刃牙らへん感想 第49話「史上のコミュニケーション」



ジャックはそのタフネスでとりあえず受ける主義だ。
まず先手を相手に取らせている。
そうした受ける主義が想像を越える痛みを受けて崩れた。
だが、今度は打撃で先手を打った。
もう受けない! ……多分。

ガキン

ジャックが倒れた花山にローキックを放つと硬質な音が鳴った。
花山が拳でローキックを受け止めていた!
それも拳を脛に、弁慶の泣き所に打ち込んでいる。これは痛い。

かつて花山は刃牙相手にも同様の反撃を行っている。
力任せなだけでなく小技を効かせる花山らしい反撃である。
格闘家と比べると技術に劣るかもしれないが、だからといって工夫しないわけではないのだ。

この激突はどちらも無傷で終わった。
花山の超握力で握られた拳を受けても、ジャックの骨は砕けないのだ。
さすがあの本部が賞賛するほどの骨密度である。
ただ背が高いだけなく中身が詰まっているのがジャックなのだ。

花山は武蔵の刀でも切れない拳を持っている。
ジャックは本部の短刀でも切れない骨を持っている。
互角!
……武蔵と本部の差はデカい気がしてしまうが。
どちらもわりとワンサイドで負けてはいるけど、武蔵に負けたと本部に負けたではやっぱイメージが違ってくる。
いや、本部さん、武蔵に勝ってはいるのだけど……

「あれはケンカ暴力の類ではない」
「対話だ」


そろそろ止めたらどうかと部下に言われる園田さんだが、対話だと言って動かない。
……園田さん、あなたはそんな人だったか?
いつの間にかグラップラー文化に染まってしまっている。
そこからけっこう縁遠い人だと思っていたのだけど。
独歩や渋川先生が行っていた狩りが見過ごされていたのはこの人のおかげかも。
いや、あれは対話なんかじゃなくただの暴力だったけど……

ともあれ、戦いは終わっていない。
ジャックは踏み込んで左フックで花山の顔面を打つ。
さらに背後に回り込んで裸絞めからの噛み付きだ。
頸動脈を噛まれたのか、大量の血が吹き出る。
打撃からの締め技、そして、噛み付きというスピーディーな攻めかつ急所を狙った殺意の高い攻めだ。

花山はそれを直立不動で受ける。
いくら何でも動かなすぎだ。
もうちょっとダメージを減らす努力をしてみても……
ゴッドマーズみたいな人だな、あんた。

大量出血したがジャックは噛み付きを止めない。
さらに力を込める。
裸絞めは脱出不能でそれだけでも強力だが、ジャックはそこに大ダメージの噛み付きを組み合わせている。
この合わせ技は嚙道にしては珍しく理に適っている。
無理に噛み付くところがある嚙道らしからぬ必勝の型である。

花山は直立不動で受けているが余裕というわけではないだろう。
花山だって刀で斬られたら普通に冷や汗を流す。
噛み付きを喰らっても同じことだろう。
だが、花山とて無策なわけではない。
ジャックの腕を握って捻る。



パンッ

20年振りの握撃だ!
花山の必殺技の中の必殺技である。
いつの間にか掴むだけじゃなく捻る工程が必要になったらしい。
あともうちょっと派手というか、広範囲の肉が露出してた気がする。
まぁ、20年振りですからな。
初代ガンダムだってオリジンでいろいろ設定が変わったからそういうことですよ。

この予想外の反撃に絶対有利の裸絞めをジャックは解いてしまう。
突然、腕が爆裂すればそれも仕方ないことか。
脱出不能の裸絞めを握撃で破ったのはスペックの時と同じだ。
花山はただ不動で無抵抗なだけじゃなく反撃も隠し持っているのだ。
それはそれとしてもうちょっと抵抗しない?
裸絞めの時点で握撃していたら頸動脈は守護られたのでは?

ジャックもジャックでこの反撃は予想できた反撃だ。
組み付いてからつねられて反撃されて無様を晒している。
だから、組み付かず打撃中心で攻めることにした……それが前回の見切ったという意味……じゃなかったのか?
一体何を見切ったんだ、ジャック!
いや、ホント何を見切ったんでしょ……説明を求めたい……

花山は頸動脈に、ジャックは腕に大ダメージを負った。
お互いに必殺技を用いたが急所をやられた分、花山の方が不利か。
まぁ、動脈を噛み切られても何か普通に問題なかったピクルとかもいますが。

そもそも握撃は見た目は凄惨だが実際のダメージがどれほどのものかとなると怪しい。
握撃が決め手となったのはユリーとスペックだけで、刃牙と克巳は握撃を喰らった後も普通に戦っていた。
もっとも、握撃には筋繊維を断裂させるような破壊力がある。
ユリーは健が切れて拳を握れなくなったほどだ。
少なくともこの戦い中はジャックの片腕は使い物にならなくなったと見て良さそうか。
もっとも、ユリーはその後普通に復活して拳を握っていたけど。

それにしても花山が不動明王過ぎる。
本当に動かない。
不動で受けて反撃というスタイルを押し通している。
軽い攻撃ならまだしも、頸動脈をやられたのはさすがに痛そうだ。

もっとも、一番不動なのは木崎なのだけど。
今回だって台詞の抽出はしていませんが、花山が頸動脈をやられても完全に落ち着いている。
武蔵の時はけっこう焦っていたのに……
いや、武蔵の戦いの後だとこれくらいは大丈夫と思ってしまうのは無理からぬことだけど。

木崎が落ち着いているから花山にダメージがあまりない気もしてしまう。
戦いが始まる前は噛み付きを恐れていたりしたのに、いざ始まってしまえばふーんそういうもんっスかって感じの反応だ。
ジャックに対する恐れがまったく見えない。
この戦いのキーポイントは実は木崎なのか?

ジャックが優勢に立つためには木崎のメンタルを揺るがすべきかもしれない。
どうすれば木崎をビビらせられるのか。
木崎が語っていたウンコを投げつけるとかどうだろう。
そうすればさすがの木崎も慌てそうだ。というか本人が言っていたことだし。
そして、ジャックは勝つためならばケツの穴だって晒す。
よし、ジャック! ウンコせよ!
……ホントにウンコしたらどうしよ。
次週は休んで次回へ続く。