刃牙らへん感想 第33話「美意識」



格ゲーでは続編が出ると前作の強キャラは弱体化される傾向にある。
時として過剰なまでの弱体化が施され、瞬く間に弱キャラになることも珍しくない。
ピクルはその状態すぎる。もうちょっと頑張ってほしい。
やっぱ狩りをするようになったのがあかんかったか……



ジャックは右腕の二の腕を噛み切る。
両腕の上腕動脈をやられピクルは大量出血する。
でも、言うほど出血はしていないような……
噛み付かれたり引っかかれたりで裂傷を負うことは白亜紀は日常だっただろうから、こうしたダメージに慣れているのか?

ここで範馬刃牙は上腕動脈が致命傷となる大血管だと解説する。
一般人なら1~2分で昏倒すると語る。
刃牙本人も最大トーナメント決勝で動脈を噛み切られ、本部の見立てでは3分のタイムリミットを背負うことになっている。
その危険性を身に染みていると言えよう。
まぁ、タイムリミットギリギリまで元気に戦い続けられたから、さすが範馬刃牙って感じはしますが……

刃牙でさえ片腕の上腕動脈を噛み切られて瀕死になった。
両腕を噛み切られたのならピクルのダメージはそれ以上……なんだけど、ピクルは動じている様子があまりない。
いや、本当に効いてるのか?
ボコボコにやられている事実だけが先行して、戦いがどう進行しているのかがよくわからないぞ?
ピクルもピクルでTレックスに噛み付かれたことを思い出しておけ。
だったらイケるぜ!と回復する気がするぞ。

「”精錬”されたジャック兄の「噛み技」――」
「「道」と呼べる程の進化を果たしている」


もはや何度目かになった嚙道礼賛が此度も行われた。
今回は腕を極めてから噛み付いたのも刃牙的には高ポイントらしい。
今は無理な噛み付きはしないのがかつてのジャックからの進化ではある。
動脈をやられればあのピクルとてダメージにはなるし戦術的には正しくもある。
もっとも、白亜紀ではTレックスに全身を噛み付かれ、現代でも武蔵の一閃を幾度も受けても死ななかったのがピクルだ。
この程度の噛み付きでどうにかなるとは思いにくい……けど、何かもうどうにかなってしまいそうですね、ホント。

ここで徳川光成は観客席最上階にいる花山に話しかけに行く。
このジジイ、戦いから興味をなくしてしまっている。
もう最前線で戦いを見る気はないらしい。
因縁のリベンジマッチかと思い試合を組んでみたら、まさかの一方的な虐殺が始まっているからその気持ちはわからなくもないが……

「自分は」「「エエカッコしい」ですから」

みっちゃんは噛み付きは花山にはできないと問いかけ、花山はそれを肯定する。
技を使わない、鍛錬をしない美意識の塊が花山である。
戦いに当たってのこだわりの強さは随一と言えよう。
かつて刃牙と戦った時、ゲーセンの筐体を叩き付けたり窓の外に放り投げたりしたのは美意識の欠片も感じられなかったが今は忘れておこう。
初戦のボクシングヘヴィー級チャンピオン、トニー・カービン戦でも戦意を失った相手に追撃したりと花山も若かったんだ。

花山は昂昇と同様に格好付けたがると語る。
花山の戦いへのこだわりって格好付けだったのか?
強者として生まれついた自負と矜持かと思っていたが……
あえてそこは格好付けず格好付けということにしたのか?
最近の花山は口数も増えたけど、逆に意図がわかりにくくなってるような……

そんな花山にみっちゃんはどう戦うかを問いかける。
ピクルの次にジャックと戦うのは花山ということか?
というか、このジジイ、目の前の戦いよりも次に焦点が行っている。
ピクルも壊れたオモチャ程度の認識でいそうだ。
最大トーナメントでも猪狩VSロブ・ロビンソン辺りは見てなかったんだろうな……

さて、試合の方はジャックは大きく口を開けてアゴを動かす。
ストレッチをしているようであり、噛み付きにこだわるのは継続する気だ。
何だかんだで打撃も通じているから無理に噛み付かないでもいい気はする。
むしろ、リーチを活かして打撃で削る方が安全なくらいだ。
ジャックが噛み付けるということはピクルも噛み付けるわけだし。

