刃牙らへん感想 第32話「叫喚」



急遽休載を挟みながらピクルのピンチは続く。
設定のとんでもなさも相まってピクルが強い時の描写は歴代一と言えるほどの強さを感じさせた。
それだけに今のピンチはちょっと心苦しいし情けないぞ、ピクルさんや。
刃牙! もっと応援しろ! 正拳突きしておけ!

ジャックはピクルの左上腕に噛み付いた。
動脈を噛み切られればピクルだって大ダメージ……だとは思いたいけど、この人(?)、真剣による袈裟斬りをモロに受けても平気だった。
タフネスは常軌を逸しているはず……なんだけど、かなり落ち目なので不安だ。

噛み付いたジャックは噛み付いたまま、ピクルの背負い投げをしようとする。
物凄く力を入れにくそうな姿勢だ。
噛みちぎってから投げればいいのに……
あるいはピクルの頑強な筋肉を普通に噛みちぎることはできないのか?

このジャックの投げをピクルは堪える。
柵に叩き付けられて意識は朦朧としていそうなものだが、噛み付かれた痛みか、あるいは野性の嗅覚でピンチを嗅ぎ取ったのか。
この変形型背負い投げを堪えている。
ピクルは勇次郎を技術わざに追い込むほどのフィジカルの持ち主なのだ。
如何にジャックがパワーアップしようが人知を越えた筋力を正面から切り崩すことは難しい。

「~~~~~~~~ッッッ」

が、ダメ!! 震えているし冷や汗も流している!!
いや、君、パワーで負けそうになっちゃダメでしょ!?
そこで負けたら存在意義をなくすぞ!
花山が連打するようなものだ! 連打したな、某コラボアニメで!?

ピクルは堪えきれず、というよりも脚を滑らせて支えを失ってしまう。
恐竜は投げを用いない。現代でもピクルに投げを敢行した人間はジャックくらいで耐性がない。
まして噛み付いたままの投げなんて初体験で焦ってしまったのか。
柵へのスープレックスのダメージが残っている可能性もある。
何かこうして言い訳を並べている身にもなってほしい(本音)

ピクルは上腕を噛みちぎられると同時に投げ飛ばされる。
噛み付きと投げの複合技だ。
恐竜たちも使うことがなかった嚙道ならではの大技であった。
噛み付きに意識が行くがジャックのフィジカルで投げればガーレンだって水平に吹っ飛ぶ。
強烈無比な投げにピクルは凄まじいバウンドをし、さらに噛みちぎられた上腕から血が垂直に吹き上がるのだった。

顔を噛みちぎられ、上腕動脈もやられ、さらに投げつけられた。
ダメージに次ぐダメージが重なった。
が、闘争心は萎えていないようで即座に起き上がる。
肉体へのダメージもピクルにとっては致命的なものではないらしい。
というか、誰も上腕を噛みちぎられたことを気にしていない。アナウンサーも気にしていない。
前述したけど袈裟斬りされても平気だった。今更上腕動脈程度で狼狽える方がおかしいか……

「ホンギャアアァアアァアッッ」
「アンギャアァアァアァァ」


ピクルは吠える。戦いの最中に叫んだ武蔵以来である。
あの時は武蔵の脅威を振り切るために叫んだ。
今のジャックは武蔵と同レベルの脅威……なのか?
事実、ピクルはジャックに圧倒されているし、脅威という点で考えると吠えるのも納得なのだが……
そろそろ台湾で何があったか語ってほしい。もしかしてSAGAったとかか?

「今宵初めて見せる――」
「あからさまなファイティングポーズだァッッ」


吠えた後にピクルは構えを見せる。
かつて見せた勇次郎と同じく両腕を大きく広げるポーズ……ではなく、口を開け指を立てる構えだった。
拳ではなく爪、そして、牙を見せている。
白亜紀闘法でもなければ最終形態でもない。
まだ余裕があると見ていいのか……?

