バキ道感想 第82話「サッカーボールキック」



2021年のバキ初めは決着から始まる。
キリよく2020年内に終わらせられなかったんですかね?
休載は減らさなくても解説を減らせばイケる気が……


ここで克巳が放ったサッカーボールキックの解説が行われる。
こういうところだよ!
こういうところがあるから年内に終われなかったんだよ!

さて、地面に頭だけ出した形で埋められた人間を屈強なアスリートが蹴ればどうなるか。
痛みさえ感じることもなく絶命することが推測された。
これは身体が埋まっているからダメージの逃げ道がないのも影響していそうではある。
ともあれ、最適なポジションの最適な打撃で蹴れば、それが力任せな蹴りであっても人間を絶命させることができるのだ。

「大相撲関脇 獅子丸の喰らったのは―――――」
「そういうシロモノだった」


そんなわけで獅子丸が喰らった蹴りは人を絶命させかねないものだったのだ!
だが、獅子丸はダウンしない。
股間を押さえてうずくまっているもののかろうじて持ちこたえている。
って、蹴られた顔面じゃなくて股間の方を押さえるんですね。
金的の破壊力はサッカーボールキック以上ということか? ということは、やっぱり生で掴んで生で潰したんだろうな……

獅子丸は倒れはしないものの隙だらけだ。
その獅子丸に廻し蹴りを放つ。
かつて烈が倒れ込んだピクルに放った廻し蹴りは普通人なら確実に死ぬという見立てだった。 それほど危険な打撃であり、克巳が放った廻し蹴りはその類の打撃なのだ。
克巳の身体能力で打ち込めば普通人である獅子丸は絶命間違いなしだろう。
これで生きていたら普通人ではなく原始人並みのフィジカルを持つ力士になってしまう。
マッハが効かなかったからありえない話ではないんですよね……

それにしてもサッカーボールキックの話題があっさりと通り過ぎてしまった。 あっさりと通り過ぎるのに解説する豪華な構成が最近のバキですね。
もうちょっと質素になってもいいのですよ?

だが、克巳は廻し蹴りを寸止めした。
当たれば絶命はほぼ確実、最低でも決着は間違いなしの一撃を止めた。
絶好のチャンスを自分から投げ捨てたのだった。
そして、克巳は背後霊となった烈と共に一礼をして試合場を去って行くのだった。

「勝負ありッッ」

勝負あっちゃった!?
それも克巳ではなく獅子丸と勝利と裁定された。
決まり手は相手の試合放棄である。
ついに……ついに大相撲が地下闘技場戦士に勝った!
千春がアイアン・マイケルに勝った時くらいには腑に落ちないけど勝った!
獅子丸よ、お前は新たなアイアン・マイケルだ。
そのうち刑務所に入っておこうか。

ともあれ、克巳の情けによって獅子丸は勝利するのだった。
かつての克巳は容赦なく対戦相手を叩き潰した。主にローランド・イスタス。
が、花山が何度もあった勝つチャンスを捨てたことで戦いに対する価値観が大きく変わった。
まぁ、その後にドリアンにガソリンぶっかけて容赦なく燃やしたけど、さらなる転機として憎きドイルに対してトドメを刺さず、それによって真の敗北を与えることができた。
以降、克巳はさほど勝利に執着しないようになった感がある。 ピクル相手にも勝利が絶望的になったとはいえ、最後には命を差し出したし。

でも、それならそれでアゴ狙いの打撃を加えるとか、殺さない範囲でトドメを刺せば良かったのに。
何ともファジーな結果だが克巳という人間性が大きく表れた決着でもあった。
容赦なくその間実に2秒で殺した範馬刃牙には決してできないことである。
「あのまま止めずにブチ当てていたら」「どうなったんだろうね」

と、通路を歩く克巳を迎えるのは容赦なくその間実に2秒で殺した範馬刃牙である。
克巳の蹴りは束ねた圧縮バットを一撃で破壊する。
この蹴りが当たれば……当然、死だ。
その事実を半笑いと共に責める辺り、こいつは意地が悪い。
範馬刃牙なら多分遠慮なく蹴っていた。 Jr.も殺そうとしたし、勇次郎には普通なら死ぬ技を使っていたし、こいつは殺意の塊である。
春成だってキャラとして再起不能にされた。

「十分に思い知った」
「興味本位であれ以上はできねぇよ」


克巳の目的は大相撲を味わうことだった。
そのために最初のマッハ蹴りで確定した勝利を投げ捨てている。
なので、目的を達成して満足してしまったのだろうか。
殺そうと思えば殺せるアピールもしたし、けっこう満足なのかも。

克巳は天才だがその戦績は華々しいものではない。
負けも多いし積み重ねたプライドを崩され続けてきた。
そこで勝利に餓えるのではなく、敗北からも学べるものがあると克巳は知ったのだろう。 敗北した後の克巳は烈から中国武術のエッセンスを学ぼうとしたり、加藤に卑怯な戦い方を学んだり、ドイルに対して油断のない戦いをしたり、隻腕という個性を目指したりと、新しいエッセンスを取り入れている。
だからこそ、勝利にさほど執着しないのが克巳という人間なのだ。
そんな克巳を烈の霊は拍手で讃えた。
結果だけ見れば負けたものの大相撲という未知の強者を味わったことで克巳はまた一つ成長した。した気がする。
その場の勝利以上に成長を目指す姿勢を烈は評価するのだった。
対する烈はその場の勝利を優先している感がある。
何か武蔵相手に殺せ殺せと猛烈にアピールしてたし……

「烈さんもそう言ってる」

「え…ッッ」


克巳、烈の背後霊に気付いていなかった!
オチがそれかよ!?
いや、背後霊が見えている刃牙がどうかしているんですけどね。
勇一郎の霊も見えていたし霊的素養があるのだろうか。
リアルシャドーとか霊の要素を組み込んでいそうだしね……

ともあれ、次は刃牙の試合となる。
片や地上最強を名乗ることを許された格闘家、片や大相撲小結とあまりにも差がありすぎる試合だ。 統合格闘技チャンピオンのアトラスでさえ子供扱い以下だったのだから、炎が勝てる要素どころか粘れる要素もない。
その間実に2秒どころか1秒で終わりかねない。

一番の塩試合になりかねない勝負かつ塩試合メーカーが範馬刃牙だけにどうなることやら。
今の刃牙ってわりとナチュラルに対戦相手を殺しそうで怖いんですよね。
武蔵相手にも勝った上で成仏させるのではなく、勝つために成仏させるという主人公にあるまじき暴挙を成し遂げているし今の刃牙は何かをやらかしかねない。
これで炎が善戦でもしたらバキ世界のパワーバランスは一気に揺れ動いてしまうし、その点でも難しい試合だ。
ある意味、一番恐ろしい試合が始まろうとしている。
休載を挟んで次回へ続く。