胸の引っ掻き傷のダメージは重大なものではないようで余裕が感じられる。
神頼みした1戦目からは大きな違いである。
ジャックが強くなったのか、ピクルが弱くなったのか、多分相乗効果だろうか。
……弟の範馬刃牙に習ってデバフ魔法を覚えたのかも。

そんなジャックに対しピクルは左腕を用いた一閃を腹部に放った。
ジャックの腹筋に横一文字の切り傷が生まれたことから、またも引っかきのようだ。
お前はそろそろ殴れ! 何でいきなりの新技にこだわっているんだ!?
ピクルタックルなり白亜紀闘法なり最終形態なり必殺技がたくさんあるはずなのに!
これらの大技を使わずいまいち効いていない引っかきにこだわっててかなり落ち目だ。
実は郭春成がピクルの物真似をしているだけとかないか……?

もっとも、常人ならモツがこぼれそうなものだが、ジャックの腹筋を傷付けれど貫くことはできなかったらしい。
耐えたジャックはピクルの髪の毛を掴み反転させ、またもジャーマンスープレックスを喰らわせる。
本日3度目のジャーマンスープレックスであり、ピクルは同じ技を3度も喰らうことになるのだった。
投げ技は白亜紀にはない攻め手とはいえ、合気を模倣するくらいの才能を持つのがピクルだから学習してほしいのだが……

背中を向け倒れ伏せるピクルの背後に回りジャックは笑う。
今度は絶対急所の頸動脈を噛み切るつもりか?
さすがのピクルもそこを噛み切られれば継戦は無理か?

ピクルさんの見せ場にも期待したいところだが、さすがにもう無理らしい。
みっちゃんも匙を投げてるし。
ここからピクルが逆転するにはペイン博士を呼ぶ必要がある。
ペイン博士がいないのがこの苦境の理由と言えよう。

強かった時のピクルの輝きは凄まじいものがあったし、このままやられて終わりだと世紀の凡戦だ。
その時期の描写がとにかく強すぎたため、現状のナーフ調整がピンと来ないのもある。
野人戦争編ではバキ世界における強さの描写の段階が上がった感もある。
なので、何とか見せ場を見せてほしいんですけどね。
如何な美食でも賞味期限が切れれば食べようもないということか?
賞味期限が切れたはずの本部が復活したからピクルさんも何とか……

もっとも、ジャックが負けたら負けたで食われそうなのが難しいところなんですけどね。
メタ的な視点だとジャックがどうしても勝ってしまう。
これでまた保存食にされたらむしろ笑えるけど。

また、昂昇の時と同じく美意識に触れられた。
刃牙らへんの大きなテーマの一つなのだろう。
今回は勝つためには美意識を捨てるジャックVS自分と戦おうとする獲物以外は餓えようとも食わない美意識を持つピクルと反美意識VS美意識の試合となるか。
だが、ピクルはその点で食うためなら雑魚を食べゴミをすするようになり、ジャックとは逆に美意識を失ってしまったが故に弱くなってしまった。
餓えと強敵との二つの戦いがピクルを鍛え上げたが、それらを失ってしまえば弱くなるのも無理はない。

逆にジャックは美意識を捨てても勝つという美意識を持っていると言えるか?
より純粋な美意識を持つジャックが優勢になるのもむべなるか?
うーむ、美意識とは難しい……

ここからピクルが勝つイメージはなかなか思い浮かばない。さすがに不甲斐なさすぎる。
いや、全盛期の強さなら最終形態を発動して白亜紀闘法して引っかきじゃなく本気パンチすればどうにでもできる気はするけど。
かつてのジャックはそれで完膚なきまでに破壊したわけだし。
こうしたかつて敗北した要因を乗り越えずに勝たれると、気持ちのいい勝利とは言えない。
刃牙だって勇次郎とのリベンジマッチでかつての敗因、胴廻し回転蹴りカウンターへのカウンターを防いで、かつての敗戦を乗り越えている。

なので、ピクルタックルなり白亜紀闘法なり最終形態なり使ってほしいんですけどね。
まぁ、それらがいきなり破られたらそれはそれで納得はいかないけれども。
ジャックは映えと納得のある勝利というインスタで万バズするような難しい要求をされている。
そんな知るか!塩試合でも勝つ!となればそれはまぁ美意識を捨ててるかもとなる。
休載を挟んでの次回へ続く。