ピクルはジャックに真っ向飛びかかる。
ピクルの瞬発力で飛びかかられたからか、ジャックはカウンターできずに首根っこを掴まれてしまう。
肉薄されればピクルにも噛み付きがある。
危険な距離だがジャックは振り払うどころか、むしろ、ピクルの腕を掴む。
防御よりも攻撃を、ピクルよりも逃がさないことを選んだ。



そして、ピクルの新技、爪を用いた引っかきが炸裂した!
これは痛い。ピクルが初めて爪を用いた攻撃を使った。
この引っかきを受けてジャックの表情が初めて変わる。
胸から下が幾重にも引き裂かれ実に痛そうだ。血まみれにもなっている。

でも、ちょっと女々しい攻撃だ。
拳を打ち込めば骨さえ砕く打撃力があるのに引っかきはちょっと……
引っかきは痛みを与える効果はあるかもしれないけど、他にももっと強力な武器を持っているのに……

この引っかきでピクルは笑う。
かつて恐竜に引っかかれた時に大層な痛みを感じたのか、その痛みを憎き相手に味わわせられて満足したのか。
直近で裂傷を負わせる相手、武蔵との戦いの影響があるかもしれない。
鋭利なもので斬られるのはやはり痛いと。
しかし、刀による斬撃と爪による引っかきはダメージの質が違うのではないか。
刀は肉を断ち骨まで届きかねないけど、引っかきはよくて皮膚を切り裂くくらいだ。

勝ってもいないのに勝利を確信した笑みはもう地雷行為だ。
この後にしっぺ返しされるまでがお約束ですよ。
文字通りに食うか食われるかの殺し合いならぬ食べ合いを制してきたピクルが手傷を負わせた程度で笑うとは……
戦うことに歓喜以上の悲しみを感じ泣くほどに闘争の重みを感じていた男が笑うなんて……
不思議ですね。あれほど大きく恐ろしく……絶対に超えられない存在だと思ってたピクルさんが今は雑魚キャラに見える。

そんなお約束に従いジャックはアゴを使ってピクルの右腕をホールド、さらに肘に掌底を打ち込み関節を極める。
これはかつて本部が烈に放った一撃とまったく同じだ。
あの烈海王をして大袈裟に飛び上がって逃げなければ肘を破壊されていたと語るシンプルにしてディープな技術である。
本部に負けたジャックがこの技を使ったのは奇妙な偶然だ。
……もしかして台湾で本部に弟子入りしてました?

この一撃にピクルは戦慄する。
ピクルが与えたダメージは良くて皮膚、対してジャックは関節にダメージを与えた。
後に残るダメージが違いすぎる。笑っている場合じゃない。

そして、関節を極めた右腕にジャックは噛み付いた。
関節を極めた上でさらに噛み付きのダメージを与えるという徹底的な攻撃である。
打撃では明確なアドバンテージを取れなかったからか、ジャックは後に残るダメージを与えることを意識して攻撃している。
打撃や投げを用いてもそれは後に本命を打ち込むための状況を作るための布石であり、噛み付きや関節を攻めて傷跡を残している。

その点でピクルさんはノープランだ。
ノープランに攻撃を受けてダメージを残してしまっているし、初の命中した攻撃も引っかきと痛いけど致命打にはならないとここでもノープランである。
全盛期はノープランでも問題ない攻撃力と防御力があったけど、今は特にオフェンスに翳りが見える。
ジャックは武蔵みたいに回避スキルはないわけだし、もうちょっとちゃんと殴ったりすれば……
どうやって攻めるか考えなくてもいい獲物ばかり狩ったから鈍ってしまったか?

でも、これほどやられてピクルにはこれといったダメージはなさそうだ。
上腕動脈を噛み切られてもまるで気にしていない。
いや、気にしようよ。観客たちもまったく気にしていねえ。
今回、関節を極められたけど最終形態からわかるように関節を組み替えることができるのがピクルだ。
このダメージもさほどないと思われる。

ことピクルを肉体的ダメージで倒せたことのできた人間はいない。
ピクルに勝利したと言えるのは刃牙と武蔵だけど、どちらも戦意を失わせているし攻撃が通じない、かわされるという側面が大きかった。
なので、まだピクルのHPは0ではなさそう……だけど、ちょっとそこも不安だ。
今のままだとただのサンドバッグですよ。

ピクルは出血はしているけど最終形態を発動すれば何とかなる。
上腕動脈を噛み切られたのは最終形態でも厳しそうだけどピクルさんなら何とかしてくれる。
というわけで、最終形態を発動してからが真の勝負。ボスの第2形態だ。
……なんだけど、板垣先生が最終形態のことを覚えているのか、ちょっと不安だ。
でも、グラップラー刃牙序盤に出てきた力士、龍金剛のことを覚えていたり、妙に細かいところを覚えているんですよね。
ジャックVSピクルの初戦の圧倒的なフィジカルの差がなかったことになっている感がするから判断に困るけど。
休載を挟んで次回へ続く。