刃牙らへん感想 第20話「親子で涙」



ジャックVS勇次郎の親子喧嘩が始まる!……かもしれない。
ジャックにとって勇次郎は仇同然のはずなのに仲良く食事しやがって。
連載30年を越えるとその辺がブレてしまうのか?
本部さんなんて30年かけて初登場の強さというか貫禄に戻った感があるけど、ジャックは戻れるのか? それともドカ食いしちゃうか?


「貴方コソガ」「俺ヲ欲シガッテイルノデハ?」

ねっとり前回のラストのリプレイが行われる。
勇次郎はジャックに何故挑まないのかを問うが、挑まないのはむしろ勇次郎の方だと返されたのであった。
食事なんかに誘ってけっこう楽しんでいるのは不思議と言えば不思議である。
でも、最近の勇次郎、家族以外とも飲みに行ったりするからな。

「父ヨ」
「貴方自身ダ」


ジャックは戦おうとしないのは勇次郎自身だと宣告する。
この言葉を受けて勇次郎は白目になる。
けっこう図星というか、痛いところを突かれたらしい。

初期勇次郎は誰彼構わず襲っていた。
初登場直後、ボクシングジムを襲い人体を破壊したのは、勇次郎の凶暴性を物語る印象的なシーンである。
が、近年勇次郎はそういった側面はほぼなくなった。
宿禰にキレたくらいだし、初期の危険性を考えるとかなり温情な方である。
勇次郎は丸くなった自覚があるが故にそれを指摘されたのは痛いのかもしれない。



この言葉を受けて勇次郎は久し振りにエフ笑いを披露した!
披露するのは10年以上となる。
そして、涙を流すくらいに大爆笑するのだった。
前に涙を見せたのは本部に守護ると言われた時だ。
あの時とは違うベクトルは違うものの同じくらいには感情を動かしたとも言える。

この大爆笑にジャックは困惑したような表情を浮かべる。
最近の勇次郎は丸くなったけど、ジャックもジャックで丸くなっているというか、人間味が出てきたというか。
最大トーナメントの時のジャックなら勇次郎に大爆笑されても表情を変えない気がする。
丸くなり人間味が出てきたのはお互い様である。そういう意味でも親子らしい。

一方で人間味をどんどんと喪失しているのは刃牙だ。
かつては主人公らしい熱血漢だったけど、今では何を考えているのかさっぱりわからないモンスターになってしまった。
今の刃牙は勇次郎以上に強さの結晶体になったというか、強さ以外の価値をなくしてしまったというか。

「かしこまれいッッ!!!」

勇次郎が一喝するとジャックは大量の冷や汗と共に思わず姿勢を直立不動、気を付けのポーズをしてしまう。
父に怒られる子の姿である。
そして、ケツを全力で平手で叩かれた!
これも父に怒られる子の姿であり、刃牙との親子喧嘩の時にもまったく同じことをしている。
違いは描写がさらにねっとりしていることである。

この一撃を受けてジャックは思わず涙が零れる。
ジャックが精神的苦痛で泣いたことはあっても、肉体的苦痛で泣くことは初めてだ。
よほど痛かったらしい。
鞭打なのか?

勇次郎に喧嘩を売ってみるが、どうしても子としての姿を見せてしまうジャックであった。
格好付けようとしてカッコつかない立ち位置のキャラになってしまった。
でも、範馬刃牙さんみたいに何を考えているのかわからないよりはいいのかもしれない。
あいつはどう扱えばいいのか、さっぱりわからない。

ジャックは勇次郎との親子喧嘩を始めてしまうのだろうか。
何かいきなり刃牙らへんが終わってしまいそうな流れだ。
ジャックは何か弄りにくいところがあるから、ラスボス戦をして選手交代をするのがいいかもしれないけど。
昂昇があまりにも何事もなく負けてしまったのでジャック絡みのカードにあまり期待できないのもある。

最近の勇次郎は闘争への欲が大分薄れているのは事実の気はする。
ピクル、武蔵という時空を越えた逸材相手にも決着を着けていない。
宿禰と蹴速も一蹴するくらいでそこまで闘争への欲を見せなかった。
今の勇次郎の闘争へのモチベーションはたしかに怪しい。

なので、ジャックの指摘は勇次郎の核を突くとなっている。
今のまともなことを言うおじさんと化した勇次郎も面白いには面白いけど、たまには凶暴なところを見せてほしい心持ちである。
次回へ続く。