐かしい。
なお、剣で斬ったのは首だ。
武蔵を殺す気ですな、この人。俺が殺害(ころ)さねばならぬ。

この鍛錬を見ていた人間がいた。
本部か? いいからAIMの練習をしろよと言いに来たのか?
馬鹿野郎、速効で真っ二つにされるぞ。
無論、本部ではなかった。当たり前だ。期待したけど。

「武器術いささかも衰えるどころか………」
「勢力
(いきお)いを増したのではないか烈よ」

「老師……」


ここできた超大物郭海皇である。
もう147歳なのに渡日をしてきた。勢力に溢れる烈に負けずと精力旺盛ですな。
そりゃ120歳で子供を作れるよ。
……出来はアレだが。

バキ世界屈指の実力者、郭海皇も武蔵の復活には黙っていることができなかった。
一体烈に何を語るのか。
機関銃使えか? 師匠に言われたら仕方ないな。
次回へ続く。


本部が騙り郭海皇が現れる!
怒濤の展開だ。
いっそのこと本部と郭海皇を戦わせてみるか?
馬でも機関銃でも使いやがれ。

本部は守護りたいことを語った。
でも、肝心要のどうして守護りたいのか、どうすれば守護れるのかはさっぱりだった。
前者はまぁ前シリーズで出番がなくて寂しいということにして、後者が問題となる。
いろいろな武器を使えるから守護れるということならノープランにもほどがある。
ザクにνガンダムの武装を乗せるようなものですよ。
使うのに全然エネルギーが足りない。

だが、ここでポイントとなるのは守護りたいということか。
決して闘争たいわけではなく、あくまでも守護りたい。
つまり、守護りに徹すれば武蔵とも渡り合えるということか。
ならば多彩な武器術を自慢する理由もわかる。
武蔵の攻めに対応できるのだ。

つまり、ここは俺に任せて先に行けの役割である。
……まぁ、その役割を担えるだけ本部としては大躍進か。
ここで倒してしまっても別に構わんのだろうと本部が言えば悲惨な目に遭う。

本部は置いておいて郭海皇登場である。
克巳に真マッハを教授したように147年が篭もった技術を教えてくれるのか。
真マッハ武器術とか。
武器ならマッハを出しても武器が壊れるだけで人体にダメージはないとか?
強烈なキャラを持つだけに本人自身の活躍にも期待したいところであるがどうなることやら。

しかし、まぁ、郭海皇の見事なまでの師匠面である。
烈の師匠って劉海王なんですけどね……
今じゃすっかり郭海皇が師匠という印象だ。
事実、昔は脳震盪について教えていたけど。

やっぱり、劉海王は勇次郎に不覚を取ったのがデカいか。
劉海王はグラップラー時代からとんでもない強者だと期待させておきながら、いいところがまったくなく完膚なきまでに噛まれたことでキャラクター生命が終わった感がする。
100歳という個性も郭海皇に上書きされた。
そりゃあ存在が忘れられるな!

なら、本部は自慢の馬術で劉海王を生け贄に捧げるのはどうか。
本部は実力を証明できて嬉しい。
劉海王は再登場できて美味しい。
うむ、一石二鳥!
……勝てる気がしねえ……



刃牙道 4 (少年チャンピオン・コミックス)