刃牙らへん感想 第51話「強いか」



花山が怒濤の連撃でダウンを奪った。
警察も動き出し勝負は終いだろうか。
一体、判定はどうなる。
そして、みっちゃんはどうした。

警察たちが花山を囲む。
止めようと思って止められる相手ではないが囲む。
そこで警察たちは花山の瞳に力がないことに気付く。
花山は立ったまま、失神していた。頸動脈を噛み切られたダメージはデカかった。
同じ動脈でも上腕動脈はそんなに大きなダメージではないけど頸動脈はダメらしい。即死の可能性さえありますからね。
いや、上腕動脈はピクルがおかしかっただけか?

花山が前回の最後で拳ではなく平手を放ったのは拳を握る余力さえなかったからか。
いや、でも、平手の前に拳で殴っていました。
結局、あの平手はどういうことだったんだろう?
うーむ、花山さんの戦い方も難しくなってしまった。

失神した花山に対してジャックは意識があった。
ダメージも特に残っていないのか、逆立ちになりながら起き上がる余裕を見せる。
ジャックを倒したが失神した花山と花山に倒されたが余裕のあるジャックであった。
宿禰の時と同じ構図だ。あの時は勝負ありがかかったのもあってジャックが勝ちになったが、今回は警察の乱入で有耶無耶になったし、そもそも審判がいない。

「俺ハ張リ倒サレ」「奴ハ血ィガ尽キタ」

ジャックは警察たちにこの対決をこう語る。
だが、勝負の焦点となるどちらが勝ったのか、どちらが強かったのかは語っていない。
宿禰の時と違って勝ち誇ることはしないのであった。

実際問題、ジャックとしては勝ち誇れるような結果ではない。
圧倒して気絶させれば良かったのだが、みっともなくゲロを吐いた挙げ句、ダウンを奪われてしまっている。
さすがに完全勝利とは言い難い。

警察の介入がなければ立ち上がったジャックが勝ちになるが、介入があった以上はその時点で勝負は終わってしまったと言っていい。
それでも烈や独歩みたいな武術家なら勝ちと言えたかもしれないが、本人談競技者なジャックとしては明確な勝利を求めるだろう。
何よりも堂々と勝ち誇り皆に賞賛されるような勝利を求めるのが最近のジャックだ。
しかし、今回の結果では勝ち誇ることもできないし、見ていた全員から勝ったと判断できない。
圧倒して倒した花山の勝利という人間もいれば、問題なく起き上がったジャックの勝利という人間もいる。
そうした際どい結果であることはジャックも理解しており、だからこそ、勝利宣言できないのだろう。

ジャックは警察に花山を頼むと言ってその場を去る。
ちゃんとアフターフォローをお願いするのは紳士度が上がった最近のジャックらしい。
結果が結果だけに花山への一定のリスペクトがあることも窺える。
曖昧な結果になってしまったがジャックとしては考える余地のある勝負だったらしい。
少なくともピクルを倒して天狗になった心持ちを折られたのは間違いないか。

公衆の面前で喧嘩して警察案件になるかと思われたが、園田さんの一言で見逃されることになった。
曰く被害届がないという建前上の理由があるし、花山がそうしたものは出さないのは間違いない。
何だかんだで当事者だけの問題だったのでそこも見逃す一因か。
また、園田さんだけじゃなく警視総監の内海さんのようなお偉いさんがグラップラーに対して好意的でもある。
警察がグラップラーに厳しかったら本部は間違いなく逮捕されている。
やってることが死刑囚よりも死刑囚らしいからな、あの人……

さて、本部流道場。
ここで加藤と花田が話していた。
花田!? お前、猿空間もとい板垣空間に呑み込まれたはずでは!?
まさかの復活である。
そして、かつてのゴールデンコンビ、加藤と一緒である。
これは何かが起こる。何も起こせない気がするけど。

「刃牙って」「マジで強ぇえと思うか」

加藤はよくわからないことをいきなり言い出した。
まさか刃牙の強さを疑っているらしい。
いや、アンタ、ライバルキャラとして出てきたと思ったらマッハで刃牙の応援団になったじゃん!
斗羽戦の時には刃牙の応援をしてたぞ! 速ェよ!!
なお、本部も斗羽戦の時には実戦派武術家らしからぬ伝説のアドバイス、「スピードでかきまわせ!絶対イケる!」をしている。
斗羽戦はいろいろなキャラの株というかランクが決まってしまった特異点なのかもしれない。

