バキ道感想 第113話「緊急事態(アクシデント)」



宿禰の小指が噛み千切られた。
いきなりの大ダメージである。
そして、部位欠損して勝利した格闘家はいない。
戦いにほぼ影響のない耳を失ったピクルくらいだ。
宿禰ピンチだ!


まずは近代バキお約束のリプレイから始まる。
宿禰のカウンターの張り手が決まるがジャックは小指を噛み千切っていた!
ジャックの顔が凹んでいるように描かれていることから張り手は決して軽いものではない。

それでもインパクトの一瞬で噛みちぎる!
刃物同然の切れ味だ。。
チタンの歯の恩恵もあるかもしれない。
うっかり口の中を噛めば悲惨なことになりそうだ。

これには宿禰の理解も追いつかず呆然とする。
噛み付きを堂々と使ってくる人間は想定していないだろうし、迷わず指を噛みちぎる人間も想定していないだろう。
最近は想定外に踏んだり蹴ったりだ。
逆に言えば宿禰は想定できる範囲の相手としか戦ってこなかったのかも。

「凄イナ…」「常人ノ足ノ親指ホドノサイズダ」
「握リ込ミガヨホド強イノダロウ」「肉付キガ尋常デハナイ」


噛み千切った小指をジャックは口に含み改めて噛む。
噛むな!! 吐き出せ!!
いや、軽く噛んでいる程度ですよね。
レビューが終われば返してくれますよね。

そう考えていた時期が俺にもありました。
やがてベキッとかビキッとか生々しい音が響く。
完全に指を噛み砕く音である。

「骨ノ食感ガ別次元ダ」「マルデ建築資材ヲ食ベテイルヨウダ」

うわぁ、完全に小指を食べてるよ、この人……
牛の脊髄を食べていたのは骨ごと食うって伏線だったのかよ。
建築資材を食べたことあるのかよってツッコミをすることさえ憚られる。
原始人かつ対戦相手=餌のピクルが人肉を食べるのならまだしも、現代人のジャックが小指を食べるのはさすがに引く。

で、ジャックは小指を飲み込む。
食うなバカ!!
何か嚙道に目覚めたり敬語を使ったりとよくわからん方向に走った感のあるジャックだった。
みっちゃんの犬に噛み付かなかったり情けを持っているのかと思った。

だが、その危険度は相変わらず極めて高い。
静かさと激しさを兼ね備えた不気味な危険度はグラップラー刃牙時代を彷彿とさせる。
……なんだけど、小指を食べるのはなかなか支持しがたい。
お前それでよく人目が欲しいと言えたな?

「このアホウッッ」
「何食ってるんじゃああ~~ッッ」
「小指は力士の命じゃぞ」
「それをなに食ってるんじゃあぁッッッ」


みっちゃんが普通に怒ってるぅ!?
いや、その通りですよ。
噛みちぎるのはまだいいけど食べちゃいけませんよ。
現代医療ならまだ接合手術が間に合う範囲だけど、食べてしまえばもう無理ですよ。
でも、噛みちぎられたガーレンの小指と薬指はくっついていませんでしたね。
手術してやれよ。

みっちゃんの怒りはごもっともだが本音なのかは怪しい。
何せピクル編と武蔵編では人の命を自身の享楽のために次々に捧げていた。
ピクル編は食われそうになったら一応妨害しようとしたけど、武蔵編は死合い最高で完全に擁護不能。
あの時、完全に巨悪徳川を完成させたと言えよう。

その徳川光成が小指を食べられたくらいでおたつくのだろうか。
むしろ、面白くなってきたと内心嗤っていそうなくらいである。
いっそ「宿禰君、エラいことになったのうwwwwww」と草を生やすくらいはして欲しい。
あんたのことは誰も信頼していないから安心しろ。

「いずれにしろだ」
「試合は出来んぞジャック」


宿禰は小指を失った。もはや試合どころではない。
少なくとも縫合手術はしないとダメである。
みっちゃんらしからぬ言葉ではあるがその通りである。

こうして試合を長引かせつつ脳内では小指の再生手術をできるか考えているかも。
少なくとも手術だけ見たら別人の腕を移植した克巳よりは難度は低そうだ。
そして、武蔵のクローンを作れた以上は小指なんて楽勝!

だが、地下闘技場では決着は当人同士が決めるのだから、出場も当人が決めるものとジャックは試合を強行しようとする。
それでもその選択権は宿禰に委ねる。
そして、宿禰は引かずに受け入れる。
小指を失ったこともちょうどいいハンデと断ずるのだった。
相変わらずの茫洋さである。
ガーレンみたいに怒って殴られれば良かったのに。

「超力士野見宿禰VS―――」「噛み付きサイボーグ ジャックハンマーッッ!!!」

そして、地下闘技場で二人が相まみえる!
って、こいつら、瞬間移動しやがった。
何にせよ変に長引かせず試合が始まる。
対戦相手が出逢うまでは長かったが出逢ってからは速かった。

司会は二人の表情が爽やかだと言う。
ジャックが爽やかなのはまだしも、宿禰が爽やかなのは不気味だ。
怒り狂ってもおかしくないのに平然と流している。
刃牙に哀れまれた時の方がよっぽど怒ってたよ。
いや、これは刃牙が人を怒らせる達人という話かもしれないけど。

不動のジャックに対して宿禰は軽く飛び跳ねてウォーミングアップをしている。
花山と戦った鯱鉾のようであり、力士らしからぬ風情である。
いきなり最大戦力で痛い目を見せる気か?

今回の戦いは勝敗が読めない。
ジャックが負けたら何のために復活したとなるし、宿禰が負けたらボスキャラ陥落である。
最近では珍しく先が読めない戦いなのだ。
ただ血生臭い戦いになりそうではある。
ジャックはもちろん、宿禰の危険度も高い。
治療できる範囲の怪我で収まればいいのだけど。
アキレス腱くらいなら何とかなるぞ!

地下闘技場での戦いということで解説役に期待したい。
特に相撲ともジャックとも関係が深い本部の解説は是非お願いしたい。
というか、いい加減出てきてもらわんと刃牙道での持ち上げは何だったのかとなってしまう。
なので、ネタ的な意味以外でも本部さんには解説してもらいたいところだ。
……その場合はジャックにリベンジを挑まれそうで命の危険に晒されそうだけど。
合併号なので再来週の次回へ続く。