バキ道感想 第66話「キーン臭」



独歩にトドメの四股が放たれた。
これをモロに受けてしまえば独歩は本部になる。
でも、刃牙道の独歩はわりと旧来の本部の立ち位置でしたね。
本部にならないために踏ん張れ、独歩!

さて、場面は猛剣の頭突きの瞬間に遡る。
ここでリプレイかよ!?
リプレイすると話が進まなくなるので、もそっと……もそっと控えめに……

「嗚呼………過去 幾度も嗅いだ「キーン臭」…………」

ここで独歩はキーン臭について語る。
どうやら鼻に強力な打撃を受けると何も嗅いでいないのに、キーンと匂うようだ。
そして、激痛いたみが鼻を中心に頭部全体に伝わる!
と、とりあえず、痛みを臭いと錯覚するほどの痛みと言うことか?
うーむ、武神の感覚はよくわからん。
ともあれ、猛剣の頭突きの威力はかなりのもののようだ。

烈や龍書文など頭突きを受けた戦士の多くは涙を流している。
それもキーン臭によるものだったりして。 頭突きにはキーン臭を刺激する何かがあるのかもしれない。
格下の寂海王の固い物を受けて烈が涙するのはちょっと不思議だったんですよね。
いくら(後頭部による頭突きを受けるのは)初めてだったからと言って……


そして、ダウンして猛剣の四股が襲いかかるのだった。
ダウンを奪われてからの四股はあの超実戦派武道家本部でさえ対処できなかった。
力士の裏の決まり手である。
一度はダウンへの追撃をしなかった猛剣が何故ここで狙ったのかはわからないままだ。
どうせリプレイするなら折れた右腕への蹴りと合わせて、キーン臭よりもこの辺の心変わりを解説して欲しかったですね……

「それって空手技だもの」
「ツイてるわァ……」
「ブン殴り合い 蹴とばし合いなら「我家」だぜ」


ここで独歩が助かると言った理由が判明する。
この踏み付け、踵蹴りは空手技!
ならばこの状況に対応できないわけがない!
そんなわけで身を翻しての回し蹴りで軸足を刈り取ったのだった。
猛剣は知らず空手の領域に踏み込んでしまったのだった。 ……いや、そうなのか?
そうなんだよ!

相撲なら苦戦するが空手なら返せる。
猛剣は勝利を焦ったが故に空手で戦ってしまった。
でも、折れた腕への蹴りも頭突きも空手じゃないのか?
特に折れた部位への攻撃は独歩が得意とするダーティな駆け引きだ。
それ故に反応できずにモロに喰らったのは不思議なくらいだ。

あの折れた右腕への蹴りが真の分岐点だったのかも。 あそこで猛剣は相撲から別の格闘技、空手へのシフトしたのだ。
なので、相撲を警戒していた独歩は喰らってしまったのだが、それを続けてしまったが故に猛剣は一本取られてしまったのが真相か?
重ね重ね、この辺は駆け引きの妙があったと思うのでもうちょっと解説して欲しかったですね。
烈か本部に。

軸足を刈り取られた猛剣は宙に舞う。
そして、背中から落下、土を付けようとする。
ここでダウンして仕切り直す……ことができればまだ良かった。
相手が空手なのだからダウンした相手への攻め手は減るからだ。



だが、猛剣は大相撲の意地で無理に踏みとどまってしまう。 だが、姿勢があまりにも後方に傾いてしまっている。
力士のバランス感覚を以てしても踏みとどまるのが精一杯、上体を起こして態勢を戻すところまでは行かない。
何度も何度も足をばたつかせて倒れないようにするだけだった。
つまりは隙だらけであった。
無言で横に立ってる独歩が怖いの何の。

「足裏以外の接地はもはや単なる敗北に留まらず」
「「大相撲」―――」「そのものの敗北を意味した」


しかし、猛剣は倒れない。倒れようとしない。
大相撲のプライドがかかっているからだった。
相撲の定石から外れた攻めで一本取った猛剣だが、それ故に一本取り返された。
それでだけで済むのならまだしも、ここで相撲を取り戻してしまったことで致命的な隙が生まれてしまった。
「関脇…」
「楽になりな」


