刃牙らへん感想 第9話「帰ってこい」



勇次郎がジャックを認めた。
刃牙と比べるとジャックにはまったく愛を注いでいなかっただけに奇行にさえ映る。
ジャックを認めるに至った理由が気になるところだが、今回は語られないどころか、まったく別の話に移っている。
一体、何なんだよぉ!

ジャックを置いておいて昂昇の話である。
昂昇はジムでトレーニングをしており、その姿を兄の紅葉が見守っている。
トレーニングの内容は三つ指だけで全身を支えながら逆立ち、脚をVの字に開くと体操に近いものだった。

昂昇は三つ指で81kgの体重を保持しながらも器用に身体操作を行っている。
指の力は無論としてバランス感覚や柔軟性にも優れている。
昂昇の打撃は捻りに捻って打ち出す異形の打撃だ。
こうした打撃を鍛えるにはこうしたトレーニングが適しているのだろうか。

また、人差し指、中指、親指を使っている。
人差し指と中指は斬撃拳の要だろうし、そこを重点的に鍛え上げている。
紐切りは人差し指と中指を使いますからな。
何とも驚くほどにまともなトレーニングである。
ジャックのイロモノトレーニングとは比べものにならないぞ!

「攻防時の緻密度」
「空中での操作性」
「確かに体操からも学ぶべきだ」


このトレーニングはまるで体操と紅葉は評価するが、身体操作において体操に学ぶべき点はあると評する。
紅葉自身が体操をトレーニングに組み込んでいたしそこから学んだのかも。
また、斬撃空手という前例のない流儀を身に付けただけにその研鑽に当たって一般的な武術の鍛錬にこだわらないのもありそうだ。

昂昇の着眼点は悪くないのだけど変態性こそが強者の鍛錬には必要である。
オリバだってヘリコプターを引っ張っていたぞ。
でも、普通にトレーニングしてリハビリ完了して宿禰をやっつけたな。
もしかして常識的であれど無駄のないトレーニングが求められる時代なのか?

さらに昂昇は数ある運動のうちもっとも消耗が激しいと言われる十字懸垂を行う。
十字懸垂はかつて紅葉が刃牙との対戦を前にウォームアップのために行ったのだが、昂昇はそれを人差し指と中指の二本だけでキープする形で行っている。
紅葉の時よりも高難度と言えよう。



そこから昂昇は体位をどんどん変えていく。
体操選手顔負けだ。
こうしたトレーニングが斬撃空手を鍛え上げ、今や当たるだけで切り裂き出血させるレベルにまで高めたのだろうか。

「アスリートではない」「武術家ではない」
「頭脳を備えた「猛獣」なのだ」


こうしたトレーニングをするのは明日に備えて、つまりジャックとの戦いに向けてのものだった。
って、ジャックと戦うんですね。
花田との戦いはちゃんとなかったことになって、ジャックと勇次郎の会話も置いておいて、当初の路線であったジャックとの試合をすることになった。
妙に回り道をしたが目的そのものは忘れていないのであった。
いや、本当に妙な回り道をしましたが。

ジャックは最大トーナメントにおいても人の頭脳を備えたライオンと評されている。
もっとも、ジャックが頭脳を使う場面ってあまりないけど。
何なら最大トーナメントで前述の評の後に刃牙にカウンターを喰らってダウンしてる。
ピクルにはフィジカルで敵わないとなった時にやったことは神頼みだし、本部にも考えの浅さから不覚を取って負けている。

もっとも、宿禰に勝った時は僧帽筋を噛み切って優位を取ったり、噛み付きと見せかけて打撃でアドバンテージを取ったりと頭脳を使っている。
嚙道に目覚めてからは落ち着きを得たし、頭脳に目覚めたのかも。
今のジャックはフィジカルだけが強みではないのだ!

「帰ってこい昂昇」
「生きて帰りさえすれば――必ず治療なおす」

「無傷で帰還かえるさ」


噛み付きを武器とするだけにジャックの危険度は高い。
ガーレン、ピクル、宿禰は身体の一部を欠損し一生直らない傷を負っている。
死の可能性さえ存在するデンジャラスライオンだ。
ブラコンの紅葉の本音としては戦わせたくない相手かもしれない。
だが、弟が迷いなく赴けるように激励するのだった。
熱い兄弟愛である。
兄弟愛が怪しいジャックと刃牙とは大違いだ。

一方、みっちゃんは花田にナイフ一本で猛獣に勝てるか、つまりは昂昇がジャックに勝てるかを問いかけていた。
って、花田かよ。本部に訊いてやれよ。
いや、本部と話しても機関銃を持たせろとか言い出すからな……花田でいいかもしれん……
そもそもの話、本部流の人間の言動は信用ならん感じはするけど。

「素人にはムリでしょう」「しかしプロの「ナイフ使い」なら」

花田は昂昇ならばただ負けるだけではないと言うのだった。
今の昂昇の危険度はその身で味わっているし、こと打撃の切れ味だけなら独歩を越えている。
花田の評価は妥当……と見せかけてプロのナイフ使いが猛獣どころか人間に負けてしまうのがバキ世界だ。
実績だけで言えば昂昇の勝ちは厳しすぎるけど、何らかの意地は見せて欲しい。
せめて指は噛み切られないように気を付けてください。

いろいろと流れがわからない刃牙らへんだけどジャックVS昂昇が行われるようだ。
ここは本部の解説が待たれるところである。
刃牙は……そういえば出番がずっとないな、この人。
扉絵にしか出てきていない。
次回へ続く。
次号は休載! 合併号を挟むので次の掲載は28日! けっこう先だ!
いや、普段からこんな調子な気はしますけどね……