刃牙と言えば妖術。
刃牙と言えばインチキ。
つまり、この構えを取ればインチキできる! ……のか?
後ろにいるお爺ちゃんの反感を買わないのか、不安です。
烈が取った刃牙の構えに刃牙本人のみならず、この場に集まったグラップラー一同や観客も驚く。
本部だって冷や汗付きで驚く! なお、今回も解説なしだ。
このおっさん、ちっとも役に立たねー!
何のためにこの場にいるのか、よく考えて、どうぞ。
この構えをもっとも知る男は他ならぬ刃牙自身だ。
というわけで自分でもこの構えを改めて取るのだった。
半身にすることで相手から見える面積を減らしたり、肩をアゴの前に置くことでカバーしたりと、けっこう理に適った構えである。
勇次郎やピクルの両腕を掲げ全身を晒すある種隙だらけな構えとは対極に位置すると言えよう。
これは編み出したというよりも気付いたら身に付いていたようだ。
連載初期の時点で刃牙はこの構えをしているし、幼少期の時点でもそれらしい構えは取っている。
伝統と実績の刃牙ポーズだ。
とはいえ、この構えに独自性や特別性があるわけではない。
真似しても勝ち目があるとは限らないと思うけど……
「付け焼き刃をする人じゃない」
「何を狙う………?」
刃牙も同じ考えなのか、烈の構えに困惑している。
憎たらしさなら地上最強の刃牙だけど、この烈に対する評価及び信頼や友情は嫌いじゃないです。
こういうところだけ切り取ればいい奴なんですけどね……
たしかに烈は中国武術 is No1の人だから、他流派の技術なんて簡単に使うはずがない。
ボクシングを相手に中国武術を貫いた男だ。 おかげでリングは異次元空間になったのだが。
烈はこの構えを取ったことには理由があった。
食われた右足、負傷した左肘でも、この構えならば動ける!
普段の烈の構えは腰を大きく落としていたりと力んでいる。
それ故に身体への負担が大きそうだ。
負傷した状態ならこの適度に脱力した構えの方が動きやすいのかもしれない。
烈はただ中国武術にこだわるだけでなく、ピクルの時のように捨てるでもなく、状況に応じた最適な構えを取った。
烈海王は進化している。
これもボクシングという最大級の他流試合を経験したからか。
そのボクシングの構えは取らないけどな! ま、まぁ、片腕を負傷しておりますし……
そんな烈に対して武蔵は悪魔的なオーラを見せる。
これは目の前の相手を殺すという決意の表れなのかも知れない。
事実、本人は包丁扱いとはいえ真剣を手にしている。
「”斬る”と決意(きめ)た武蔵を眼前(まえ)にして尚!!!」
「”動ける”予感が揺らがない!」
刃牙の構えが大層お気に入りな烈であった。
悪魔的なオーラを出す武蔵を前にこの予感は揺るがない。
問題は動けるかどうかより対処できるかどうかの方が大事な気がするのだが。 動くだけなら旧ザクにもできますよ。
ガンダムを倒せるかとなるとゲルググを持ってこないとキツいと思うのですが。
「いざ!!!」
武蔵は叫び烈に斬りかかる。
握りは小指だけで支持するあの特徴的かつ不安定なものではなく普通に握っている。
武蔵が武器を破壊する時はいつもあの握りだ。
あれは武器を振るためではなく破壊するための握りではなかろうか。 相手の武器を無刀取りなりで奪った後に破壊すれば大層有利になれるし、何よりも威圧できるだろう。
多くの剣豪との立ち合いで身に付けた技術なのかも。
「真っ二つに!!!」
「切り裂け武蔵!!!」
構えだけじゃなく心情も刃牙になってるよ、烈さん!
刃牙はカウンターとか何もできないくせにこんなことをよく言い出す。
そんな自殺行為なことをして刃牙が平気な理由は範馬刃牙だからに他ならないのだが。
構えは由としても刃牙の思考を真似はなさらない方が……
だが、今は烈は動ける!
何故ならば刃牙の構えを取っているから!
動ける! 動ける! 動けるったら動ける!
だが、動けなァァァァァァい! 一歩も動けず青竜刀が顔にめり込んだ!
刃牙の構えとは何だったのか。
そもそも刃牙とは何だったのかという疑問に行き着く気さえする。
烈の顔面に青竜刀がモロにめり込む。
独歩の時と同じだ。
同じだからそれ以上にはならない。
引かねば切れないのは青竜刀も一緒であった。
しかし、独歩の時もそうだけどここまでめり込めば普通にヤバいと思うのですが。
一流の格闘家は身体の柔軟性が半端ないとも言うし、同じように顔がメチャクチャ柔らかいのか?
烈を殺してはいないがもう勝負ありだ。
一歩も動けずに青竜刀を食らったのだから普通なら死んでいる。
そもそもこんな致死体験をすれば心も折れようものである。
独歩だって何も言えずに敗北を認めたのだ。
「何故引かんッッッッ」
「何故引き斬らん!!!」
「この烈をッッ」「侮辱する気かあああああッッ!!!」
だが、烈は絶対的な死を前にして吠えた!
さすが史上最強の男を相手に自らを餌と捧げた男だ。
例え青竜刀とキスしようが自分の生き方を貫こうとする。
叫んだ時に唇が裂けているが構わず吠える。
刃牙の構えを取ったもののその生き様はどこまでも烈らしかった。
刃牙とは何だったのか。(2回目)
「武士(もののふ)だ」
そんな烈を見て武蔵は笑う。
現代に来てから待ち望んでいたであろう武士と認めた。
そして、青竜刀を引いた。
今度こそ殺す気だ! そして、殺すことに躊躇いゼロだ!
「嗚呼…」
「刃牙さん ありがとう……………」
引き斬られると同時に烈は回る。
これはまさか消力か? たしかに青竜刀相手に消力の練習はしていた。
だが、零距離かつ死角とする縦からの攻撃だ。
リハーサル通りに行くかどうか……
次回へ続く。
烈もまた顔面めり込みの刑を受けた。
独歩はあれで心が折れてしまったが、烈はまだまだやる気だ。
寸止めされていなければ死んでいたように思えるが、消力をやる気満々だったところを寸止めされたのかも。
だとしたら策を残していたというのに寸止めされれば怒るというものか。
消力では羽毛になれる。
羽毛になれれば斬られない。
だが、武蔵は羽毛を斬る。
ダメじゃんとなりそうだが、幸いにして得物は青竜刀である。
國虎と違って羽毛は斬れないかもしれない。
なら大丈夫! ……なのか?
しかし、ここにきてまさかの刃牙よいしょだ。
最後の言葉なんて下手すれば遺言ですよ。
そもそも消力には刃牙要素はあまりないような……
ここはむしろ消力を教えた郭海皇に感謝して欲しいのだが。
刃牙の構えといい生き延びても郭海皇に怒られるかもしれんぞ?
それにしてもやっぱり殺す気満々な武蔵であった。
もうちょっと手心というものを……
特に刃牙のやり方は相手をムカつかせるから逆効果だぞ。
みっちゃんの闘技場が血塗れになる予感は刃牙のせいだったりして。
巨凶範馬の血は様々な災厄を引き寄せる……
刃牙道(6) (少年チャンピオン・コミックス)