加藤は疑うことを止めたら武術家は終いだと語る。
漫然と日々を過ごすのではなく、常に何かを意識しろということだろうか。
花田はこの姿勢には同意しつつも刃牙を疑ったことはないと語る。
自分を圧倒した斗羽に刃牙は勝っている。
この揺るぎない実績がある以上、刃牙の強さを疑うわけがない。

「誰が云ったか「範馬の血」……?」
「あーゆーのも」「いかがなもんかねぇ…」


野郎……タブー中のタブーに触れやがった……
いや、範馬の血はたしかにどうかと思うが普通の人間は脳が悪魔の形状にはならないし梢江ともSAGAらない。
範馬の血はある。理不尽だがたしかに範馬の血はあるのだ。

「170センチに届かぬ身長」「70キロ程度の体重……」
「ボクシングなら中量級だぜ」
「無差別はキツいんじゃね……?」


いや、そうだけど! そうかもだけど!
その小兵が特大サイズの斗羽やリーガンを倒すところを見ているだろうが!
大体、君が夜叉猿Jr.にボコられてそのまま倒れたのに刃牙はほぼノーダメージだったぞ!
それも疑問視している範馬の血が覚醒する前だ。
加えるなら最大トーナメントの対戦相手全員が100kg越えだ。
無差別級で勝ち残っています。

格闘技において体重は極めて重要なステータスだが範馬刃牙相手には意味を為さない。
先述の無差別級の戦士たちのみならず、ピクル、オリバ、宿禰と200kg級の筋肉の塊をも制している。
なので、今更そこに触れるのはナンセンスそのものなのだが……どうした、加藤よ。
昔好きだった漫画を非現実的だと叩く症候群か何かか?

加藤が何を言いたいのかわからない。
もしかして記憶喪失にでもなったのか?
それとも自分の強さに自信でも持ったのか?
バキ道の序盤で独歩に2連敗してますがな。
同門である本部や花田の例があるので急成長もそこまで否定できないけど……

まるでyoutuberのようなイキり方をする加藤だった。
だが、そこまでイキるのなら話は簡単だ。
範馬刃牙に挑めばいい。
範馬刃牙は場所も相手も選ばない。千春だって遠慮なく叩きのめすし、何なら小馬鹿にする。
加藤だってアクビしながらも叩き潰してくれるだろう。



というわけで、刃牙に挑もうとする加藤であった。
ほ、本当に挑む馬鹿がいるか!
勇次郎に挑んだ本部という馬鹿がどうなったのか知らんのか!

な、何でこんな愚かなことを……
一体何を考えているんだ、こいつ……
板垣先生も何を加藤に期待しているんだ……
死刑囚にテグス一本で勝負を挑もうとするくらいに心許ない。

youtubeなら【ガチ喧嘩】範馬の血(笑)とかイキるチビガキにリアルを教えてみたなんてタイトルが付きそうな暴挙である。
やってることのレベルが勇次郎に挑んだストライダムレベルだよ。
キャラとしての立ち位置も同じレベルだ。
いや、ストライダムは勇次郎の側近として頑張っているからまだ加藤より立派か?

しかし、分不相応にドリアンに挑みつつも熱い勝負を見せてくれたのが加藤清澄という男である。
今回も熱い戦いに期待でき……そうにないな。
相手が悪すぎる。範馬刃牙は今や勇次郎よりも容赦しない。
刃牙に殺された代表格である郭春成、Jr.、宿禰なんて二度と前線で戦うことはできないだろう。
ただの敗北ではなくキャラクターとしての死を与えるのが範馬刃牙なのだ。
それはそれとして今回の加藤は顔の傷やオールバックなどのパーツが昂昇といろいろ似ているので真面目に見分けが付きにくい。

ジャックVS花山の勝敗の解釈がどうとかそういうレベルではない爆弾を投げつけられた。
いや、ここで加藤が来るなんて予想外にもほどがありますよ。
君のこと、嫌いじゃないし期待している読者も多いと思うけど、期待の方向性は驚き役ですよ。あとたまに解説。
多分、千春といい勝負するくらいの強さだと思うし、その千春が刃牙に挑んだら悲惨な結果になった。
いや、千春よりかは格上だと思いたいけど、千春は外伝ブーストで格が上がっちゃったしな……

刃牙の持つファンタジーを加藤が否定していい勝負をしたらここまで築いてきた世界観の否定にも繋がる。
範馬の血を否定し恵まれないフィジカルの弱点を突いたらそれはもう幻想殺しってレベルだ。
いや、世界観を否定するような強さを見せた本部さんという前例がある。
お前も本部になってしまうのか、加藤。
本部という前例があるから何が起こるかわからないんですよね、本当……
1週休んで次回へ続く。