刃牙道感想 第66話「間違っていた」



烈が死んだ! ~ツンデレの私が武器あり試合を武蔵に挑んだ結果~
いや、まだ死んだのかはわからない。
今回、答えが出る! ……よね?
観客たちは声を出せずにいた。
名実共に地下闘技場のアイドル、烈が腹を切られ贓物を出し倒れたのだ。
地下闘技場の歴史が長いと言えど、ここまで凄惨な試合もなかっただろう。
最初はぶった斬れとか不謹慎なことを叫んでいた観客もいたが、こんな結果になれば何も言えなくなって当然か。

勝者は讃えられ人々が集まるもの。
……とアライ一族に似た人物に人が集まっているカットが挿入される。
ま、まぁ、父親の方には人が集まりますよ。
Jr.に集まったのは、うん……梢江くらいだよね……
彼は元気にやっているだろうか。
色黒だし身代わりの術に使えたりしないか?

「迷いなし 躊躇いなし」
「そして支持はなし……」
「それでも尚」
「天下無双也 宮本武蔵」


武蔵を讃える声はないし武蔵に近付く人間もいない。
強者故に孤独。
同じ強者と言えど一般ピーポーの人気を得ている勇次郎や凄惨なダメージを与えながらも友情を感じた人間の多いピクルとは対称的だ。
もっとも人を斬ったのだから近寄りがたくて当然か。

烈は控え室に運ばれていた。
さて、烈の容態や如何に。
腹に包帯を巻いている! 以上!
生きるのを諦めるなぁ!
それだけかよ!?
点滴とかそういうのはどうした!?
危篤も危篤状態なんだからもうちょっとその延命処置を……
あるいは即死なのか?
いや、背骨まで斬られたのだから即死じゃない方がおかしいのだが。

烈の生死は未だに不明である。
不明ではあるが、ここまで野ざらしにされると厳しい気がする。
見学に来ていたはずの紅葉もいないし先行きが不安でならない。
もう王大人に死亡確認をしてもらいたいくらいだ。
あの人に死亡確認してもらえば生き返れる。
ベッドどころか台の上に烈は眠らされている。
重ねるがもうちょっとまともな処置を……
烈も浮かばれませんよ。

そんなぞんざいな扱いをされている烈を克巳、渋川先生、郭海皇、刃牙、徳川光成、本部が囲む。
あ、本部がいるんだ。
友達の友達が紛れているような違和感である。
空気を読んで同席していないジャックや紅葉を見習え。
いや、紅葉はむしろ積極的に同席して治療してもらいたいところだが。

さて、烈がこうなってしまった元凶はみっちゃんである。
烈との試合を許可したし、そもそも武蔵を蘇らせてしまった。
幾人の格闘家に消えない傷を残したピクルの時は(危機管理に大いに問題があったとはいえ)偶然蘇ったのだから仕方ない。
だが、武蔵に関しては明らかにみっちゃんが作為的に蘇らせたのだから弁護しようがない。
アンタはこうなることを予想できなかったのか?
そんなみっちゃんは格闘家たちに自分が間違っていたのかを問いかける。

「馬鹿な」
「比武
(試合) 武器の使用」「いずれも烈 自身が希望(のぞ)んだもの」
「徳川さん」
「仮に「貴方は間違っていた」と私が言ったなら」
「烈はハネ起きて私に噛み付くでしょう」


この試合はあくまでも烈が望んだものであり、それを否定することは烈本人が許さないと郭海皇は言う。
例え死んでも覚悟のうちなら覚悟しなければならない。
師弟共に厳しい世界で生きている。
でも、もうちょっと何とかなっていたと思うのですが……

「ならば……」「ならば言うてくれ……」
「徳川は間違っていた………………と」
「言うてくれッッ」


それでもみっちゃんは涙する。
大好きな烈がこんな目に遭えば当然と言えば当然であるが、ピクルの時といいまるで成長していない……
克巳のように片腕を失えど新たな境地に辿り着いたのならまだしも、死んだらお終いというか次にも活かせない。
アンタが間違っていたかは置いておいて、今回の件は全面的にアンタが悪い。
格闘家たちも烈の覚悟を知っているからか、誰も言葉を発することができない。
そして、この場に本部が紛れている違和感よ。 これで本部も守護者として本腰を入れるようになるだろうか。
まさか本部が皆の希望となる時が来ようとは……

さて、後日。
みっちゃんと武蔵が向かい合っていた。
みっちゃんは楽勝だと言うと武蔵に睨まれる。

「面をこれほど傷付けられて」「楽勝とな」

武蔵は烈を圧倒したとはいえ翻弄されたのも事実である。
正直、九節鞭をまともに受けたのはちょっと不甲斐なかった。
なので、武蔵の言う通り、楽勝とは言い難い。
そんな武蔵にみっちゃんは烈海王はどうだったのかを問う。

「「関ヶ原」なみ……………」「―――と言ったところかの」

烈の評価は関ヶ原並み!
関ヶ原の戦いと言えばおそらくは日本史で一番有名な合戦である。
武蔵も出陣しているが17歳とかその辺りだ。
決闘そのものは13歳の時点で行っているので、その時点で武士としての心構えはできていたと思われるが。

烈並みの強さを持つ人間が関ヶ原の戦いにはいたのか、あるいは烈との戦いは関ヶ原の戦いに匹敵する修羅場なのか。
後者なら烈も救われるというものだが。
関ヶ原では最強の武将と名高き本多忠勝も出陣していたから、本多忠勝並みと褒められるとか。
いや、武蔵と本多忠勝は同じ東軍で出陣したけど。

ともあれ、武蔵の口から失われた歴史が語られようとしている。
武蔵と言えばその武力だが400年前の生き証人という点で歴史的価値も相当なものである。
いや、語られるのはドラゴン・ロードとか板垣歴史かもしれないけど。
むしろ、そっちの方が楽しみ……?
次回へ続く。


烈は想像以上にぞんざいな扱いをされていた。
集中治療室で決死のオペが行われている方がまだ安心できるというものである。
生死不明なれどここまでぞんざいだとさすがに……

これで格闘家たちはどうするのか。
俺も俺もと武器ありの試合を望まれると毎回悲惨なことになって困る。
素手でも烈を圧倒するほど強さなので、大人しく素手で戦ってみてはいかがか。
烈の死?によって一気に緊迫感のある展開になったのだが、上手くまとめるのが大変な展開にもなった。

やはり、希望は本部か。
本部が武器術で武蔵を圧倒、だが武蔵の真の強さは素手にこそあった!
となれば、我々はもう2度と本部をネタにできなくなる。
いや、ネタにするけど。

何より友の本部は戦わざるを得まい。
友の仇! と本部が憤ることができるのだ。
友だっけ? となるが、まぁ自称していたので友でしょう。(第44話
なので、本部には頑張ってもらいたい。
大丈夫、本部なら大腸モロ出しどころか脳味噌モロ出ししても休載にはならんから。

ここで関ヶ原で武蔵と本部の関係が語られればさらに因縁は深まる。
そう、関ヶ原には本部一族の先祖が出陣しており、強敵として立ちはだかっていたのだ!
そうなると本部ってもしかして退化して……いや、言うまい。

とにかく本部に全ての希望がのしかかっているのだ。
頑張れ、本部。お前に全てを託すぞ、本部。
……パチンコに全額を賭けるようなものだな、こりゃ。