実力者の代表格だったはずの独歩も知らぬ間に何かわりといまいちな印象が先行するようになりましたな。
もうずっと強者に勝っていませんからね……
刃牙は宿禰に露払い扱いされた。
ここで露払いが何なのかを刃牙は説明する。
横綱の土俵入りで先頭を歩く人が露払いなのだ!
……すまん、知らなかった。
言葉だけが先行していてその語源が置き去りにされている感ですね。
そして、横綱・太刀持ち、露払いの中では露払いが一番下に位置する。
宿禰は堂々と刃牙を侮っている。
相撲で考えると刃牙はあまりにも体躯が貧弱だし、そう思っても仕方はないか。
宿禰は思考回路が相撲に染まっていますな。
ずっと独り相撲していたくせに。
みっちゃんは刃牙の性格の悪さと実力を知り尽くしている。
それだけに宿禰に対して後悔すると忠告する。
性格は悪いが実力は最高峰の刃牙だ。
でも、ライバルキャラに対してとりあえず不覚を取るのが刃牙の伝統でもあるけど。 あと刃牙は相撲で独歩に不覚を取っている。
……宿禰の露払い発言はあながち過小評価でもなさそうだな。
「だから古代相撲はおもしろいッッ」
宿禰曰く1/3以下の刃牙が胸を貸す。
相撲のセオリーどころか格闘技のセオリーからしても絶望的な差だ。
だがそれがいい。
想定もしていなかった相手との戦いになることは間違いなく、未知を前に宿禰は沸き立つのだった。
一方で宿禰は刃牙を露払いしつつも、その危険性を銃弾と形容するくらいには把握していた。
露払いは弱者には務まらない。
刃牙の実力を認めているからこそ露払いと形容しているのだった。
それは露払い止まりだと認めていることにもなるのだけど。
ともあれこうなったら戦うだけだ。
刃牙は上着を脱ぎ捨て恒例のトランクス一丁になる。
お前、マジで戦う気なのか!?
いや、こういう時の刃牙ってとりあえず戦わないじゃん。
あるいは瞬殺されるじゃん。
だが、刃牙がトランクス一丁になった時はさすがに本気だ。
こういう時の刃牙はちゃんと戦う。
刃牙道のラストバトルを除く。
刃牙道のラストバトルを除く……
宿禰も上着を脱ぎ捨ててハーフパンツ一丁になる。
さすがにマワシを常備しているわけではないようだ。
だが、帽子の下には髷がある。
あ、普段から髷しているんですな。
こうして刃牙と宿禰が向かい合う。
立ち合いの構えになる宿禰に対して刃牙は腰を大きく落としている。
1/3の体躯で真っ向から受け止める気である。
刃牙ならやりかねない……と思わせて独歩に相撲で不覚を取っている。
ここから観客席まで吹き飛ぶのがいつもの刃牙である。 でも、今回はトランクス一丁の本気の刃牙だから、あるいは……
「刃牙の眼差しがまるで……」
「「兄弟子」のそれのような…………」
ここでみっちゃんは意味深なことを言い出す。
兄弟子……地下闘技場のチャンピオンとしてのものか。
あるいは……宿禰が範馬一族だったりするのだろうか。
そろそろ世界中に散らばった勇次郎の種が回収されてもおかしくないような。
宿禰の出身地が勇次郎母が出奔した先に似ているし……
向かい合って間もなく宿禰が動き出す。
オリバの拳を砕いたぶちかましだ!
最上のウェイトとスピードを兼ね備える超一級品のぶちかましである。
握力がやたら持ち上げられる宿禰だがこのぶちかましも侮れない。
それをモロに食らって気絶するのがいつもの刃牙だ。
だが、今回の刃牙は本気のトランクス一丁。
得意のハイキックでカウンターだ!
ぶちかましにハイキックを合わせるという尋常ではないカウンターだ。
範馬刃牙の天才性を窺える。
でも、効果はあるのか?
刃牙のハイキックは得意技扱いなくせに効果を発揮することの方が珍しい。 とりあえず、体重100kgのカマキリには通じなかった。
でも、想像のアイアン・マイケルは倒したぞ。
多分、リアルアイアン・マイケルも倒せる。
「「蹴速」……?」
刃牙の蹴りを受けて宿禰の脳裏に蹴速の名前が浮かぶ。
何故蹴速の名前が思い浮かんだのかはわからない。
だが、目も泳いでいるし刃牙が瞬殺されるかと思いきやかなり効いているぞ。
これは初代宿禰が蹴速と戦った時の再来か?
そうなると刃牙が殺されてしまうな……
蹴速を彷彿とさせる一撃を受けて宿禰はどうなるのか。
このまま、倒れてしまうのか。
あるいは蹴り返して背骨を踏み潰して勝利するのか。
というか、大相撲協会との戦いはどうなったんだ。
それにしても刃牙が善戦しそうなのは意外だ。
ボスキャラには負けるのが恒例だったんですけどね……
あらかじめ独歩に負けることで厄を落としたのだろうか。
だとしたら独歩様々だ。
様々か?
でも、強制敗北戦闘って勝ってもイベントで負けたことになるのも恒例だ。
ハイキックを受けて目が泳いでいる宿禰はこういうのって大抵夢。
現実の刃牙は観客席に突っ込んでいるゲバルオチかも……
次回へ続く。