刃牙道感想 第71話「渇ぁつッッ」



武蔵を警察が包囲した。
包囲すべきは武蔵ではない。そこの殺人ジジイだ。
ともあれ、国家権力を相手に武蔵はどう立ち向かう!
なお、国家権力が今まで正常に抑止力となった例は今まで存在しない模様。

さて、時は1921年、大本事件のことが触れられる。
これは新興宗教「大本」を弾圧した事件である。
警察は教祖の逮捕を目論むのだが、そこで悩みとなるのは側近の植芝盛平であった。
合気道の開祖にして渋川先生の師匠である御輿芝喜平のモデルとなった人物である。

警察は植芝盛平に指導を受けていたため、その力量を知っていた。
ならばどうするか。
消防車で取り囲み放水! さらに網!
そして、囲んで長い棒で叩く! 逮捕!
そんな作戦を立てたそうな。
消防車で取り囲むという前提が厳しそうな……

「作者は以上の逸話はなしを30年程前昔植芝盛平の直弟子にあたる塩田剛三氏から幾度か聞かされている」
「植芝が身を隠したため「作戦」は未遂に終わったが」「完成された武道家は国家権力をしてここまで畏怖おそれさせた…………」


久し振りに出た板垣先生が語る逸話であった。
克巳VS花山以来ではなかろうか。
ともあれ、そういうことであった。
超一流の武道家は国家権力さえ恐れさせるのだ!
なお、死刑囚でも十分に恐れさせるのだった。
……思うに死刑囚編における警察側の作戦はわりと雑だったと思う。

さて、そんなわけで対武蔵における警察の選択肢とは如何に。
機動隊で囲む! 以上!
おう、消防車はどうした?
何やかんや高圧水流は武蔵にとって、未知の武器なので有効だと思うのだが……

武蔵に抵抗の意志はない。
なので、内海警視総監は機動隊を下がらせるのだった。
だが、武蔵の戦いは戦う前から始まっている。
悪魔的なオーラを見せて威圧するのだった。

「渇ぁつッッ」

武蔵の一喝で機動隊は散り散りになる。
武蔵の持つ武名、悪魔的オーラによる威圧、そして一喝と見事に盛り上げた結果の敵前逃亡であった。 自己演出力の高さは武蔵の武器のひとつだ。
心理的な優位に立つことに関しては現代の格闘家たちとは比べものにならない。 機動隊の戦意を失わせることも容易なのであった。

さて、武蔵はレクサス(実質トヨタ)の高級車に乗って警視庁へと向かう。
内海警視総監曰く、罪を問う気はなく取り引きをしたいそうだ。
武蔵を日本版アンチェインにでもする気だろうか。
武器ありの戦いに長けるのならむしろ格闘家との戦いよりも犯罪者の制圧の方が得意そうだ。 ただし、犯罪者全員斬り捨てることになるぞ。

さて、警視庁の剣道場ではある男が待っていた。
全日本剣道選手権保持者、三輪猛丈7段、38歳であった。
剣道の7段の合格者は10%ほど……狭き門である。
日本一の剣道家であることから三輪の実力は本物なのだろう。
竹刀と防具を用意していることから剣道で武蔵と試合うつもりのようだ。

だが、佐部という人斬りを出した後に剣道7段は今更感がとんでもない。
三輪自体は優しげな風貌で変に威圧していないからそれなりには実力はありそうなのだが……
これでうっかり武蔵相手に善戦すれば佐部の評価が地を貫いてしまうぞ。
いや、本部がパワーバランスを破壊し尽くしたから今更か?

「取り引きより…」
「もそっと…………」
「もそっとゆっくり走れんか」


武蔵を中心に国が動く中、本人はマイペースに時速55kmにビビっていた。
普通の馬でもそれくらいは出ると思うのだが……
やはり、慣れていないからか。
次回へ続く。


新たな強者?、三輪が現れた。
まぁ、さすがに相手にならんだろう。
前述したが善戦でもすれば佐部が悲惨なことになる。

しかし、剣道という半ばスポーツの土台で武蔵と戦えばどうなるのかはわからない。
ジャブというスポーツの技術に不覚を取っているし、殺し合いに長ける一方でスポーツの駆け引きには疎いかもしれない。
まぁ、スポーツマンに負けるようなら武道家失格なのがバキ世界の通例だが。
1本取るくらいなら希望はあるかも……

逆に三輪が善戦できれば希望も生まれる。
スポーツの土台で戦えば武蔵とも対等に戦えるのだ。
まぁ、武器を持った武蔵に勝たないと真の勝利と言えないだろうが。
武蔵は素手でも烈を圧倒していたし、やっぱり素手が本気という路線でも……

そこでやはり本部ですよ。
本部が武器ありで武蔵を圧倒、勝利手前というところで武蔵の本気が素手ということが発覚すれば問題解決だ。
さすがにいちいち死なれると困るし、素手より武器が強いとなるとバキシリーズのテーマをも揺るがしてしまう。
なので、頑張れ、本部!
なお、素手の武蔵に300点の本部は惨敗する模様……




刃牙道(6) (少年チャンピオン・コミックス)