バキ道感想 第112話「人目」



学園物は卒業する間近になってからが長い。
ジャックと宿禰も戦いが決まってからが長い。
今回こそは戦ってくれるか?
休載しないでくれますか?

宿禰は四股を踏む。
その間、実に6ページ!
土地を鎮めると自称している宿禰の四股だが、時の流れを遅くする効果もあるように思える。

勇次郎に惨敗してやさぐれているかと思いきや、トレーニングは欠かさない宿禰であった。
ただあまりにもいつも通りなので心中が見えない。
こんなだから人間味がないんだよ、あんたは!

ジャックは宿禰の前に立つ。
その巨躯には宿禰も驚き横綱以上という褒め言葉なのかどうかわからない評価を下す。
零鵬さんのやられっぷりで横綱の評価は金竜山以上に落ち込んだと言えよう。
というか、金竜山はどこに行ったんだ?

巨頭二人が並び立った……勝負でしょう。
宿禰はすっかりその気だ。
ジャックも存在自体が揮発性の爆薬みたいな男だ。
すぐにでも勝負が始まる! やっと始まる!

「「人目」ガ欲シイ」

意外! ジャックは観客を望んでいた!
ジャックは人目を気にしないというか、噛み付きのような人に見せにくい戦いをする人間だった。
そもそもドーピングしまくりで人目に立てる場自体が限られる。
そんなジャックが観客を求める……?
香港でマジ何があったんだ……?

とはいえ、ある意味では納得でもある。
ジャックの評価は本部に負けたことで岩盤を貫くくらいには落ち込んだ。
負け方も酷い。
何の注意もなく挑んで翻弄されて負けだから何のいいところもなかった。

だからこそ、名誉挽回のためにも衆人環視の前で勝つ必要があるのだろう。
嚙道の宣伝にもなる。
いや、ジャック以外には無理な格闘技?ですが。
相変わらず長生きを求めないジャックだが今後のことは考えているようだ。
……何か君のこと、よくわからなくなってきたよ。

「チョットガッカリかな」

「応援がなければ闘りたくないと」

「特大の肉体フィジカルに――――」
「極小の精神メンタル……」


宿禰がジャックを煽りまくる!
範馬刃牙が乗り移ったかのような煽りっぷりだ。
けっこうな煽り体質かと思っていたが、ジャックでも構わずに煽る!
秘境育ちだからインターネットの掲示板に入り浸り、そこでのレスバで鍛えられたか?
あまりいい鍛えられ方ではない。

ここまで言われて黙っているジャックではない。
左ジャブで仕掛けた!
って、ジャブかい。
ジャックのフィジカルとリーチで放たれるジャブはストレート並みの破壊力はあるであろう。
でも、花山並みに全力で殴るジャックらしからぬコンパクトな一撃だ。

宿禰としては不意打ちと言えど想定の範囲内の打撃。
オリバの拳を砕いた鋼鉄の額で受けてから突っ張りで差し返す。
宿禰が突っ張りを行うのは初めてだ。
自分よりデカい相手には組み付くよりも打撃の方が良いと踏んだのだろうか。
四肢の先端を狙え!

宿禰の完璧なカウンターだったが、その表情が凍り付く。
ジャックに小指を根元から食いちぎられていた!
力士にとって小指は命。
あの本部も力士の小指の底力によって敗れ去っている!
いや、本部は小指を掴む以前にボコボコだったから、小指を掴もうが掴むまいが、知ろうが知るまいが負けていた気はしますが。

人目が欲しいと言うわりにはいきなりの残虐ファイトである。
むしろ、見せがたい。
いや、人目が欲しいからクリーンファイトをしたいと思い込ませて、そこから理外の噛み付きだったのか?
敬語といい嚙道といいいろいろキャラが変わって先行きが怪しいジャックだったが、いざ闘争が始まればその危険度は健在だった。

とりあえず、ジャックはいきなりのリードだ。
小指を潰せたのはデカい。
本部と同じ負け方はしなくて済むぞ!
重ね重ね本部が負けたのは小指以前の気はしますが。

宿禰は範馬一族以外には圧勝し続けているが範馬一族にはどうにも相性が悪い。
範馬一族×のデバフでも付いているのかも。
とはいえ、始まったばかり。
小指を失ったのは痛手だが、ダイヤモンド握力の前には些事だろう。多分。

でも、ジャックとしては人目が欲しいんですよね。
このまま戦い続けるのか、あるいは小休止して観客の前で戦うのか。
ここまでやって間を挟むのは考えにくいが、その辺信頼できないのが最近バキ道でもある。
戦うのか、戦わないのか。
小指以前にそっちが心配だ!
次回へ続く。