この隙だらけの猛剣の後頭部を独歩は蹴りで跳ね上げる。
独歩の打撃に耐えるタフネスを見せた猛剣だが、無抵抗で隙だらけな後頭部に蹴りを打ち込まれてはたまらない。
一発で気絶し決着するのだった。
……けっこうあっさりだな!?
倒れ行く猛剣の背中を独歩は左腕(折れていない)で支える。
力士に勝ったとはいえ土を付かせない男気のある心遣いであった。
独歩は相撲に挑みたかっただけで、相撲そのものへの敵愾心はないことがわかる。
あっさりとしているがリスペクトのある決着である。
何か中国武術をコケにしたいとか言っていた主人公に見習わせたいですね。
その間実に2秒で殺して見事コケにしたよ。

で、右腕(折れている)で断ち切った猛剣の耳を持ち、いい医者を知っていると呟く。
ドクター梅沢のことですね。
アフターフォローもしっかりとして遺恨を残さない決着にしようとしているのがわかる。
あっさりとしているが爽やか?に終わったのだった。

……いや、ストップ。
何で独歩は折れた右腕で耳を持てているんだよ!?
靱帯ちぎられましたよね?
フルフルと震えているとはいえちゃんと持っているよ!
実は右腕をやられていなかったのか?
最後の最後に謎が残るのだった。

というわけで、独歩と猛剣の戦いが決着した。
猛剣は耳を削ぎ落とされても動じない精神力を見せつけ、相撲の定石にない攻撃を行うと手強さをいくつか見せた。
だが、最後の最後で相撲にこだわったのが敗因になってしまった。
独歩の右腕を潰していることだし、大人しくダウンしてから仕切り直せばおそらくは猛剣有利で試合を運べただろう。
だが、ダウンすることが大相撲が許さなかった。
必勝を志したい嵐川理事長もあえてダウンして逃げることよりも、とにかくダウンしないことを優先していた。
精神的に未熟故に弱みを見せた巨鯨とは違って、精神的には屈強でも相撲への誇りが負けを呼んでしまった。 そして、この相撲にこだわってしまう展開を相撲以外の攻め手を用いたが故に呼び寄せてしまったのが実に皮肉である。

力士はフィジカルは地下闘技場戦士に匹敵することは証明された。
証明されてしまった。
つまり、金竜山は本当に強くて本部には何の不手際もなかったことになる。
刃牙道で本部が異常に強かったのもむしろ描写に忠実だったと言えよう。
じゃあ何で猪狩が勝ったんですかねぇ……?
真の特異点は金竜山でも本部でもなく猪狩だったのか?
まぁ、その辺はキリがないので置いておきましょう。

力士たちは実力そのものは地下闘技場戦士と遜色ない一方で、巨鯨はメンタルの弱さから、猛剣はプライドに縛られたからとどうも惜しい部分で土を付けている。
そろそろ大相撲サイドもフンドシを締め直す、いや、マワシを締め直す必要がありそうだ。
いや、巨鯨が負けた時点でその必要性があるんだけど猛剣は特に対策なしで挑んだ感じがある。
次の試合は花山VS鯱鉾だ。
鯱鉾は長い腕による突っ張り自慢の力士である。
久し振りに花山のまともな戦いになるのだろうか。
どうも花山は人気のわりに戦いに恵まれない。
武蔵との戦いも何かズラされた感じでしたしね。
そんな花山に出番を与えるための花山外伝だったが結局戦わなかった。 ある意味では刃牙以上にサボっている。

なので、しっかり活躍して欲しいところだ。
大相撲サイドもいい加減危機感を覚えて国技館地下で行われている闇相撲の暗黒力士たちを引っ張り出して欲しい。
その中の一人が毛海王だったりすると盛り上がるぞ。盛り上がるか?
ともあれ、次回へ続く。
次週は休載!
……最近、掲載よりも休載の方が多いような……